総務委員会

2024-05-21 衆議院 全109発言

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会議録情報#0
令和六年五月二十一日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 古屋 範子君
   理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君
   理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君
   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君
   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君
      井原  巧君    石田 真敏君
      尾身 朝子君    金子 恭之君
      川崎ひでと君    国光あやの君
      坂井  学君    杉田 水脈君
      田畑 裕明君    寺田  稔君
      中川 貴元君    西田 昭二君
      西野 太亮君    根本 幸典君
      葉梨 康弘君    長谷川淳二君
      古川 直季君    宮路 拓馬君
      保岡 宏武君    柳本  顕君
      山本 左近君   おおつき紅葉君
      岡本あき子君    奥野総一郎君
      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君
      道下 大樹君    阿部  司君
      中嶋 秀樹君    吉田とも代君
      平林  晃君    宮本 岳志君
      西岡 秀子君    吉川  赳君
    …………………………………
   総務大臣政務官      西田 昭二君
   総務大臣政務官      長谷川淳二君
   参考人
   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      山本 隆司君
   参考人
   (中央大学副学長、法学部教授)          礒崎 初仁君
   参考人
   (全国知事会会長)
   (宮城県知事)      村井 嘉浩君
   参考人
   (関西大学社会安全学部教授)           永田 尚三君
   参考人
   (専修大学名誉教授)
   (弁護士)        白藤 博行君
   総務委員会専門員     阿部 哲也君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     柳本  顕君
  西野 太亮君     山本 左近君
  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君
同日
 辞任         補欠選任
  宮路 拓馬君     杉田 水脈君
  柳本  顕君     石田 真敏君
  山本 左近君     西野 太亮君
同日
 辞任         補欠選任
  杉田 水脈君     鳩山 二郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
     ――――◇―――――
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古屋範子#1
○古屋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科教授山本隆司さん、中央大学副学長、法学部教授礒崎初仁さん、全国知事会会長、宮城県知事村井嘉浩さん、関西大学社会安全学部教授永田尚三さん及び専修大学名誉教授、弁護士白藤博行さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、各参考人からそれぞれ十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際には、その都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず山本参考人、お願いいたします。
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山本隆司#2
○山本参考人 山本と申します。
 私は、第三十三次地方制度調査会、以下地制調というふうに申しますが、地制調の専門小委員会の委員長を務めました。第三十三次地制調は、総理からの諮問を受けまして、二〇二二年一月に発足しました。地制調の会長は、市川晃住友林業会長が務められました。以後約二年間、四回の総会と二十一回に及ぶ専門小委員会が行われ、二〇二三年十二月に総理に答申を提出いたしました。本日は、今回の法案に関連する答申の内容や地制調での議論を、取りまとめに当たりました私なりの観点から御説明をしたいと思います。
 地制調の答申は、ポストコロナの経済社会に対応する地方制度について、大きく三点を取り上げています。順次御説明をさせていただきます。
 第一点は、DXへの対応です。
 すなわち、地方公共団体がデジタル技術を活用して住民等の参画を強化すること、また、人口減少、高齢化が急速に進む中で地域の広範な課題にきめ細かく対応することを目指す体制づくりです。答申では、具体的に、第一に、デジタル技術の活用について国と地方公共団体との間の連携協力を従来以上に緊密に行うこと、第二に、地方公共団体において情報セキュリティー対策がしっかり取られるようにすること、第三に、地方税について既に活用されているeLTAXを各地方公共団体の判断により公金の納付に幅広く活用できるようにすること等を提言いたしました。
 大きな第二点ですが、地域の多様な主体との連携、協働です。
 すなわち、コミュニティー組織、NPO、企業等の多様な主体が連携、協働し地域の課題に取り組むための枠組み、これをプラットフォームと言っておりますけれども、プラットフォームを市町村が支援することです。地制調の答申では、民主的で透明性の高いプラットフォームの運営が行われるということを前提に、市町村がそれぞれの判断によりプラットフォームの法的な位置づけを明確にし、その活動環境を整備できるようにするということを提言しております。
 今回の法案は、以上の第一点、第二点を踏まえた内容を盛り込んでいると考えております。
 第三点ですけれども、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応です。この点につきましては、地制調での議論を基本的な考え方から御説明したいと思います。
 まず、現実の課題として、それぞれの政策分野に関する個別法、例えば新型インフルエンザ特措法等ですが、こういった個別法の制定、改正の議論や運用の中で想定されていなかった事態が過去の災害やあるいは新型コロナの蔓延のときに発生したということが地制調の場で確認をされました。現在、社会においてリスクの要因はますます増え、各分野の専門家ですら事態の完全な予測はますます難しくなっています。現在でもこういった個別法が想定しない事態が発生する可能性は否定できません。地制調ではこうした一般的な認識を基に議論いたしました。
 これに対しましては、対応すべき事態を具体的に示せないかという意見もありました。しかし、現在具体的に示すことができる事態には個別法を制定又は改正して対応するべきことになります。つまり、このように議論いたしますと問題が入れ替わってしまうという難しさがございました。
 とはいえ、個別法を制定又は改正せずに重大な事態に対応することには限界があるという意見も示されました。これはそのとおりでして、したがって、地制調では個別法の制定や改正を行うまで応急的に対応するための一般的な制度を考えたということでございます。
 次に、地方自治、地方分権との関係です。
 地制調では、地方公共団体の自主性、自立性を尊重し地方分権を推進するという基本的な考え方は変えないということを前提に議論しました。その上で、個別法が想定しない事態への応急対応のために、現在地方自治法が定めている国の関与に関する一般的な制度に特例を加える必要があるという方向になりました。国の関与に関する一般的な制度は、元々二〇〇〇年に施行されました。しかし、その後、特に近時、規模や態様の点から、地方公共団体のみならず、国も責任を負って対応しなければ克服できないような重大な事態がしばしば発生しています。そのため特例を加えることの検討が必要になったと言えるかと思います。
