厚生労働委員会
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会
会議録情報#0
令和六年四月九日(火曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 畦元 将吾君
上田 英俊君 勝目 康君
金子 容三君 川崎ひでと君
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
田所 嘉徳君 田畑 裕明君
田村 憲久君 高階恵美子君
中谷 真一君 仁木 博文君
堀内 詔子君 本田 太郎君
三ッ林裕巳君 柳本 顕君
山本 左近君 吉田 真次君
阿部 知子君 大西 健介君
堤 かなめ君 西村智奈美君
山井 和則君 吉田 統彦君
早稲田ゆき君 一谷勇一郎君
遠藤 良太君 岬 麻紀君
福重 隆浩君 吉田久美子君
宮本 徹君 田中 健君
福島 伸享君
…………………………………
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
参考人
(学習院大学経済学部経営学科教授)
(一橋大学名誉教授) 守島 基博君
参考人
(日本労働組合総連合会総合政策推進局長) 冨高 裕子君
参考人
(リクルートワークス研究所研究センター研究1グループ長/主任研究員) 大嶋 寧子君
参考人
(一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部副本部長) 平田 充君
参考人
(全国労働組合総連合副議長) 秋山 正臣君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時三十分開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 畦元 将吾君
上田 英俊君 勝目 康君
金子 容三君 川崎ひでと君
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
田所 嘉徳君 田畑 裕明君
田村 憲久君 高階恵美子君
中谷 真一君 仁木 博文君
堀内 詔子君 本田 太郎君
三ッ林裕巳君 柳本 顕君
山本 左近君 吉田 真次君
阿部 知子君 大西 健介君
堤 かなめ君 西村智奈美君
山井 和則君 吉田 統彦君
早稲田ゆき君 一谷勇一郎君
遠藤 良太君 岬 麻紀君
福重 隆浩君 吉田久美子君
宮本 徹君 田中 健君
福島 伸享君
…………………………………
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
参考人
(学習院大学経済学部経営学科教授)
(一橋大学名誉教授) 守島 基博君
参考人
(日本労働組合総連合会総合政策推進局長) 冨高 裕子君
参考人
(リクルートワークス研究所研究センター研究1グループ長/主任研究員) 大嶋 寧子君
参考人
(一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部副本部長) 平田 充君
参考人
(全国労働組合総連合副議長) 秋山 正臣君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
――――◇―――――
新
新谷正義#1
○新谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授守島基博君、日本労働組合総連合会総合政策推進局長冨高裕子君、リクルートワークス研究所研究センター研究1グループ長/主任研究員大嶋寧子君、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部副本部長平田充君、全国労働組合総連合副議長秋山正臣君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、まず守島参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授守島基博君、日本労働組合総連合会総合政策推進局長冨高裕子君、リクルートワークス研究所研究センター研究1グループ長/主任研究員大嶋寧子君、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部副本部長平田充君、全国労働組合総連合副議長秋山正臣君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、まず守島参考人にお願いいたします。
守
守島基博#2
○守島参考人 皆さん方、おはようございます。学習院大学の守島と申します。
本日は、雇用保険の一部を改正する法律案に関する私の意見を申させていただきたいと思います。このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
まず、総論から入りたいと思います。
雇用保険制度が雇用に関する総合的機能、総合的なセーフティーネット機能を果たしていることは、皆さん方も御存じのとおりだと思います。端的に言ってしまえば、雇用が失われたときに、新しい雇用に転換できるまでの生活支援をするのが雇用保険の基本的な意義でございます。
そうなんですけれども、最近少し変わり始めているなというふうに私は感じております。
一つには、雇用を守るという言葉の意味が少し変わってきたのではないかなと思っています。
もちろん、これまでは、この言葉の意味は、雇用契約を守るということであり、一人の人間の雇用を続けるということにあったわけですけれども、それについては、もちろんこれからも重要だというふうに私は考えております。
だけれども、皆さん方御存じのように、現在、いろいろな意味での経済環境の変化であるとか、あと、大きな点としては、ITであるとかAIであるとか、最近いろいろな議論がされていますけれども、技術革新によって仕事の内容が変化する時代に入ってきました。そうなってくると、これまで一人一人の人間が持っていたスキルであるとか培ってきた能力が、役に立たないという言い方はちょっときついかもしれませんけれども、陳腐化するということが起こってきて、新たな仕事のスキルであるとか能力を身につけて、今の雇用契約がなくなったとしても、仮にそこの企業で雇用されなくなったとしても、新たな雇用契約に転換する力を労働者は持たなければならない、そういう時代に入ってきたんだと思います。
そうなってくると、労働者を守る、若しくは雇用を守るという意味合いが今までとは少し変わってくるのではないかなというふうに思っています。
結果として、雇用保険にも、単に、雇用がなくなったときにセーフティーネット、生活支援をしていくということだけではなくて、失業若しくは失業の可能性に対して、新たな仕事に支障なく移動できるための新たなスキルであるとか能力を持たせるための支援も重要だというふうに私は考えております。
最近はやりの言葉で言ってしまうと、いわゆるリスキリングという言葉になってしまうんですけれども、リスキリングという言葉は後でまたお話があるかもしれませんけれども、そういうふうなことに対する、リスキリングに関する支援というのが重要になってくるのではないかなというふうに私は思っています。
そう考えると、今回の教育訓練給付関係の拡充、まあ今回の雇用保険法の改正の中にいろいろなものが入っておりますけれども、そういうふうな意味でいうと、今回の教育訓練給付関係の拡充というのは正しい方向へ進んでいるのではないかなというふうに私は思っております。
例えば、給付率の上限アップであるとか、自己都合退職者への支援拡充、それから在職中の労働者の教育支援のための休暇への給付金創設などが、そういう意味では、今回の法改正というのは当てはまってくるのではないかなというふうに思っております。
もう一つ、一つの大きなポイントとしては、現在の仕組み、まあ労働法制全体ですけれども、仕組みが、比較的、正社員を守る、まあ正社員という言葉は法律的に裏づけられた言葉ではないんですけれども、俗語として使っている言葉をそのまま使用させていただきますと、いわゆる正社員の雇用を守るということに大きな力点があったというふうに思っています。
日本の労働法制というのは、今申し上げたように、正社員、非正規社員というふうに分けた場合に、正社員に対して比較的厚く、かつ非正規社員に対してはそれほどの保護を与えていなかった、そういうふうなことが実情としてあったのではないかなというふうに思っています。雇用保険も例外ではなくて、二十時間という制限を設けて、短時間労働者、短時間労働者というのは御存じのように非正規労働者の代表選手であるわけですけれども、彼ら、彼女たちの支援というのを制限していたわけです。
一般論として、例えば、最近いろいろなところで議論されている同一労働同一賃金等があるように、いわゆる非正規社員への格差是正支援というのは、比較的重要な労働政策の一つの大きなポイントではないかなと思っています。
もう一つ、皆さん方御存じのように、現在、正社員の労働者というのが、全労働力の約四割になっています。したがって、ある意味では非正規という形の言葉でくくってどこかの隅に押しやっていく、そういうことはもうできない状態になっていますので、そういうふうな人間たち、非正規で働いている人たちに対して、安心して働ける環境であるとかセーフティーネットを用意するということは、今後も日本経済全体にとって重要なものではないかなと思っています。
したがって、今回の、二十時間という制限を十時間にして短時間労働者への支援をするというのは、極めて意味があるのではないかなと思っています。
もちろん、これは、ある意味では、私に言わせれば道半ばであって、これからは十時間という制限もなくして、全ての労働者に対して失業へのセーフティーネット、まあセーフティーネットという意味は、単に守るではなくて、先ほども申し上げたように、新しい仕事へと潤滑に移っていけるという部分も含むんですけれども、そういうものを提供することが必要ではないかなと思っています。
テクニカルな問題としては、マルチジョブホルダー、二つ以上の仕事を持っている人たちに関する総労働時間をどういうふうに把握するかという問題もあるんですけれども、令和四年より、六十五歳以上のマルチジョブホルダーについて、自己申告という形で総労働時間を把握する、そういう試みがなされておりますので、この方法の結果を見て検証しながら将来的に検討していくということが重要ではないかなと思っています。審議会でもそういう議論がされておりました。
また、こうした改正は、雇用保険のかなりの部分というか、雇用保険の性質を変える可能性があると思います、失業に対するセーフティーネットということから結構変えていく部分というのはあると思うんですけれども、先ほども申したような日本経済全体の動きを考えると、やはり合理的な改革ではないかなと思っています。
次に、育児休業給付に関してお話を申し上げたいんですけれども、我が国経済の、これは皆さん方まさに御存じのことだと思いますけれども、もう一つの大きな問題は、人手不足、人材不足でございます。企業が経営を続けて経済を回すためには人材の確保というのが極めて重要で、それがちょっと、今の状況だと危機的な状況になっていると思います。
人的資源の確保というのは企業にとっても重要なんですけれども、同時に、やはり国全体にとっても、経済成長にとっても重要な役割を持つものではないかなというふうに思います。したがって、国家戦略として、未来へ向けての人材確保ということを機動的に行う必要があるというふうに私は考えております。
その場合、人材不足への対応というのは、マッチングの精度を上げて労働市場の機能を高めるというのもありますし、さきに述べたリスキリング等を行って、現在いる人材をある意味では、再活用という言い方はいいかどうか分かりませんけれども、再活性化していく、そういうふうな動きもあるんですけれども、やはりもう一つの大きなポイントというのは少子化対策であろうというふうに思っています。やや長期的な解決法ですけれども、少子化対策というものが重要になってくるのではないかなというふうに思います。
したがって、育児休業給付というのは、これまで、出産による休業を失業状態と位置づけて、失業対策として始まった制度であり、かつ、その後の子育て中の所得保障という色彩も強くなってきており、そういう面では今まで十分機能してきたわけですけれども、さきに述べたような、人口減少、それに伴う労働力減少という中で、育児休業給付というのは国の経済政策としての意味合いが結構大きくなってきているのではないかなと思っています。
そういうことでいうと、今回、国庫による負担が八十分の一から八分の一という本則に復帰したというのは極めて重要なことであろうと思いますし、ある意味では当然のことであろうというふうに思っています。
ただ、これは皆さん方御存じのように、審議会では、保険財政の状況に柔軟に対応できるように、育休保険料率に弾力を持たせることも同時に含んでおります。
上記に述べたような点を考慮すると、育休というのは、仕組みの検討も含めて、やはり基盤を盤石にしていかないと、これからもたない。ある意味では、非常に現在の雇用保険財政の中では大きな部分を占めておりますので、基盤を盤石にするということが重要で、そのためには、国による積極的な財政面での支援というのが重要ではないかなというふうに思っています。
最後に、財政運営やその他についての幾つかの問題を指摘しておきたいと思います。
まず第一に、雇用保険の財政運営については、これも皆さん方御存じのように、コロナ禍により、やはりかなり状態が悪くなりました。国からお借りしてということもやっておりましたし、ある意味では非常に難しい状況に陥ったんですけれども、令和四年以降、コロナが明けるに従って少し上向いており、少しずつ前の状態に戻っております。
ただ、やはり現在、先ほども申し上げたように、様々な形で、雇用保険が担うべき役割というのは大きくなっておりますので、そういう意味では、一層の国による財政的な支援も含めた関与が必要になってくるのではないかなと思っています。
時間になりましたので、私のお話はこれで終わりにさせていただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、雇用保険の一部を改正する法律案に関する私の意見を申させていただきたいと思います。このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
