神谷裕の発言 (本会議)

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○神谷裕君 立憲民主党の神谷裕でございます。
 私は、ただいま議題となりました食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に対し、立憲民主党・無所属を代表し、質問をいたします。(拍手)
 この法案は、一九九九年に制定された農業の憲法ともいうべき大切な法律の四半世紀ぶりの大改正です。この四半世紀の間、我が国農業、農村を取り巻く様々な状況の変化があり、それが今回の法改正のゆえんとなったところでありますが、何より情けないのは、この農業の憲法というべき大切な法律を、政治の信頼が大いに揺らいでいる中で審議しなければいけないことです。
 総理、言うまでもなく、政治の信頼を取り戻すには実態の解明が何よりです。
 先般は裏金議員の処分についてもお話しになりましたが、実態が分からずに処分などできるはずもありません。よもや、処分を行うことでこの問題は終わったと幕引きをされるとは思いませんが、重要なのは、裏金問題によって地に落ちた政治への信頼の回復です。政倫審によっても、多くの国民の皆さんは実態の解明はできていないとお感じのようです。処分をお急ぎのようでございますから、なるべく早く、予算委員会での証人喚問や政倫審等、あらゆる場での説明をお願いいたします。党内での更なる調査とも聞きますが、お手盛りでは国民の納得を得るのは困難です。
 与党の一角である公明党の山口代表は、昨年十二月十七日にティックトックで、同じ穴のムジナとは見られたくないと発言をされました。しかしながら、公明党は、政倫審への裏金議員の出席申立てについて、昨日行われた立憲民主党との協議において、政倫審に説明に来てほしい議員はもういないと反対したため、政倫審での申立てができなくなりました。
 山口代表は、同じムジナではないと言いましたけれども、これでは結果的に同じムジナではないですか。これでは、公明党は言行不一致と言わざるを得ません。
 さて、食料・農業・農村基本法の改正です。
 今回は二十五年ぶりの初めての改正となります。今回の基本法改正に当たり、立憲民主党においては、充実した議論に向けて、有識者、団体、農業者など、現場にも出向き広く意見を伺い、議論を重ねてまいりました。基本法となれば、当然にして、国民の理解、わけても農業者の理解と合意が不可欠です。そのためにも、法案審議において、広く地域に出向き、また与野党の総意による合意形成に向けて精いっぱい御尽力いただくように、政府・与党には求めていきたいと思います。
 そのような中で、現行基本法を制定した一九九九年において、旧基本法を廃止し、現行基本法を新たに立てることになりました。我が国内外をめぐる様々な状況の変化が今回の改正のゆえんと言われますが、一部改正でお茶を濁し、既存の施策をこれまで同様続けていくだけでは、今の農業、農村の情勢は改善するとは思えません。前回は新法を立て、今回は法改正で対応することとした理由について、まずは総理にお伺いをしたいと思います。
 さて、今般の改正に当たり、現行基本法が求める様々な目標が達成できなかった失敗は、やはり総括するべきであると考えます。特に、基本法が求める食料安定供給の確保に対する食料自給率の低下という失敗、農業の有する多面的機能の発揮に対する耕作放棄地の拡大という失敗、農村の振興に対する農家経営の減少と農村人口の減少という失敗などについては、真剣な分析と評価、そして、言い訳のような答弁ではなく政策の大胆な変更が必要だと考えます。
 既存の政策の延長では、今の下向きのトレンドを変えることができないのは明白です。今回の基本法の見直しを契機として、これらの課題を実現するために抜本的に政策を見直す考えがあるのか、総理の見解を伺います。
 食料安全保障について伺います。
 食料の安定供給の確保と不測時の食料安全保障について、今般新たに法律を立てると提案されています。非常時の際の行動を平時に準備しておくことは理解するものの、一足飛びに、計画を出さなければ罰金ということには、農村現場からも怒りと反発の声が上がっております。非常時に、流通などの売惜しみ、在庫状況の確認をしたいとの思いもあるようでございますが、全ての生産者に罰金を科すのか、あえて生産者にまで罰金を科すことについて総理はどのようにお考えなのか、これを伺いたいと思います。
 不測時ばかりでなく、平時において国民が安心して食生活を送れるよう、国内農業生産の増大を図ることは極めて重要です。これに輸出輸入及び備蓄を適切に組み合わせて食料安全保障を実効ならしめると政府もお考えのようですが、国際環境の変化や為替リスク、いざというときの自国優先の考え方など、食料の確保を輸入など海外に過度に依存していくことは厳に慎むべきであることと考えます。総理のお考えを伺います。
 食料安全保障を実効ならしめるには、まずは国内農業生産の増大が必要であり、そのためには、基盤となるべき農地の確保、農業者の経営を維持発展させる必要があります。
