村上久美子の発言 (厚生労働委員会)

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○村上参考人 皆さん、おはようございます。私は、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンで副会長を務めております村上でございます。
 本日は、参考人としてお招きいただきまして、ありがとうございます。
 私ども日本介護クラフトユニオン、略称NCCUと申しますが、企業の垣根を越えて、全国の介護従事者で組織しております、日本では珍しい職業別労働組合です。現在、組合員数は約八万七千名、労使関係のある法人が六十四法人です。
 本日は、介護従事者、労働者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、育児・介護休業法の、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充についてです。
 私も共働きで子供を二人育ててきて、その間、一番大変だった時期が、子供を保育所に預けて職場復帰した生後六か月から、子供が小学校に上がって自分で自分のことが何とかできるようになった小学校三年生までの間でした。
 今回の改正法案を見てみると、柔軟な働き方の中にテレワークが入っていることはありがたいと思いました。ただ、子供は小さければ小さいほど病気になることが多いので、三歳までの施策については、努力義務というだけではなく、より多くの企業が導入できるように工夫していただければ、今より一層働きやすくなるのではないかと思います。
 また、小学校では学童保育のお世話になりますが、受入れを小学校三年生まで、時間は十八時までとしているところが多いです。しかし、学童は保育所より預けられる時間が短いということから、いわゆる小一の壁というものが立ちはだかっています。この壁を乗り越えることができなくて、仕事を辞めてしまう親がいます。それを考えると、所定外労働の免除については、子の看護休暇と同様、小学校三年生まで延長していただき、壁を乗り越える手助けをしていただきたいと思います。
 次に、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援の強化についてです。
 両立支援制度等に関する情報の周知が事業主に義務づけられるということです。私どもも介護離職防止についてお話しさせていただく機会がありますが、両立支援制度自体を知らない方がとても多いです。また、お手元の資料がございますけれども、一ページを見ていただきますと、仕事を辞める理由となった勤務先の問題で最も多いのは、勤務先に介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかったとなっています。このようなことから、周知を義務化することによっておのずと自社の制度を整備しなくてはならなくなりますので、介護離職防止にとても有効だと思います。
 また、先が見えない介護期の対応としてテレワークが選択できることはとてもありがたい措置ですが、努力義務となると対応は企業の裁量に委ねられることから、要件を加えた上での義務化が望ましいと思いました。
 一方で、資料二ページを見ていただきますと、こちらは施設入所できるまでの期間が載っています。三か月以内が最も多いのですが、次いで、二年超が一七・九%となっています。介護休業は法律で九十三日、三分割で取れることになっていますが、法律の範囲内では足りません。
 入所できるまで在宅で切り抜けようと考えたとしても、資料の三ページにありますように、在宅での重度者が多く利用している看多機、定期巡回の事業所数は、全国の自治体数にも満たない状態です。地域包括ケアシステムは二〇二五年を目途に構築を目指すとしていますが、このように地域によって整備の仕方にばらつきがある状態では厳しいと思います。結果として、仕事を辞める理由となった介護サービスの問題として、利用待ちが発生していて利用できなかった、希望する介護サービスが地域で提供されておらず利用できなかったということです。
 つまり、仕事と介護の両立を支援するために法律を整備することはすばらしいのですが、実際に両立しようとした場合、介護サービスが充実していなければ仕事に戻れないことになるのです。
 ところが、今、介護現場は疲弊しています。資料の四ページですが、私どもが毎年行っている調査での組合員の記述内容です。幾つかピックアップしました。最も多い内容が人手不足、次が賃金の低さです。
 また、介護サービスの中でも在宅サービス、そして訪問介護サービスは要であると言っても過言ではなく、仕事との両立、そして家族のレスパイトの観点からも欠かせないサービスです。しかし、その訪問介護のサービスの求人倍率は、資料五ページにあるとおり、十五倍を超えています。その結果、資料六ページを見ると、介護を必要としていても介護員がいないため断らざるを得ないというような状況になっていて、いわゆる介護難民が発生することになっています。
 そのような中、本年四月から、介護報酬の改定によって処遇改善加算率が大幅アップされるとともに、訪問介護サービスの基本報酬が切り下げられました。もちろん、私ども働く者にとって、各種処遇改善加算が一本化され、加算率も大幅アップしたことについては大変感謝しております。ですが、加算率のアップと基本報酬の引下げとは別の話です。それは現場の従事者もよく理解しています。
 資料の七ページのデータを御覧ください。基本報酬の引下げには九九・二%が反対。処遇改善加算の加算率を高く設定したため、事業収入全体では影響がないという説明に納得できるとした割合が僅か五・八%。そして、加算率を高くするだけでは人材は確保できないとした割合が九〇%。
 確かに、私たちは、人材の確保、定着のための最も有効な処方箋は処遇改善であるということを言い続けておりますが、雇用される事業者が安定した運営がなされているということが大前提です。
 その事業者ですが、ある法人では既に四月になる前に、継続の見込みが立たないと判断した事業所を数か所廃止しました。また、これまでやってこなかった訪問事業所の統廃合に踏み切る考えがある、現行の給与を下げることも視野に入れなければいけないという声も聞かれています。
 訪問介護員の賃金は、処遇改善加算だけで支払われているわけではなく、そのほとんどは基本報酬から支払われています。基本報酬が引き下げられ事業収入が落ちても、賃金を下げることなく、そして引き上げていこうとしたら、事業運営に支障を来します。先行き不安な事業所に、果たして人は集まるのでしょうか。
 このようなことから、次期改定を待たずに訪問介護事業者が需要に応じて安定的に提供できる体制を確保する観点から、補助金の支給が必要だと考えております。
 また、介護人材の不足ということから、厚労省は介護経営の大規模、協働化を図っていく方向であるのは承知していますが、特に地方で暮らす高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしく最後まで暮らすことができるように、通所介護のように規模別に分けて単位数を決め、小規模事業者に手厚くするということも必要なことではないかと思います。
 介護離職防止のためには介護サービスの利用は必須なのですが、それを担う介護従事者が充足していなければサービスを提供することができません。介護従事者の確保、定着のためには、処遇改善が重要です。
 岸田総理も全産業平均との格差是正や構造的賃上げについておっしゃられていましたが、資料八ページを見ていただくと、介護従事者の平均賃金と全産業平均との格差は五万五千円。そして資料九ページ、昨年の賃上げ率、一般企業では過去最高の三・五八%でしたが、介護分野では一・四二%。今年の春闘は、四月二日現在、五・二四%、介護分野は二〇二四年度分が二・五%の賃上げ見込みとなっています。これでは、国が行っている処遇改善加算によって縮まりかけていた格差は広がるばかりです。したがって、介護従事者の賃金と全産業平均賃金を同水準にするべく、更なる処遇改善をお願いしたいと思います。
 育児・介護休業法が改正され、育児、介護の両立支援体制が強力に推進されることはすばらしいと思いますが、一方で、この法律だけではカバーできない両立支援の問題があり、それを解決していかなければ、労働力人口減少への対策にはならないのではないでしょうか。
 以上で、私からの意見陳述を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 村上久美子

speaker_id: 26837

日付: 2024-04-23

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会