 現在の制度によりますと、個別法が想定しない事態に対処するための国の関与としては、地方公共団体に対する国の技術的助言、勧告までしかできません。国が助言、勧告等をしても、最終的な意思決定を行う権限と責任は全面的に地方公共団体にあります。国は地方公共団体に対し明確な権限を持たないだけでなく、あれこれ通知しても明確には国は責任を負わないということになります。そこで、地制調では、個別法が想定しない事態への応急対応のために国が地方公共団体に対し指示を行う権限を定め、その範囲で国が明確に責任を負うという制度を議論いたしました。念のために申しますと、こうした指示の制度を設けましても、国が責任を負うのはあくまで指示の範囲に限定されます。それだけで地方公共団体が住民の安全を守る基本的な事務と責任が国に移るというわけではありません。
 そういたしますと、地方自治、地方分権の基本的な考え方を守るために重要なことは、指示の要件と手続をしっかりと限定するということです。この点について地制調ではかなり念入りに議論いたしました。
 今回の法案は指示の要件についてこう言っております。大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の規模及び態様、事態に係る地域の状況その他の事態に関する状況を勘案して生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため特に必要がある場合に、必要な限度においてと言っております。地制調での議論を酌み、要件を最大限に限定しているのではないかと受け止めています。
 次に、指示を行う場合の手続です。地制調でかなり議論しましたのは、国会との関係と地方公共団体との関係です。
 国会との関係につきましては、新型インフルエンザ特措法上の緊急事態宣言のように、個別法が危険性の段階を一般的に確定させる制度を定めているという場合、その危険性の確定の際に国会報告や国会承認が必要とされるという例があります。しかし、個別法が想定しない事態に応急対応するための指示について国会報告や国会承認を求めるといたしますと、個々の場合についてこういうことを求めますと指示が行われる都度にならざるを得ません。地制調では、それは若干機動性に欠けるという議論がされました。
 しかしながら、応急の指示が行われた後で、個別法の制定や改正に関する国会での議論につなげる手続は重要です。地制調の答申では、指示が行われた場合に各府省において検証する必要があり、その検証が個別法に関する議論の契機となることが期待されるという基本的な考え方を示しております。具体的な手続を示さなかった理由は、こういったプロセスのタイミングや態様が事態や状況により様々になるということ、さらに、国会での審議手続に関わる点については制度化が難しいのではないかといったことがございました。
 指示の手続に関するもう一つの問題は、地方公共団体との関係です。
 地制調の答申は、基本的な考え方として、国と地方公共団体との間の情報共有とコミュニケーションを重視しています。それは指示の場合も同じでありまして、指示を的確に行うために必要なことでもあります。ただ、具体的にどのように情報共有とコミュニケーションの手続を取るかという点は、どの程度の時間があるかなど、事態や状況によります。そのため、地制調では、具体的に参加する主体を特定し、特定の手続を必ず取るということを求めるような制度化は難しいのではないかという議論をいたしました。今回の法案では、国は指示に先立ち地方公共団体に対する資料又は意見の提出の求めその他の適切な措置を講ずるように努めなければならないと定めております。これは、国と地方公共団体との間の情報共有、コミュニケーションについて可能な範囲で制度化をするものというふうに受け止めております。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。拍手
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古屋範子#3
○古屋委員長 次に、礒崎参考人、お願いいたします。
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礒崎初仁#4
○礒崎参考人 中央大学の礒崎と申します。本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。専門は地方自治論、行政学ですが、特に最近は地方分権の成果と今後の展望について考えております。
 下の二ページを御覧いただきたいと思います。
 まず、枠で囲んだ生命等の保護措置に関する指示等の規定についてですけれども、この指示権には特徴がありまして、第一に、現行自治法では指示は法定受託事務に限定されていますが、改正法では自治事務についても指示が可能になること、第二に、現行自治法では違法な事務処理等があった場合にそれを是正させる事後的な指示だけが認められていますが、改正法では違法な事務処理等がなくても将来に向けてこうしなさいという事前の指示が可能になること、この二点で従来の指示より踏み込んだ幅広い指示権が定められていることに注意が必要だと思います。こうした指示権を制度化することが果たして妥当なのか、五つの問いに分けて検討したいと思います。
 三ページですけれども、一つ目は、こうした指示権が地方自治の本旨や自治法の原則に反しないかという問題です。まず、地方自治の本旨には団体自治の原理が含まれており、これは自治体が地域の運営に対して自己決定権を有すること、したがって国は必要な範囲を超えてこれに介入してはならないという原理とされています。改正法のように法的拘束力を伴う形で包括的な指示権を制度化することは、この必要な範囲を超えるおそれがあるというふうに思います。
 次に、自治法の一般原則に反しないかですけれども、関係するものとしてそこに三つの原則を挙げましたが、私が特に強調したいのは役割分担の原則でございます。この原則では、国は国が本来果たすべき役割を重点的に担う一方、住民に身近な行政はできるだけ自治体に委ねることが求められています。例えば防災、防犯、公衆衛生など国民の生命、健康の保護はまさに住民に身近な行政ですから、自治体の役割だと考えられます。もちろん国も安全保障、災害救助など国民全体の安全を守るための基盤を担っているわけですが、一人一人の国民はいずれかの地域で暮らしているわけで、その安全をどう守るかは自治体の責任、役割でございます。改正法は、それが自治体の役割であることを前提として、そこに国が強制的に介入しようということですから、役割分担の原則に抵触すると思われます。
 下の四ページですが、二つ目は、自治事務に対する関与として認めてよいかという問題です。
 自治法では、国等の関与は必要最小限でなければならないと規定した上で、八つの基本類型を掲げています。図表一は第一次分権改革の際に自治省が提示した表ですが、法定受託事務では同意、指示、代執行など法的拘束力のある権力的関与が認められていますが、自治事務では基本的に権力的関与は認められていません。これは、国と地方を対等、協力の関係に転換するという理念を反映した分かりやすい表だと思います。
 私は、大学の講義や職員研修でいつもこの表を示して、自治事務については自治権が保障されていて権力的関与は認められないんですよというふうに説明しているのですが、もしこの6の欄に緊急事態の指示権ありなどと記載しなければならないかと思うとがっかりしてしまいます。
 釈迦に説法ですが、法律では立法の精神ないし制度論理というものが重要です。特例といいながら、わざわざ第十四章を作ってこうした規定を置くのは、自治法の整合性を崩し、その精神をゆがめるものではないかと思います。
 五ページですが、三つ目は、緊急事態に指示権が必要か、逆効果にならないかという問題です。
 そもそも緊急事態において適切な措置を講じられないケースには三つの場合が想定されます。1そもそも何が適切な措置かが分からない場合、2必要な措置は分かっているが、そのための財源、人材、情報がない場合、3必要な措置を取りたいが、関係機関の合意が得られない場合でございます。1の場合は、国も何をすべきかが分かっていないのに指示権は行使できません。2の場合は、国は財源、人材、情報を提供するよう努力すべきであり、指示は不要です。3の場合は、関係機関がもし他の自治体であれば指示権を使えますが、合意しない自治体にもそれなりの事情がありますので、国が指示したからといって問題は容易に解決しないと思われます。
