川上和久の発言 (政治改革に関する特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○川上参考人 麗澤大学の川上和久と申します。
 今回は、政治改革に関する特別委員会で参考人としての陳述をさせていただくことを心より感謝申し上げ、一国民として、私の意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 お手元に資料を用意いたしましたけれども、初めに、私は世論研究の立場で研究をしておりますので、国民の世論と政治の在り方という立場、そういったことを中心にしながら、やや精神論に堕するかもしれませんけれども、私の考えを申し述べさせていただきます。
 言うまでもなく、半年前、こういう裏金問題が発覚して、政治不信がかつてなく高まっている。そういう中で、私は、大学の政治学の授業で毎回のように学生たちに言い聞かせている言葉がございます。関係の方々もこの中におられるので、屋上屋を架すような言い方になりますけれども、松下幸之助氏の言葉、これを私は非常に大事にしておるわけであります。これは、松下幸之助さんが、民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しか持ち得ないんだと。とても重い言葉であるというふうに私は思います。
 政治資金規正法の理念は、国民の不断の監視と批判、それを可能にしなければいけない。そのために、基本的に私は、この政治資金規正法の透明化ということを是非皆さんのお知恵で前進させていっていただきたいというふうに思います。しかし一方で、様々な政治家の方々の活動を見ておりますと、政治にお金をかけていけないのか、それは悪なのかということについては、そうじゃないんじゃないかなというふうに私は思います。
 というのは、真面目に政治活動をやればやろうとするほどお金がかかるというのもまた現実ではないでしょうか、異議のある方がいらっしゃるかもしれませんけれども。俺はお金を全然かけていないというような方も中にはいらっしゃいますけれども、それはごく少数であります。
 これは例えば、有権者の声を聞くために選挙区回りをする。ガソリン代もかかりますね。事務所を運営する。私設秘書を雇用する。情報発信にも経費がかかる。真面目に政治活動をしようとする人ほど、これは政治資金がかかる。しかしそれは、では、政党助成金だけで賄うことができるのかという現実もあります。
 いろいろな新聞社が世論調査をやっているので、特定の新聞社の世論調査を御紹介するというのは申し訳ありませんけれども、四月にちょっと目につく世論調査の記事がございました。朝日新聞、四月十二日付ですけれども、郵送世論調査であります。
 企業・団体献金について、利益誘導につながりかねないから認めない方がよい、七九%に及んでおります。認めた方がよいは一五%にすぎない。そうであるならば、では、政党交付金を増やしてもいいか。増やしてもいいは一七%、そうは思わないが七八%。何か、政治家がどういう活動をして、どういうふうに有権者の支持を得ようとしているのかということにはちょっと目が向いていない部分が、ひょっとしたらこの結果にはあるのかもしれません。
 ですから、適正な政治活動にお金がかかっているという現実を政治家が、より不断の公開、自分の活動の公開とコミュニケーション活動によって活性化させていく責任があるのではないかということを感じております。国民の理解を得ようとする努力が足りないということですね。
 それから、政治資金を得る手段としての企業・団体献金について、先ほどお話がございました。
 企業・団体献金があることによって、日本における経済活動が活性化し、そしていい政治ができているという実感が国民にあるのであれば、企業・団体献金についてもそんなに抵抗感はないと思うんですね。ただ、それに対する国民の不信が強いから、企業・団体献金についても異論が出てくるのではないかというふうに思います。
 ですから、これについても、透明化を徹底していくということによって有権者の判断に資するというような方向を是非各会派で御議論いただけたらなというふうに思っております。
 政治資金パーティーについて申し上げたいと思います。
 今回の特別委員会が設置される原因となった、自民党の派閥の資金集め、ノルマ、ノルマ超の裏金化、全く論外であります。言い訳のしようがございません。こういった慣れ、甘え、行き過ぎ、こういったことは二度とあってはなりません。言うまでもないことであります。
 一方で、幅広く支援を得る、この人にだったら浄財をパーティーに寄附をして、そしていい政治をやってもらおうというふうに、政治家が努力して思ってもらう。政治家側が支援者とコミュニケーションを取りながら一定の資金集めをする努力、これは、政治資金パーティーが私は必要ではないか、もちろん透明化は必要ですけれどもね。金持ちしか政治活動できない、何億円も自由に使えるような金持ちしか政治活動ができないということは、これは日本の政治にとって幸福なことではないというふうに私は思います。
 しかし、ブラックボックス化をできるだけ避けるために、野党からも五万円という公開基準の引下げが提案されていますから、これは、各会派が真摯に議論をして、なるべく透明化を図っていただくということを尊重していただければというふうに思っております。
 議員本人の罰則強化について申し上げます。
 これは各会派ともそんなに差はないというふうに思っております。会計責任者だけでなく議員にも責任を持ってもらうことで、議員の側にも緊張感が生まれてきます。ただ、自民党案では不十分ではないかという質疑があったことも承知しております。その意味で、連座制の適用は一つの前進ではあります。不十分という指摘もありますから、十分各会派ですり合わせをしていただくということを私は望みたいと思います。