まず、総論から入りたいと思います。
雇用保険制度が雇用に関する総合的機能、総合的なセーフティーネット機能を果たしていることは、皆さん方も御存じのとおりだと思います。端的に言ってしまえば、雇用が失われたときに、新しい雇用に転換できるまでの生活支援をするのが雇用保険の基本的な意義でございます。
そうなんですけれども、最近少し変わり始めているなというふうに私は感じております。
一つには、雇用を守るという言葉の意味が少し変わってきたのではないかなと思っています。
もちろん、これまでは、この言葉の意味は、雇用契約を守るということであり、一人の人間の雇用を続けるということにあったわけですけれども、それについては、もちろんこれからも重要だというふうに私は考えております。
だけれども、皆さん方御存じのように、現在、いろいろな意味での経済環境の変化であるとか、あと、大きな点としては、ITであるとかAIであるとか、最近いろいろな議論がされていますけれども、技術革新によって仕事の内容が変化する時代に入ってきました。そうなってくると、これまで一人一人の人間が持っていたスキルであるとか培ってきた能力が、役に立たないという言い方はちょっときついかもしれませんけれども、陳腐化するということが起こってきて、新たな仕事のスキルであるとか能力を身につけて、今の雇用契約がなくなったとしても、仮にそこの企業で雇用されなくなったとしても、新たな雇用契約に転換する力を労働者は持たなければならない、そういう時代に入ってきたんだと思います。
そうなってくると、労働者を守る、若しくは雇用を守るという意味合いが今までとは少し変わってくるのではないかなというふうに思っています。
結果として、雇用保険にも、単に、雇用がなくなったときにセーフティーネット、生活支援をしていくということだけではなくて、失業若しくは失業の可能性に対して、新たな仕事に支障なく移動できるための新たなスキルであるとか能力を持たせるための支援も重要だというふうに私は考えております。
最近はやりの言葉で言ってしまうと、いわゆるリスキリングという言葉になってしまうんですけれども、リスキリングという言葉は後でまたお話があるかもしれませんけれども、そういうふうなことに対する、リスキリングに関する支援というのが重要になってくるのではないかなというふうに私は思っています。
そう考えると、今回の教育訓練給付関係の拡充、まあ今回の雇用保険法の改正の中にいろいろなものが入っておりますけれども、そういうふうな意味でいうと、今回の教育訓練給付関係の拡充というのは正しい方向へ進んでいるのではないかなというふうに私は思っております。
例えば、給付率の上限アップであるとか、自己都合退職者への支援拡充、それから在職中の労働者の教育支援のための休暇への給付金創設などが、そういう意味では、今回の法改正というのは当てはまってくるのではないかなというふうに思っております。
もう一つ、一つの大きなポイントとしては、現在の仕組み、まあ労働法制全体ですけれども、仕組みが、比較的、正社員を守る、まあ正社員という言葉は法律的に裏づけられた言葉ではないんですけれども、俗語として使っている言葉をそのまま使用させていただきますと、いわゆる正社員の雇用を守るということに大きな力点があったというふうに思っています。
日本の労働法制というのは、今申し上げたように、正社員、非正規社員というふうに分けた場合に、正社員に対して比較的厚く、かつ非正規社員に対してはそれほどの保護を与えていなかった、そういうふうなことが実情としてあったのではないかなというふうに思っています。雇用保険も例外ではなくて、二十時間という制限を設けて、短時間労働者、短時間労働者というのは御存じのように非正規労働者の代表選手であるわけですけれども、彼ら、彼女たちの支援というのを制限していたわけです。
一般論として、例えば、最近いろいろなところで議論されている同一労働同一賃金等があるように、いわゆる非正規社員への格差是正支援というのは、比較的重要な労働政策の一つの大きなポイントではないかなと思っています。
もう一つ、皆さん方御存じのように、現在、正社員の労働者というのが、全労働力の約四割になっています。したがって、ある意味では非正規という形の言葉でくくってどこかの隅に押しやっていく、そういうことはもうできない状態になっていますので、そういうふうな人間たち、非正規で働いている人たちに対して、安心して働ける環境であるとかセーフティーネットを用意するということは、今後も日本経済全体にとって重要なものではないかなと思っています。
したがって、今回の、二十時間という制限を十時間にして短時間労働者への支援をするというのは、極めて意味があるのではないかなと思っています。
もちろん、これは、ある意味では、私に言わせれば道半ばであって、これからは十時間という制限もなくして、全ての労働者に対して失業へのセーフティーネット、まあセーフティーネットという意味は、単に守るではなくて、先ほども申し上げたように、新しい仕事へと潤滑に移っていけるという部分も含むんですけれども、そういうものを提供することが必要ではないかなと思っています。
テクニカルな問題としては、マルチジョブホルダー、二つ以上の仕事を持っている人たちに関する総労働時間をどういうふうに把握するかという問題もあるんですけれども、令和四年より、六十五歳以上のマルチジョブホルダーについて、自己申告という形で総労働時間を把握する、そういう試みがなされておりますので、この方法の結果を見て検証しながら将来的に検討していくということが重要ではないかなと思っています。審議会でもそういう議論がされておりました。
また、こうした改正は、雇用保険のかなりの部分というか、雇用保険の性質を変える可能性があると思います、失業に対するセーフティーネットということから結構変えていく部分というのはあると思うんですけれども、先ほども申したような日本経済全体の動きを考えると、やはり合理的な改革ではないかなと思っています。
次に、育児休業給付に関してお話を申し上げたいんですけれども、我が国経済の、これは皆さん方まさに御存じのことだと思いますけれども、もう一つの大きな問題は、人手不足、人材不足でございます。企業が経営を続けて経済を回すためには人材の確保というのが極めて重要で、それがちょっと、今の状況だと危機的な状況になっていると思います。
人的資源の確保というのは企業にとっても重要なんですけれども、同時に、やはり国全体にとっても、経済成長にとっても重要な役割を持つものではないかなというふうに思います。したがって、国家戦略として、未来へ向けての人材確保ということを機動的に行う必要があるというふうに私は考えております。
その場合、人材不足への対応というのは、マッチングの精度を上げて労働市場の機能を高めるというのもありますし、さきに述べたリスキリング等を行って、現在いる人材をある意味では、再活用という言い方はいいかどうか分かりませんけれども、再活性化していく、そういうふうな動きもあるんですけれども、やはりもう一つの大きなポイントというのは少子化対策であろうというふうに思っています。やや長期的な解決法ですけれども、少子化対策というものが重要になってくるのではないかなというふうに思います。
したがって、育児休業給付というのは、これまで、出産による休業を失業状態と位置づけて、失業対策として始まった制度であり、かつ、その後の子育て中の所得保障という色彩も強くなってきており、そういう面では今まで十分機能してきたわけですけれども、さきに述べたような、人口減少、それに伴う労働力減少という中で、育児休業給付というのは国の経済政策としての意味合いが結構大きくなってきているのではないかなと思っています。
そういうことでいうと、今回、国庫による負担が八十分の一から八分の一という本則に復帰したというのは極めて重要なことであろうと思いますし、ある意味では当然のことであろうというふうに思っています。
ただ、これは皆さん方御存じのように、審議会では、保険財政の状況に柔軟に対応できるように、育休保険料率に弾力を持たせることも同時に含んでおります。
上記に述べたような点を考慮すると、育休というのは、仕組みの検討も含めて、やはり基盤を盤石にしていかないと、これからもたない。ある意味では、非常に現在の雇用保険財政の中では大きな部分を占めておりますので、基盤を盤石にするということが重要で、そのためには、国による積極的な財政面での支援というのが重要ではないかなというふうに思っています。
最後に、財政運営やその他についての幾つかの問題を指摘しておきたいと思います。
まず第一に、雇用保険の財政運営については、これも皆さん方御存じのように、コロナ禍により、やはりかなり状態が悪くなりました。国からお借りしてということもやっておりましたし、ある意味では非常に難しい状況に陥ったんですけれども、令和四年以降、コロナが明けるに従って少し上向いており、少しずつ前の状態に戻っております。
ただ、やはり現在、先ほども申し上げたように、様々な形で、雇用保険が担うべき役割というのは大きくなっておりますので、そういう意味では、一層の国による財政的な支援も含めた関与が必要になってくるのではないかなと思っています。
時間になりましたので、私のお話はこれで終わりにさせていただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。拍手
新
冨
冨高裕子#4
○冨高参考人 皆様、おはようございます。連合で総合政策推進局長を務めております冨高です。
本日は、参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。
私は、労働政策審議会の労働者代表委員を務めております。本日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、働く者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、皆様のお手元にございます資料をおめくりいただけますでしょうか。二ページでございます。まず、雇用保険被保険者の適用拡大についてでございます。
連合は、雇用形態にかかわらず全ての雇用労働者に雇用保険を適用し、セーフティーネットを整備することが重要と考えております。現在の所定労働時間二十時間から十時間以上に拡大することは、雇用保険によるセーフティーネット機能の拡充に資する改正であると受け止めております。
一方で、二〇二八年十月の施行に向けては検討すべき事項も残っていると考えます。
まず一点目でございますが、雇用保険の加入や失業の在り方についてでございます。
新たに適用の対象となる労働者の中には、生計を維持するために副業、兼業をしている方も増えることが想定されます。しかし、雇用保険は、ほかの社会保険とは異なり、複数就労時は、主たる賃金を受ける雇用関係のみ加入対象となり、副業先は雇用保険に加入ができません。その結果、副業先のみ失業した場合は、その部分の失業手当などを受け取ることができません。
一方で、二〇二二年一月から、先ほどございました、試行しておりますマルチジョブホルダー制度という仕組みがございます。こちらにつきましては、二つの雇用の労働時間を合算して二十時間以上となる場合、雇用保険に加入することができるということでございまして、合算して雇用保険の被保険者になれることは望ましいことだというふうに考えており、労政審においては、この制度の検証と対象の拡大に向けた検討を行うべきというふうに申し上げてきました。現時点では利用者やデータが少なく、引き続き施行後五年の二〇二七年を目途に検証することになっております。
連合としましては、施行後五年を待たずに、二〇二八年の適用拡大に向けて早期に試行結果の検証を行い、副業先を雇用保険の対象とすることを含め、雇用保険の加入や失業の在り方を労政審において議論することが必要だというふうに考えております。
続いて、二点目でございます。
適用拡大により現場の混乱が生じないよう、例えば、複数就労時にどの雇用関係で雇用保険手続を進めればよいか、こういった判断基準を明確化する、こういったことなど、運用について検討と丁寧な周知が必要というふうに考えます。
三点目でございます。適用拡大に伴う働き方の変化の調査についてでございます。
新たに被保険者となる週所定労働時間が十時間以上の短時間就労者については、JILPTによる調査では、雇用保険に加入したくないと回答されている方たちもいらっしゃいます。そのため、まずは施行までに雇用保険のメリットなどを十分周知をした上で、短時間就労者において、雇用保険加入を避けるための就業調整であったり就業形態の変更などの働き方の変化が生じないか、調査を行う必要があるというふうに考えております。
続いて、資料の三ページでございます。教育訓練給付の拡充及び教育訓練休暇の給付金、この創設でございます。
三ページにお示ししました図一では、自己啓発を行った者は非正規雇用の方より正規雇用の方が多いということ、また、図二においては、企業によるリスキリングの実施が進んでいないこと、また、図三、四では、教育訓練休暇制度の導入や利用が進んでいないという現状が分かると思います。
このような状況において、労働者個人への直接支援の拡充により、労働者自身による教育訓練やリスキリングの実施、これに一定の効果はあるというふうに思います。しかしながら、雇用形態にかかわらず教育訓練のための時間を確保する意識、これを社会全体として醸成をしていくことが重要であり、まずは、労働者を雇用している企業が非正規を含む全ての労働者を対象に教育訓練の実施を推進していくことが重要であり、そのための支援が必要だというふうに考えております。
また、教育訓練給付を効果的なものとするために、受講後の賃金上昇が訓練受講の結果であることを確認する方法の検討、また、指定講座ごとの訓練の効果検証に基づく検討というものも必要だというふうに考えております。
加えて、教育訓練給付の指定講座においては、地域、類型、科目により講座数の偏りがあることから、偏りの是正に向けた実態把握や訓練効果等を踏まえた検証、検証に基づく指定講座の見直し、これが必要だというふうに考えております。
続きまして、パワーポイント四ページを御覧いただければと思います。国庫負担の見直しについてでございます。
