坂本恵の発言 (法務委員会)

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坂本恵君 お隣の福島から参りました、福島大学の坂本と申します。
 今日、このような機会を頂戴しまして、感謝申し上げます。
 私自身は、この二十年ほど技能実習生、監理団体、実習実施機関支援を行ってまいりまして、ベトナムも十五回ほど行き、派遣機関とも連携をしてきました。最近は高齢化を埋める形で外国人労働者の多い石川県能登半島にも地震発災後三度ほど参りまして、外国人労働者、監理団体、登録支援機関支援を行っております。それらで得た知見も本日お示ししたいと思います。二〇一六年と一八年、本委員会でも陳述の機会をいただいております。
 まず、前提の認識の点です。
 四月二十四日、本委員会で、自民党牧原委員から、日本国内の生産年齢人口減の指摘がございました。公明党大口委員からも、国際的な人材獲得競争が激化しており、我が国が外国人から選ばれる国であり続けるため、不断の努力が必要との御指摘もございました。
 外国人労働者受入れは、今後全く違う様相を呈することになる。それは、ベトナム、中国、東南アジアの急速な高齢化の進行と労働人口の減少の問題です。
 ベトナムを例に挙げると、一九七五年、合計特殊出生率は六でした。夫婦に子供六人ですね。現在、御存じでしょうか。一・九八です。二を切り、人口は減少局面に入ります。生産年齢人口は既に減少局面に入っています。家族介護が基本の国ですので、高齢化する両親を二人以下の子供が面倒を見て、海外に働きに行く余裕がなくなる。十年、十五年というスパンで見ると、ベトナム人労働者も、中国がそうであったように、十分の一ほどに減少する、激減するということが予想されます。
 同じく、合計特殊出生率、マレーシア一・七、シンガポール一・二、タイ一・五、ミャンマー、インド、バングラデシュ、三か国共に二で、この三か国はここ数年で二を切ります。これが現実です。
 政府は、特定技能労働者の受入れ上限を、三十四万五千人から、向こう五年間で八十二万人に拡大するとしていますが、門戸を開けば外国人労働者が押し寄せる時代は既に終わったということを知るべきです。円安もあり、監理団体、登録支援機関からは、日本に来る人が減って、ほかの国に流れて、現地で人集めが難しい、今日もそういう御意見が上がっております。日本は既に選ばれない国になってきている、これが現実であり、その認識に立った施策が求められます。
 二点目。監理団体に代わる新設の監理支援機関の問題です。
 今回の能登半島地震では、監理団体のよしあしが実習生対応の是非を決めました。実習生を事実上放置した監理団体もあったと聞きます。しかし、よい監理団体、例えば、金沢市にございますビジネスアシスト事業協同組合、理事長が発災直後に奥能登、珠洲市に行きまして、本人に意思確認した上で実習生十六名を救出し、十二時間かけて羽咋郡まで連れ戻り、四百食の水、食料も提供された。就労先が再開できないので、四十名近くの水産加工の実習生を引き取って、移籍ポータルを使って、全国に電話をして、転籍先を今も探しておられます。実習生らは、転籍はやむを得ないけれども、会社、監理団体がよいので本当は動きたくないというふうに言います。
 やはり、こういう優良監理団体を増やさないといけない。入管、実習機構は、激甚災害指定地域でもありますので、移籍手続は、通常の順番待ちではなく、最優先で行っていただきたいというふうに思います。
 今回の育成就労法で新設される監理支援機関ですけれども、先ほどもございました、外部監査人設置、あるいは、受入れ機関と密接な関係を有する役職者を業務に関わらせてはならないとあります。ただ、これで悪質な監理団体を本当に排除できるのでしょうか。
 例えば、監理団体の関係者が会員制の技能実習試験機関を設立をして、会員には便宜を図る一方で非会員には不利益な扱いをする、こういう場合は密接な関係にはならないのでしょうか。監理支援機関関係者にやはり人権教育を徹底する必要がございます。それから、公認会計士による監査も必要ではないでしょうか。
 育成就労生に対する避妊教育、それから、産休とか育休が日本にあるんだという周知、こういう多言語のよいテキストがあるんです。そういうのを使っておられる監理団体もございます。
 三点目。転籍要件の問題です。
 日本語要件ですね。やはりこの案では本人の意思による転籍を妨げることになるのではないかということです。
 育成就労制度及び特定技能制度に関わる評価方法では、育成就労一年経過時及び育成就労終了時のいずれも、日本語能力A1ないしA2相当以上の試験の受験とございます。合格を求めていないんですね。
 ところが、本人の意向による転籍の場合は、つまり一年終了後、二年終了後ということですから、これはA1、A2相当の試験の合格が要件となるとなっております。これはやはりダブルスタンダードでして、転籍の場合にも、合格ではなく、一年目、二年目ですので、受験を要件としてそろえるべき、基準を同一にすべきではないでしょうか。
 四点目。送り出し手数料の問題と、転籍元と転籍先の初期費用分担の問題です。
 初期費用の中には、送り出し機関への送り出し手数料が含まれております。来日前の費用支払いについて、入管庁は、令和四年七月二十六日に、不当な徴収がされていることが疑われることを踏まえて、技能実習生の支払い費用に関する実態調査というのを、報告を行っていただいております。これは資料の中に図で入っております。入管庁の御尽力に本当に感謝を申し上げたいと思います。
