冨高裕子の発言 (厚生労働委員会)
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○冨高参考人 皆様、おはようございます。連合で総合政策推進局長を務めております冨高です。
本日は、参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。
私は、労働政策審議会の労働者代表委員を務めております。本日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、働く者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、皆様のお手元にございます資料をおめくりいただけますでしょうか。二ページでございます。まず、雇用保険被保険者の適用拡大についてでございます。
連合は、雇用形態にかかわらず全ての雇用労働者に雇用保険を適用し、セーフティーネットを整備することが重要と考えております。現在の所定労働時間二十時間から十時間以上に拡大することは、雇用保険によるセーフティーネット機能の拡充に資する改正であると受け止めております。
一方で、二〇二八年十月の施行に向けては検討すべき事項も残っていると考えます。
まず一点目でございますが、雇用保険の加入や失業の在り方についてでございます。
新たに適用の対象となる労働者の中には、生計を維持するために副業、兼業をしている方も増えることが想定されます。しかし、雇用保険は、ほかの社会保険とは異なり、複数就労時は、主たる賃金を受ける雇用関係のみ加入対象となり、副業先は雇用保険に加入ができません。その結果、副業先のみ失業した場合は、その部分の失業手当などを受け取ることができません。
一方で、二〇二二年一月から、先ほどございました、試行しておりますマルチジョブホルダー制度という仕組みがございます。こちらにつきましては、二つの雇用の労働時間を合算して二十時間以上となる場合、雇用保険に加入することができるということでございまして、合算して雇用保険の被保険者になれることは望ましいことだというふうに考えており、労政審においては、この制度の検証と対象の拡大に向けた検討を行うべきというふうに申し上げてきました。現時点では利用者やデータが少なく、引き続き施行後五年の二〇二七年を目途に検証することになっております。
連合としましては、施行後五年を待たずに、二〇二八年の適用拡大に向けて早期に試行結果の検証を行い、副業先を雇用保険の対象とすることを含め、雇用保険の加入や失業の在り方を労政審において議論することが必要だというふうに考えております。
続いて、二点目でございます。
適用拡大により現場の混乱が生じないよう、例えば、複数就労時にどの雇用関係で雇用保険手続を進めればよいか、こういった判断基準を明確化する、こういったことなど、運用について検討と丁寧な周知が必要というふうに考えます。
三点目でございます。適用拡大に伴う働き方の変化の調査についてでございます。
新たに被保険者となる週所定労働時間が十時間以上の短時間就労者については、JILPTによる調査では、雇用保険に加入したくないと回答されている方たちもいらっしゃいます。そのため、まずは施行までに雇用保険のメリットなどを十分周知をした上で、短時間就労者において、雇用保険加入を避けるための就業調整であったり就業形態の変更などの働き方の変化が生じないか、調査を行う必要があるというふうに考えております。
続いて、資料の三ページでございます。教育訓練給付の拡充及び教育訓練休暇の給付金、この創設でございます。
三ページにお示ししました図一では、自己啓発を行った者は非正規雇用の方より正規雇用の方が多いということ、また、図二においては、企業によるリスキリングの実施が進んでいないこと、また、図三、四では、教育訓練休暇制度の導入や利用が進んでいないという現状が分かると思います。
このような状況において、労働者個人への直接支援の拡充により、労働者自身による教育訓練やリスキリングの実施、これに一定の効果はあるというふうに思います。しかしながら、雇用形態にかかわらず教育訓練のための時間を確保する意識、これを社会全体として醸成をしていくことが重要であり、まずは、労働者を雇用している企業が非正規を含む全ての労働者を対象に教育訓練の実施を推進していくことが重要であり、そのための支援が必要だというふうに考えております。
また、教育訓練給付を効果的なものとするために、受講後の賃金上昇が訓練受講の結果であることを確認する方法の検討、また、指定講座ごとの訓練の効果検証に基づく検討というものも必要だというふうに考えております。
加えて、教育訓練給付の指定講座においては、地域、類型、科目により講座数の偏りがあることから、偏りの是正に向けた実態把握や訓練効果等を踏まえた検証、検証に基づく指定講座の見直し、これが必要だというふうに考えております。
続きまして、パワーポイント四ページを御覧いただければと思います。国庫負担の見直しについてでございます。
雇用保険の財源の在り方につきましては、労使により保険料を拠出していることから、国庫負担と労使の保険料率との適切なバランスを、当事者である労使が入る労働政策審議会で十分に議論し、決定することが重要だと考えます。その際、雇用の維持、安定という雇用保険制度の趣旨も踏まえ、適正な収入と支出についても十分な検討が必要です。
そのような考え方の下、一点目の、介護休業給付に係る国庫負担を引き下げる暫定措置の二年間の延長、これにつきましては、国として介護と仕事の両立支援を推進しており、実際に受給者数、支給額は増加していることなど介護休業給付の重要性が増しているということを踏まえれば、介護休業制度全体の内容を含めた議論を行い、二年後を待つことなく、暫定措置の廃止に向け、労政審において検討すべきというふうに考えます。
二点目でございますが、雇用保険の目的を超えるような施策に関する財源の在り方でございます。
雇用保険の主たる目的は、労働者の生活及び雇用の安定を図ることであり、人への投資、リスキリング強化支援を目的とした教育訓練給付の拡充の施策、これにつきましては、本来の雇用保険の目的を超える国の政策としての側面も強く、雇用保険財源以外の一般財源、関係する省庁の予算等の実施というものも引き続き検討する必要があるのではないかと考えます。
なお、社会経済の急激な変化が雇用に悪影響を及ぼす局面における国を挙げた支援として雇用保険を活用する場合には、財政状況の把握を待たずに、労政審の判断の下、国庫からの繰入れができる仕組みの導入の検討なども必要というふうに考えます。
最後のページでございます。五ページでございます。育児休業給付の保険料率の見直しについて。
こちらにつきましては、労政審での議論の終盤において、育児休業給付の国庫負担を一年前倒しで本則に戻すことと併せまして、保険料率の引上げ、弾力的な引下げ措置の導入に関する案が示されました。
先ほど申し上げたとおり、国庫負担、保険料率については、本来、労政審において十分な議論が必要だというふうに考えておりまして、そのことは二年前の失業等給付の国庫負担の議論の際にも主張してきたところでございます。
今回、議論の時間が十分ではなかったというふうな部分につきましては、労政審でも改めて強く申し上げ、労政審の雇用保険部会の報告においても、弾力的な調整を検討する際には、保険料率が労使に影響を与えることも認識し、財政状況のみならず育児休業給付の現状や見通しに基づいた丁寧な議論を行うということを記載していただいております。このことを厚労省としては重く受け止めていただきまして、今後の審議、運営につきましては真摯に対応を行っていただければというふうに考えております。
資料に参考としてお示ししたように、厚労省の試算によれば、令和八年度に単年度赤字となり、それを受けて令和十年度から保険料率を引き上げる必要があると試算されております。
保険料率の引上げは、先ほども申し上げましたが、労働者にとって負担増となることから、実際に引上げが必要となるまでの間も含め、育児休業給付の在り方など、引き続き労政審において不断の検証と丁寧な議論が必要だというふうに考えております。
以上、法案の施行や今後に向けて、雇用のセーフティーネットである雇用保険が将来にわたり安定的に運営され、支援を必要とする労働者が適切に保護されるよう、引き続き労政審を通じて議論を尽くしていきたいというふうに考えております。
ありがとうございました。(拍手)