日下正喜の発言 (法務委員会)
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○日下委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
次に、再犯防止に関連して、高齢者や障害者の刑事事件をめぐる課題について質問いたします。
先日、児童精神科医として精神科病院や医療少年院、女子少年院に勤務してこられ、現在立命館大学教授の宮口幸治氏の「ケーキの切れない非行少年たち」という本を読ませていただきました。
それによると、二〇一七年の刑務所の新規受刑者数は一万九千三百三十六人で、そのうち約二〇%に当たる四千人弱がIQに相当するCAPASという能力検査値が七〇未満の軽度知的障害若しくは知的障害の方々、そして三四%はCAPAS値七〇から八九の境界知能と呼ばれる領域におられる方々、合わすと約半数になるということです。
これまで知的障害の定義は米国主導で行われてきており、アメリカ精神医学会では、一九五〇年代の一時期はIQ八五未満を知的障害としていましたが、それでいくと全体の一六%が知的障害ということになり、支援が追いつかない等のため、一九七〇年代以降、IQ七〇未満に改められ、今日まで続いているということです。
ただ、数字の定義は変わっても、知的なハンディや生きづらさは変わらないということでございます。
著者の宮口氏は、こうつづっています。
少年院に赴任したての頃は、凶暴な連中ばかりで、いきなり殴られるのではないかといつも身構えていました。しかし、実際は人懐っこくて、どうしてこんな子がと思える子もいました。しかし、一番ショックだったのが、簡単な足し算や引き算ができない、漢字が読めない、簡単な図形を写せない、短い文章すら復唱できないといった少年が大勢いたことでした。見る力、聞く力、見えないものを想像する力がとても弱く、そのせいで勉強が苦手というだけでなく、話を聞き間違えたり、周りの状況が読めなくて対人関係で失敗したり、いじめに遭ったりしていたのです。そして、それが非行の原因にもなっていることを知ったのです。
また、一次障害は、障害自体によるもの、二次障害は、周囲から理解されず、学校などで適切な支援が受けられなかったことによるもの、三次障害は、非行化して矯正施設に入り、さらに理解されず、厳しい指導を受け一層悪化する、四次障害は、社会に出てからも理解されず、偏見もあり、仕事が続かず再非行につながるというものです。
そして、矯正施設内の検査で知能が高く見積もられると、知的な問題はなしと判定され、健常少年と同じ扱いになり、不適応行動を繰り返し、そのたびに単独室で反省、出院延期、それで余計に暴れ、また処分。これを繰り返すと精神科医が呼ばれ、精神科薬が投与、効果が出なければ投与量が増え、出院時には精神科薬がないと生活できない患者になってしまうこともあるといいます。
少年院や刑務所が最後のセーフティーネットになってしまい、精神科薬がなければ生活できない患者になってしまうケースもあるという、こんな痛ましいことがあってはならないと思います。
先日、元日本司法精神医学会会長で児童精神科医の松田文雄医師を訪ね、お話を伺ったのですが、こうした障害のある人が加害者になるというよりも被害者になる数の方が圧倒的に多い、素直さゆえにすぐにだまされてしまう、利用されてしまうということでした。
司法と福祉のはざまで福祉的支援につながることができず苦しむ人を一人でも減らせるよう、関係府省庁が連携し、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。知的なハンディを持って日々生きづらさを抱える人たち、子供たちを、犯罪被害から守る、そして犯罪者にしない、さらに再犯者にしないことが大変重要だと思いますが、小泉大臣の御所見を伺います。