雇用保険の財源の在り方につきましては、労使により保険料を拠出していることから、国庫負担と労使の保険料率との適切なバランスを、当事者である労使が入る労働政策審議会で十分に議論し、決定することが重要だと考えます。その際、雇用の維持、安定という雇用保険制度の趣旨も踏まえ、適正な収入と支出についても十分な検討が必要です。
そのような考え方の下、一点目の、介護休業給付に係る国庫負担を引き下げる暫定措置の二年間の延長、これにつきましては、国として介護と仕事の両立支援を推進しており、実際に受給者数、支給額は増加していることなど介護休業給付の重要性が増しているということを踏まえれば、介護休業制度全体の内容を含めた議論を行い、二年後を待つことなく、暫定措置の廃止に向け、労政審において検討すべきというふうに考えます。
二点目でございますが、雇用保険の目的を超えるような施策に関する財源の在り方でございます。
雇用保険の主たる目的は、労働者の生活及び雇用の安定を図ることであり、人への投資、リスキリング強化支援を目的とした教育訓練給付の拡充の施策、これにつきましては、本来の雇用保険の目的を超える国の政策としての側面も強く、雇用保険財源以外の一般財源、関係する省庁の予算等の実施というものも引き続き検討する必要があるのではないかと考えます。
なお、社会経済の急激な変化が雇用に悪影響を及ぼす局面における国を挙げた支援として雇用保険を活用する場合には、財政状況の把握を待たずに、労政審の判断の下、国庫からの繰入れができる仕組みの導入の検討なども必要というふうに考えます。
最後のページでございます。五ページでございます。育児休業給付の保険料率の見直しについて。
こちらにつきましては、労政審での議論の終盤において、育児休業給付の国庫負担を一年前倒しで本則に戻すことと併せまして、保険料率の引上げ、弾力的な引下げ措置の導入に関する案が示されました。
先ほど申し上げたとおり、国庫負担、保険料率については、本来、労政審において十分な議論が必要だというふうに考えておりまして、そのことは二年前の失業等給付の国庫負担の議論の際にも主張してきたところでございます。
今回、議論の時間が十分ではなかったというふうな部分につきましては、労政審でも改めて強く申し上げ、労政審の雇用保険部会の報告においても、弾力的な調整を検討する際には、保険料率が労使に影響を与えることも認識し、財政状況のみならず育児休業給付の現状や見通しに基づいた丁寧な議論を行うということを記載していただいております。このことを厚労省としては重く受け止めていただきまして、今後の審議、運営につきましては真摯に対応を行っていただければというふうに考えております。
資料に参考としてお示ししたように、厚労省の試算によれば、令和八年度に単年度赤字となり、それを受けて令和十年度から保険料率を引き上げる必要があると試算されております。
保険料率の引上げは、先ほども申し上げましたが、労働者にとって負担増となることから、実際に引上げが必要となるまでの間も含め、育児休業給付の在り方など、引き続き労政審において不断の検証と丁寧な議論が必要だというふうに考えております。
以上、法案の施行や今後に向けて、雇用のセーフティーネットである雇用保険が将来にわたり安定的に運営され、支援を必要とする労働者が適切に保護されるよう、引き続き労政審を通じて議論を尽くしていきたいというふうに考えております。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。
私は、労働政策審議会の労働者代表委員を務めております。本日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、働く者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、皆様のお手元にございます資料をおめくりいただけますでしょうか。二ページでございます。まず、雇用保険被保険者の適用拡大についてでございます。
連合は、雇用形態にかかわらず全ての雇用労働者に雇用保険を適用し、セーフティーネットを整備することが重要と考えております。現在の所定労働時間二十時間から十時間以上に拡大することは、雇用保険によるセーフティーネット機能の拡充に資する改正であると受け止めております。
一方で、二〇二八年十月の施行に向けては検討すべき事項も残っていると考えます。
まず一点目でございますが、雇用保険の加入や失業の在り方についてでございます。
新たに適用の対象となる労働者の中には、生計を維持するために副業、兼業をしている方も増えることが想定されます。しかし、雇用保険は、ほかの社会保険とは異なり、複数就労時は、主たる賃金を受ける雇用関係のみ加入対象となり、副業先は雇用保険に加入ができません。その結果、副業先のみ失業した場合は、その部分の失業手当などを受け取ることができません。
一方で、二〇二二年一月から、先ほどございました、試行しておりますマルチジョブホルダー制度という仕組みがございます。こちらにつきましては、二つの雇用の労働時間を合算して二十時間以上となる場合、雇用保険に加入することができるということでございまして、合算して雇用保険の被保険者になれることは望ましいことだというふうに考えており、労政審においては、この制度の検証と対象の拡大に向けた検討を行うべきというふうに申し上げてきました。現時点では利用者やデータが少なく、引き続き施行後五年の二〇二七年を目途に検証することになっております。
連合としましては、施行後五年を待たずに、二〇二八年の適用拡大に向けて早期に試行結果の検証を行い、副業先を雇用保険の対象とすることを含め、雇用保険の加入や失業の在り方を労政審において議論することが必要だというふうに考えております。
続いて、二点目でございます。
適用拡大により現場の混乱が生じないよう、例えば、複数就労時にどの雇用関係で雇用保険手続を進めればよいか、こういった判断基準を明確化する、こういったことなど、運用について検討と丁寧な周知が必要というふうに考えます。
三点目でございます。適用拡大に伴う働き方の変化の調査についてでございます。
新たに被保険者となる週所定労働時間が十時間以上の短時間就労者については、JILPTによる調査では、雇用保険に加入したくないと回答されている方たちもいらっしゃいます。そのため、まずは施行までに雇用保険のメリットなどを十分周知をした上で、短時間就労者において、雇用保険加入を避けるための就業調整であったり就業形態の変更などの働き方の変化が生じないか、調査を行う必要があるというふうに考えております。
続いて、資料の三ページでございます。教育訓練給付の拡充及び教育訓練休暇の給付金、この創設でございます。
三ページにお示ししました図一では、自己啓発を行った者は非正規雇用の方より正規雇用の方が多いということ、また、図二においては、企業によるリスキリングの実施が進んでいないこと、また、図三、四では、教育訓練休暇制度の導入や利用が進んでいないという現状が分かると思います。
このような状況において、労働者個人への直接支援の拡充により、労働者自身による教育訓練やリスキリングの実施、これに一定の効果はあるというふうに思います。しかしながら、雇用形態にかかわらず教育訓練のための時間を確保する意識、これを社会全体として醸成をしていくことが重要であり、まずは、労働者を雇用している企業が非正規を含む全ての労働者を対象に教育訓練の実施を推進していくことが重要であり、そのための支援が必要だというふうに考えております。
また、教育訓練給付を効果的なものとするために、受講後の賃金上昇が訓練受講の結果であることを確認する方法の検討、また、指定講座ごとの訓練の効果検証に基づく検討というものも必要だというふうに考えております。
加えて、教育訓練給付の指定講座においては、地域、類型、科目により講座数の偏りがあることから、偏りの是正に向けた実態把握や訓練効果等を踏まえた検証、検証に基づく指定講座の見直し、これが必要だというふうに考えております。
続きまして、パワーポイント四ページを御覧いただければと思います。国庫負担の見直しについてでございます。
雇用保険の財源の在り方につきましては、労使により保険料を拠出していることから、国庫負担と労使の保険料率との適切なバランスを、当事者である労使が入る労働政策審議会で十分に議論し、決定することが重要だと考えます。その際、雇用の維持、安定という雇用保険制度の趣旨も踏まえ、適正な収入と支出についても十分な検討が必要です。
そのような考え方の下、一点目の、介護休業給付に係る国庫負担を引き下げる暫定措置の二年間の延長、これにつきましては、国として介護と仕事の両立支援を推進しており、実際に受給者数、支給額は増加していることなど介護休業給付の重要性が増しているということを踏まえれば、介護休業制度全体の内容を含めた議論を行い、二年後を待つことなく、暫定措置の廃止に向け、労政審において検討すべきというふうに考えます。
二点目でございますが、雇用保険の目的を超えるような施策に関する財源の在り方でございます。
雇用保険の主たる目的は、労働者の生活及び雇用の安定を図ることであり、人への投資、リスキリング強化支援を目的とした教育訓練給付の拡充の施策、これにつきましては、本来の雇用保険の目的を超える国の政策としての側面も強く、雇用保険財源以外の一般財源、関係する省庁の予算等の実施というものも引き続き検討する必要があるのではないかと考えます。
なお、社会経済の急激な変化が雇用に悪影響を及ぼす局面における国を挙げた支援として雇用保険を活用する場合には、財政状況の把握を待たずに、労政審の判断の下、国庫からの繰入れができる仕組みの導入の検討なども必要というふうに考えます。
最後のページでございます。五ページでございます。育児休業給付の保険料率の見直しについて。
こちらにつきましては、労政審での議論の終盤において、育児休業給付の国庫負担を一年前倒しで本則に戻すことと併せまして、保険料率の引上げ、弾力的な引下げ措置の導入に関する案が示されました。
先ほど申し上げたとおり、国庫負担、保険料率については、本来、労政審において十分な議論が必要だというふうに考えておりまして、そのことは二年前の失業等給付の国庫負担の議論の際にも主張してきたところでございます。
今回、議論の時間が十分ではなかったというふうな部分につきましては、労政審でも改めて強く申し上げ、労政審の雇用保険部会の報告においても、弾力的な調整を検討する際には、保険料率が労使に影響を与えることも認識し、財政状況のみならず育児休業給付の現状や見通しに基づいた丁寧な議論を行うということを記載していただいております。このことを厚労省としては重く受け止めていただきまして、今後の審議、運営につきましては真摯に対応を行っていただければというふうに考えております。
資料に参考としてお示ししたように、厚労省の試算によれば、令和八年度に単年度赤字となり、それを受けて令和十年度から保険料率を引き上げる必要があると試算されております。
保険料率の引上げは、先ほども申し上げましたが、労働者にとって負担増となることから、実際に引上げが必要となるまでの間も含め、育児休業給付の在り方など、引き続き労政審において不断の検証と丁寧な議論が必要だというふうに考えております。
以上、法案の施行や今後に向けて、雇用のセーフティーネットである雇用保険が将来にわたり安定的に運営され、支援を必要とする労働者が適切に保護されるよう、引き続き労政審を通じて議論を尽くしていきたいというふうに考えております。
ありがとうございました。拍手
新
大
大嶋寧子#6
○大嶋参考人 おはようございます。リクルートワークス研究所の大嶋と申します。
本日は、参考人として貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
さて、私は、組織における人材マネジメント、それから個人のキャリア形成、そして労働政策の領域で研究を行ってまいりました。その中で、最近は、働く人や中小企業の視点から見たリスキリングについても研究を行ってまいりました。本日は、その立場から、就業者や離職者の学習に関わる現状ですとか課題につきまして概観しながら、改正案のうち、主に教育訓練やリスキリングに関する部分についてお話を申し上げたいと思います。
初めに、少し大きな話になりますが、日本では今後、サービス需要の大きい高齢人口が増加していく一方でサービスの担い手が縮小していく、この結果、労働需要と供給のギャップが継続的に拡大し、慢性的な労働供給制約社会になるということが予測されています。これは、経済にとっても大きなボトルネックになる問題です。これに対抗していくためには、徹底的な自動化ですとか柔軟な働き方の推進により、多様な働き手が付加価値の高い業務で働ける、そういう環境をつくっていく必要がございます。
さらに、二〇二三年以降は、生成AIを利用したサービスが急速に増えております。本格的な活用に乗り出す企業も増える中、今後、AIにより、人の仕事が大きな影響を受けていくと考えられます。
このような変化の中で、就業者や離職者が新しいスキルを身につけ、組織内で、あるいは企業内で新たな仕事に移行していく、つまり、リスキリングの重要性はますます高まっていくものと考えています。
このリスキリングですけれども、大きく、個人主導で行われるものと企業主導で行われるものに分けることができます。
個人主導のリスキリングは、勤務先の指示とは関わりなく、在職者や離職者がこれから労働市場で求められるスキルと自分のスキルのギャップを埋めるために主体的に学び、スキルを実践することを指します。一方、企業主導のリスキリングは、企業が事業課題の解決ですとかビジネスモデルの転換を行っていくために、従業員がその新たな業務プロセスや職務で価値創造できるよう、スキルの転換を促すものと言うことができます。
このうち個人主導のリスキリングには、その円滑な拡大を妨げる大きな問題が存在していると考えます。
まず、現状として、日本の就業者の多くが、自分の意思で仕事に関わる知識や技術の向上に関わる取組、すなわち自己学習を行う習慣を持っていない、そもそも学ぶ必要を認識していないという問題が挙げられます。
私が所属するリクルートワークス研究所では、全国約五万人の方々の追跡調査を行っております。そのデータを分析したところ、自己学習をする人の割合は雇用者の中で三割にとどまり、自己学習しない理由は何かということを聞くと、特に当てはまるものはないという回答が五割近くを占めるという結果になりました。そもそも、学ぶ理由がないということになります。
