2024-04-09
衆議院
西沢和彦
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
西沢和彦の発言 (地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会)
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○西沢参考人 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。日本総合研究所の西沢和彦です。
私は、二月の衆議院予算委員会中央公聴会にお招きいただきまして、子ども・子育て支援金に反対の立場からその理由を申し述べさせていただきました。今回は、資料はそのまま同じようなものを使っていますが、少し別の角度からお話をしたいと思います。
ページをめくっていただきまして、御紹介したいものがあります。これは、自民党の先生方、余りおられないですけれども、野田毅先生の御本、御著書です。聞いていますか。これは、二〇〇四年の「消費税が日本を救う」という本です。ここにある写真は、野田毅先生のわら人形なんですね、八七年三月一日とある。奥にあるのは中曽根さんのわら人形。これは、売上税の導入を中曽根政権で目指して、野田先生の地元の熊本でわら人形を作られたということです。この二年後に、売上税改め消費税として、消費税が導入されたわけですね。その後、竹下政権で消費税が導入されて、九七年には橋本政権で消費税率が上げられ、また、二〇一二年の三党合意を経て消費税が一〇%に上げられたわけです。このように、自民党の先生方の先輩は苦労して消費税を導入されてきた。そして、それが今、基幹税として我が国の税収の礎になっているわけです。
今回、子ども・子育て拠出金のような理論的に全く正当化されない財源が導入されようとしているのは、ひとえに、消費税を封印しているから、税に触れたくないからだと私は考えています。なので、本当は子ども・子育て支援金というのは税ですよ、税だけれども、社会保険料だと言い繕う、そして、家計と企業に負担が生じるけれども、実質的な負担はないと言う。全てが詭弁になってくるわけです。全く理論的にも正当化できない説明がこの議会で繰り返されているわけです。
私は、いつもこの野田先生の本、頭に浮かびますよ。わら人形を作られて、くぎを打たれて、自由に。最後にはこれは燃やされたとここに書いてあるわけです。この野田先生のページをめくると、竹下政権で消費税が成立したときには涙が出ました、山中先生も、議場を出て、天を仰いで涙を流されていたんだろうなというふうに回顧しているわけです。
消費税というのは、いろいろいい性格を持っているわけです、租税論的には。転嫁と帰着のルールが明確である、消費者に。消費税だけでは税制は完結しませんから、そこに所得税や資産税を合わせて家計に配慮を行うことができるわけです。
他方、社会保険料の事業主負担というのは、賃金に転嫁するか、物に転嫁するかしなければいけません。しかし、転嫁と帰着のルールが不明確です。それは、ひょっとすると、雇用の悪化を招き、非正規雇用を増やしているかもしれない。大企業は転嫁できても、中小零細企業は転嫁できていないかもしれない。だったら、社会保険料の事業主負担や直接税である社会保険料によらず、消費税にしようではないか。
野田先生も書かれています、社会保険料って悪さするよね、その行方が分からないよねと。それで、国民の理解は得られないけれども、なぜなら新税は全て悪税だから、でも頑張って入れてきたわけです。
おととい、久しぶりに野田先生にお電話して、これ、載っけます、載っけていいですかと言ったら、載っけてくださいとおっしゃっていて、私、多分、野田先生、余り詳しく伺いませんでしたけれども、今の状況を悔しく思っていると思うんですよね、何だ、俺たちがこんなに一生懸命入れてきた消費税を何てことしてくれるんだと。と思うんですよ。
四ページ目と六ページ目には、これは、衆議院の中央公聴会で私が申し上げたことと全く、田中耕太郎さんという元々厚生省の官僚の方で、審議官まで務められて、その後学界に転じられたんですけれども、私が思うことと全く同じことが書いてある。
今、野田毅先生がおっしゃったのは、租税論の立場からおっしゃった。田中耕太郎先生は社会保険論からおっしゃっている。例えば、この五ページ目ですね、左の一番上に、「政府はこの四十年間、健保など取りやすいところから取り、足りないところへ回してきたのです。その場しのぎで予算のつじつま合わせを重ねてきた結果、仕組みが複雑化し分かりにくくなりました。税と保険料の関係がぐちゃぐちゃにされ、国民は理解しようにもできない。これでは痛税感、不信感が募るだけです。」ということですよ。
