加藤勝信の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。
国会法第百二条の六では、日本国憲法及びこれに密接に関連する基本法制についての広範かつ総合的な調査をし、憲法改正原案等を審査するために憲法審査会を設置するとされております。すなわち、憲法に関して広範かつ総合的な調査を行うだけではなく、その調査結果を踏まえて立案された憲法改正原案などを審査することも大きな役割として課せられているわけであります。
また、憲法改正原案を提出することができるのは国会議員とこの憲法審査会のみであり、政府にはその提出権はありません。憲法改正原案は究極の議員立法と言えるものであり、国民への発議は私ども国会議員に課せられた重要な使命であると認識をしております。
このような国会議員の使命を前提に、これまでの憲法審査会での議論の到達点を確認してみますと、緊急事態条項については相当程度議論が整理されてきていると認識をしております。
まず、緊急事態対応の必要性については、この間の議論を通じて共通理解が形成されてきていると言えます。議員任期延長に反対されておられる立憲民主党におかれても、大規模災害などにより七十日を超えて選挙ができないような緊急事態が発生し得ることは認められており、問題は、このような事態をどうやって乗り越えていくかということであります。
この点、参議院の緊急集会は、あくまでも両院制の例外であり、暫定的な制度であります。一定の期間内に総選挙の実施が見通せる場合には、参議院の重要な権能である緊急集会で対応すべきことは、これは当然であります。しかし、総選挙の実施が長期にわたって見通せないような場合に緊急集会で対応することまでは想定されていないと考えます。
昨日、愛媛、高知で震度六弱の地震が発生をしております。南海トラフ地震とは関連がないとのことでありますけれども、中央防災会議が発表している南海トラフ地震や首都直下地震の被害想定を見ますと、相当広範な地域において長期間選挙実施が困難となることが予想され、このような選挙困難事態においてこそ、二院制の国会を機能させることが重要であると思います。なお、平成二十五年の被害想定によると、三十年以内の発生確率は七〇%とされていることを想起する必要があると思います。
この際、改めて整理させていただくと、選挙困難事態が発生した場合への対応として直接に求められることは、選挙期日を延期する必要があるということであります。その上で、選挙を延期した間に国会議員が不在となることを避けるために議員任期を延長する、あるいは前議員の身分を復活する必要があるということとなります。
このように、緊急事態に対処することを念頭に置くと、前回、大口委員から問題提起があったように、まずは選挙期日を延期し、その上で議員任期を延長するといった論理構成が素直ではないかというふうに思います。
この点以外の国会機能維持策については、事務局の論点整理でも示されたように、議論は相当深まっており、参議院の緊急集会の位置づけ、対象事態、事態の認定主体、延長期間や閉会禁止、解散禁止の効果などについては、自民、公明、維新、国民、有志の五会派で見解の一致が見られているところであります。僅かに国会の議決要件及び裁判所の関与については見解の相違はあるものの、この間の議論を通じて、これらの点についても見解の一致が見られつつあるように思われるところであります。
国会機能維持については、維新、国民、有志の三会派の御努力により、これまでの議論を踏まえた条文イメージが既に公表されております。更に議論を深めていくために、そうした案をベースとしつつ、先ほど述べた新たな論点を組み込んだ案を起草すべく、幅広い会派で早急に条文起草作業に入るべきであると考えます。
前回、馬場幹事からの質問に答える形で、中谷筆頭から起草委員会の提案がありましたが、どういう形で起草していくかについて、早急に具体的な方策を決定すべきであります。来週にも幹事懇を開催し、しっかりと議論していただくことを両筆頭に改めて強くお願いしたいと思います。
他方、緊急政令に関しては、五会派の間でもいまだ若干意見が隔たっているようであります。すなわち、法律上の措置の整備によって対応できる、憲法に規定を設けるとしても災対法等の緊急政令制度の確認規定にとどめるべきとの意見がある一方で、憲法四十一条の例外として内閣に幅広い委任を認める緊急政令制度を設けるべきとの意見があります。
私は、これまでの災害対策法制整備の歴史を踏まえると、万が一の想定外の事態にも対応できるように万全の備えを行っていくべきではないかと考えております。同時に、新型コロナへの対応等を直接経験した中で強く感じたことは、憲法上に緊急事態対応の明文の規定があることによって、実際の運用の場面において法律上の強制的な措置を必要に応じてちゅうちょなく行使できる象徴的な意義もあるということであります。
この点に関して、昨年の海外調査で訪問したフランスのブドン教授から、憲法上の緊急事態条項があることが、法令、政令による柔軟な対応を支える精神的な根拠になる、そのため緊急事態条項が必要である旨の話があったと承知をしておりますが、趣旨を同じくするものだと理解をしております。
最後に、国民投票広報協議会について一言触れさせていただきます。
広報協は、国民投票運動の公平公正の確保に当たり、重要な役割を果たすものであります。前回の審査会においても、広報協規程の起草委員会を設けて早急に議論を開始すべきとの提案がなされておりました。緊急事態条項の条文化作業と並行して、これらの作業も車の両輪として積極的に進めていくべきであることを申させていただきます。
以上です。