 政策活動費について申し上げます。
 使途不明ということは、やはり有権者の疑念を生じさせるというふうに思います。この現状は当然変えるべきだというふうに思います。しかし、廃止してしまうと、これは政治活動に支障が出る現実もあると思います。なるべく透明化していくことによって国民の理解を得るということも必要であります。
 例えば、先ほど内閣の官房機密費に言及がありましたけれども、安全保障上も、一定の官房機密費のような部分も必要ではないかというふうに思いました。
 今は、AI化が御承知のように進展しております。AI技術の進歩で、機微にわたる情報の漏えい、そして、悪意を持った第三国、我が国の固有領土を不法占拠している国がウクライナを侵略したり、あるいは、近くの国が、大使が我が国の国民を恫喝する、こんなようなことが起きている。こういう非常に緊迫した情勢の中で、第三国が我が国の政治活動を監視、制限する、そういう可能性も指摘できると思います。
 私、個人的に剣術をやっておるんですね、余りうまくないですけれども。手のうちを見せると、師範にすごく怒られるんです。手のうちを見せた瞬間にやられるんだぞと。外国との関係においては、手のうちを見せるということが、即、我が国の安全保障、要は、国民の方々の安心、安全に危害を及ぼす、そういう危険性もあると思います。
 ただし、これは、だからそういう透明化ができないんだという理屈というのは、国民から見ると、安全保障とかそういったことを理由にして、政治家がそういうことを、それを理由にして何か避けているんじゃないか、都合が悪いことを隠したいから、安全保障を表に出して言っているんだという疑念を持たれている部分があると思うんですね。
 政治家はそうあってはいけないと思います。十分に説明を尽くして、こうだからということで、透明化については、延期をするということではなくて、まず、できる透明化をしてみて、そして不都合があったら国民に説明をして、こういう不都合があるからこういうふうなところは機密にさせてください、私たちを信じてくださいと。
 でも、最後に申し上げたいのは、終わりに、国民の怒りのゆえんは、政治と金の問題に今とどまっていないと思います。どういうことか。これは逆説的ですけれども、政治資金規正法の改正が実現しても、政治家自身が不断の改革をしていかなければ、この政治資金規正法の改正も絵に描いた餅になってしまうというふうに私は危惧しております。
 朝日新聞の結果を引用しますけれども、日本の政治を信頼していない、この割合がここ数年より大幅に増えている。「信頼していない」は、「あまり」と「全く」を合わせると七一%に及んでいる。では、なぜ信頼できないのか。なぜ信頼できない。「政治家にモラルが欠けている」。皆さんはそうじゃないかもしれませんけれども、政治家にモラルが欠けているという、この不信感が圧倒的に大きいですね。七六%であります。これは政治家の方々が大いに自戒しなければいけない。政治資金改正法だけでは何とかならないわけですね。
 そこで、最後に。私は大学のとき、地味なクラブでした、座禅クラブという。座禅クラブだと言うとみんなに笑われちゃうんですけれどもね。その座禅クラブの老師が師事した方は、昭和の名僧と言われた山本玄峰という方でありました。御存じないかもしれません。その方が、私、柏の大学ですけれども、鈴木貫太郎さんですね、首相になる、その前に、自分は首相にされそうだ、大命降下しそうだということで、この禅僧に相談に行ったわけです。そのときに印象的なことを言っておられます。力で立つ者は力で滅びる、金で立つ者は金で滅びる、しかし、徳をもって立つ者は永遠です、あなたには徳がおありだから、徳をもってお立ちなさい。そう言ってもらえる政治家が、今、どれほどいらっしゃるでしょうか。
 また、私、剣術ですから、山岡鉄舟もちょっと引用させてください。山岡鉄舟の本はたくさん読んでいるんですけれども、人を治むるはまず我を修む、すなわち修身斉家の道にほかならずして万物一理これなり、興味がある方は調べていただきたいと思うんですけれども、こういうふうに言っておられる。
 だから、徳を積んでいくということは、人から信頼される、国民から信頼される。あ、この人にだったら、例えば官房機密費のような機密があったって、透明化しなくたって任せられるんだなと思われるぐらいの身の処し方を政治家諸氏にしていただきたいというふうに私は強く思うわけであります。
 今、政治不信の負債が積み重なっております。しかし、これは、政治家一人一人の徳で、大死一番、信頼の貯金をつくっていっていただく。各会派一致して、信頼の貯金をつくっていこう、そういう思いを持っていただく。今の政治家の、将来への責任があるのかどうかということが今問われているのではないでしょうか。
 私は一民間人でありますから、選挙で当選して、こうやって国政を担っておられる先生方の皆さんに大変失礼な物言いをしたかもしれません。したでしょう。しかし、こうやって政治改革を実現して、徳を積んでいただいて、日本の将来を安定したものにしていただきたい、そういう思いで、失礼なことも申し上げました。そのことは深くおわび申し上げたいと思います。日本の将来を何とかしてほしいという熱意でもって、ちょっと言葉が過ぎたかもしれませんけれども、御海容いただきたいと思います。
 私の意見陳述をこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121304575X00620240527_006

発言者: 川上和久

speaker_id: 14886

日付: 2024-05-27

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する特別委員会