よく日本の就業者は忙しくて学ぶ時間がないということも言われますが、労働時間が減った人で自己学習が増えるのかといった傾向を確認したり、また、コロナ禍で通勤時間が減った方で自己学習が増えているのかということを検証いたしましても、自己学習の時間は増えていないといったことも見て取れます。つまり、仕事等で忙しいというのは、学ばない理由として、重要なものではあるけれども、最大のものと言うことはできないというふうに考えています。
日本人が自己学習をしない最大の理由は、企業主導のキャリア形成が主流であったため、自ら仕事を替えていくような思考や行動を持つことに極めて不慣れであるということがあると考えています。
戦後の日本では、就業者の多くを雇用者が占める雇用社会が形成されてまいりましたが、企業では、解雇を極力避けるような雇用慣行と引換えに、会社が強い人事権を持って異動や配属先を決定する結果、昇進を軸とするような企業主導のキャリア形成が行われてきました。そうした中、今の組織で通用するような特殊な能力の形成が重視される一方で、雇用者が特定の職務への希望を持つことや、今の仕事に直接関わらない学びをすることが必ずしも歓迎されてこなかったという事情がございます。
さらに、転職へのマイナスのイメージが社会的に存在してきたことや、企業横断的な能力評価、それから賃金評価の仕組みが発達せず、転職後に賃金が低下するといったケースも多く見られました。また、女性の良質な就業機会が限られてきたことから、男性にとって、家族の家計を支えるということが非常に重要になり、今の職場で働き続けるといった選択が合理的なものとなってきたという経緯もございます。
大企業を中心に、近年は社員のキャリア自律を重視する企業も増えてきておりますが、国際比較データを見ますと、まだまだ、キャリアは状況によって決まると考える人の割合が日本で高く、また、近年でも、就業者のうち、労働市場における自分の強みが分からないといった方が非常に多いといった状況にございます。
このように、個人のキャリアが企業主導で形成されてきたことは、日本の就業者の多くが、今後のキャリアについて相談できる人間関係を持たないといった状況にも関わっています。
このような人間関係というのは、心理的なサポートだけでなく、情報ですとか、これまでやってきたことの評価など、あらゆるサポートを人に提供するわけですけれども、こういったキャリアの挑戦を後押しする人間関係を持つ人がどれぐらいいるのかというのを国際比較で見てみますと、大体、アメリカとかデンマーク、中国、フランスだと三、四割を占めるのに対して、日本は一割しかいないといった状況も見られます。つまり、日本は、人間関係が家族や職場に閉じがちで、なかなか次のキャリア、仕事につながるような人間関係、相談先を持たないといったことも分かっているということになります。
これに対して、企業主導のリスキリングというのは、より効果を期待しやすい側面があります。
働く人のデータからは、企業が学びの機会であるとかあるいは方向性を示すことが個人の自己学習を促すということが分かっています。そうした方向の示し方としては、OJTとかオフJTのほかにも、昇進や仕事のレベルアップ、それから、学ぶべきことを示したり、学んだことを評価する場を与えるといったものがあります。
同様に、勤務先が自分に対してITやデジタルの学びを推奨していると認識している人とそうでない人で、実際にデジタルやITの学びをしている人の割合がどれだけ違うのかというのを見ていくと、大体九倍ぐらいの差があるといったこともデータから確認されていまして、その意味でも、今なお、企業が提供する学びの機会というのは個人の自己学習においても非常に大きな力を持っていると考えることができます。
以上より、私は、日本のリスキリングを推進する上では、二つの時間軸を持つことが必要だと考えています。
一つ目の時間軸は、早急に社会におけるリスキリングの総量を増やしていくためのもので、それには企業主導のリスキリングが欠かせないと考えています。
企業によるリスキリングは、これまで述べたような影響力の大きさに加えて、学んだことを実践する機会を持ちやすいですとか、あるいは、転職を前提としないので、労働者の心理的な負担が相対的には小さいといった強みがあります。
日本のリスキリング政策では、在職者支援の中心を企業から個人に移行していく必要性も指摘されているところではありますが、私個人は、社会のリスキリングの総量を上げていく上で、企業のリスキリング、企業主導のリスキリング支援についても更なる充実が欠かせないと考えています。
一方、これまで申し上げましたように、個人主導のリスキリングには大きな課題もあり、少し長い時間軸の下で、個人が主体的に学べるような機運をつくっていくというような仕掛けが必要だと考えております。
これに関して、現在国会に提出されている雇用保険法の改正案におきましては、教育訓練やリスキリング支援の充実に関わる内容が幅広く含まれており、個人が主体的に学ぶ社会の形成に向けた重要な一歩になるものと考えております。
具体的に、週所定労働時間二十時間以上から週十時間以上への適用拡大は、短時間の非正規雇用者や、そうした仕事をかけ持ちする人が、失業時の所得保障に加えて、教育訓練給付を通じて在職中からの学びの支援を得られることという効果もございまして、働き方が多様化する中で非常に重要な改革だと思っています。
また、教育訓練給付の支給対象となる教育訓練等を受講した場合に、自己都合離職者への基本手当の給付制限を解除する見直しですとか、あるいは教育訓練給付の拡充も、在職中の学びを促し、安心して再就職できる環境づくりに貢献すると考えております。
ですからこそ、制度改正後においては、その効果検証を精緻に行い、次の一歩に向けたエビデンスを取得していただきたいと存じます。
最後に、雇用保険の範囲を超える内容も含まれますが、日本でより多くの人がリスキリングの機会を得ていくための今後の課題について、三点ほどに絞って意見を申し上げたいと思います。
まず一点目は、今後の成長産業や、そこで求められるスキルなど、学ぶべき内容に関する情報提供の充実です。
日本の場合、企業が社内で職務の範囲や職務遂行に必要なスキルを十分明確にしていないことから、単純に企業の求人票を集約しても、なかなか労働者が参照できるスキルの情報とはなりにくいといった事情があります。ですので、国と例えば業界団体が連携し、実際に就業する人のスキルに関わる情報を国民に提供していくような方法があり得るかと思います。例えば建設業では、技能評価の仕組みを構築し、労働者のキャリア形成に役立てるといった取組を行っていますが、このような動きが広がることが重要だと考えています。
二点目は、多くの人が利用しやすい小さなリスキリング支援の充実です。
教育訓練給付制度は非常に重要な制度ですが、例えば、最も負担額が小さいと考えられる一般教育訓練給付についても平均支給額が三・八万円、支給率が二〇%で、ここから逆算したときに、個人の負担額は一定の大きさを占めます。
企業のリスキリングは、中小企業で働く非正規雇用者や女性、それから繰り返し作業の多い労働者で少ないということが分かっておりまして、こうした労働者の方々が手にしやすいような、小さなリスキリング支援を充実していくことが必要かと思います。例えばシンガポールでは、全国民に約五万円を上限とするリスキリングクレジットの提供を行っていますが、一定の要件を満たす人に、カウンセリングとセットで質の高いリスキリング支援を供給するようなやり方もあり得るのではないかと思います。
三点目は、簡単に申し上げますが、企業によるリスキリング機会を一層充実することです。
地方自治体や地方の経営者団体からは、今なお、DXやリスキリングに二の足を踏む企業が多いということが指摘されていますが、経営者の方々のリスキリングが遅れると、やはり従業員の方のリスキリングも遅れてしまうという問題がございます。これに関しては、既に厚生労働省の生産性向上支援訓練等の拡充が行われていますが、そういった支援にアクセスできないような中小企業へのアウトリーチの取組なども検討していく余地があるのではないかと思います。
大きな変化が見込まれるこれからの時代に労働者の雇用や職業の安定を図るためには、変化に適応していく力を高めるといったセーフティーネットの変革が必要だと考えています。
意見は以上となります。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、参考人として貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
さて、私は、組織における人材マネジメント、それから個人のキャリア形成、そして労働政策の領域で研究を行ってまいりました。その中で、最近は、働く人や中小企業の視点から見たリスキリングについても研究を行ってまいりました。本日は、その立場から、就業者や離職者の学習に関わる現状ですとか課題につきまして概観しながら、改正案のうち、主に教育訓練やリスキリングに関する部分についてお話を申し上げたいと思います。
初めに、少し大きな話になりますが、日本では今後、サービス需要の大きい高齢人口が増加していく一方でサービスの担い手が縮小していく、この結果、労働需要と供給のギャップが継続的に拡大し、慢性的な労働供給制約社会になるということが予測されています。これは、経済にとっても大きなボトルネックになる問題です。これに対抗していくためには、徹底的な自動化ですとか柔軟な働き方の推進により、多様な働き手が付加価値の高い業務で働ける、そういう環境をつくっていく必要がございます。
さらに、二〇二三年以降は、生成AIを利用したサービスが急速に増えております。本格的な活用に乗り出す企業も増える中、今後、AIにより、人の仕事が大きな影響を受けていくと考えられます。
このような変化の中で、就業者や離職者が新しいスキルを身につけ、組織内で、あるいは企業内で新たな仕事に移行していく、つまり、リスキリングの重要性はますます高まっていくものと考えています。
このリスキリングですけれども、大きく、個人主導で行われるものと企業主導で行われるものに分けることができます。
個人主導のリスキリングは、勤務先の指示とは関わりなく、在職者や離職者がこれから労働市場で求められるスキルと自分のスキルのギャップを埋めるために主体的に学び、スキルを実践することを指します。一方、企業主導のリスキリングは、企業が事業課題の解決ですとかビジネスモデルの転換を行っていくために、従業員がその新たな業務プロセスや職務で価値創造できるよう、スキルの転換を促すものと言うことができます。
このうち個人主導のリスキリングには、その円滑な拡大を妨げる大きな問題が存在していると考えます。
まず、現状として、日本の就業者の多くが、自分の意思で仕事に関わる知識や技術の向上に関わる取組、すなわち自己学習を行う習慣を持っていない、そもそも学ぶ必要を認識していないという問題が挙げられます。
私が所属するリクルートワークス研究所では、全国約五万人の方々の追跡調査を行っております。そのデータを分析したところ、自己学習をする人の割合は雇用者の中で三割にとどまり、自己学習しない理由は何かということを聞くと、特に当てはまるものはないという回答が五割近くを占めるという結果になりました。そもそも、学ぶ理由がないということになります。
よく日本の就業者は忙しくて学ぶ時間がないということも言われますが、労働時間が減った人で自己学習が増えるのかといった傾向を確認したり、また、コロナ禍で通勤時間が減った方で自己学習が増えているのかということを検証いたしましても、自己学習の時間は増えていないといったことも見て取れます。つまり、仕事等で忙しいというのは、学ばない理由として、重要なものではあるけれども、最大のものと言うことはできないというふうに考えています。
日本人が自己学習をしない最大の理由は、企業主導のキャリア形成が主流であったため、自ら仕事を替えていくような思考や行動を持つことに極めて不慣れであるということがあると考えています。
戦後の日本では、就業者の多くを雇用者が占める雇用社会が形成されてまいりましたが、企業では、解雇を極力避けるような雇用慣行と引換えに、会社が強い人事権を持って異動や配属先を決定する結果、昇進を軸とするような企業主導のキャリア形成が行われてきました。そうした中、今の組織で通用するような特殊な能力の形成が重視される一方で、雇用者が特定の職務への希望を持つことや、今の仕事に直接関わらない学びをすることが必ずしも歓迎されてこなかったという事情がございます。
さらに、転職へのマイナスのイメージが社会的に存在してきたことや、企業横断的な能力評価、それから賃金評価の仕組みが発達せず、転職後に賃金が低下するといったケースも多く見られました。また、女性の良質な就業機会が限られてきたことから、男性にとって、家族の家計を支えるということが非常に重要になり、今の職場で働き続けるといった選択が合理的なものとなってきたという経緯もございます。
大企業を中心に、近年は社員のキャリア自律を重視する企業も増えてきておりますが、国際比較データを見ますと、まだまだ、キャリアは状況によって決まると考える人の割合が日本で高く、また、近年でも、就業者のうち、労働市場における自分の強みが分からないといった方が非常に多いといった状況にございます。
このように、個人のキャリアが企業主導で形成されてきたことは、日本の就業者の多くが、今後のキャリアについて相談できる人間関係を持たないといった状況にも関わっています。
このような人間関係というのは、心理的なサポートだけでなく、情報ですとか、これまでやってきたことの評価など、あらゆるサポートを人に提供するわけですけれども、こういったキャリアの挑戦を後押しする人間関係を持つ人がどれぐらいいるのかというのを国際比較で見てみますと、大体、アメリカとかデンマーク、中国、フランスだと三、四割を占めるのに対して、日本は一割しかいないといった状況も見られます。つまり、日本は、人間関係が家族や職場に閉じがちで、なかなか次のキャリア、仕事につながるような人間関係、相談先を持たないといったことも分かっているということになります。
これに対して、企業主導のリスキリングというのは、より効果を期待しやすい側面があります。