 その下ですが、それどころか、指示権の行使は逆効果にならないでしょうか。
 第一に、事件は現場で起こるわけですから、東京にいながら適切な措置を決めることは難しいですし、第二に、情勢が次々変化するのに一旦国の指示が出るとそれに縛られてその時々の最適措置が取れなくなるのではないか、第三に、通常、国も自治体も危機を乗り越えたいので指示権は必要ありませんが、もし必要だとすれば全国的な利害と地域的な利害が対立する場合と考えられます。例えば、放射性廃棄物の保管や処理をめぐって国と自治体が対立するようなハードケースであります。しかし、そうしたケースほど合意形成の努力が必要であって、指示権を行使して地域を黙らせるようなことはすべきではないし、やってしまうと、その後の係争処理や訴訟によって問題の解決がかえって遠のくという逆効果が懸念されます。国が指示権を行使すれば自治体が分かりましたと言って従うというような、楽観的な見方はできないというふうに思います。
 七ページですが、四つ目は、新型コロナ対応の教訓に合致しているかという問題です。
 私は、パンデミック対策では、図表二に整理したように、国と自治体がそれぞれの役割を責任を持って実行することが重要だ、集権と分権の合わせ技が大事だと主張しております。三年半に及んだコロナ対応では、ここに記載したように、どちらかといえば国の対応の方に問題があったように思います。政治家も行政官も個人としては奮闘されたと思いますが、国は行政組織が縦割りですし、現場から遠いために危機管理に向かない構造があるのではないでしょうか。
 それに対して、八ページですが、自治体は首長に権限と情報が集まりますし、医療機関など現場にも近いため、コロナ対応でもおおむね期待される役割を果たしてきたと思います。
 私は、ある学会で自治体のコロナ対応を検証する作業をしていますが、国が指示しなければならないような自治体があったとすれば教えていただきたいというふうに思います。
 もちろん、例示したように、国と自治体の方針が対立した場面はありましたが、国の方針が常に正しかったわけではありません。人は危機に陥ると誰かのせいにしたくなるのかもしれませんが、自治体が国の言うことを聞かなかったからコロナ対応がうまくいかなかった、これからは指示権が必要だと考えたとすれば、奮闘してきた首長や自治体職員に失礼な話だと思いますし、事実に基づかない発想だと思います。
 九ページですが、五つ目は、どういう形なら指示権の制度化が許されるかという問題です。私は指示権の制度化は必要ないという見解ですが、あえて言えば、緊急事態に直面した自治体から要請があったときに限定して関係する自治体に必要な措置を指示するという制度にすることは考えられるかもしれません。改正案に赤字で挿入したとおりでございます。
 さて、十ページですが、大きく二つ目の規定として、自治体間の応援に関する指示の規定についてです。緊急事態に人材や物資などの応援は不可欠ですので、都道府県をまたがる応援の調整を国が行うことは意味があると思います。実際には災害時などの自治体の応援は既に様々な形で実践されていますので、応援の求めはよいと思いますが、指示の規定は必要でないと思います。さらに、都道府県の指示権も定められていますが、自治法で都道府県と市町村は対等とされていますので、これは避けるべきだと思います。
 最後の十一ページですが、三つ目に、指定地域共同活動団体の規定が注目されます。今後コミュニティー団体等の役割は大きくなりますので、指定制度を設けることは意味があると思いますし、自治の多様な担い手を位置づけることは自治法の目的にも合致いたします。本来は自治基本条例などの条例で定めることが望ましいと思いますが、随意契約、行政財産の貸付けなど、法律による規律の例外を設ける点で、自治法に規定することは意味があると思います。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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古屋範子#5
○古屋委員長 次に、村井参考人、お願いいたします。
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村井嘉浩#6
○村井参考人 皆さん、おはようございます。全国知事会会長の村井でございます。
 それでは、意見を申し上げます。
 まず、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例についてお話しいたします。
 第一に、国と地方は対等、協力の関係にある、分権改革によって実現したこの国、地方の関係を決して崩してはならない、このことをまず申し上げておきたいと思います。地方自治の本旨や地方分権改革により実現した国と地方の対等な関係は、今後とも守っていただくよう強く求めたいと思います。
 一方で、新型コロナウイルス感染症は、まさにこれまで経験したことのない未曽有の有事でございました。
 地域の実情に応じて自治体で対応を行い、成果を上げた取組は多々あります。例えば宮城県では、全国に先駆け、医療機関に義務づけられている発生届の対象を六十五歳以上の高齢者等に限定する発生届の限定化を行い、保健所等の負担軽減を図りました。また、クラスターが発生した学校に専門家を派遣し、感染リスクが高まる教育活動における予防対策を検証し周知することで感染拡大防止に努めました。全国知事会としても、四十七都道府県知事が参加する新型コロナウイルス緊急対策本部を立ち上げ、各県の事例を踏まえ、有効な対策の検討、都道府県との共有に取り組んでまいりました。
 しかしながら、それぞれの自治体の取組ではどうにもならないこともあり、新型コロナに係る取組の制度の根幹は国において定められていることから、知事会としても、国の役割、責任として対応していただくよう政府に提言を行ってきました。例えば、緊急事態宣言の発出前に感染症対策に取り組むことができるよう、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を提言し、まん延防止等重点措置が創設されました。
 今振り返ってみれば、確かに、今回の事態は国と地方の役割分担に関する課題を浮き彫りにした側面はあるのではないかなと感じております。国民の命や暮らしを守るために国、地方が一体となって取り組む必要があり、分権改革の成果を守りながら国と地方の役割分担の在り方について改めて考えるということは意義のあることだと考えています。
 本法律案は第三十三次地方制度調査会の答申に基づくものでありますが、調査会においては全国知事会として、新型コロナ対応を踏まえ、国と地方の役割分担について改めて明確化すべき部分があるのではないか、感染症有事などへの対応の際には生活圏、経済圏の一体性に配慮し都道府県境を越えた広域的な対策を前提とすべきではないか、市町村域を越えて感染症が拡大している場合などには都道府県主導で必要な措置を講じられるよう市町村との役割分担の在り方などを見直すべきではないか等の意見を提出してまいりました。このような意見も踏まえ議論が行われたものと承知をしております。
 国から地方への指示については、地方の側からすると、自主性、自立性という観点から望ましいものではありません。しかしながら、議論されている国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、地方の事務処理であっても国が広域的な立場から役割、責任を果たすべき場面があるということは、広く国民の命を守るという観点からそのとおりであると思います。
 新型コロナの感染初期にはダイヤモンド・プリンセス号の一件がありました。当初は、個別法、感染症法に基づき横浜市が接岸した船にいる人たちの入院の措置を行ってきましたが、横浜市のみでは広域的な調整ができず、神奈川県、東京都を始めとする他の自治体やDMATが入って対応しました。
 これは完全に法律の規定を超えてしまっております。感染初期には個別法で想定したことを超える事態が起こるのです。これをどのように収めるかというルールのないままでは、国は対策本部を立ち上げて緊急事態宣言を発するまで何もできないということになってしまいます。このようなことを踏まえますと、分権の立場からは、指示として行うべきものについて、法律上、要件、手続を明確にしておくことが無用の混乱を生じさせないためにも重要であります。このため、想定外の事態への対応に万全を期す観点から、国の自治体に対する補充的な指示を含め、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の関係について法律上明確化することは必要であろうと考えます。