 ここでは、来日前初期費用として実習生が母国の送り出し機関、仲介者に支払った総額は平均で五十四万二千三百十一円とあり、ベトナムは六十八万八千百四十三円、中国、カンボジアもほぼ六十万円を払ってきております。実際は、ベトナムの場合、平均で七十五万円くらいではないかという専門家の指摘もございます。二百万円以上払ってきているというケースもあるようです。
 このお金、本国では領収書も実は一部しか発行されないんですね。このお金が、日本側監理団体に対するいわゆる過剰な接待あるいはリベート、賄賂にその一部が使用されている可能性もやはり高いものだと思います。
 禁止されておりますけれども実態としては徴収されているという、一万ドルを超える保証金ももし合わせると二百三十万円ほどの金額になり、これを借金によって準備してきているわけです。ベトナムの場合は、安くとも、金利、年利一〇%ですので、ベトナムだと、今、平均月給は月三万五千円程度ですけれども、約五年分の年収に相当する借金を背負って来日をして、その返済のために、高い給料を得られるというふうに言われると、失踪する原因ともなっているかと思います。
 もちろん、一部は送り出し機関の仕事に対する報酬だとしても、それ以外の不当な手数料を禁止させることがやはり必要です。日本の国内法でもILO条約も、労働者から仲介手数料を徴収することは禁止されております。労働者からの手数料徴収を禁止をして、これを送り出し国に通告するべきではないでしょうか。これは、二国間協力覚書、MOCを結ばなくても、高額な初期費用を取るなら受け入れませんよと相手国に通告すればできることです。
 四月二十六日、本委員会の是川参考人の意見がございましたけれども、この初期費用、正当な部分のみになれば、育成就労の外国人、監理支援機関、育成就労実施機関、全ての負担が減るわけです。失踪も防げる効果が大きいわけです。三方両得で極めて効果が高いことですので、技能実習機構、新設の育成就労機構には、本当に検討、尽力を強く求めたいと思います。
 初期費用の分担について、入管庁は、転籍先の負担割合が大きくなるよう傾斜をつけることも検討しているとされておりますけれども、一年に一度転籍が認められている韓国では、転籍の初期費用負担というのはそもそもございません。また、就労年数に応じた単純按分の方が、誰にでも分かりやすくてよいのではないでしょうか。
 五点目。本人意向の転籍の問題です。
 本人の意思での転籍を認めると、給与の高い都市部に流れるのではないか、特に実習実施機関でその懸念があること、今日お話にもありました。私は十分存じ上げております。やはり、最低賃金張りつきではない時給をお支払いいただき、敬意を持って扱われれば、外国人労働者は、時給がよいというだけでは容易には動かない。私が能登で会った実習生たちはそうでした。
 原則を言うと、技能実習生も有期雇用労働者に該当する。有期雇用労働法が適用されると想定しますと、二〇二一年四月一日に施行された同一労働同一賃金が適用されるわけです。これに違反すると、行政の助言、指導、勧告の対象となります。
 最低賃金で物を言うから都市部への流出の話が出ますけれども、最低賃金ではなく、それ以上の賃金を頑張って支払っていただいて、労働環境を向上させれば、都市部への流出の懸念は相当なくなるというふうに思います。法務省、入管、厚労省の原則的な対応を求めます。
 六点目。最後に、永住許可取消し問題です。
 他の在留資格とは異なり、厳格な審査を経て得られる永住許可です。現行法でも、一年を超える懲役刑、禁錮刑を科された外国人は強制退去の対象となりますが、今回の法改正では、軽微な一年以下の懲役、禁錮刑であっても永住許可の取消しが可能になるのではないか。
 四月二十四日、本委員会で、自民党山田美樹委員が、永住者の公租公課不払いの実態を入管庁は把握しているのかとの質問に、丸山次長は、一部の自治体から、永住の申請時にまとめて滞納分を支払って、その後再び滞納するといった声をいただいているところですということしか答えられずに、具体的な数字は一切挙げられませんでした。立法事実がやはり存在していないということかと思います。公租公課の支払いを行わない、行えない場合は、日本国籍者同様に、法的に督促、差押え、行政罰を科せばよいだけです。
 欧米の事例紹介が、四月二十六日、本委員会の岡部参考人からございました。しかし、日本の場合、在留カード不携帯等の極めて軽微な入管法違反の場合も、永住許可取消しになり得るのではないか。入管は、そのような場合は適用しない運用をと言われますけれども、それであれば、それを法文に明記すればよいということです。
 また、冒頭述べたとおり、育成就労になっても、外国人が増えるより、早晩減少に転じます。このような形での永住許可取消しは、マイナンバーと在留カード一体化と同様に、G7の流れとも全く逆行し、海外から改めて人権侵害と指弾されるものだと思います。
 高度人材含め、渡航先を検討する場合、永住許可は重要な選択基準となってまいります。永住許可を不安定化する日本は、海外労働者にとっては更に魅力のない国になり、渡航先選択肢から外れる可能性がございます。これは、中小企業だけではなく大手企業にとってもダメージだと思います。
 今法改正の永住許可取消しに関して、政府・与党は経済界の意見を十分聞かれたのでしょうか。恐らくかなりの懸念が予想されます。永住許可取消し部分に関しては、本法案からは切り離して、経済界の意見も十分反映し、別途法案として再度提出し直すべきではないでしょうか。それが本法案審議の前提です。
 日本の進路を決める重要法案です。慎重な審議、修正を期待して、意見とします。
 ありがとうございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 坂本恵

speaker_id: 32725

日付: 2024-05-14

院: 衆議院

会議名: 法務委員会