鈴木俊一の発言 (本会議)
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○国務大臣(鈴木俊一君) 伊東信久議員の御質問にお答えいたします。
まず、政治資金パーティー等に係る課税関係についてお尋ねがありました。
政治団体は、法人税法上、公益法人等又は人格のない社団等に該当し、収益事業から生じる所得について、法人税を課すこととされています。
この収益事業については、営利企業の経済活動や公益法人等が行う事業内容の変化などにより、これまで必要に応じて見直しを行ってきたところですが、政治団体が政治資金を集めることを目的としたパーティーを開催し、会費を受け取る行為は、法令に規定された収益事業のいずれにも該当せず、課税関係は生じないと解釈されております。
今後とも、収益事業の在り方については、時代の変化を見据えつつ、必要に応じて検討していくとともに、政治資金に係る課税関係も含め、国税庁において引き続き税制度について丁寧な説明を行うことで、納税意識の向上を図ってまいります。
次に、親族間の政治団体等の承継に対する相続税についてお尋ねがありました。
ある政治団体の代表者が死亡した後、その親族が代表者になり、政治団体を引き継いだとしても、その政治団体が保有する財産は代表者個人が取得したものではないことから、相続税の課税関係は生じないものと承知しています。
この代表者の地位の承継に対して相続税を課税することについては、相続税は財産を取得した個人に対して課されることが原則であることに加え、政治団体以外の団体における代表者の地位の承継とのバランスなどを踏まえれば、慎重な検討が必要であると考えております。
次に、租税特別措置についてお尋ねがありました。
令和六年度税制改正により、廃止する租税特別措置は四件であり、これに伴う増収見込額は僅少、新設する措置は六件であり、これに伴う減収見込額は二兆三千二百五十億円程度と見込んでおります。
租税特別措置については、税制の公平、中立、簡素の基本原則に鑑み、真に必要なものに限定し、いたずらに全体の項目数を増加させないことは極めて重要ですが、その見直しに当たっては、機械的なルールの当てはめではなく、その必要性や政策効果をよく見極めた上で、不断の見直しを行うことが重要と考えております。
次に、研究開発投資についてお尋ねがありました。
我が国の研究開発投資額は、対GDP比で見て、諸外国と比べても遜色のない水準でありますが、他方で、米韓と比較してコンピューター及び情報通信産業の比率が低くなっている背景には、経済状況や企業業績、産業構造、政府による政策内容の違いなど、様々な要素があると考えております。
また、研究開発税制については、従前より試験研究費割合が減少した場合でも、研究開発投資を継続するインセンティブとなるよう一定の割合までは税額控除を認めてきたところですが、研究開発投資のインセンティブの更なる強化を図るため、令和六年度税制改正では、研究開発費が減少している場合の控除率の引下げを行っているところです。
次に、実質所得の増加への期待と生産性の向上を伴わない賃上げについてお尋ねがありました。
持続的な賃上げに向けては、賃金が上がることが当たり前という前向きな期待を社会に定着させていくことが重要であり、先月開催された政労使の意見交換では、昨年を上回る水準の賃上げを総理から経済界に強く呼びかけ、春季労使交渉では、それに呼応する動きが広がっていると認識しております。
また、生産性向上を伴わない賃上げとの御指摘については、政府としては、財政出動に頼り続けるのではなく、経済の好循環による自律的な成長の中で賃上げを実現していくことが重要と考えており、具体的には、中堅・中小企業の省力化投資や研究開発、イノベーションへの支援などを通じて、企業の生産性向上につなげ、持続的で構造的な賃上げを実現してまいりたいと考えております。
次に、賃上げ促進税制についてお尋ねがありました。
令和四年度税制改正において抜本的に拡充された賃上げ促進税制については、幅広く企業の賃上げに活用されてきたことから、三十年ぶりとなる昨年の高い賃上げにも一定程度寄与しているものと考えておりますが、その上で、物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現する観点からは、賃上げへのインセンティブの更なる強化が必要と考えております。
