中山英敬の発言 (経済産業委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○中山参考人 皆さん、こんにちは。中小企業家同友会全国協議会で幹事長を務めております中山と申します。
今回は、こういう機会をいただきまして本当にありがとうございます。
まず、簡単に自己紹介をさせていただきますが、お手元に資料をお配りしております。会の紹介と、それから、私どもが二月上旬に行いました賃上げ、ベースアップの実態調査を参考資料としてつけております。また、お時間等あるときに目を通していただければと思っております。
会の特徴を簡単に御案内させていただきますと、私ども中小企業家同友会は、全国四十七の都道府県に存在しております。会員数は、資料では一月一日現在の会員数を書いておりますが、この四月一日時点では四万七千四百九十九名の会員でございます。コロナの影響を大きく受けました。二〇二〇年四月、緊急事態宣言後、大幅に会勢を減らしましたけれども、翌年の十月以降、V字回復に入りまして、今月一日時点ではコロナ前の過去最高の会勢を更新する勢いで、今また復調しております。
経営者が、お互い経営者同士学び合う会として、毎月、各地において例会を開催しておりますが、年間で延べ約六千回ほど開催をしております。
同友会の目的が三つありまして、一つ目が、よい会社をつくろう。これは強靱な経営体質をつくることを目指しています。二つ目が、よい経営者になろう。これは経営者に要求される総合的な能力を身につけることを目指しています。また、三つ目に、よい経営環境をつくろう。このような中小企業の努力が報われるような経営環境の改善にも努めていこうということであります。
特徴を一言で言いますと、私たちは、人を生かす経営と同友会では呼んでいますけれども、人間尊重の経営、社員をパートナーと考え、社員と経営者の強い信頼関係を、厳しい環境は経営者と社員が向き合って協力してこそ乗り越えることができるというような、強靱な企業づくりを目指し、具体的には経営指針と呼んでいますけれども、経営理念、そしてビジョン、方針、計画をしっかりと策定して経営することを基本としています。私も福岡の方で二社経営しております。コールセンターの専門会社と、また、それを生かした健康食品の自社開発と全国に向けての通信販売ですね。
それでは、意見を述べさせていただきますが、中小企業家ですので、中小企業の立場や地域の活性化という視点で意見を述べさせていただきます。
まず、全体的な印象から申しますと、今回の改正も、とてもいいことだというふうに感じております。二〇一四年の小規模企業振興基本法制定に続いて、今回、中堅企業を位置づけることによって、小規模、中小企業そして中堅企業、大企業というふうに、それぞれの規模と役割に応じたきめ細かな振興政策が打たれることが期待できます。特に、成長志向の中小企業、スタートアップ企業についても大変重要で必要なことと思っています。
戦略的な国内投資とか、イノベーション、また、新陳代謝という表現などが印象に残りました。ただ、この新陳代謝という表現は、捉え方もいろいろあります。私ども同友会内でも議論があるところではあります。
それでは、これより、具体的な意見は七点、整理させていただきました。
まず一点目、高水準の賃上げ、国内投資についてであります。
背景の中で、三十年ぶりの高水準の賃上げ、国内投資という潮目の変化というような表現もありますが、高水準の賃上げには中小企業が課題とも言われています。
厚生労働省の令和五年賃金構造基本統計調査によりますと、昨年、二〇二三年度、男女の計の月額賃金は三十一万八千三百円で、前年比二・一%増と、二十九年ぶりの水準です。しかしながら、規模別では、大企業が全年齢で〇・七%減少となっています。その理由は、大企業は、二十九歳以下の若い層は引き上げ、三十五歳から五十四歳までの層を引き下げているということからです。その一方で、中小企業で二・八%増、小企業で三・三%増となっています。中小企業と小企業では全年齢で引き上げています。
私ども同友会のアンケートでも、二〇二四年に賃上げしないと回答している企業は二・九%ですので、残りの九七%は賃上げを実施、また予定しているわけです。
全体的な賃上げ、国内投資には、大企業が労働分配率を上げ、全年齢で賃上げをすることが、今回のこの厚生労働省のデータを見ると課題と思われます。その点では、中堅だけではなく、実際、賃上げを実施している中小企業の支援は一層必要というふうに思います。