働く人のデータからは、企業が学びの機会であるとかあるいは方向性を示すことが個人の自己学習を促すということが分かっています。そうした方向の示し方としては、OJTとかオフJTのほかにも、昇進や仕事のレベルアップ、それから、学ぶべきことを示したり、学んだことを評価する場を与えるといったものがあります。
同様に、勤務先が自分に対してITやデジタルの学びを推奨していると認識している人とそうでない人で、実際にデジタルやITの学びをしている人の割合がどれだけ違うのかというのを見ていくと、大体九倍ぐらいの差があるといったこともデータから確認されていまして、その意味でも、今なお、企業が提供する学びの機会というのは個人の自己学習においても非常に大きな力を持っていると考えることができます。
以上より、私は、日本のリスキリングを推進する上では、二つの時間軸を持つことが必要だと考えています。
一つ目の時間軸は、早急に社会におけるリスキリングの総量を増やしていくためのもので、それには企業主導のリスキリングが欠かせないと考えています。
企業によるリスキリングは、これまで述べたような影響力の大きさに加えて、学んだことを実践する機会を持ちやすいですとか、あるいは、転職を前提としないので、労働者の心理的な負担が相対的には小さいといった強みがあります。
日本のリスキリング政策では、在職者支援の中心を企業から個人に移行していく必要性も指摘されているところではありますが、私個人は、社会のリスキリングの総量を上げていく上で、企業のリスキリング、企業主導のリスキリング支援についても更なる充実が欠かせないと考えています。
一方、これまで申し上げましたように、個人主導のリスキリングには大きな課題もあり、少し長い時間軸の下で、個人が主体的に学べるような機運をつくっていくというような仕掛けが必要だと考えております。
これに関して、現在国会に提出されている雇用保険法の改正案におきましては、教育訓練やリスキリング支援の充実に関わる内容が幅広く含まれており、個人が主体的に学ぶ社会の形成に向けた重要な一歩になるものと考えております。
具体的に、週所定労働時間二十時間以上から週十時間以上への適用拡大は、短時間の非正規雇用者や、そうした仕事をかけ持ちする人が、失業時の所得保障に加えて、教育訓練給付を通じて在職中からの学びの支援を得られることという効果もございまして、働き方が多様化する中で非常に重要な改革だと思っています。
また、教育訓練給付の支給対象となる教育訓練等を受講した場合に、自己都合離職者への基本手当の給付制限を解除する見直しですとか、あるいは教育訓練給付の拡充も、在職中の学びを促し、安心して再就職できる環境づくりに貢献すると考えております。
ですからこそ、制度改正後においては、その効果検証を精緻に行い、次の一歩に向けたエビデンスを取得していただきたいと存じます。
最後に、雇用保険の範囲を超える内容も含まれますが、日本でより多くの人がリスキリングの機会を得ていくための今後の課題について、三点ほどに絞って意見を申し上げたいと思います。
まず一点目は、今後の成長産業や、そこで求められるスキルなど、学ぶべき内容に関する情報提供の充実です。
日本の場合、企業が社内で職務の範囲や職務遂行に必要なスキルを十分明確にしていないことから、単純に企業の求人票を集約しても、なかなか労働者が参照できるスキルの情報とはなりにくいといった事情があります。ですので、国と例えば業界団体が連携し、実際に就業する人のスキルに関わる情報を国民に提供していくような方法があり得るかと思います。例えば建設業では、技能評価の仕組みを構築し、労働者のキャリア形成に役立てるといった取組を行っていますが、このような動きが広がることが重要だと考えています。
二点目は、多くの人が利用しやすい小さなリスキリング支援の充実です。
教育訓練給付制度は非常に重要な制度ですが、例えば、最も負担額が小さいと考えられる一般教育訓練給付についても平均支給額が三・八万円、支給率が二〇%で、ここから逆算したときに、個人の負担額は一定の大きさを占めます。
企業のリスキリングは、中小企業で働く非正規雇用者や女性、それから繰り返し作業の多い労働者で少ないということが分かっておりまして、こうした労働者の方々が手にしやすいような、小さなリスキリング支援を充実していくことが必要かと思います。例えばシンガポールでは、全国民に約五万円を上限とするリスキリングクレジットの提供を行っていますが、一定の要件を満たす人に、カウンセリングとセットで質の高いリスキリング支援を供給するようなやり方もあり得るのではないかと思います。
三点目は、簡単に申し上げますが、企業によるリスキリング機会を一層充実することです。
地方自治体や地方の経営者団体からは、今なお、DXやリスキリングに二の足を踏む企業が多いということが指摘されていますが、経営者の方々のリスキリングが遅れると、やはり従業員の方のリスキリングも遅れてしまうという問題がございます。これに関しては、既に厚生労働省の生産性向上支援訓練等の拡充が行われていますが、そういった支援にアクセスできないような中小企業へのアウトリーチの取組なども検討していく余地があるのではないかと思います。
大きな変化が見込まれるこれからの時代に労働者の雇用や職業の安定を図るためには、変化に適応していく力を高めるといったセーフティーネットの変革が必要だと考えています。
意見は以上となります。どうもありがとうございました。拍手
新
平
平田充#8
○平田参考人 経団連の平田でございます。
本日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する経団連の考え方を御説明する機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
改正案の内容は多岐にわたるというふうに理解をしております。本日、私からは、教育訓練やリスキリング支援の充実、基本手当の給付制限期間の見直し、それから雇用保険の適用拡大、育児休業給付の財政基盤強化の四点に絞って、改正法案に賛成の立場から考え方を述べたいと存じます。その上で、雇用保険制度の財政運営の在り方についても申し上げたいというふうに思っております。
第一に、教育訓練やリスキリング支援の充実について申し上げます。
御案内のとおり、政府は、三位一体の労働市場改革の柱の一つとして、国を挙げてリスキリングによる能力向上支援を推進し、その一環として、在職者個人の学び直しに対する直接支援の拡充を目指しています。こうした観点も踏まえ、改正案では、専門実践教育訓練給付と特定一般教育訓練給付の給付率の引上げが盛り込まれたというふうに理解をしております。
教育訓練給付の充実につきましては、在職者の主体的な能力開発、スキルアップを支援する給付として、失業の予防ですとか生活の安定のみならず、離職者の再就職支援にもつながります。これは、経団連が主張している労働移動推進型セーフティーネットの一端を担うものというふうに評価をしております。
加えて、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付とそれから融資制度の創設は、いずれも、経済的な理由によって教育訓練の受講をためらう労働者を支援する仕組みであるというふうに承知しております。とりわけ、新しい給付につきましては、教育訓練給付の一つと位置づけた上で一般財源を投入するということは、政府として、人への投資にしっかりと取り組む姿勢を示すものとして高く評価しております。
第二に、基本手当の給付制限期間の見直しについて申し上げます。
現状、安易な離職を防止する観点から、基本手当の受給に当たって自己都合離職者に二か月間の給付制限が設けられているところ、これが転職を阻害をしているとの指摘も踏まえて、今般の改正案において、給付制限期間を原則一か月に短縮するほか、離職期間中や離職日前一年以内に公共職業訓練などを自ら受けた場合には給付制限が解除されます。これは、円滑な労働移動を推進し、日本全体の労働生産性を向上していくという観点から評価できる見直しであるというふうに考えております。
第三に、雇用保険の適用拡大について申し上げます。
適用労働者の要件見直しが最後に行われた平成二十二年以降、働き方ですとか雇用形態は多様化しているというふうに理解をしております。こうした中、働き方に中立的な制度とし、かつ、セーフティーネットを拡充するという今回の改正の内容の意義は大きいと受け止めております。本改正は令和十年十月の施行と承知をしております。それまでの間、事業主等への周知を丁寧に進めていただくようにお願いしたいというふうに思います。
第四に、育児休業給付の財政基盤強化について申し上げたいと思います。
育児休業給付につきましては、少子化対策の要請や男性の育児休業取得促進という観点から累次の拡充が行われてきており、労働者の育児休業の取得や雇用継続に一定の役割を果たしてきたというふうに認識をしております。他方、育児休業の取得者数は、ここ十年で男女共に増加し、とりわけ男性で大幅に増加し、今後更なる増加が見込まれるということから、財政基盤の強化が喫緊の課題となっています。こうした観点から、暫定的に引き下げられている国庫負担割合八十分の一を、二〇二四年度から本則、八分の一に一年前倒しで復帰することを高く評価したいというふうに思っております。
最後に、雇用保険全体の財政運営について申し上げたいというふうに思います。
コロナ禍における雇調金等の大幅な活用によって、雇用保険二事業ですけれども、二・九兆円に上る借入金を抱えていて、雇用保険二事業に係る財政は危機的な状況にあるというふうに理解をしております。二年前の改正法の附則において、令和六年度までを目途に検討を加えるとされております借入金の積立金への返済の在り方の議論を含めて、財政再建に向けた道筋を早急に明確化することが不可欠だというふうに考えております。
その際、雇調金の特例措置が新型コロナウイルス感染症の拡大という有事の際に失業予防に一定の機能を果たしたということを踏まえて、その費用の全てを全額事業主負担の雇用保険二事業だけで賄うことが適切なのかどうかという観点も踏まえながら、返済の在り方を議論するべきだというふうに考えております。
私からは以上になります。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する経団連の考え方を御説明する機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
改正案の内容は多岐にわたるというふうに理解をしております。本日、私からは、教育訓練やリスキリング支援の充実、基本手当の給付制限期間の見直し、それから雇用保険の適用拡大、育児休業給付の財政基盤強化の四点に絞って、改正法案に賛成の立場から考え方を述べたいと存じます。その上で、雇用保険制度の財政運営の在り方についても申し上げたいというふうに思っております。
第一に、教育訓練やリスキリング支援の充実について申し上げます。
御案内のとおり、政府は、三位一体の労働市場改革の柱の一つとして、国を挙げてリスキリングによる能力向上支援を推進し、その一環として、在職者個人の学び直しに対する直接支援の拡充を目指しています。こうした観点も踏まえ、改正案では、専門実践教育訓練給付と特定一般教育訓練給付の給付率の引上げが盛り込まれたというふうに理解をしております。
教育訓練給付の充実につきましては、在職者の主体的な能力開発、スキルアップを支援する給付として、失業の予防ですとか生活の安定のみならず、離職者の再就職支援にもつながります。これは、経団連が主張している労働移動推進型セーフティーネットの一端を担うものというふうに評価をしております。
加えて、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付とそれから融資制度の創設は、いずれも、経済的な理由によって教育訓練の受講をためらう労働者を支援する仕組みであるというふうに承知しております。とりわけ、新しい給付につきましては、教育訓練給付の一つと位置づけた上で一般財源を投入するということは、政府として、人への投資にしっかりと取り組む姿勢を示すものとして高く評価しております。
第二に、基本手当の給付制限期間の見直しについて申し上げます。
現状、安易な離職を防止する観点から、基本手当の受給に当たって自己都合離職者に二か月間の給付制限が設けられているところ、これが転職を阻害をしているとの指摘も踏まえて、今般の改正案において、給付制限期間を原則一か月に短縮するほか、離職期間中や離職日前一年以内に公共職業訓練などを自ら受けた場合には給付制限が解除されます。これは、円滑な労働移動を推進し、日本全体の労働生産性を向上していくという観点から評価できる見直しであるというふうに考えております。
第三に、雇用保険の適用拡大について申し上げます。
適用労働者の要件見直しが最後に行われた平成二十二年以降、働き方ですとか雇用形態は多様化しているというふうに理解をしております。こうした中、働き方に中立的な制度とし、かつ、セーフティーネットを拡充するという今回の改正の内容の意義は大きいと受け止めております。本改正は令和十年十月の施行と承知をしております。それまでの間、事業主等への周知を丁寧に進めていただくようにお願いしたいというふうに思います。
第四に、育児休業給付の財政基盤強化について申し上げたいと思います。
育児休業給付につきましては、少子化対策の要請や男性の育児休業取得促進という観点から累次の拡充が行われてきており、労働者の育児休業の取得や雇用継続に一定の役割を果たしてきたというふうに認識をしております。他方、育児休業の取得者数は、ここ十年で男女共に増加し、とりわけ男性で大幅に増加し、今後更なる増加が見込まれるということから、財政基盤の強化が喫緊の課題となっています。こうした観点から、暫定的に引き下げられている国庫負担割合八十分の一を、二〇二四年度から本則、八分の一に一年前倒しで復帰することを高く評価したいというふうに思っております。
最後に、雇用保険全体の財政運営について申し上げたいというふうに思います。
コロナ禍における雇調金等の大幅な活用によって、雇用保険二事業ですけれども、二・九兆円に上る借入金を抱えていて、雇用保険二事業に係る財政は危機的な状況にあるというふうに理解をしております。二年前の改正法の附則において、令和六年度までを目途に検討を加えるとされております借入金の積立金への返済の在り方の議論を含めて、財政再建に向けた道筋を早急に明確化することが不可欠だというふうに考えております。
