岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 牧野たかお議員の御質問にお答えいたします。
地球沸騰時代における国土強靱化の在り方についてお尋ねがありました。
我が国のみならず、世界各地でこれまで経験したことのない災害が頻発しており、気候変動リスクを前提とした対策を講じていく必要があります。
こうした観点を踏まえ、本年七月に、ハードのみならず、新たにデジタル等の新技術活用や地域力の発揮といったソフトの対応も盛り込んだ新たな国土強靱化基本計画、策定したところです。
この新たな基本計画や、さきの通常国会で改正された国土強靱化基本法に基づき、五か年対策後も、切れ目なく、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進め、災害に屈しない国土づくりを進めてまいります。
内水氾濫対策と地方管理河川への財政支援の在り方についてお尋ねがありました。
今年度も、秋田県や福岡県を始め全国各地の中小河川で浸水被害が発生しました。国民の命、財産を守るための浸水対策は喫緊の課題です。
頻発する内水氾濫に対しては、五か年加速化対策も活用し、排水先となる河川の掘削や下水道等の排水能力向上、内水ハザードマップの作成、周知など、ハード、ソフト一体となった流域治水の取組を加速してまいります。
さらに、地方公共団体管理の中小河川の治水対策をより効果的に行うため、大規模放水路の建設などの重点的な取組が必要な事業については、交付金事業から個別補助事業への移行を更に進め、計画的、集中的な整備、これを促進してまいります。
リニア中央新幹線についてお尋ねがありました。
リニア中央新幹線は、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成して日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図るものであり、国土形成計画及び国土強靱化基本計画等に位置付けられた国家プロジェクトです。開業後六十年目を迎える東海道新幹線の大規模改修を行うためにも、また大雨や地震、火災による運休の影響を最小化するためにも、リニア中央新幹線の一日も早い開業に向けて取り組むことが重要であると考えています。
御指摘の静岡工区については、大井川の水資源及び南アルプスの環境保全に関する国の有識者会議において、対策を講ずることにより課題解決が図られる旨の取りまとめが行われました。さらに、リニアが大阪まで開業されることで、静岡県内の駅における東海道新幹線の停車回数の増加により、沿線地域への経済波及効果と雇用効果が見込まれるとする調査結果を公表しました。
今後とも、関係者に丁寧に説明するとともに、名古屋―大阪間の環境アセスの年内着手を目指すなど、リニアの早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けて、関係自治体やJR東海と連携し、丁寧に取り組んでまいります。
エネルギーの激変緩和措置等についてお尋ねがありました。
燃料油の激変緩和事業については、九月に、年内の緊急措置として、全国平均でリッター百七十五円をガソリン価格の実質的な上限とするための補助を拡大しました。この措置を電気・都市ガス料金の激変緩和措置と併せて来年春まで継続することとします。また、国として、地方自治体が御指摘のような地域の実情を踏まえて生活者等をきめ細かく支援するための重点支援地方交付金を措置していますが、経済対策においてこれを追加してまいります。
エネルギーを始めとする物価高から国民生活を守るため、引き続き全力を尽くしてまいります。
中間層以下の所得の底上げについてお尋ねがありました。
岸田内閣では、賃上げの流れの維持拡大を図り、中小企業が賃上げできる環境の整備に取り組んでいるほか、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金の徹底等を通じて非正規雇用労働者の処遇改善、促しています。税制面でも、NISAの抜本的拡充、恒久化を行うなど、分厚い中間層の復活に向けた取組を進めてまいりましたが、更に賃上げ税制の強化に取り組みます。
加えて、我が国経済は、三十年来続いてきたデフレを脱却できる千載一遇のチャンスを迎えているとはいえ、現時点では賃金上昇が物価高に追い付いておらず、放置すれば再びデフレに戻りかねません。デフレ脱却を確実なものとする一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えし、物価高による国民の負担の軽減、負担の緩和を図ることを検討してまいります。
中小・小規模事業者の生産性の向上についてお尋ねがありました。
コロナ禍で苦しかった三年間を乗り越え、経済状況は全体として改善しつつありますが、多くの中小企業は、人手不足、エネルギーコストの上昇、物価高等の共通の経営課題に直面しています。
こうした課題を乗り越えるため、売上げ拡大や生産性向上など、経営者の挑戦を後押しするための支援を着実に進めるとともに、今後取りまとめる新たな経済対策において省人化、省力化投資の支援措置を強化してまいります。
資産運用立国に向けた投資政策と投資家保護についてお尋ねがありました。
家計金融資産の半分以上を占める現金、預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで更なる投資や消費につながるという好循環を実現していくためには、御指摘のとおり、適切な金融商品の販売がなされ、家計が安心して投資できる環境を築いていくことが重要です。
こうした観点から、金融商品の販売会社等に対して、顧客の最善の利益を勘案することや金融商品の売買契約の締結前に顧客の知識や経験に応じて契約内容を説明すること、これらを義務付ける法案を今提出しており、これに基づき顧客本位の業務運営を徹底してまいります。同時に、金融経済教育の機会の充実を通じて、国民の金融リテラシーの向上を図ってまいります。