 他方で、地域の実情や現場対応を行っている自治体の意見を踏まえていただくことは譲れません。このため、知事会としては、国の補充的な指示については、事前に自治体の十分な協議、調整を行うことや、目的達成のために必要最小限の範囲とすることなどを求めております。
 本法律案では、国の補充的な指示について、国と地方との関係の特例と位置づけられ、必要な限度において行使することや、あらかじめ適切な状況把握や講ずべき措置の検討のために自治体に意見等を求めるなど適切な措置を講じるよう努めなければならないことが規定されており、一定の配慮がなされたものと評価をしております。
 基本的には現行の法律の下で地方との協議、調整により解決することが望ましく、多くのケースではそれで対応できるだろうと思います。しかしながら、現行の法制の下では想定できず、国としての役割、責任を果たすために対応が困難な状況もないとも限りません。そのような場合において国の補充的な指示が行われるものと考えておりますが、その場合にあっても事前に自治体と十分に協議、調整を行っていただきたい、また、その権限の行使は必要最小限の範囲としていただきたいと考えています。
 我が国は、二〇〇〇年以降だけでも、東日本大震災、新型コロナウイルス感染症、そして今、能登半島地震という大きな危機を経験しています。そして、このような危機は南海トラフ地震を始め今後も生じ得るものであります。国と地方がそれぞれの役割を十分に果たして乗り越えていかなければなりません。
 次に、DXの進展を踏まえた対応について意見を申し上げます。
 現在、地方のDXの最大の課題は二十業務についての標準準拠システムへの移行であり、期限や経費の課題に対処しながら、国には着実に取り組める環境をつくっていただきたいと思います。さらに、新たな国、地方の共通基盤を検討していくこととされておりますが、これまでの標準化や自治体の取組を検証し、規模が様々な自治体のニーズや課題をしっかりと把握した上で、国、地方が協力しながら進めていく必要があると思います。
 そうした中、今回の改正案では、事務の種類、内容に応じて他の自治体や国と協力し、情報システムの利用を最適化すべきとしております。方向性は十分理解できますし、都道府県においても様々な共同利用の取組を行っておりますので、こうした取組も是非生かしながら進めるべきものと考えます。
 ネットワークで自治体や国がつながる中、住民の大切な情報を預かる自治体として、セキュリティーの確保も全ての自治体が対応すべき重要な課題であり、法律に基づいた取組を進めることは必要と考えます。国には専門的な知見の提供に十分配慮していただきたいと思います。
 eLTAXを活用した地方税以外の公金収納を可能とする規定も盛り込まれておりますが、住民や企業がキャッシュレスで納付できるだけでなく、金融機関や自治体において収納事務が効率化されるというメリットも大きいため、できるだけ早く実現していただくとともに、自治体側の準備に対してもしっかりと支援をしていただきたいと思います。
 最後に、地域の多様な主体の連携及び協働の推進について意見を申し上げます。
 人口減少、少子高齢化等により自治体の経営資源が制約される中で複雑多岐にわたる諸課題に対応するためには、地域の多様な主体が連携、協働しつつ生活サービスの提供を行いやすい環境を整備することが重要であります。本改正は、市町村の判断により、地域の多様な主体と連携して生活サービスの提供等を行う団体について、その自主性、自立性を担保しつつ、指定地域共同活動団体として指定し、その活動を支援する制度を創設するものであります。これにより、地域コミュニティー活動の活性化を図るとともに、地域における共助がより一層深化することに資するものと考えております。
 私からの意見は以上でございます。ありがとうございました。拍手
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古屋範子#7
○古屋委員長 次に、永田参考人、お願いいたします。
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永田尚三#8
○永田参考人 関西大学の永田と申します。本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 最初に私の簡単な自己紹介をさせていただきたいと思いますが、長年、行政学の視点から消防とか防災とか危機管理の研究をしてまいりました。コロナの期間におきましては、我が国の危機管理、災害対応とかコロナ対応とかについて論文を数本執筆させていただいております。また、昨年五月に「日本の消防行政の研究」という本を出版させていただいておりまして、この中で、いわゆる個別法で国の指示権というものが既に認められている消防行政とか防災行政における指示権の運用の実態というものについても研究をさせていただいております。本日、本法案に関しましては、危機管理という視点から、肯定側の立場からお話しさせていただきたいなと考えております。
 まず最初に、新型コロナで表面化した行政組織間の課題ということからお話しさせていただきたいなと思っております。
 今回のコロナというのは、国、地方自治体それぞれが、各種資源不足というものがございまして、やはり足並みがそろわなかった部分というのがあったんじゃないかなと考えております。その結果、我が国では非常に珍しいことだと思いますが、行政間のコンフリクトみたいなものが多様な形で表面化した非常に珍しい事例ではないかなというふうに思っております。また、それを新型コロナの危機としての特殊性が助長した側面があるかなと思っております。それが結果として危機対応の遅れということにもつながってしまったのではないかと思います。特に、国の総合調整機能が法的資源不足ということで機能しなかった点というのが非常に大きかったんじゃないかなというふうに考えております。
 では、新型コロナの特殊性とは一体何なのかということですが、私は、局地的、時限的な危機ではなかったという点が非常に大きな特殊性ではないかなと思っております。
 自然災害の場合は、どんな大きな災害におきましても被災地とそうでない地域というのが必ず存在いたします。被害を受けていない地域からの応援とか支援というものが成立するわけでございます。ところが、今回の新型コロナにおきましては、どの地方自治体も、いつ感染拡大が自分たちの地域で起こるか分からない、今感染者がいなくてもいつ起こるか分からないという非常に不確実性の高い状況下に置かれている中で、自然災害と比較すると自治体間の水平補完での連携とか応援というものが低調だったんじゃないかというふうに個人的には考えております。
 さらに、終わりが見えない危機。自然災害の場合、どんな大きな災害でも半年もたつと大分事態が落ち着いてくるわけですけれども、ところが、終わりが見えない危機というのが何年も続く中で、災害時新業務と併せて平常時業務というのも行っていかなければいけないということで行政の業務量が激増しまして、どの行政組織においても余裕のない状況に陥ってしまったということがあったんじゃないかなというふうに考えております。
 本来、危機とは何かということでございます。
 大きな危機への対応というのは本来、社会全体での総力戦で対応していかなければいけないというふうに考えております。国も地方も非常時に必要な資源を全て持っているわけではないわけでございます。それぞれが足りていない資源というのが必ずございまして、その部分を垂直補完ないしは水平補完で補って対応する必要性というのがあると考えております。今回のコロナに関しましては、それぞれが余裕がない状況の中で国も地方自治体も、語弊があるかもしれませんが、皆さんが違う方向を向いていた感じで、足並みの乱れが表面化してしまった部分があるんじゃないかと考えております。
 危機時にそれぞれの事情を持った地方自治体を総合調整する必要性がございます。それは私は国しかないと考えております。今後もこのような危機というのは必ず起こり得る、それに早急に備えないと助けられる命も助けられなくなるということではないかなと思っております。
