篠原豪の発言 (本会議)
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○篠原豪君 立憲民主党の篠原豪です。
会派を代表し、グローバル戦闘航空プログラム、いわゆるGCAPの政府間機関、GIGOの設立に関する条約について質問させていただきます。(拍手)
その前に、四月二十日に発生をしました海上自衛隊所属のSH60Kヘリコプター二機の墜落によって、二十五日午前九時現在、一名が死亡、七名が行方不明と報じられております。お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げますとともに、行方不明の方々の本当に一刻も早い救助を心よりお祈り申し上げます。
それから、同時に、自衛隊のヘリの事故がこの間続いておりますので、このことを踏まえて、政府に対しましては、徹底した原因究明と再発防止策を求めます。
さて、本件は、二〇三五年頃から退役開始予定のF2戦闘機の後継機FXについて、二〇二二年十二月、日本、英国、イタリア三か国が発表したグローバル戦闘航空プログラム、GCAP、その実現に向け、日本の三菱重工業、英国のBAEシステムズ、イタリアのレオナルドの民間三社が開発を行う予定となっております。主にその管理を行う政府間機関を設立するための条約の審議をさせていただくものでございますが、これは、初めて日本が同盟国のアメリカ以外との戦闘機を造ることになりますので、その是非と評価について伺ってまいります。
まず、FSXの苦い教訓についてです。
戦闘機の国際共同開発は、これが二件目です。
一件目、一九八七年十月、米国と合意した次期支援戦闘機FSXの日米共同開発では、我が国は極めて苦い経験がございます。ですので、今回の国際共同開発は、その教訓がどこまで生かされているのか、これがまず問われます。
我が国は、一九八〇年代にFSXの自主開発を検討しました。しかし、米国は、自国のF16戦闘機の購入を迫りましたので、結局、F16をベースにした日米共同開発を受け入れる結果となりました。しかし、三千二百億円を超えた開発費でしたが、これは全て日本が負担をするということになりました。
問題は、日本側の技術は全てただで米国に提供する一方で、基幹部分の設計は米側が担当し、そして、その部分は日本側には開示されなかったため、改修すら自由にできず、運用面でも制約があったとのことです。
そこで、まず、FSXの教訓をどのように総括しているのか伺います。そして、この教訓を踏まえ、今回の開発にそれをどう生かしていこうと考えているのか、防衛大臣のお考えをお聞かせください。
次に、自主開発の問題について伺います。
日本が自主開発にこだわるのには、大きな理由があります。
第二次世界大戦後、日本は、航空機の生産を一切禁止され、航空機産業も全て解体されました。それが解除されたのが一九五二年のことです。しかし、ハイテクの塊である戦闘機を開発する技術基盤を失った影響は大きく、そこから航空自衛隊の戦闘機の選定には、これは開発もそうですけれども、米国主導となり、ようやく一九七七年に導入をしたF1が自衛隊初の国産戦闘機となりました。このことから、後継機のF2、またその後継機となるFXも、日本独自の自主開発の思いが一部に強かったものと聞いています。
実際、防衛省は、二〇一五年に、国産開発を視野に、日本独自の試験用戦闘機エンジンを載せた先進技術実証機の心神を初飛行させました。そして、三十回以上の飛行実験を行い、国産エンジンやステルス性など、基本性能を確かめるところまでやっています。しかし、そこまで努力しながら、政府はなぜ自主開発を断念したのでしょうか。
そこで、心神の開発目的、そしてその意義は何だったのか、これも含めて防衛大臣にお伺いいたします。
次に、第六世代の戦闘機の開発能力について伺います。
日本には、戦闘機や無人機など、最先端兵器を独自に開発できる能力は一定程度あるとされています。
その一方で、今回の後継機FXに求められるのは、F35など現在最先端の第五世代を大きく上回る戦闘航空能力を持つ第六世代の戦闘機の開発です。第六世代では、無人機や人工衛星と連携した高度な情報ネットワークを土台とし、収集した大量のデータをAIが解析します。それを基に無人機が攻撃を担うという、高度ネットワーク戦闘を実現することが求められます。
仮に自主開発を決断するのであれば、高度ネットワーク戦闘能力のある戦闘機を二〇三五年までに開発する技術、生産基盤を国内防衛産業が現時点で持っていることが前提条件になりますが、政府は、そうした基盤を日本も実は持っているということを評価しているのか、このことについて防衛大臣にお伺いします。
その上で、F2戦闘機の後継機の国産化を断念した背景には、当時、三菱重工業が、税金も投入したMRJ開発に苦戦をしていましたので、その状況もあったので、能力はあるけれども自主開発はリスクが大きいと判断したのか、このことについてもお伺いいたします。
日米共同開発の問題についても伺います。
自主開発の断念を受けて、ロッキードは、米空軍の高性能ステルス戦闘機F22をベースに、F35の電子機器を搭載する案を提示しています。性能に注目すると、ステルス性が高くて世界最強とも称されるF22の機体にF35の電子機器などを搭載する案は魅力的なわけです。そのためか、二〇二〇年三月には、米国と共同開発をする方向で最終調整に入ると報じられました。