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化には、中小企業の施策を、同法だけでなく、政策として重視していただきたいというふうに思います。
二つ目ですが、新陳代謝についてです。
新陳代謝は中小企業再編論をイメージされることもあるかと思っています。生産性の低い中小企業は再編すべきだという印象や意見もありますが、私どもでは、二〇一〇年に閣議決定されました中小企業憲章、その前文にもあります「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である。」の精神の下で、中小企業を社会的にも重要な存在として中小企業政策を進めていただきたいと思います。
私ども同友会では、この新陳代謝ということを、逆に、一社も潰さないと声をかけ合い、経営指針の成文化と実践を進め、厳しい企業にも、共に学んで、よい会社、よい経営者、よい経営環境を目指そう、一緒に頑張ろうということを呼びかけています。それぞれ個々の自助努力を促し、企業内でも成長を伴う企業変革に挑戦して、そういう意味で、企業内での新陳代謝を促すことも重要だというふうに考えています。そういった意味でも、この法案については、進めることはとても重要だというふうに考えています。
続いて、三点目がMアンドAについてです。
中小企業家としてのいわゆる嫌悪感とか抵抗感とかいうものは、昔は相当強かったんですけれども、最近は随分と和らいできています。私の周りを見ても、もうそういう違和感も感じることもなくなってきており、MアンドAについては、同友会の会員企業でも、企業の経営難の打開、後継者問題への対応、規模の拡大などで増えてきています。する側、される側を含めてですけれども。
同友会では、人を生かす経営と言っていますが、社員をパートナーとして、生きがいや働きがいのある経営を実践している企業が、事業を引き継ぎ、全体として業界や地域を牽引することが重要であると考えています。
四点目が、スタートアップ企業関連措置、企業横断的措置についてです。
同法の今回の改正案は、もう既に成長が見込まれているスタートアップ企業への制度設計という印象があります。
スタートアップ企業や創業間もない企業は、今後の地域経済の活性化にとっても重要と考えています。スタートアップ企業がその可能性を順調に成長させるには、経営者としての学びの場、知恵や経験を交流する場がとても重要、必要ですね。
私ども中小企業家同友会では、創業間もない方も多数入会しており、創業から経営指針を成文化し、実践することで、事業を成長させている企業が多数あります。スタートアップ企業には制度的な支援もありますけれども、こういった経営者の学びの場を政府としても後押しして、積極的に活用していただきたいというふうに思います。
五点目、成長を伴う事業再編についてですが、賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業者とありますが、成長を伴う事業再編というその条件、定義は、しっかり判定していくことが重要というふうに思います。
産業競争力強化法が二〇一三年に制定された際、中小企業支援の上で地域重視の考え方が示され、地方創生の取組にも反映されました。戦略的分野への重点支援を行いつつ、既存分野、事業活動を持続させることで地域を支えている企業群にもしっかり配慮することを期待しています。
六点目、中堅企業の成長促進の中の地域課題の解決についてですが、私ども同友会でも、中小企業の社会的意義を発揮して、地域に存続し発展するためにも、地域の課題を自社の課題として経営指針に位置づけて取り組む、そういう、企業づくりと地域づくりを一体とした取組の活動を展開しています。
具体的には、中小企業振興基本条例を制定し、その条例を生かした活動。条例と申し上げますのは、中小企業憲章の考え方を地域で実現するための条例です。地域に根差した、中小企業ならではの具体的な先進事例も各地で見られてきています。
最後になりますけれども、戦略的国内投資分野に対する地域中小企業者の声として、最近耳にしていることですが、次世代半導体製造工場の進出に伴い、熊本へのTSMCなどですけれども、ビジネスチャンスと地域経済活性化を期待する一方で、労働力確保が大変困難になっており、急激な賃金上昇と併せて、自助努力だけでは対応できないという切実な声も上がってきています。副作用を緩和する支援も必要ではないかというふうに思っております。
私からの意見は以上です。ありがとうございました。(拍手)