 今回のコロナなんですけれども、大なり小なり想定外の事態というのが各所で多発したわけでございます。特に、私は、その一因として、我が国というのは比較的危機対応というのが、消防でも防災でも危機管理でもそうですけれども、事が起こってから明らかになった課題を解決する、後追い行政という傾向が非常に強いという側面がございまして、それが今回も事前想定とか準備の遅れにつながった一因になっていたんじゃないかというふうに考えております。
 先取り行政の傾向が非常に強い欧米の国々なんかでは、リスクアセスメントというのを非常に徹底的に実施される側面がございます。それによって事前に課題の洗い出しというのを相当手間と時間をかけてされているということがございます。
 我が国も今後、後追い行政から先取り行政の方に危機対応というのは持っていかなければいけないんですけれども、ただ、そこで、それでも留意しなければいけない点があるのかなと考えております。それが何かと申しますと、先取り行政でも、危機時の想定外というのは減らすことはできるけれども、なくすことはできないということでございます。事前のシミュレーションとか訓練、こういうものを通して課題というものを洗い出す限界というものが間違いなくあるということです。また、危機事案というのは発生頻度が非常に少ないので、実際の経験則から課題を事前に洗い出す限界というものが必ずあるということでございます。
 以上のような点から、本法案は望ましいというふうに私は考えております。
 危機時の国の総合調整機能というものが、この法案ができることによって強化されます。我が国の行政組織が一丸となった危機対応が可能になると考えております。さらに、各所に災害時に点在する各種資源の最大活用というものがこれによって可能になってくると考えております。また、全てなくすことができない危機時の想定外の事態に対して迅速性と柔軟性を持って対応することも、この法案によって可能になるのではないかというふうに期待しております。
 今回のコロナ対応というのは、私は、危機をコントロールするという危機管理というものではなくて、行き当たりばったりで出てきた事案に対して対応する、単なる危機対応だったというふうに考えております。やはり危機をコントロールするから危機管理ということなわけでして、その危機管理というのは事前の備えというものがあるから機能するということでございます。今後も発生し得る危機というものに対しまして危機管理というものが万全にできるように、事前の備えという視点から、本法案は非常に望ましいというふうに考えております。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。拍手
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古屋範子#9
○古屋委員長 次に、白藤参考人、お願いいたします。
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白藤博行#10
○白藤参考人 こんにちは。専修大学名誉教授の白藤です。よろしくお願いいたします。
 今回は、地方自治法の改正案の中で、第十四章の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例、この陳述では特例的関与と申し上げますが、それについてのみお話をしたいと思います。
 まず、改正法案の第二百五十二条の二十六の三でいわば特例的関与に係る意義が書かれております。その中でもちろん一番重要なのが国民の安全に重大な影響を及ぼす事態とは一体何だということなわけですが、この概念自体は、地制調の第十八回の専門小委員会で突然、事務局の側の整理としてタイトル変更で出てきたものでございます。非平時と言われてきたものをそういう表現をしたわけですが、委員の中でも非平時についてはかんかんがくがく、けんけんごうごうの議論があったと承知しております。したがって、そのままそれをその性質に着目して表現したこの概念自体にも、いろいろな概念的な曖昧さが残っていると承知しております。
 同条の中身を少し整理しますと、国の関与だけに着目すると、各大臣は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の発生又は発生のおそれがある場合に、自ら生命の保護の措置を講ずるか、あるいは適切な普通地方公共団体がそれに対する同措置を講ずるか、その場合に必要とあれば意見の提出を求める、要求することができるという規定です。もちろんこれはこれに限ったことではなくて、同条の第二項の意見の提出の要求にも、あるいは、後で特権的指示という言い方をしていますが、生命等の保護の措置に対する指示等においても同様のことでございます。
 まず、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の概念の曖昧さということに関してなんですが、御承知のように個別法の規定では想定されていない事態が念頭に置かれていて、それは専門個別行政領域ごとの個別法でも想定できない事態ということであれば、地方自治法という一般法でも想定できるはずがございません。これに対処することはまるでUFOの出現や宇宙人の襲来に備えるような話だと私は思っております。備えあれば憂いなしということかも分かりませんが、備えの段階で身を滅ぼすような改正案の定義になっていないかということを危惧いたします。
 地方自治法においておよそ想定し得ない事態を想定して、その事態に対する権限を一般的、抽象的に行政権に授権することはいわゆる白紙委任に近いものであって、行政の授権と統制の法としてできるだけ要件と効果を厳密に定めようとする行政法の世界では想定し難いことだと考えます。
 ちなみに、地制調の専門小委員会ではこの非平時の範囲については自然災害、感染症、武力攻撃が同時並列的に議論されてきたところであって、この議論にのっとれば、当然に武力攻撃災害のような事態も非平時の範囲に含まれることになろうかと思います。
 例えば、具体的に考えてみると、事態対処法に存立危機事態というのがございます。確かに存立危機事態は日本国が直接攻撃対象となる武力攻撃事態等とは区別され規定されておりますが、事態対処法において想定され対処することになっているというわけです。総務大臣が繰り返し答弁されているように、想定される事態については法律で必要な規定が設けられており、本改正案に基づくような関与を行使することは想定されていないということなのかも分かりません。
 しかし、他国に対する武力攻撃の発生を契機として日本における武力行使が開始され、そのことにより日本が武力攻撃を受けた場合と同様の深刻で重大な影響が及ぶことが明らかになる状況が客観的、合理的に判断して認められるような場合があり得るとすれば、これは仙台高等裁判所の昨年末の判決からの引用ですが、そのような場合の存立危機事態は個別法である事態対処法で想定されていない事態ではないでしょうか。つまり、改正案における国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の発生あるいは発生のおそれがある場合というのは融通無碍に広がるおそれがあるということです。
 改正案では、大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の範囲は、大規模な災害、感染症の蔓延にとどまらず、被害の程度に着目した概念である限り融通無碍に拡大することになりましょう。おのずと、かかる事態の発生等を要件とする国の指示権の発動の範囲も無限定に広がるおそれがございます。したがって、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態は厳しく要件を定義したというんですが、国の指示権等の発動要件を規定するには無内容な規定だと言わなければなりません。
 かなり飛ばしまして、次に、改正法案の第二百五十二条の二十六の四の事務処理の調整の指示及び二百五十二条の二十六の五の生命等の保護の措置に関する指示について少しお話を申し上げます。
 まず、第一なんですが、いわゆる補充的指示権と言われているものの必要性というのは個別法では規定できない、したがって個別法に基づく指示権の行使が不可能だ、それを可能にするために補充的に一般法たる地方自治法で定めるということなんですが、このような一般法主義の理解はおよそ地方分権改革そして九九年の改正地方自治法の趣旨とするところではございません。