しかし、FSXのときの教訓では、米側が戦闘機技術の機密情報を開示しなくて、機体の能力向上の改修が事実上できないことは明らかだったはずなんです。結果的に、ロッキード案は、秘匿情報が多く、配備後も国内で自由に修理するのが難しいと判断をされて、英国とイタリアとの共同開発に方針を転換しました。この当たり前なことに、なぜ当初、日米共同開発にこだわったのか、その当時の状況と政府の考え方をお聞かせください。
二〇二一年になると、英国との共同開発に転換する様々な兆候が見えてきます。これは、二〇二〇年十一月のアメリカ大統領選挙においてトランプ大統領が敗北をして、そしてバイデン大統領に政権が替わったことが方針転換にどう影響したのかということでございますので、このことについても防衛大臣にお答えいただければと思います。
次に、対米武器技術の供与の問題についてです。
対米武器・武器技術供与に関する交換公文について、政府は、米国から移転要求があった場合、実際に移転をするか否かは政府が主体的に判断すると答弁をしています。しかし、FSXの共同開発の際にも同じ答弁をしながら、実際には、三菱重工などが持つ複合材料を使った主翼の一体成形技術を米側が自由に利活用するということを認めたため、三菱重工には日本政府がその対価を支払っています。
今回、日英伊三か国が共同開発を発表した二〇二二年十二月、米国は、その発表に合わせて、次期戦闘機と連携する無人機を日本と共同研究すると表明をしました。当然、戦闘機と一体運用される無人機の開発には、次期戦闘機の詳細を米側に提供することが不可欠です。つまり、提供を主体的に判断するといっても、それは単なる建前となるのではないでしょうかということです。また、そうした情報は、FSXのときと同様に、無償で米国に提供されることになるのか、外務大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、日英伊以外の参加国についてです。
日英伊以外の参加国として、サウジアラビアやドイツが参加を希望している、これらの国が参加を希望しているとの報道がございます。これは、いつ、どのような形で決定されるのか、そして、その際の我が国の態度とその理由について、どうしていくのかということについても、外務大臣の御見解を伺います。
次に、日本主導の国際共同開発の重要性についてです。
我が国と英国、イタリアは、それぞれ、二〇三五年頃に配備を目指す次期戦闘機の開発プログラムを有し、開発時期が重なるため、対等な立場で開発に参加することができます。また、開発費を分担することで、総額五兆円を超えると言われる経費負担も軽減されるものと期待しています。
しかし、日本が目指す次期戦闘機の要求性能を満たすためには、我が国が主導権を確保することが重要です。その意味において、開発の司令塔の役割を担う日英伊三か国の共同企業体の本社機能が英国に置かれ、さらに、それを監督するGIGO本部も英国に置くのは、日本主導の後退になるのではないのかといった声も上がっています。なぜ日本に本部を置こうとしなかったのか、外務大臣の認識を伺います。
次に、GIGOへの職員派遣についてです。
国際的にも、日本の自衛隊は、他国の軍隊と比べて幕僚の比率が高いと言われています。既に千二百十人の司令部要員を抱えながら、新たに統合作戦司令部を新設して、二百四十人が付加されようとしています。中央にこれほどの数の幹部を集めるのは問題ではないでしょうかということです。このことについて、防衛大臣にお伺いします。
さらに、来年秋頃にはGIGOが設立されますが、日英伊からそれぞれ約百名、若しくはそれ以上の政府職員を派遣するとされています。特に、その実施機関の初代長官には日本人が就任することになっていますので、四つ星や三つ星の将官が当てられることになるのか、あるいは、日本側から派遣されるのはどういう体制になるのかということなので、政府と民間からの出向など派遣の全体像を、防衛大臣にお示しいただければと思います。
また、これほど多くの幹部職員を長期に派遣することで、自衛隊の人事管理は成り立つのかという疑問、心配の声が政府内外からも聞こえています。今回の件で、現場の部隊がますます手薄になることに本当に危機感があるとされていますので、そのことにもどう対応されていくのかということをお伺いします。
最後に、武器輸出の問題についてお伺いをします。
政府は、三月、GCAPに関わる完成品の、我が国からパートナー国以外の国への直接移転を可能とする閣議決定を行い、武器輸出に係る長年の基本方針を転換いたしました。
しかし、武器輸出三原則に代表される政策は、平和国家としての日本の基本政策であり、与党の密室協議だけで転換するべきものではありません。武器輸出は極めて慎重であるべきで、改変には国民的な合意が不可欠だと思います。
現時点では、輸出可能な対象は次期支援戦闘機に限られ、その他の共同開発品は今後個別に判断することになっています。また、部品や汎用品、その技術等の取扱いも問題がありますので、改めて、国会において問題点を洗い直し、武器輸出に関する基本政策をまとめるべきだと考えますが、そうした努力の積み重ねをしていく意思があるのかどうか、政府、防衛大臣にお伺いいたします。
最後に、国民の皆様におかれましては、立憲民主党は、平和主義を堅持しつつ、すぐにも政権を担うに足る現実的な安全保障政策を持つ政党であることを御理解いただくとともに、国民各層の幅広い御支持をいただき、政権交代に向け努力することをお約束し、私の質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣上川陽子君登壇〕