 いかにしてこれを実効ならしめるかが極めて重要となってまいりますが、既存の施策に加え、適正価格の実現が、この度、打ち出されています。資材等の高騰で価格の上昇が必要な生産者の適正価格と、家計の厳しい中で安価な食料品を求めている消費者の適正価格を、市場原理だけで解決することは極めて困難です。だからこそ、価格は市場で、所得は政策でという切り分ける考え方が生まれ、戸別所得補償政策が必要だと私たちは提案をしています。
 よしんば、今回の施策を通じ、市場における適正な価格形成が実現したとしても、再生産を可能とする所得水準に見合う価格が実現する保証はありません。先行例であるフランスにおけるエガリム法などは、農業支援策としては不十分との評価もあり、直接所得補償が加わって農業、農村の維持が実現されているとの評価があることを率直に受け止めるべきであると考えます。
 再生産可能な価格の実現は当然に追い求めるにしても、農業者戸別所得補償などの直接支払いも併せて実施するべきであると考えますが、総理のお考えを伺います。
 また、農業の基盤が農地、農業者であることに鑑み、新たに農地を維持し、農地として活用することを念頭に、面積に着目した直接支払いなどを食料安全保障支払いとして実施すべきであると提案をいたします。総理のお考えを伺います。
 非常時の食料確保に加え、貧困などの経済的な事情や過疎地での買物難民など、平時でも健康的で十分な食料へのアクセスが困難な事象に対応していくことは重要なことです。国民の健康な食生活を保障するため、フードバンクや子供食堂などの活動を積極的に位置づけ、支援を強化していくべきであると考えます。また、重要な食育の場である学校給食の無償化を実現、給食での地域の農産物の活用、有機食品の活用を積極的に進めるべきであると考えますが、総理のお考えを伺います。
 これまでの基本法では、効率的かつ安定的な農業経営が農地の大部分を保有する望ましい農業構造を実現することを目標に、大規模専業経営、労働生産性の向上、農業の成長産業化を目指すことに政策の重点を置いてきました。しかし、大規模化が進んだ北海道を見ても、規模に応じた機械投資や資材への投資、さらには人的投資などが応分に必要になり、一方では作物価格が伸びない中で、これらのモデルでは持続可能な経営が実現できているとは直ちに言えないようなことが明確になってきていると考えます。
 農地の集積を進めた結果、農村集落での営みが維持できなくなりつつあり、また、大規模農家の離農に際して、農地の大きさゆえに近隣農家が残った農地を引き受けることも難しくなっております。中小・家族経営など、農村集落において多様な経営体が存在することが重要であって、成長産業化という文脈から離れた農業経営の安定化策の構築、強化を図るべきであると考えますが、総理のお考えをお聞きします。
 国内農産物に対する消費者ニーズが堅調であり、輸入品から国産への転換が求められる小麦、大豆、飼料作物について、国内生産の増大を積極的に図っていくことは重要です。しかし、だからといって、優れた生産装置である水田の畑地化をいたずらに進めるのは問題があると考えています。アジア・モンスーン地帯に位置する我が国にとって、水田という生産装置を維持することの食料安全保障上の意味は極めて重要であります。
 一方で、米の消費が年々減少する中で、ほかのニーズのある作物に切り替えていくことも必要なことでありますが、このために重要な役割を果たしてきた水田活用直接支払い交付金は、その見直し以降、いまだに農村現場には農地の売買や土地改良など、多くの混乱が見られ、特に中山間地などの条件不利地においては、畑地化支援を手切れ金代わりに離農するような兆しも見えております。
 水田活用直接支払い交付金は、主食用米以外の作物を作り、主食用米並みの所得を確保し、農業経営を維持していくという上で重要な役割を果たしており、農家からも支持されている政策です。まずは、見直しによる混乱の収拾、併せて、この制度を安定させるためにも法制化すべきであると考えますが、総理のお考えを伺います。
 現行基本法にも、自給率の向上、農地の維持、確保、農業者の維持と経営の安定がうたわれております。ただ法律に目標を書けばそれでよいというわけではありません。当然、法に書かれた目的を本気で実現していただかなければなりません。
 同じ安全保障でも、防衛予算は大きく伸びているのに対し、食料安全保障に対する予算が伸び悩むようでは、政府の本気が問われることになると思います。残念ながら、農林水産省予算は伸びているとは申せません。農林水産業は地方の基幹産業であり、農林水産予算は、地方経済にとっても極めて重要な意味があると思っています。
 二十五年ぶりの初めての改正となる今回の改正を経て、今から二十五年後、我が国農業、農村が今よりも疲弊することとなれば、今回の改正が失敗であったことを意味します。二十五年後、総理は、この基本法の改正を経て、自給率は向上し、農地は維持をされ、農業者も維持、増大するとお約束いただけるのかお伺いして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

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発言者: 神谷裕

speaker_id: 27080

日付: 2024-03-26

院: 衆議院

会議名: 本会議