石破茂の発言 (予算委員会)

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○石破委員 おはようございます。
 総理、今日は二月二十六日ですね。昭和十一年、八十八年前、二・二六事件。いわゆる皇道派という陸軍将校が、千四百八十三名、下士官、兵士を率いて、高橋是清大蔵大臣あるいは斎藤実内大臣を殺害をし、霞が関、永田町一帯を占拠した二・二六事件から八十八年。
 この国会議事堂も占拠された。国会議事堂ができたのは昭和十一年の十一月ですが、もう二月二十六日には、国会議事堂は概成、ほとんどできておったんだそうです。この国会議事堂も占拠された。今我々がいるこの場所は、まさしく二・二六事件の現場の一つであったということであります。
 私は、二月二十六日が来るたびに、文民統制とは何なのだということを毎年考えます。文民統制とは何か。それはいかにしてクーデターを防ぐかということも大きな目的の一つだ。もちろん、我が自衛隊はそのようなことを考えている者は一人もいない、それは私は確信をしております。
 しかしながら、文民統制という言葉があるのは、やはり、民主主義というものは、その国における比類ない実力を持った集団である、普通でいえば軍隊、我が国でいえば自衛隊になりますかね、その下には民主主義というのは無力なものなのだ、したがって、司法、立法、行政、この厳格な統制が必要であるということだと思っています。
 二・二六は、当時、昭和天皇様は三十四歳であらせられた。大元帥としての昭和天皇は、この二・二六に激怒された。自分が近衛師団を率いてこれを鎮圧する、そうまで仰せになって、二月二十九日、その年はうるう年だったので二月二十九日というのがあったんだそうですよ、二月二十九日に事態は収束をするのであります。
 大元帥であり、ただ一人の主権者であらせられた天皇陛下の御決断。昭和天皇が大きな決断をされ実行に移されたのは、この二・二六を鎮圧するときと、昭和二十年八月十五日、玉音放送のとき、この二回であったと言われております。
 今の憲法下において陛下にそのような権限はもちろん与えられていない、お持ちではない。さればこそ、二・二六のときに、行政も立法も司法も全く無力であったということであります。
 今、我々は、もう一度、文民統制とは何か、それはひっきょう、軍とは何なのだ、警察とは何なのだ、自衛隊とは何なのだということをきちんと考える、そういうことが重要であると思っております。
 憲法改正が総理の大きな決意であるということはよく承知をいたしております。そこにおいて、やはり、軍とは何か、自衛隊とは何かということをきちんと議論することは私は必要なことだと思っております。
 これは、私は閣僚として何度も答弁をしたことですが、自衛隊は戦力ではない、戦力ではないから軍隊ではない。なぜ戦力ではないかというと、持っている装備も与えられている権限も必要最小限度であるからして戦力ではない。こういうロジックを使ってきましたし、今も基本的には維持をされているのだと思っています。
 しかし、必要というのは質的概念であり、最小限というのは量的概念だ。その質的概念と量的概念を混同するような、そういうような思考はもう一度考え直してみる必要があるのではないかと思っております。
 二・二六の今日、改めてそのように思っておる次第であります。これは御答弁は要しません。
 今日は、避難所の在り方、シェルターの在り方、食料安全保障の在り方、この三つについて総理のお考えを承りたいと思っております。
 総理、避難所の御訪問、誠に御苦労さまでありました。総理が現場を御覧になったとおり、今なお多くの方々が避難所で生活をしておられます。大変なことだと思っております。
 去年は、関東大震災から百年でありました。避難所の在り方というのは、もちろんいろいろな改善はなされているけれども、体育館に、言葉を選ばずあえて言えば、雑魚寝の状態であるということは、基本的に百年前と変わっていないのではないかということであります。
 スフィアハンドブックというのがありまして、これは、NGOとか国際赤十字とか赤新月社とか、そういうものが作った避難所の在り方等々のガイドラインのようなものであります。
 この物すごい大部なものであって、私はまだ全部全く読めていないのだけれども、これに何て書いてあるんだろうかと。そこにおいて、健康で良好な環境を得る、これは避難所に暮らす人たちの権利なのであるというふうに書かれている。そこにおいて、一人当たり確保されるスペースとか、トイレの数とか、男女別にきちんと分けられることとか、そういうようなことが事細かに書いてあって、これを求めるのは避難所に暮らす人たちの権利であると。そしてまた、権利があるからには誰かがそれに応える義務が必要ですよね。第一義的にそれは国家の義務であるというふうに、ここの人道憲章には書かれております。
 災害対策基本法によって、避難所の設置、運営は自治体の自治義務、市町村の自治義務というふうに定められておりますね。もちろん政府もこのスフィアハンドブックというのは承知をしていて、いろいろなガイドライン等々に言及もあります。
 しかし、総理が御覧になったとおり、そういうようなあるべき姿というものが実現されている避難所はそんなに多いとは思わない。ここをどう考えるかです。我々は、いつかは首都直下型地震に見舞われるだろう、そしてまた南海トラフに見舞われるだろうと言われています。それまでに、できる限り、避難所の在り方、そういうものを整備していかねばなりません。
 イタリアも地震国ですよね。イタリアで地震が起こると、じゃ、何が行われるか。早ければ即日、四十八時間以内にコンテナトイレがやってくる、そしてテントがやってくる、キッチンカーがやってくる、ベッドがやってくるということなんだそうであります。
 そして、避難所にはキッチンカーがやってきて、事前に登録したボランティアのシェフの方々がやってきて、イタリア料理のフルコースが出るそうです。ワインも出るそうです。何てぜいたくなというふうに考えるかもしれないけれども、家族も犠牲になった、家も壊れてしまった、仕事もどうなるか分からない、ある意味絶望のふちにある人たちを励ましていくために、そういうものは必要なのだという考え方であります。
 キッチンカーが幾ら、テントが幾ら、段ボールベッドは一つ一万円ぐらいのものなんだそうですね。そういうものをイタリアにおいては全人口の〇・五%、地震の蓋然性が高いシチリア地方には、そこの地域の人口の三%分の備蓄というものが行われているんだそうであります。だからそういうことは可能になるということだと思います。
 私はこういうことの整備というのはやっていくことは必要ではないかと思っていますが、そういうものを、じゃ、一体どこの予算でやるんだということになる。大災害があるたびに、予備費であり、補正予算であり、あるいは特別措置法であり、これが今の日本の政府のやり方であるし、私もそのようにやってきた。
 しかしながら、これから先の地震というものを一〇〇%防ぐなんてことはできるはずがなくて、そういう場合にどういうふうにやっていくかということを整備するということは必要なことだと思っていますが、総理の御所見を承りたいと存じます。

発言情報

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発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2024-02-26

院: 衆議院

会議名: 予算委員会