佐保昌一の発言 (厚生労働委員会)
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○佐保参考人 皆さん、おはようございます。御紹介いただきました、連合総合政策推進局長の佐保と申します。
本日は、貴重な意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。
私からは、初めに、連合の社会的セーフティーネットについての考え方を述べ、その後、今回の政府提出法案についての意見を述べます。
生活上の困難に陥ったときや、やむを得ない事情で働けなくなったときに、公的支援制度のはざまに置かれることなく安心して社会的セーフティーネットを利用することで生活が保障され、再び働けるようにするためには、重層的な制度の構築が必要不可欠です。
資料の一ページ目は、連合が実現を求める社会的セーフティーネットの姿です。
二〇一五年四月に生活困窮者自立支援制度が始まり、現在、社会保険・労働保険、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度の三層から成る社会的セーフティーネットが構築されています。
今後は、各層の更なる充実強化を図るとともに、生活困窮者自立支援制度が軸となり、既存の社会保障制度との連携を強くしながら、困難に直面したそれぞれの人が抱える課題に対応したオーダーメイド型支援を可能にする社会的セーフティーネット体系の実現が求められると考えます。
また、全ての人の生存権と尊厳ある暮らしを保障するため、誰もが安心して住まいを確保できるよう、質の伴った住宅セーフティーネットの構築が欠かせません。
そして、生活困窮者自立支援制度を基軸とする個の支援と、地域コミュニティー活性化の一体的な推進が重要となります。住み慣れた地域を基盤にしたつながりを再構築し、地域の伴走者を増やすことで、社会的孤立や生きづらさを感じることなく、誰もが居場所を持って自分らしい生活を送ることができる共生社会の実現が急務であると考えます。
さて、今回の政府提出法案について意見を申し述べます。
まず、法案全体についてですが、社会経済状況の変化やコロナ禍で顕在化した相談者が抱える課題の複雑化、多様化に対応するため、居住支援の強化や、子供の貧困への対応、支援関係機関の連携などが盛り込まれ、全体的におおむね評価しており、今国会での成立を求めます。
ただ、法改正の実効性を担保する施策、現場を担う支援員の処遇改善や人員体制の整備、そのための十分な予算の確保など、残された課題について、国会審議において議論を深めていただくようお願いしたいと思います。
それでは、各論について意見を述べます。資料は二ページ目を適宜御覧ください。
まず、居住支援の強化についてです。
生活困窮の相談窓口において住まいに関する相談支援が明確化されることは評価しておりますが、入居時から入居中、退去時まで切れ目のない支援体制を構築するためには、公営住宅やセーフティーネット住宅、空き家の活用を進めるとともに、居住支援法人などとの連携を強化することが必要です。
また、住まいは生活、就労の基盤であることから、誰もが住居を確保し、安心して暮らせるよう、国による住居費の支援など、住宅確保要配慮者に対する恒常的な居住保障の仕組みを検討していただきたいと考えます。
次に、子供の貧困への対応についてです。
生活保護受給中の子育て世帯へのアウトリーチ事業の法定化については評価しておりますが、こうしたアウトリーチによる支援に加え、子供食堂など、学校や家庭以外の居場所を充実するとともに、重層的支援体制整備事業との連携を強化する必要があります。
また、子どもの学習・生活支援事業の必須事業化を目指し、当面は実施率の向上が重要だと考えます。
次に、就労準備支援事業と家計改善支援事業についてです。
家計改善支援事業への国庫補助率の引上げなどは評価できますが、就労準備支援と家計改善支援、両事業の必須事業化が見送られたことは残念に思っております。全国どこに住んでいても必要な支援を受けることができるよう、両事業の必須事業化を目指し、各事業の実施率を高めるとともに、自治体間格差の是正、事業の質の改善を図ることが必要だと考えます。
次に、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携についてです。
生活困窮者向けの事業を生活保護受給者も利用できる仕組みを創設することに異論はありません。ただ、現場の業務負担の増加により支援の質が低下しないよう、両制度の実施機関の適切な人員体制を確保することが求められます。
また、こうした生活困窮者向け事業について、事業者等へ委託している自治体が多い状況です。委託契約が一年ごととなっているところも多く、現場で支援に携わる方たちが、次年度以降の事業委託が決まっていないことにより、不安定な雇用形態で働いていると聞き及んでおります。事業の委託方法については各自治体の御判断となりますが、そうした課題があることも御認識いただければと思います。
次に、医療扶助についてです。
医療扶助の適正化などを促進するため、都道府県が広域的な観点からデータを分析し、市町村に対し必要な助言を行う仕組みの創設が盛り込まれております。自治体のガバナンス強化や頻回受診、長期入院の適正化の観点から考えれば、生活保護受給者の国民健康保険や後期高齢者医療制度への加入について検討することが必要だと考えます。
最後に、法改正事項ではなく、運用面での話になりますが、連合として最も強く訴えている支援員の処遇改善、人材の確保、定着、財源の確保についてです。
生活困窮者自立支援事業の機能強化に向けては、各支援員の処遇を改善し、人材の確保と定着を図ることが欠かせず、その裏づけとなる財源を確保することが不可欠だと考えます。
以前、全国幾つかの地域の委託先における相談支援員を始めとする人員体制の状況や基本賃金を知る機会がありましたが、相談支援員全員が有期雇用、あるいは、主任相談支援員の方で、勤続年数五年、週五日のフルタイム勤務でも月額十七万六千円、年額二百十一万二千円という事例がございました。こうした低賃金では、必要な人材確保もままなりません。そのためには、まず、政府による全国の支援員の賃金実態の調査、把握が必要でございます。
また、社会福祉士など専門性を持つ専門職員の配置を含め、地域の実情に応じて適切な人員体制が確保できるよう取り組むことも求めます。
生活保護の被保護者に対する自立支援においても、生活困窮と同様に、人材確保のための処遇改善と財源確保が今後の課題であると考えます。
以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)