その際、雇調金の特例措置が新型コロナウイルス感染症の拡大という有事の際に失業予防に一定の機能を果たしたということを踏まえて、その費用の全てを全額事業主負担の雇用保険二事業だけで賄うことが適切なのかどうかという観点も踏まえながら、返済の在り方を議論するべきだというふうに考えております。
私からは以上になります。どうもありがとうございました。拍手
新
秋
秋山正臣#10
○秋山参考人 全国労働組合総連合、略称全労連で副議長の秋山と申します。
本日は、発言の機会をいただき、ありがとうございます。労働者の立場から、雇用保険法の一部を改正する法案についての意見を述べさせていただきます。
初めに、厚生労働委員会は、国民生活に深く関わる政策を所管しており、様々な課題が山積していると思います。こうした問題に日々向き合いながら、国民生活の向上に向け、委員の皆さんが昼夜をたがわず御奮闘いただいていることに心より感謝を申し上げたいと思います。
私からは、問題意識を三点に絞って申し上げたいと思います。
第一に、雇用保険給付の財源と給付に関してであります。
雇用保険制度の本来的な役割を考えるのであれば、労使負担だけでなく、国庫負担は欠かせません。行うことが基本です。資料の方に、二ページに入れましたが、雇用保険失業給付の国庫負担は僅か二・五%にすぎません。育児休業給付は、八分の一ということで、一二・五%です。
先般、財務省が国民負担率に関する推移を公表しましたが、資料三ページに入れているとおり、社会保険負担の比率が二〇〇〇年代に入り高まっています。社会保険料や税負担の増大が実質賃金の低下に大きく影響してきました。特に中高年層は、昨年と今年の春闘でベア引上げが言われていますが、賃金引上げが余りなされず、負担ばかりが増大しているというふうに思います。
三月二十七日に厚生労働省が二〇二三年賃金構造統計調査の結果を公表していますが、資料のページ四に入れました第四表、企業規模、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び企業規模間格差によりますと、大企業の三十五歳から五十四歳のところは前年よりも賃金が減少しています。
今年の春闘で賃金が大幅に引き上げられたということは報道もされていますが、中高年層の賃金が上がるのか、疑問を持ちたくなります。
これらのことを考えると、労働者の実質賃金低下をもたらす保険料の引上げは避けるべきだというふうに思います。五ページに厚生労働省の資料も入れておきましたが、国庫負担の減少によって給付の抑制が進められ、受給者も絞り込まれてきたと思います。
特に、失業給付の基本手当については、現行の給付水準が低過ぎると思います。上限額が低いだけでなく、改正法案では下限を引き下げることになっています。育児休業給付は、給与の八〇%を給付するという実質賃金を保障する方向であるにもかかわらず、失業した場合には所得代替率が現在の水準を更に下回るのではないかと思います。こうした給付の抑制をやめるべきだと考えます。
全労連は、全国一律の最低賃金制度を確立するよう求めています。同時に、直ちに千五百円を実現させるべきと考えていますが、下限の引下げにより更なる低賃金労働者を再生産するようなことはすべきではないということを申し上げたいと思います。国庫負担の拡充で給付の拡充を図っていただきたいと思います。
二つ目に申し上げたいのは、雇用の流動化政策に関することであります。
最近のテレビを見ていますと、職業紹介会社や人材派遣業のコマーシャルを見ることが多いと感じております。
株式会社ビデオリサーチが運営されているVRダイジェストというページに、今年一月の広告主出稿ランキングというものがありました。資料の六ページに入れましたが、一位はリクルートさん、二位は日本マクドナルド、三位は興和といった、名立たる企業の名前が並んでいます。二十位にはリクルートスタッフィングの名前もあります。人材紹介、派遣業の最大手であるリクルートは、テレビ広告でも圧倒的な量を出されています。リクルート以外のCMもよく拝見しますが。
七ページを御覧いただくと、有料職業紹介は拡大をし続けています。手数料の総額は、二〇二二年には六千三百十五億円とコロナ前の水準となっており、今後ますます増えていくと思われます。
転職に当たって情報量が多いにこしたことはありませんが、転職するなどほとんど考えられなかった私の若い頃とは大きな違いを感じます。八ページに、厚生労働省の雇用動向調査から入職者の経路をグラフとして入れておきましたが、職業安定所の利用が減少し、広告の割合が高まっています。
中小零細企業にとって、人員を確保することは容易ではありません。縁故採用が難しくなっていることもあり、人材紹介企業や広告を利用することが多くなっています。そのため、経費が大きな負担となっています。人材紹介企業を通じて採用したが短期間で退職してしまい、経費ばかりがかかっているという話も聞こえてきます。働く者が確保できなければ成り立たない社会福祉の分野では大変であります。
そもそも、労働者供給事業は中間搾取であり、禁止をされていましたが、一九八五年の労働者派遣事業法の施行以降、派遣労働者など不安定な雇用労働者が増加してきました。その後、職業紹介事業の規制緩和、インターネットの発展による情報提供業者の増加など、転職を仲介する手段は多様化してまいりました。
転職に対する壁を低くしてきたことは悪いことだとは思いませんが、プラス面よりも負の側面が一段と大きくなっているのではないでしょうか。転職を繰り返す人が増えることによって、日本全体の技術力の低下につながっていないだろうか、日本が世界に誇ってきた技術力は、現場で培われてきたものだというふうにも思います。雇用の流動化政策は、CMに見られるような転職をあおる風潮を起こしているように思えてなりません。
労働組合に加入している組合員は、その仕事が好きで続けていきたいと考えています。だからこそ、私もそうでありましたけれども、働きやすい職場にしたいと考え、組合に加入して、環境改善について経営者と交渉を行います。
また、雇用政策でありますが、無料の職業紹介事業や雇用保険業務を国の出先機関である公共職業安定所が直接行っているからこそ成り立ち得るものだというふうに思います。地域経済や働く者の雇用安定のためにも、公共職業安定所の役割を再確認していただきたいというふうに思っております。
三つ目に申し上げたいのは、行政体制の拡充についてであります。
雇用保険の適用拡大という今回の改正は、セーフティーネットの拡充として受け止めています。その上で、最も強調したいのは、実務を担う人員体制の強化が不可欠であるということです。
雇用保険被保険者の手続として、資格取得届が月平均六十万件強、離入職の多い四月から五月には百万件の手続が行われています。ページ九に資料を入れておきましたので、御参照ください。今日も全国各地で手続を待っている長蛇の列ができていると思います。
今回の適用拡大では、対象となる労働者が五百万人とも言われています。大幅な人員増がなければ、公共職業安定所、ハローワークの雇用保険窓口はパンクしかねません。
電子申請の活用も考えておられると思いますが、電子申請を活用できるのは一般的に規模の大きな事業所であります。それだけでなく、電子申請であっても、今回の適用拡大によって労働時間に関することを詳細に把握する必要があります。むしろ窓口での手続の方が効果的、効率的ではないかとも思われます。いずれにしても、膨大な業務量をこなす人員が必要であります。
新規に適用される労働者が増えれば、受給者も増加します。しかも、短時間パート労働者ですから、ダブルワークが容易に想定されます。給付の窓口では、失業状態の確認がこれまで以上に慎重にならざるを得ません。
さらに、雇用保険二事業の対象にもなりますが、最も影響が大きいと思われるのが各種助成金の対象者になることであります。特に、新規雇入れを対象とする助成金の種類が多く、今回の適用拡大で対象者が急増することも見込まれます。
助成金の目的や内容を十分に理解して、適切に受給してもらう必要がありますが、事業所に対しての事前説明や申請時の確認、実際の審査、支給に至るまで様々な対応が必要であります。しかも、公共職業安定所による紹介を要件としている助成金も多く、職業相談の窓口でも、求職者に対して要件を満たしているかどうかの確認が必要となります。同時に、紹介先事業所に対して助成金の対象者であることを説明することも必要になります。
資料の十ページと十一ページに人員数と人口の関係を示すグラフを入れましたが、公共職業安定所の人員数を拡充していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
以上、三点にわたり申し上げましたが、短時間労働者や複数就業者などをカバーするなど、雇用保険の適用範囲を広げていることについては歓迎をしますが、依然として、フリーランスやギグワーカーといった労働者性の強い人々の問題が残っています。また、個人経営者と同様な状況に近い中小零細企業の経営者も保護の対象として考える必要があるのではないかとも思います。ただし、雇用保険という制度の限界も見ておく必要があることは間違いありません。
いずれにしましても、社会の変化に対し、政策が迅速に推進できるよう、行政の体制拡充を重ねてお願い申し上げ、陳述を終わりといたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、発言の機会をいただき、ありがとうございます。労働者の立場から、雇用保険法の一部を改正する法案についての意見を述べさせていただきます。
初めに、厚生労働委員会は、国民生活に深く関わる政策を所管しており、様々な課題が山積していると思います。こうした問題に日々向き合いながら、国民生活の向上に向け、委員の皆さんが昼夜をたがわず御奮闘いただいていることに心より感謝を申し上げたいと思います。
私からは、問題意識を三点に絞って申し上げたいと思います。
第一に、雇用保険給付の財源と給付に関してであります。
雇用保険制度の本来的な役割を考えるのであれば、労使負担だけでなく、国庫負担は欠かせません。行うことが基本です。資料の方に、二ページに入れましたが、雇用保険失業給付の国庫負担は僅か二・五%にすぎません。育児休業給付は、八分の一ということで、一二・五%です。
先般、財務省が国民負担率に関する推移を公表しましたが、資料三ページに入れているとおり、社会保険負担の比率が二〇〇〇年代に入り高まっています。社会保険料や税負担の増大が実質賃金の低下に大きく影響してきました。特に中高年層は、昨年と今年の春闘でベア引上げが言われていますが、賃金引上げが余りなされず、負担ばかりが増大しているというふうに思います。
三月二十七日に厚生労働省が二〇二三年賃金構造統計調査の結果を公表していますが、資料のページ四に入れました第四表、企業規模、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び企業規模間格差によりますと、大企業の三十五歳から五十四歳のところは前年よりも賃金が減少しています。
今年の春闘で賃金が大幅に引き上げられたということは報道もされていますが、中高年層の賃金が上がるのか、疑問を持ちたくなります。
これらのことを考えると、労働者の実質賃金低下をもたらす保険料の引上げは避けるべきだというふうに思います。五ページに厚生労働省の資料も入れておきましたが、国庫負担の減少によって給付の抑制が進められ、受給者も絞り込まれてきたと思います。
特に、失業給付の基本手当については、現行の給付水準が低過ぎると思います。上限額が低いだけでなく、改正法案では下限を引き下げることになっています。育児休業給付は、給与の八〇%を給付するという実質賃金を保障する方向であるにもかかわらず、失業した場合には所得代替率が現在の水準を更に下回るのではないかと思います。こうした給付の抑制をやめるべきだと考えます。
全労連は、全国一律の最低賃金制度を確立するよう求めています。同時に、直ちに千五百円を実現させるべきと考えていますが、下限の引下げにより更なる低賃金労働者を再生産するようなことはすべきではないということを申し上げたいと思います。国庫負担の拡充で給付の拡充を図っていただきたいと思います。
二つ目に申し上げたいのは、雇用の流動化政策に関することであります。
最近のテレビを見ていますと、職業紹介会社や人材派遣業のコマーシャルを見ることが多いと感じております。
株式会社ビデオリサーチが運営されているVRダイジェストというページに、今年一月の広告主出稿ランキングというものがありました。資料の六ページに入れましたが、一位はリクルートさん、二位は日本マクドナルド、三位は興和といった、名立たる企業の名前が並んでいます。二十位にはリクルートスタッフィングの名前もあります。人材紹介、派遣業の最大手であるリクルートは、テレビ広告でも圧倒的な量を出されています。リクルート以外のCMもよく拝見しますが。
七ページを御覧いただくと、有料職業紹介は拡大をし続けています。手数料の総額は、二〇二二年には六千三百十五億円とコロナ前の水準となっており、今後ますます増えていくと思われます。
転職に当たって情報量が多いにこしたことはありませんが、転職するなどほとんど考えられなかった私の若い頃とは大きな違いを感じます。八ページに、厚生労働省の雇用動向調査から入職者の経路をグラフとして入れておきましたが、職業安定所の利用が減少し、広告の割合が高まっています。
中小零細企業にとって、人員を確保することは容易ではありません。縁故採用が難しくなっていることもあり、人材紹介企業や広告を利用することが多くなっています。そのため、経費が大きな負担となっています。人材紹介企業を通じて採用したが短期間で退職してしまい、経費ばかりがかかっているという話も聞こえてきます。働く者が確保できなければ成り立たない社会福祉の分野では大変であります。
そもそも、労働者供給事業は中間搾取であり、禁止をされていましたが、一九八五年の労働者派遣事業法の施行以降、派遣労働者など不安定な雇用労働者が増加してきました。その後、職業紹介事業の規制緩和、インターネットの発展による情報提供業者の増加など、転職を仲介する手段は多様化してまいりました。