 地方自治法における一般法主義の原則というのは、関与法定主義といっても、それぞれの法律で関与をどれだけでも強化する規定を置いてしまえばどこまでも関与は強化される、それを一般法である地方自治法において直接定めることによってその関与の強化を法的に枠づける、そういう意味があったものでございますので、これは誤解あるいは濫用というふうに理解しております。
 二つ目、自治事務と法定受託事務の区別がない特権的指示であろう。
 これは礒崎参考人もおっしゃいましたことと重なるわけですが、本改正案では自治事務、法定受託事務の区別がなく規定されております。しかし、この自治事務と法定受託事務というのは、機関委任事務を廃止して新たにつくられた事務の区分として大変重要なものでございます。特に、自治事務に関しては国の関与を最大限抑制するということでありますので、その自治事務と法定受託事務を一緒にしてしまって規定するということは到底考えられないことでございます。
 同様に、適法、違法の区別もなく、事前、事後の区別もなく特権的指示権が行使されることになっている。
 こちらも自治法の二百四十五条の五、六、七、その辺の規定を見ていただくと分かるんですが、何らかの措置をまずは地方公共団体がする、事務処理をする、それが間違っていたときに初めて関与するという事後的関与の原則が取られております。したがって、事後的関与ではなく事前的にも関与できる、適法であっても関与できる。これは到底、分権改革、改正地方自治法の趣旨に合うものではございません。
 次に、改正法案の二百九十八条、これはマイナーな規定なんですが、ここに法定受託事務とは何かということが書いてあります。
 今回、第二百五十二条の二十六の四及び二十六の五第三項等で指示された事務は全て、都道府県の事務であっても、市町村の事務はちょっと限定されてはおりますが、あるいは自治事務であっても第一号法定受託事務になるというふうに規定されております。ということは、今回の特権的指示権が行使されればその対象となる事務は全て法定受託事務になる、こんなことが許されていいはずがないと思います。
 そのことは、次の四のところの違法、不当な特権的指示に係る救済制度とも関係しております。
 現在の関与が違法であるときの救済制度というのは、国地方係争処理委員会やあるいは場合によっては裁判所にも出訴できる、取消し訴訟ができるようになっておりますが、果たして違法な特権的指示が行われた場合にどのような救済制度が用意されているのか。もちろん現行の通例的関与のものがそのまま使えれば問題ないんですが、そうでなければどうなんだろうか。あるいは、使えたとしても、冒頭で申し上げたように、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態においてその救済制度をきちんと手続的に踏んでいくことができるのかどうかというのは、私、辺野古の訴訟でずっと八年間関わってきた結果、心もとないと思っております。法定受託事務ですから、最終的に代執行までされることが想定されているとすれば、大変な問題だろうと思います。
 最後に、以上見てきたように、どう見ても改正法案は分権化という方向よりも逆分権化の兆候が見られます。憲法、そして憲法附属法である地方自治法を理念的、構造的、機能的に破壊するような改正案になっていないでしょうか。そうであれば異常事態であろうかと思います。緊急事態においてこそ徹底した分権化を図り、むしろ自治体が司令塔になって第一義的に事態に対処すべきであると考えております。緊要なのは危機管理の国化や集権化ではなく、危機管理の現場化、地域化ではないでしょうか。
 以上です。ありがとうございました。拍手
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古屋範子#11
○古屋委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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古屋範子#12
○古屋委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでとさん。
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川崎ひでと#13
○川崎委員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとでございます。
 本日、五名の参考人の方々、貴重な御意見をありがとうございました。自民党を代表して、これから質問をさせていただきます。
 コロナが発生したとき、私はまだ衆議院議員ではございませんでした。二〇二一年初当選でございました。それまでは衆議院議員の秘書を地元三重県でやっておりました。そのときは本当に多くの情報が流れてきて、何が正しい情報なのか、国、地方がどういうふうに動いているのかというのが全く分からない状態でございました。そういう意味でいけば、私もほかの市民の皆様、国民の皆様と全く同じ、同列な状況でございました。そして、テレビを見ていますと、当時の安倍元総理が学校を休校にするというような力強い発言をしたり、厚生労働省の加藤大臣あるいは田村元厚生労働大臣が病院に対する指示をするといったような、国からの指示というのが非常に強く印象的でした。
 こうして国というのはきちんとそういう責任を持って指示をするのだなというのが当時の理解だったんですけれども、改めて衆議員になってみて予算委員会等に出てみると、実はこれはあくまで助言だった、責任は地方自治体で持たなければならないというのが法律上定められていたということで、改めてこの問題は大きな問題だなというふうに考えさせられました。その上で、予算委員会に出ていますと、与野党共に国の責任、役割をしっかりすべきじゃないかというような御意見をいただいていたのを予算委員会の場を拝聴していまして思ったことでございます。
 最もまず政府としてやらなければいけないことは、あのときの反省が何だったのかというのを共有しなければならないというふうに思っています。今回のこうした地方自治法の改正についても、まず国民の皆様がしっかりと、何が当時の課題で、それがゆえに今回の法改正をしなければならないという議論に至ったのかという非常に重要なメッセージなんだというふうに思います。その上で、やはり現場の意見というのが非常に重要になってまいります。
 そこで、まず第一問目は村井知事にお伺いしたいというふうに思います。
 新型コロナの取組、先ほども申し上げたように、各地方自治体の皆様に本当に様々な御対応をいただきました。例えば、都道府県に入院調整本部を設置してもらって、県が監督していない保健所も踏まえて各入院の調整、こうしたものも多く受け入れていただきました。入院患者が多くて受け入れられないところはまだ患者数が少ない地域のところに転院、受入れをしてもらうように調整いただいたり、かなり御苦労されたというふうに理解しております。そういう意味では、本当にあのときの対応はありがたいなと心から感謝を申し上げたいところでございます。
 先ほどの村井知事からの御発言で、今回のコロナ対応で国や都道府県が果たすべき役割に関する課題が浮き彫りになったというふうな御発言をいただきました。具体的にどういう課題が浮き彫りになったのかというところを、改めて情報共有の意味で御答弁いただけますでしょうか。
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村井嘉浩#14
○村井参考人 都道府県、市町村は警察、消防、保健所等を所管しておりますので、危機対応措置の実施面で大きな役割を担う一方、国は、基本方針の策定や危機事態の発令、広域的な応援等の役割を担っております。こうした状況の下で、新型コロナ対応について国や都道府県が果たすべき役割に関する課題として数点挙げたいと思います。
 一点目は、国が主導すべき部分、地方が主体的に取り組む部分の具体的な線引きがないまま、内閣官房や厚生労働省を中心に、膨大な通知、事務連絡による頻回の制度変更で現場が混乱する場面が発生したということであります。具体的には、病床確保などの医療提供体制の強化や保健所による積極的疫学調査などで混乱が発生をいたしました。
 二点目は、緊急事態宣言の発出や蔓延防止等重点措置の適用の権限は国にございまして、知事の要請に応じた機動的な発出等が行われない場面が発生をいたしました。休業要請など民間事業者に対する権限行使の多くは知事が行うものとされておりますが、国が基本的対処方針により細かく措置内容を規定するため、地方が現場の判断に基づく柔軟な感染対策を講じづらい状況にございました。