そのため、今回の改正に当たっては、大企業向けの基本控除率の見直しや更に高い賃上げ要件の創設、中小企業向けの繰越控除制度の創設など、本税制の更に思い切った強化を行うこととしており、企業に対しては、新たに強化された本税制を活用し、賞与や一時金だけでなく、ベースアップによって強力に賃上げを実現していただくことを期待しています。
次に、持続可能な賃上げについてお尋ねがありました。
持続的な賃上げについては、単に財政による再分配に頼るのではなく、経済の好循環による自律的な成長の中で実現していくことが重要と考えております。
具体的には、賃上げと所得減税等によって可処分所得の伸びが物価上昇を上回る状態をつくり上げ、デフレマインドの払拭を図るとともに、三位一体の労働市場改革などを通じ、人への投資や企業の生産性向上を促進することにより、持続的で構造的な賃上げを実現してまいりたいと考えております。
こうした賃上げの取組に加え、社会保障関係費を始めとする徹底した歳出改革の取組も進めることで、高齢化等による国民負担率の上昇に歯止めをかけることも必要であると考えております。
次に、扶養控除と課税方式についてお尋ねがありました。
十六歳から十八歳の扶養控除の見直しについては、高校生年代に支給される児童手当と併せて、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充する方針としており、少子化対策全体の効果を減ずるとの指摘は当たらないと考えております。
N分N乗方式は、所得税率の累進性を緩和することができる仕組みですが、低中所得者層にはその効果が全く及ばない一方、高額所得者、とりわけ片働き世帯に大きな利益が生ずることや、多額の減収が見込まれることなどを踏まえれば、我が国への導入については極めて慎重な検討が必要と考えております。
次に、デジタル歳入庁構想についてお尋ねがありました。
議員の御指摘は、マイナンバーなどを活用して様々な情報を連携することで、セーフティーネットに係る給付を公正公平に実現するという趣旨と理解しますが、政府としても、デジタルの力を活用しつつ、行政事務の効率化や効果的な執行を不断に図っていくことは極めて重要であると考えております。
具体的には、御指摘のように、新たな組織をつくるということではなく、行政機関の間のデジタルによる連携を深める中で、マイナンバー制度を通じた正確な所得情報等を基に給付すべき方を特定するとともに、国民の皆様にあらかじめ公金受取口座を登録いただくことで、迅速かつきめ細かい公的給付が可能となっており、今後もこの仕組みをしっかりと活用してまいりたいと考えております。
次に、フラットタックス及び金融所得課税についてお尋ねがありました。
御指摘のフラットタックスについては、簡素な税制度と手続を構築する御提言であると理解しますが、税率構造等をできるだけ簡素化することにより所得再分配機能が損なわれることがないか、慎重に検討する必要があると考えている一方で、納税手続の円滑化は納税者の負担を軽減する観点から重要であり、国税庁における丁寧な説明や納税手続のデジタル化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
また、金融所得のうち上場株式の譲渡益等に対し、他の所得から分離して単一税率により課税していることについては、金融市場にゆがみを与えにくいこと、税負担の軽減を目的として意図的に金融取引のタイミングを調整する行為を抑制できることなどの観点から、一定の合理性があると考えております。
最後に、税制の抜本的な変革についてお尋ねがありました。
政府としては、公平、中立、簡素という租税原則の例外として、その時々の政策ニーズに応じて時限的に講じられる租税特別措置の積み上げによってではなく、所得、消費、資産などの課税ベースのバランスにも配慮しつつ、少子高齢化を始めとする中長期的な経済社会の構造変化に応じて見直しを行うことによって、あるべき税制を構築していくことが重要と考えております。
近年の改正においても、例えば、再分配機能強化や格差固定化防止の観点から、所得税や相続税の最高税率の引上げ等を行っているほか、働き方の多様化に対応する観点から、特定の収入のみに適用される給与所得控除等の一部を基礎控除に振り替えるなどの見直しを行っており、今後とも、中長期的な構造変化に対応したあるべき税制の構築に向けて取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣松本剛明君登壇〕