永田尚三の発言 (総務委員会)

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○永田参考人 関西大学の永田と申します。本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 最初に私の簡単な自己紹介をさせていただきたいと思いますが、長年、行政学の視点から消防とか防災とか危機管理の研究をしてまいりました。コロナの期間におきましては、我が国の危機管理、災害対応とかコロナ対応とかについて論文を数本執筆させていただいております。また、昨年五月に「日本の消防行政の研究」という本を出版させていただいておりまして、この中で、いわゆる個別法で国の指示権というものが既に認められている消防行政とか防災行政における指示権の運用の実態というものについても研究をさせていただいております。本日、本法案に関しましては、危機管理という視点から、肯定側の立場からお話しさせていただきたいなと考えております。
 まず最初に、新型コロナで表面化した行政組織間の課題ということからお話しさせていただきたいなと思っております。
 今回のコロナというのは、国、地方自治体それぞれが、各種資源不足というものがございまして、やはり足並みがそろわなかった部分というのがあったんじゃないかなと考えております。その結果、我が国では非常に珍しいことだと思いますが、行政間のコンフリクトみたいなものが多様な形で表面化した非常に珍しい事例ではないかなというふうに思っております。また、それを新型コロナの危機としての特殊性が助長した側面があるかなと思っております。それが結果として危機対応の遅れということにもつながってしまったのではないかと思います。特に、国の総合調整機能が法的資源不足ということで機能しなかった点というのが非常に大きかったんじゃないかなというふうに考えております。
 では、新型コロナの特殊性とは一体何なのかということですが、私は、局地的、時限的な危機ではなかったという点が非常に大きな特殊性ではないかなと思っております。
 自然災害の場合は、どんな大きな災害におきましても被災地とそうでない地域というのが必ず存在いたします。被害を受けていない地域からの応援とか支援というものが成立するわけでございます。ところが、今回の新型コロナにおきましては、どの地方自治体も、いつ感染拡大が自分たちの地域で起こるか分からない、今感染者がいなくてもいつ起こるか分からないという非常に不確実性の高い状況下に置かれている中で、自然災害と比較すると自治体間の水平補完での連携とか応援というものが低調だったんじゃないかというふうに個人的には考えております。
 さらに、終わりが見えない危機。自然災害の場合、どんな大きな災害でも半年もたつと大分事態が落ち着いてくるわけですけれども、ところが、終わりが見えない危機というのが何年も続く中で、災害時新業務と併せて平常時業務というのも行っていかなければいけないということで行政の業務量が激増しまして、どの行政組織においても余裕のない状況に陥ってしまったということがあったんじゃないかなというふうに考えております。
 本来、危機とは何かということでございます。
 大きな危機への対応というのは本来、社会全体での総力戦で対応していかなければいけないというふうに考えております。国も地方も非常時に必要な資源を全て持っているわけではないわけでございます。それぞれが足りていない資源というのが必ずございまして、その部分を垂直補完ないしは水平補完で補って対応する必要性というのがあると考えております。今回のコロナに関しましては、それぞれが余裕がない状況の中で国も地方自治体も、語弊があるかもしれませんが、皆さんが違う方向を向いていた感じで、足並みの乱れが表面化してしまった部分があるんじゃないかと考えております。
 危機時にそれぞれの事情を持った地方自治体を総合調整する必要性がございます。それは私は国しかないと考えております。今後もこのような危機というのは必ず起こり得る、それに早急に備えないと助けられる命も助けられなくなるということではないかなと思っております。
 今回のコロナなんですけれども、大なり小なり想定外の事態というのが各所で多発したわけでございます。特に、私は、その一因として、我が国というのは比較的危機対応というのが、消防でも防災でも危機管理でもそうですけれども、事が起こってから明らかになった課題を解決する、後追い行政という傾向が非常に強いという側面がございまして、それが今回も事前想定とか準備の遅れにつながった一因になっていたんじゃないかというふうに考えております。
 先取り行政の傾向が非常に強い欧米の国々なんかでは、リスクアセスメントというのを非常に徹底的に実施される側面がございます。それによって事前に課題の洗い出しというのを相当手間と時間をかけてされているということがございます。
 我が国も今後、後追い行政から先取り行政の方に危機対応というのは持っていかなければいけないんですけれども、ただ、そこで、それでも留意しなければいけない点があるのかなと考えております。それが何かと申しますと、先取り行政でも、危機時の想定外というのは減らすことはできるけれども、なくすことはできないということでございます。事前のシミュレーションとか訓練、こういうものを通して課題というものを洗い出す限界というものが間違いなくあるということです。また、危機事案というのは発生頻度が非常に少ないので、実際の経験則から課題を事前に洗い出す限界というものが必ずあるということでございます。
 以上のような点から、本法案は望ましいというふうに私は考えております。
 危機時の国の総合調整機能というものが、この法案ができることによって強化されます。我が国の行政組織が一丸となった危機対応が可能になると考えております。さらに、各所に災害時に点在する各種資源の最大活用というものがこれによって可能になってくると考えております。また、全てなくすことができない危機時の想定外の事態に対して迅速性と柔軟性を持って対応することも、この法案によって可能になるのではないかというふうに期待しております。
 今回のコロナ対応というのは、私は、危機をコントロールするという危機管理というものではなくて、行き当たりばったりで出てきた事案に対して対応する、単なる危機対応だったというふうに考えております。やはり危機をコントロールするから危機管理ということなわけでして、その危機管理というのは事前の備えというものがあるから機能するということでございます。今後も発生し得る危機というものに対しまして危機管理というものが万全にできるように、事前の備えという視点から、本法案は非常に望ましいというふうに考えております。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 永田尚三

speaker_id: 30809

日付: 2024-05-21

院: 衆議院

会議名: 総務委員会