転職に対する壁を低くしてきたことは悪いことだとは思いませんが、プラス面よりも負の側面が一段と大きくなっているのではないでしょうか。転職を繰り返す人が増えることによって、日本全体の技術力の低下につながっていないだろうか、日本が世界に誇ってきた技術力は、現場で培われてきたものだというふうにも思います。雇用の流動化政策は、CMに見られるような転職をあおる風潮を起こしているように思えてなりません。
労働組合に加入している組合員は、その仕事が好きで続けていきたいと考えています。だからこそ、私もそうでありましたけれども、働きやすい職場にしたいと考え、組合に加入して、環境改善について経営者と交渉を行います。
また、雇用政策でありますが、無料の職業紹介事業や雇用保険業務を国の出先機関である公共職業安定所が直接行っているからこそ成り立ち得るものだというふうに思います。地域経済や働く者の雇用安定のためにも、公共職業安定所の役割を再確認していただきたいというふうに思っております。
三つ目に申し上げたいのは、行政体制の拡充についてであります。
雇用保険の適用拡大という今回の改正は、セーフティーネットの拡充として受け止めています。その上で、最も強調したいのは、実務を担う人員体制の強化が不可欠であるということです。
雇用保険被保険者の手続として、資格取得届が月平均六十万件強、離入職の多い四月から五月には百万件の手続が行われています。ページ九に資料を入れておきましたので、御参照ください。今日も全国各地で手続を待っている長蛇の列ができていると思います。
今回の適用拡大では、対象となる労働者が五百万人とも言われています。大幅な人員増がなければ、公共職業安定所、ハローワークの雇用保険窓口はパンクしかねません。
電子申請の活用も考えておられると思いますが、電子申請を活用できるのは一般的に規模の大きな事業所であります。それだけでなく、電子申請であっても、今回の適用拡大によって労働時間に関することを詳細に把握する必要があります。むしろ窓口での手続の方が効果的、効率的ではないかとも思われます。いずれにしても、膨大な業務量をこなす人員が必要であります。
新規に適用される労働者が増えれば、受給者も増加します。しかも、短時間パート労働者ですから、ダブルワークが容易に想定されます。給付の窓口では、失業状態の確認がこれまで以上に慎重にならざるを得ません。
さらに、雇用保険二事業の対象にもなりますが、最も影響が大きいと思われるのが各種助成金の対象者になることであります。特に、新規雇入れを対象とする助成金の種類が多く、今回の適用拡大で対象者が急増することも見込まれます。
助成金の目的や内容を十分に理解して、適切に受給してもらう必要がありますが、事業所に対しての事前説明や申請時の確認、実際の審査、支給に至るまで様々な対応が必要であります。しかも、公共職業安定所による紹介を要件としている助成金も多く、職業相談の窓口でも、求職者に対して要件を満たしているかどうかの確認が必要となります。同時に、紹介先事業所に対して助成金の対象者であることを説明することも必要になります。
資料の十ページと十一ページに人員数と人口の関係を示すグラフを入れましたが、公共職業安定所の人員数を拡充していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
以上、三点にわたり申し上げましたが、短時間労働者や複数就業者などをカバーするなど、雇用保険の適用範囲を広げていることについては歓迎をしますが、依然として、フリーランスやギグワーカーといった労働者性の強い人々の問題が残っています。また、個人経営者と同様な状況に近い中小零細企業の経営者も保護の対象として考える必要があるのではないかとも思います。ただし、雇用保険という制度の限界も見ておく必要があることは間違いありません。
いずれにしましても、社会の変化に対し、政策が迅速に推進できるよう、行政の体制拡充を重ねてお願い申し上げ、陳述を終わりといたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
新
新
三
三谷英弘#13
○三谷委員 神奈川八区、衆議院議員の三谷英弘です。
今日は、本当にお忙しい中、参考人としてお越しいただきまして、様々な見地からの御意見をいただきましたこと、まずは心から御礼を申し上げたいと思います。
今日のお話の中にもありましたけれども、今、労働市場、本当に人手不足が深刻になる中で、少子高齢化の中でどうやってしっかりと働き手の方々を確保するかというのがどの企業においても非常に重要になってきているという中で、今、三位一体の労働市場改革というものをしっかりと進めていくという中で、リスキリングによる能力向上支援ですとか、それから成長分野への労働移動の円滑化、そういったことを後押しをしていかなければいけないという状況であるということは、我々としても十分理解をしているところでございます。
そういった中で、雇用保険法によって何を守るのかというところが、少しずつその意義が変化をしてきていると、最初に守島参考人がおっしゃったそういった意義が変化をしてきていること、今この雇用保険で何を守ろうとしているのか、改めて御説明いただきたいと思います。セーフティーネットとしてなのか、リスキリングなのか、そういったところを守島参考人、お願いします。
この発言だけを見る →今日は、本当にお忙しい中、参考人としてお越しいただきまして、様々な見地からの御意見をいただきましたこと、まずは心から御礼を申し上げたいと思います。
今日のお話の中にもありましたけれども、今、労働市場、本当に人手不足が深刻になる中で、少子高齢化の中でどうやってしっかりと働き手の方々を確保するかというのがどの企業においても非常に重要になってきているという中で、今、三位一体の労働市場改革というものをしっかりと進めていくという中で、リスキリングによる能力向上支援ですとか、それから成長分野への労働移動の円滑化、そういったことを後押しをしていかなければいけないという状況であるということは、我々としても十分理解をしているところでございます。
そういった中で、雇用保険法によって何を守るのかというところが、少しずつその意義が変化をしてきていると、最初に守島参考人がおっしゃったそういった意義が変化をしてきていること、今この雇用保険で何を守ろうとしているのか、改めて御説明いただきたいと思います。セーフティーネットとしてなのか、リスキリングなのか、そういったところを守島参考人、お願いします。
守
守島基博#14
○守島参考人 御質問ありがとうございます。
もちろん、雇用保険ですから、第一義的には、失業状態に陥ったときにその生活の基盤を支えるというのがあると思います。ただ、先ほども申し上げたように、今、生活の基盤を支えるといったときに、やはり、一つの仕事を、仮に雇用契約が終わったとしても次の仕事に順調に移っていくという、そこの部分の支援というのもこれからどんどん重要になるのではないかなと思っています。もちろん、雇用保険だけでできることではないんですけれども、雇用保険というやり方も一つの重要なやり方であろうというふうに思っています。
以上です。
この発言だけを見る →もちろん、雇用保険ですから、第一義的には、失業状態に陥ったときにその生活の基盤を支えるというのがあると思います。ただ、先ほども申し上げたように、今、生活の基盤を支えるといったときに、やはり、一つの仕事を、仮に雇用契約が終わったとしても次の仕事に順調に移っていくという、そこの部分の支援というのもこれからどんどん重要になるのではないかなと思っています。もちろん、雇用保険だけでできることではないんですけれども、雇用保険というやり方も一つの重要なやり方であろうというふうに思っています。
以上です。
三
三谷英弘#15
○三谷委員 ありがとうございます。
そういった中で、今回、雇用保険の適用対象が拡大をされるということになります。いろいろな働き方があるよということで、できるだけ適用される範囲を広げていこうという方向性については、各参考人の先生方は賛成の方向だと意見をいただきました。
その中で、冨高参考人にお伺いをしたいんですけれども、いろいろな働き方があるという中で、幾つかの、複数の短時間の仕事を重ねられている方もいれば、本当に短時間の仕事だけをしている方もいらっしゃると思います。例えば、育児中の方で、なかなか子育てで手は離せないけれども空いた時間だけ少し働きたいという方々、そういった方々が、今まで雇用保険の適用対象ではなかったけれども、それが今回の改正によって適用対象になるということで、労働者の側あるいは企業の側、双方にとって負担だから、ちょっとそういう方の採用はやめようよみたいな感じになるのは何とかして避けたいんですね。
とすれば、どういうメリットがあるよということを特に被用者、労働者の方にお伝えをするべきなのか。特に、十時間ちょっとぐらいしか働いていない方にどういうメリットがあるかについて、もう少し分かりやすく教えていただければと思います。
この発言だけを見る →そういった中で、今回、雇用保険の適用対象が拡大をされるということになります。いろいろな働き方があるよということで、できるだけ適用される範囲を広げていこうという方向性については、各参考人の先生方は賛成の方向だと意見をいただきました。
その中で、冨高参考人にお伺いをしたいんですけれども、いろいろな働き方があるという中で、幾つかの、複数の短時間の仕事を重ねられている方もいれば、本当に短時間の仕事だけをしている方もいらっしゃると思います。例えば、育児中の方で、なかなか子育てで手は離せないけれども空いた時間だけ少し働きたいという方々、そういった方々が、今まで雇用保険の適用対象ではなかったけれども、それが今回の改正によって適用対象になるということで、労働者の側あるいは企業の側、双方にとって負担だから、ちょっとそういう方の採用はやめようよみたいな感じになるのは何とかして避けたいんですね。
とすれば、どういうメリットがあるよということを特に被用者、労働者の方にお伝えをするべきなのか。特に、十時間ちょっとぐらいしか働いていない方にどういうメリットがあるかについて、もう少し分かりやすく教えていただければと思います。
冨
冨高裕子#16
○冨高参考人 ありがとうございます。
今回、御指摘のように、十時間以上に拡大することによって、労使共に、雇用保険料を負担したくないというようなことも含めて、少し懸念される方がいらっしゃることは想定はされます。
しかし、労働者にとっては、単純に失業手当だけではなくて、教育訓練であったり育児休業などの利用というのも可能になります。とりわけ教育訓練の部分というのは、その部分の給付があるというのは非常に重要だというふうに考えておりますので、そういった点をアピールするということもあるでしょうし、また、コロナ禍においては雇用調整助成金の対象にならなかった労働者の方たちも今回ある意味その対象になるということでございますので、これは企業側にとっても意味のあることだというふうに考えているところでございまして、そういったメリットになる部分をしっかり伝えていくことが重要だというふうに考えております。
以上です。
この発言だけを見る →今回、御指摘のように、十時間以上に拡大することによって、労使共に、雇用保険料を負担したくないというようなことも含めて、少し懸念される方がいらっしゃることは想定はされます。
しかし、労働者にとっては、単純に失業手当だけではなくて、教育訓練であったり育児休業などの利用というのも可能になります。とりわけ教育訓練の部分というのは、その部分の給付があるというのは非常に重要だというふうに考えておりますので、そういった点をアピールするということもあるでしょうし、また、コロナ禍においては雇用調整助成金の対象にならなかった労働者の方たちも今回ある意味その対象になるということでございますので、これは企業側にとっても意味のあることだというふうに考えているところでございまして、そういったメリットになる部分をしっかり伝えていくことが重要だというふうに考えております。
以上です。
三
三谷英弘#17
○三谷委員 ありがとうございました。
そういったメリットをしっかりと伝えていくという努力が必要になるのかなというふうに思っておりますので、ありがとうございます。
それから、もう少しリスキリングについてお伺いをしたいんですけれども、これは守島参考人と大嶋参考人にお伺いをしたいと思います。
リスキリングをするということが極めて労働者にとっても大事ということは改めて言うまでもないことだと思いますけれども、リスキリングをすることで企業とか事業とか採用している側、雇用している側にどういったメリットがあるのかということについて、もう少し詳しく御説明をいただけますでしょうか。
この発言だけを見る →そういったメリットをしっかりと伝えていくという努力が必要になるのかなというふうに思っておりますので、ありがとうございます。
それから、もう少しリスキリングについてお伺いをしたいんですけれども、これは守島参考人と大嶋参考人にお伺いをしたいと思います。
リスキリングをするということが極めて労働者にとっても大事ということは改めて言うまでもないことだと思いますけれども、リスキリングをすることで企業とか事業とか採用している側、雇用している側にどういったメリットがあるのかということについて、もう少し詳しく御説明をいただけますでしょうか。
守
守島基博#18
○守島参考人 ありがとうございます。
先ほども申し上げたんですけれども、今、企業というのは様々な経営環境の変化の中で戦略の転換というのを図っています。今までやってきた事業じゃないものをやっていくであるとか、そういうときに、働く人たちがそういう新しい事業にフィットして働いてもらう、そういうためにやはりリスキリングというのは企業にとっては極めて重要な施策ではないかなというふうに思っております。
この発言だけを見る →先ほども申し上げたんですけれども、今、企業というのは様々な経営環境の変化の中で戦略の転換というのを図っています。今までやってきた事業じゃないものをやっていくであるとか、そういうときに、働く人たちがそういう新しい事業にフィットして働いてもらう、そういうためにやはりリスキリングというのは企業にとっては極めて重要な施策ではないかなというふうに思っております。
大
大嶋寧子#19
○大嶋参考人 ありがとうございます。