 感染の発生、拡大の経路の態様、対応する保健医療提供体制のリソースは地域ごとに大きく異なるとともに、地域ごとに異なる健康危機が同時多発的に各地で急速に生じるため、感染対策は地域で機動的に判断することができればより機動的に実施できるものが多いものではないかというふうに考えております。
 このように、緊急時におきましては国と地方との関係で様々な課題があったものと考えております。
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川崎ひでと#15
○川崎委員 ありがとうございます。
 現場が混乱をした、国と地方のそれぞれの役割がやはり明確になっていなかった、こういうふうに理解いたしました。
 その上でなんですけれども、今度は山本教授にお伺いをさせてください。
 まさに地方の判断と責任の下でやらなければならない、国はあくまで助言だというような位置づけでそれまでのコロナ対応がされてきたわけなんですけれども、実際に今回は国の責任なのか地方の責任なのか不明確だったというようなお声がたくさんあったというのが、これまでの予算委員会等で私は把握している限りでございます。
 その上において、今回の法改正においては、何人かの委員の皆様から立法事実がないというふうなお声等をいただいているケースもありました。今回の法改正、必要だというふうな提言をまさに調査会でやられたわけだと思うんですけれども、改めて立法事実を明確にお伝えいただけますでしょうか。
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山本隆司#16
○山本参考人 お答えをいたします。
 先ほども申しましたけれども、地制調の中では、具体的に、過去の災害対策基本法、感染症法、それから新型インフルエンザ特措法、こういった法律の中で一定の範囲で指示の規定があるのですけれども、それではカバーされないような、そういう事態が発生したということが提示をされました。それが立法事実ということになるかと思います。
 それで、現在何があるのかということ、これは先ほど来も議論があったところなのですけれども、もし現在具体的にこういう事態が考えられるのでこれについて国の指示権を規定すべきであるということになりますと、これは個別法をそのように改正すればいいということになるわけでして、地方自治法上の一般的な制度を設ける必要があるかどうかという議論でなくなってしまうということがございます。
 ですから、私たちとしては、過去に想定されていなかったような事態が発生した、現在でもそれが発生する可能性がある、それを具体的にこういう場合だというふうに示すことは困難なんだけれども、しかし可能性はこれは否定ができないだろうということを考えて制度の提案をしたということでございます。
 以上です。
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川崎ひでと#17
○川崎委員 ありがとうございます。
 私も、まずこの法案は改正が必要だというふうな立場でお話をさせていただきますけれども、先ほどお話をいただいたように、今回のコロナと同じような事態が起きてしまったときに、個別法の改正が行われるまでの間が国の役割が法律上不明確だというふうになっていると非常に問題があると思いますし、個別法の改正が行われるまでの間どうしてもタイムラグが生じますから、その間国民の生命を危険にさらしておくのかというと、これは非常に問題があるというふうに思っています。村井知事も大きくうなずいていただいていますけれども。こういう意味では、何が起こるか分からない、こうした昨今の状況においてしっかりと対策をするというのが本当に必要なんだというふうに思っています。
 コロナというものが起きてしまった事実は変えられません。これをこのまま蓋をしたままですと、当然ながらマイナスの、負の、ネガティブなものにしかなりませんけれども、やはりこうしたものをきっかけに一つ一つの制度を充実させて、次に何が起きても対応できるようにというふうなスタンスを取っておくのが国として必要な事項なんだというふうに思います。
 そこで、次の質問に参りたいと思います。礒崎教授にお伺いをさせてください。
 先ほど教授の御発表の中で、国が対応しなければならない事態があれば教えてほしいというような御発言をいただきました。その後に村井知事の方からダイヤモンド・プリンセス号のお話があったというふうに思います。
 この総務委員会のメンバーにおいては、まさにダイヤモンド・プリンセス号を受け入れた横浜市選出の古川議員も先般この総務委員会で同様のお話をされておりました。ダイヤモンド・プリンセス号においては、最終的に七百名以上が感染したというふうな状況になっていました。これを、正直、横浜市だけで対応するというのは無理だった。厚労省、神奈川県も出てきてDMATも出動し、そして様々な対応をしていただいたおかげできちんと適切に対応いただいたというふうに思っていますけれども。私としては国が対応しなければならない事態だというふうに理解をしているんですけれども、この事実を踏まえて、礒崎教授からコメントがあれば教えていただきたいと思います。
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礒崎初仁#18
○礒崎参考人 ありがとうございます。
 私が申し上げたのは、国が指示しなければならないような事態というのはコロナ対応にはほとんどなかったのではないかということでございました。
 御指摘いただいたダイヤモンド・プリンセス号も、委員もおっしゃったように、実際には神奈川県が神奈川DMATの出動を要請いたしまして、私のスライド、八ページの真ん中頃にありますけれども、七百六十九名の患者を十六都道府県に搬送した、これは国の指示ではございません。
 むしろ、それぞれ県あるいは厚労省が事実上調整をしっかりすることによって法の枠組みを超えて対応したということでございますので、指示は要らなかったし、厚労省に指示しろと言われても、厚労省はどういう指示をしたのか、それはもう相手と面と向かってその場その場で対応しなければいけなかったので、指示というような対応はあの場面でも必要なかったし無理だったのではないか、それよりも事実上の協調、協議、そして国の助言、こうしたもので対応できたのではないだろうかというふうに思っております。そういう意味で、指示が必要な場面というのはそう多くなかったのではないかと申し上げたところでございます。
 以上でございます。
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川崎ひでと#19
○川崎委員 ありがとうございます。
 同じ質問を白藤教授にもさせていただいてもよろしいでしょうか。
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白藤博行#20
○白藤参考人 私も礒崎参考人と同じような考え方でございます。むしろ、あのとき国が勝手に、横浜市のことを考えず、神奈川県のことを考えず今回のような特権的指示をすればかえって混乱したのではないかと思っております。
 以上です。
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川崎ひでと#21
○川崎委員 ありがとうございます。
 お二人の共通点は、まさに事態は現場で起きているということなんだというふうに思います。この発言は村井知事の方からもありましたし、本法案が審議入りされる前、本会議場でおおつき議員も同じ発言をされていたのを記憶しております。私も同感です。事態は現場で起きているというのは間違いないと思います。
 一方で、事態は現場で起きていますけれども、科学的な情報や知見というものは国に集約される。こういう意味においては、両方が両方を補完し合いながら動いていかないといけないというふうに思っています。そういう意味で、恐らく知事会からの提言においては、事前に適切な協議、調整を行うこと、運用で行うことというふうな提言をいただいているというふうに理解しております。
 まさにここで運用という表現を使われているのがすごく印象的なんですけれども、この事前にという部分、これがどういうタイミングでやるべきなのかというのを、それぞれ、山本教授、そして村井知事から、この事前の運用というイメージをちょっと明確にしていただきたいと思います。
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山本隆司#22