その上で、魅力的な金融商品が家計を始めとする投資家に提供される環境を目指して、資産運用立国に関する政策プランを年内に策定し、資産運用業とアセットオーナーシップの改革、断行してまいります。
我が国における食料の確保についてお尋ねがありました。
気候変動や自然災害の多発、激化による世界的な食料生産の不安定化、世界人口の増加に伴う食料需要の拡大、さらに、ウクライナ情勢を受けたサプライチェーンの混乱等により世界規模の食料危機が生じ、食料や肥料、飼料の多くを輸入に依存する我が国の食料安全保障上のリスクが顕在化しています。
こうした状況を受け、今月十三日に策定した食料安定供給・農林水産業基盤強化に向けた緊急対応パッケージにおいて、小麦、大豆、飼料等の国内生産の拡大や食品原材料の国産切替えに向けた支援など、食料安全保障の強化のために早急に取り組むべき施策を取りまとめました。これらを今般の経済対策に盛り込み、速やかに実行し、実行に移し、国民への食料の安定供給を図るための施策、講じてまいります。
価格転嫁による農林水産事業者の適正な利潤確保についてお尋ねがありました。
燃料、肥料、飼料等の価格が高騰する中、安定的な食料供給を実現していくためには、生産に加え、流通、加工、小売等の各段階を通じた持続可能性を確保していく必要があります。こうしたことから、現在、農林水産省において、これら食料供給を担う各段階の関係者による協議会を設け、適正な価格形成の仕組みを議論しているところです。
今後、この協議会の議論を踏まえつつ、消費者の理解を前提として、農林水産事業者を始め各段階の事業者が食料供給を持続的に行える価格形成の仕組みづくりを進めてまいります。
農林水産業の将来ビジョンについてお尋ねがありました。
我が国の農林水産業は、生産者の減少、高齢化、耕作放棄地の増大等の生産基盤の弱体化、気候変動による生産の不安定化などの課題に直面をしています。
こうした中、人口減少下でも持続可能な食料供給基盤を確保するため、担い手の育成、確保を図りつつ、スマート技術の導入等による生産性の向上と市場拡大に向けた輸出取組等を更に進めることが必要です。
また、食料安全保障の強化の観点から、輸入依存度の高い肥料、飼料等の国内生産の拡大を図るとともに、化学肥料や農薬の使用低減など、環境と調和し、そして持続可能な農林水産業を実現することが重要です。
このような認識の下、農林水産業の持続的発展に向け、長期的視点に立って農政を再構築するべく、食料・農業・農村基本法について、次期通常国会への改正案提出に向けた作業、加速してまいります。
ALPS処理水の海洋放出についてお尋ねがありました。
政府として、ALPS処理水の海洋放出の安全性については国内外に対して透明性高く情報発信を行っており、国際的にも科学的根拠に基づく冷静な対応が広がっていると認識をしています。
一方、一部の国による輸入停止措置は科学的根拠に基づく対応ではなく、あらゆる機会を通じて日本の取組を丁寧に説明し、科学的根拠に基づく対応を求め、措置の即時撤廃、求めていきます。
また、こうした措置から国内水産業を守るため、総額一千七億円の政策パッケージを取りまとめ、国内消費拡大や代替輸出先、販路拡大、国内加工の設備強化支援などに取り組んでいます。今後も、必要に応じて機動的に予算の確保を行うなど、万全の対応を講じてまいります。
マイナンバー制度とマイナンバーカードによる自治体の行政コストの軽減についてお尋ねがありました。
マイナンバーの利用によって、現在、児童手当の申請など、約二千五百の事務において住民票の写しなどの添付書類が省略可能となっています。また、マイナンバーカードの活用によって、引っ越しや子育て、介護に関するオンライン手続やコンビニエンスストアでの証明書の発行が可能となっており、いずれも市区町村窓口への来庁者数の減少による職員の負担軽減や事務処理のデジタル化による効率化を実現しています。
人口減少の下でもこれまで以上に質の高い公共サービスを提供するために、デジタル社会における公的基盤であるマイナンバー制度の利活用を推進し、規制・制度改革等を組み合わせ、利用者起点のデジタル行財政改革に取り組んでまいります。
地方における働く場の創出、地域交通の維持確保など、地方の多様性を生かした地方創生についてお尋ねがありました。
地方から成長を目指すデジタル田園都市国家構想の下、テレワークや移住の推進、企業の更なる地方移転、関係人口の創出、拡大、地方大学、高校の魅力向上や地方大学を核としたイノベーションの創出、スマート農林水産業や観光DXの推進による地方所得の引上げ、デジタル田園都市国家構想交付金による交通物流網の整備支援などの取組を着実に進め、働く場の創出を図ってきました。
さらに、半導体や蓄電池などの戦略産業の投資のほか、観光業や農林水産業の振興、地域におけるデジタル人材の育成などの地方における働く場の確保に向けた取組を更に加速するべく、今後取りまとめる経済対策においても必要な施策を盛り込むこととしております。
また、地域住民の生活や経済活動に不可欠な地域交通は、人口減少等による需要減や運転手等の人手不足により厳しい状況にあります。こうした状況に対し、国においては、デジタルの力も活用し、複数の事業者間、関係者間の連携、協働による地域公共交通のリデザインを進めるため、地域公共交通活性化再生法の改正と予算措置の大幅拡充を行ってきました。特に、ローカル鉄道については、改正法によって、自治体又は鉄道事業者からの要請に基づき、国が再構築協議会を組織し、議論を促進していくことといたしました。
地域交通は、人口減少下であってもデジタルを最大限活用して公共サービスの維持強化を図るデジタル行財政改革の主要分野の一つであり、国として、乗り合いバス、ローカル鉄道を含め、その維持確保に全力を尽くしてまいります。
地方こそ日本の宝、底力であるとの強い思いでこうした取組を総合的に進めることで、全国各地の多様性を生かした地方創生、進めてまいりたいと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