企業の立場に立ちますと、リスキリングというのは目的ではなく手段でありまして、例えば、事業課題を解決しなければならない、新たなビジネスモデルを展開していかなければ生き残れないという中で、それを担えるように従業員の方にスキルを転換してもらう、それが従業員の方が新たな能力を身につけていくきっかけになるという順番だと思いますので、その意味では、経営者の方に、まず、事業課題を解決する手段としてのデジタルの可能性ですとかそういったものを伝えていくということが重要かと考えています。
この発言だけを見る →企業の立場に立ちますと、リスキリングというのは目的ではなく手段でありまして、例えば、事業課題を解決しなければならない、新たなビジネスモデルを展開していかなければ生き残れないという中で、それを担えるように従業員の方にスキルを転換してもらう、それが従業員の方が新たな能力を身につけていくきっかけになるという順番だと思いますので、その意味では、経営者の方に、まず、事業課題を解決する手段としてのデジタルの可能性ですとかそういったものを伝えていくということが重要かと考えています。
三
三谷英弘#20
○三谷委員 重ねて、今回、大嶋参考人にちょっとお伺いしたいんですけれども、そういったプラスはあるんですけれども、どうしても、企業の側からすると、そういった学び直しをしていってどんどんどんどんスキルが上がっていって労働市場の中で価値が上がっていくと会社を辞めちゃうんじゃないかなというふうに思ってしまう、そういった側面もあるんじゃないかと思います。
そういったリスクを背負ってでも企業があえて自分の従業員には学び直しをさせるべきだというためには、やはりそれだけ企業も努力をしていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、その辺、ただ単にリスキリングをさせればいいですよということなのか、それとも、企業はどんな努力をしていくべきなのか、その辺についてもう少し詳しく教えてください。
この発言だけを見る →そういったリスクを背負ってでも企業があえて自分の従業員には学び直しをさせるべきだというためには、やはりそれだけ企業も努力をしていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、その辺、ただ単にリスキリングをさせればいいですよということなのか、それとも、企業はどんな努力をしていくべきなのか、その辺についてもう少し詳しく教えてください。
大
大嶋寧子#21
○大嶋参考人 リスキリングをすると従業員が辞めてしまうという問題については、非常に多くの中小企業の方からもお伺いしているところで、大きな懸念材料であることは間違いないと思います。
実際には、リスキリングを積極的に執り行っている企業においては、社員の成長を支える姿勢を見せ、実際に支援することで、この企業であれば成長できるといった満足度を高めるといった取組も併せて行ったり、働き方改革を進めているといったこともございます。
そうした、単にリスキリングの機会を与えるだけではなく、働き方であるとか、社員にとってこの会社にいる意義を高めるような取組が恐らく必要になるというふうに考えていまして、企業の皆様にリスキリングの意義を伝えるに当たっては、どのようにすれば従業員がその会社で働き続けるのかといった方策についても併せて情報提供していくことが必要かと思います。
この発言だけを見る →実際には、リスキリングを積極的に執り行っている企業においては、社員の成長を支える姿勢を見せ、実際に支援することで、この企業であれば成長できるといった満足度を高めるといった取組も併せて行ったり、働き方改革を進めているといったこともございます。
そうした、単にリスキリングの機会を与えるだけではなく、働き方であるとか、社員にとってこの会社にいる意義を高めるような取組が恐らく必要になるというふうに考えていまして、企業の皆様にリスキリングの意義を伝えるに当たっては、どのようにすれば従業員がその会社で働き続けるのかといった方策についても併せて情報提供していくことが必要かと思います。
三
三谷英弘#22
○三谷委員 ありがとうございます。
本当に大変なことだと思っておりまして、今回新たに教育訓練休暇給付金という制度も導入されるというふうに承知をしております。これまでは、空いた時間をどうやって使うのかという、就業期間内にもしっかりと勉強してよということは言っていくわけですけれども、これからは、休職をして、国が制度として、学び直しをしてくださいねということをやっていくわけです。そうすると、これまで以上にやはり学び直しがどんどんしやすくなるし、どんどんどんどん、そういう意味では、休職をして学ぶ。転職を前提としない学び直しと、それから転職を前提とする学び直しというのが質的に違うのかどうかについても、もう一度、大嶋参考人にお伺いをしたいと思います。
この発言だけを見る →本当に大変なことだと思っておりまして、今回新たに教育訓練休暇給付金という制度も導入されるというふうに承知をしております。これまでは、空いた時間をどうやって使うのかという、就業期間内にもしっかりと勉強してよということは言っていくわけですけれども、これからは、休職をして、国が制度として、学び直しをしてくださいねということをやっていくわけです。そうすると、これまで以上にやはり学び直しがどんどんしやすくなるし、どんどんどんどん、そういう意味では、休職をして学ぶ。転職を前提としない学び直しと、それから転職を前提とする学び直しというのが質的に違うのかどうかについても、もう一度、大嶋参考人にお伺いをしたいと思います。
大
大嶋寧子#23
○大嶋参考人 社内における働き続けることを前提とした学び直しと、転職を前提とした学び直しは、明らかに性質が違うものと思います。
働き続ける上での学び直しは、企業の事業戦略や業務プロセスの改善等と結びついた学び直しで、逆にそれを外れるものに関しては、企業にとっての投資の回収というのが難しいところから、そこは実は質的にはかなり違いがあるのではないかと思います。
ただ、制度上はそういったものを区別するということが難しいという面もありますので、企業はどういった内容について学ぶのかについてよく労働者と話し合うような取組ももしかしたら必要になるのではないかと思います。
この発言だけを見る →働き続ける上での学び直しは、企業の事業戦略や業務プロセスの改善等と結びついた学び直しで、逆にそれを外れるものに関しては、企業にとっての投資の回収というのが難しいところから、そこは実は質的にはかなり違いがあるのではないかと思います。
ただ、制度上はそういったものを区別するということが難しいという面もありますので、企業はどういった内容について学ぶのかについてよく労働者と話し合うような取組ももしかしたら必要になるのではないかと思います。
三
三谷英弘#24
○三谷委員 ありがとうございました。分かりやすい御説明をいただきました。
そういう意味では、企業からすれば、しっかりと自社の従業員に対して、休んでも学んできてよということを言いやすくなるんだろうというふうに思いますので、しっかりと、せっかくできる制度ですから、活用していただきたいなというふうに思います。
その中で、やはりちょっとお伺いをしたいのが、今回、雇用保険を使ってどんどんリスキリングをしていく、最初、守島参考人がお話しをいただいたとおり、目的が本来的にはセーフティーネットだし、仕事を辞めた後にはこういった雇用保険に入っているから生活も何とかなりますよという話だった、それが労働者個人のスキルを上げていくというように変わっていくという中で、少しこの制度、欠けている部分があるんじゃないかと思い始めたのが、実は公務員についてなんだろうと思っています。
今、公務員については、もちろんそういった退職給付等々があるわけですから、生活支援という意味では足りているのかもしれません。ただ、民間企業で働いていれば、その時間を使って、いろいろな制度を使って学び直しができるし、退職した後もそういった制度を使ってリスキリングで自分の価値を上げられる、だけれども、一方で、公務員になればその期間中は学び直しができないし、そういった国からの支援が欠けているという形になれば、どんどんどんどん、これは民間企業で働いた方がいいんじゃないかという話になっていくようなおそれがあるのかなというふうに思っております。
公務員のリスキリングについて、その必要性をどう考えるか、あるいは、民間企業で公務員経験者ももっともっと採用をしていきたいんだけれどもリスキリングが必要だとか、そういったことについて、大嶋参考人、それから平田参考人の御意見をいただきたいと思います。お願いします。
この発言だけを見る →そういう意味では、企業からすれば、しっかりと自社の従業員に対して、休んでも学んできてよということを言いやすくなるんだろうというふうに思いますので、しっかりと、せっかくできる制度ですから、活用していただきたいなというふうに思います。
その中で、やはりちょっとお伺いをしたいのが、今回、雇用保険を使ってどんどんリスキリングをしていく、最初、守島参考人がお話しをいただいたとおり、目的が本来的にはセーフティーネットだし、仕事を辞めた後にはこういった雇用保険に入っているから生活も何とかなりますよという話だった、それが労働者個人のスキルを上げていくというように変わっていくという中で、少しこの制度、欠けている部分があるんじゃないかと思い始めたのが、実は公務員についてなんだろうと思っています。
今、公務員については、もちろんそういった退職給付等々があるわけですから、生活支援という意味では足りているのかもしれません。ただ、民間企業で働いていれば、その時間を使って、いろいろな制度を使って学び直しができるし、退職した後もそういった制度を使ってリスキリングで自分の価値を上げられる、だけれども、一方で、公務員になればその期間中は学び直しができないし、そういった国からの支援が欠けているという形になれば、どんどんどんどん、これは民間企業で働いた方がいいんじゃないかという話になっていくようなおそれがあるのかなというふうに思っております。
公務員のリスキリングについて、その必要性をどう考えるか、あるいは、民間企業で公務員経験者ももっともっと採用をしていきたいんだけれどもリスキリングが必要だとか、そういったことについて、大嶋参考人、それから平田参考人の御意見をいただきたいと思います。お願いします。
大
大嶋寧子#25
○大嶋参考人 公務員の方々におきましてもリスキリングの機会を充実していくということは、非常に重要かと思います。また、公務員の方の離転職が増えているといった問題も指摘されておりますので、そういった機会拡充を通じて働く満足度を高めていくことは急務であるかと思います。
以上です。
この発言だけを見る →以上です。
平
平田充#26
○平田参考人 ありがとうございます。
明確な答えを持ち合わせていなくて、公務員についてちょっと余り知見がないので分からないんですけれども、公務員の方も例えば民間に転職するとか、行ったり来たりということもあろうかと思いますので、民間に来たときに学び直しの機会があるとか、それでまた公務員に戻るとか、今後そういう雇用社会も訪れるんじゃないかなというふうに思っております。
以上です。
この発言だけを見る →明確な答えを持ち合わせていなくて、公務員についてちょっと余り知見がないので分からないんですけれども、公務員の方も例えば民間に転職するとか、行ったり来たりということもあろうかと思いますので、民間に来たときに学び直しの機会があるとか、それでまた公務員に戻るとか、今後そういう雇用社会も訪れるんじゃないかなというふうに思っております。
以上です。
三
三谷英弘#27
○三谷委員 ありがとうございます。
公務員に対するリスキリングの支援をもっと民間と同じようにやっていくべきじゃないかというふうに考えておりますが、その辺、冨高参考人も、もし御知見というか御意見があればお答えいただきたいと思います。
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冨
冨高裕子#28
○冨高参考人 ありがとうございます。
私もそこの部分については専門ではございませんけれども、選択肢の一つとしてそういったリスキリングが行われるということは重要だというふうに考えておりますし、官民交流という意味でそういった部分が充実されるということは重要だというふうに考えます。
以上です。
この発言だけを見る →私もそこの部分については専門ではございませんけれども、選択肢の一つとしてそういったリスキリングが行われるということは重要だというふうに考えておりますし、官民交流という意味でそういった部分が充実されるということは重要だというふうに考えます。
以上です。
三
三谷英弘#29
○三谷委員 ありがとうございます。
これからは、本当に、リボルビングドアとか、いろいろな官民交流とか、いろいろなところで働く、そのキャリア形成の一つとして、公務員、国家あるいは地方自治体で働くというのは重要になってくるんだろうというふうに思っておりますので、しっかりとそういった形での後押しというのができればなというふうに思っています。
少し時間はまだあるようなので、最後、一点だけ、大嶋参考人にお伺いします。
御説明の中で、人間関係が閉じてしまっているというような話がありました。それを広げていく、特に新たな挑戦を後押ししてくれる人間関係というものが日本の場合は足りていないという御指摘がありました。
どういうところに行けばこういった人間関係がつくれるか、御知見を御披露いただけますでしょうか。
この発言だけを見る →これからは、本当に、リボルビングドアとか、いろいろな官民交流とか、いろいろなところで働く、そのキャリア形成の一つとして、公務員、国家あるいは地方自治体で働くというのは重要になってくるんだろうというふうに思っておりますので、しっかりとそういった形での後押しというのができればなというふうに思っています。
少し時間はまだあるようなので、最後、一点だけ、大嶋参考人にお伺いします。
御説明の中で、人間関係が閉じてしまっているというような話がありました。それを広げていく、特に新たな挑戦を後押ししてくれる人間関係というものが日本の場合は足りていないという御指摘がありました。
どういうところに行けばこういった人間関係がつくれるか、御知見を御披露いただけますでしょうか。