○山本参考人 お答えをいたします。
 まず、基本的な考え方として、地方制度調査会においても、指示権ということは、これは極端な場合に発動することが考えられるものであって、国と地方公共団体との間で綿密に情報交換それからコミュニケーションを行うということがあくまでこれは前提であるということでございました。
 その上で、具体的な手続をどのように定められるのかということも議論いたしましたけれども、本当にこれはケース・バイ・ケースで、事前にきっちりと意見交換をする時間的な余裕がどれぐらいあるのかということにもよるというふうに議論いたしました。
 したがいまして、正面からのお答えにはならないのですけれども、非常にケース・バイ・ケースで、これを一般的に何か具体的な手続を制度化するのは難しいというふうに議論いたしました。それで、今回の法案の中では努力義務という形で、とにかく十分な情報交換、意見交換をするようにと。その上で、では具体的な場面でどの程度それができるのかということについては、それはケース・バイ・ケースで判断される。しかし、努力義務ですから、やはり努力はしないとそれは法律に違反することになる、地方自治法に違反することになるという効果はあるのではないかというふうに考えております。
 以上です。
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村井嘉浩#23
○村井参考人 私も山本先生と同じ意見でございます。
 事前にというのは、ちゃんとした定義はないんですけれども、やはり個別法ができる前まで、状況に応じてできるだけ早くという意味でございます。協議、調整をしっかり行っていただきたいという意味で、運用という言葉を使わせていただきました。
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川崎ひでと#24
○川崎委員 ありがとうございます。
 本当に緊急事態が起きたときの指示の部分でありますので、地方自治法が改正されたとしても濫用してはいけないというのは私も感じるところでございます。それゆえに、国と各自治体がしっかりと話し合う、こうしたところを設けなければならないなというふうに理解しております。
 改めて村井知事に御答弁をお願いしたいんですけれども、今回こうして制度化するに当たっては、地方分権という精神、法にのっとってきちんと、国が過度な介入、指示をしない、現場の意見がきちんと生かされる、こうした状況を制度面でもうたう必要があるというふうに理解しております。今回法改正されて、具体的な運用を考えるときになったときに改めて政府に対してこれだけは強く言っておくというようなことがあれば是非、村井知事からまさに現場の声としてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
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村井嘉浩#25
○村井参考人 繰り返しになりますけれども、個別法では対応できない、全く想定されていない事態が発生した場合、そして、あくまでも補充的なものであるということ、特別のレアケースであるといったようなことはしっかりと皆さんで確認し合っていただきたいというふうに思います。
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川崎ひでと#26
○川崎委員 ありがとうございます。
 もちろん基本的に個別法で対応ができていればこの法案で指示を発動しなくてもいいということになりますけれども、やはり想定外のことというのは常に起きるというのは先生方からも御意見をいただいたところだというふうに思いますし、これが発動するということは、総務省を含め様々な法案を作っていただいている役所の皆様もすぐに、自分たちの考えていたことよりも範囲外のことが起きてしまったということで早く個別法を改正しなければならない、そういう意識になるというふうに思っています。こうした法案の改正のスピードを速く上げるということもかなり重要だと思いますので、それは我々政治家もしっかりと努めなければならないというふうなことを我々も申し上げておきたいというふうに思います。
 今日は永田参考人にもお越しいただいて、質問をさせていただこうと思ったんですけれども、予定の時間が来てしまったので、このほかにも質問をするメンバーがおりますので、その方々に御回答をお願いしたいというふうに申し上げて、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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古屋範子#27
○古屋委員長 次に、道下大樹さん。
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道下大樹#28
○道下委員 立憲民主党・無所属の道下大樹と申します。
 今日は、五名の参考人の皆様、本当にお忙しいところをお越しいただき、また、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 それでは、質問をさせていただきたいと思います。
 二〇〇〇年の地方自治法改正によって多くの法定受託事務を残し、自治体の財源を削って機能を弱めてきたという指摘もありますけれども、しかしそれでも国と自治体の対等、協力を掲げて地方自治が発展されていった、地方分権が進んでいったということは私も認識をしているところでございます。しかしながら、今回の地方自治法改正における特に指示権の導入というところが非常に問題ではないかということが、多くの識者の方々、また地制調の中でも議論があり、我々の党内での議論、そして多くの専門家の方々からも御意見があり、今日の参考人の皆様からの御意見の中でもそういったものがあると思います。
 総じて言えば、憲法に明記されています地方自治の本旨、それに反しており、また、団体事務を根本から崩れさせるような、不安定にさせるような、そうしたものがあるのではないか、地方分権改革が掲げていた対等、協力という方向からも大きく逆行するのではないかというふうに私は認識をしているところでございます。
 まず、指示権の導入に当たっての立法事実について、山本参考人、礒崎参考人、永田参考人、白藤参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほども山本参考人が、想定できない事態なので想定はできないということで、そういった御回答がありました。
 また、永田参考人の御意見の中では、我が国の危機的対応が後追い行政で事前想定や準備が遅かった点も一因という、今回のコロナの対応ですね。想定外の事態が多発したということで、これは後追い行政だ、事前想定や準備が遅かったということ。ただ、永田参考人は、以上のことから危機時の国の総合調整機能がこの指示によって強化されるということなんですが、私はちょっと一足飛びではないかなと。その関連性がちょっと思い浮かばないんですけれども。
 今御指名させていただいた四名の方々に、指示権導入に当たっての立法事実について、改めて、あるのかないのか、その具体的なことについて伺いたいと思います。
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山本隆司#29
○山本参考人 先ほどお答えしたことと重なりますけれども、私どもとしては、やはり個別法が想定していない事態というのは今後も起きるだろうということは、それはやはり否定できないのではないかということです。
 もちろん、その前提として、個別法を所管する省庁あるいは国会の皆様においてきちっとできるだけその事態を想定して個別法を見直しあるいは改正していくということが必要であると思いますし、最近は随分そういった動きがあると思います。私自身も役所でそういったことに関わったことがございます。それでもなお想定をされない事態は起きる可能性があるということです。それは、今も申し上げましたように、想定されていない事態を考えて何か制度をつくるというだけではなくて、もちろん個別法を不断に見直し、できるだけ事態に対応できるようにするという努力が必要なことはもちろん前提として申し上げているということです。
 以上です。
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