そして、ちょっと行きますと、「少子化対策は確かに重要です。」私もそう思いますよ。ですから、皆さんの御審議には本当に心の底から敬意を表します。けれども、「本来は税で対応すべきものです。」と。そうなんですよ。右に行っていただきますと、真ん中あたりですか、「どうすれば社会保障制度を立て直せますか。」「税と社会保険の複雑な現状を整理し、透明化して、国民に分かりやすい形で示すべきです。」。
今回の少子化対策だって、今、遠藤先生から現状の御説明があったように、我々国民として危機感は共有できるはずです。また、少子化対策と子供、子育て政策が混同されているのも私は気になりますけれども、子供を大事にしよう、育児をもっとサポートしようというのは我々みんな共有できるはずです。そのとき、歳出削減をしてもなお一兆円足りないのであれば、それは、例えば消費税を〇・三%、四%上げて賄おうという説明をしたときに、私は反対する人は多くはないと思うんですよね。どうでしょうか。
そういえば、私が中央公聴会にお招きいただいてから二か月たって何か生産的な議論の進展があったかといえば、私はとてもそう見えないですね。だと思うんですよね。自民党の先生方も、顔だけ見ても分からないですけれども、私の言っていることがそんなにおかしくないと思っていただけているんじゃないかなと私は思っている。けれども言えない。でも、言えないのは、日頃起こっている企業の不祥事と近くありませんか。企業の中で不祥事の芽が起きている、現場の人は分かっている、でも言えなかった、納期があるから、もうすぐ決算が近いから。それが問題を大きくしているわけです。
ですので、本当は皆さんは、こうやって野田先生たちが一生懸命つくってきたこういうすばらしい税制がある、これをもっと育てましょうよ、社会保険料というのは国民に説明がつくようにもっと負担と受益の関係を明確化しましょうよと上司に言って、国民に正しい説明をするというのが私は正しい道だと思います。
少し飛ばしまして、八ページ目にあります、これは一九九七年の橋本内閣の行政改革報告書から抜粋しました。とても重要なことが書いてあるわけです。
それは、問題意識は、国民の統治客体意識、行政への依存体質、これを橋本内閣では問題視しているんですね。行政に依存するのではない、できることは自分でやろう、でも、できない人はきちんと救おう、国民というのは、統治される客体ではなくて、主権者なんだ。
ですから、今の子供、子育て政策の議論を見ていても、結果だけ我々に押しつけようとしているように見えるんですね。数字を出してくれと言っても、なかなか出てこない。御理解を求めたいと言っても、元々非論理的なものなので理解しようがないです。だから、あれは誰が大臣をやっても説明できないですよね。
皆さんは得していますよ、こうやって法案を通してもらったら、後は、もう説明しないで、地元に帰れるわけだから。それは、担当大臣が全部背負っているわけですよね、批判を受けながら。でも、あれを地元で有権者に説明しようと思っても、できないですよね。
ですから、これは、結果だけ教える、説明するのではなくて、私は、結論に至る過程を国民と共有すべきだと思います。
最後に、提言です。
二十三ページ目にありますけれども、子ども・子育て拠出金は、私は撤回すべきであると思います。これは、法案全体を否定するものではありません。そして、今後予定されている歳出改革を、歳出と歳入改革を同じテーブルにのせて議論する。ここはもちろん税も含まれるわけです。そして、ばらまき合戦、減税合戦はやめる。これは我が国全体の地盤沈下を招きます。与党の方も、野党の方も、減税しますとか歳出拡大しますというのではなくて、一定の予算制約の下に、中身こそを競い合うように政策合戦を繰り広げていただけたらと思います。
そのためには、枠組みが必要です。例えば、二〇〇四年の年金改正の後に、両院合同会議というのがここで議会に設けられました。ああいったような形で、一定の予算制約の下で、政策の中身を競い合うという形をつくらないと、人口減少社会の中での政策決定というのはどんどんどんどん行き詰まっていく、それが我が国の将来に暗い影を落として、国民の将来の希望を減退させる一因になっているんじゃないかなと思います。
今回の法案に関しましては、提出までのプロセス及びこの国会での議論を通じまして、納得感がないですね。これは、情報の出し方もそうだし、政策の目的も、少子化対策なのか子供、子育て政策なのか分からなくなってきているわけですし、こども家庭庁をつくったのが本当によかったのか。
今回の子ども・子育て支援金は、医療保険料に上乗せするという形なので、医療保険の知識がないと丁寧に説明できません。ところが、そこと切り離されている。
また、二〇二八年の総報酬が分からないと言いますけれども、年金局では百年後の総報酬も計算しているので、分からないはずがないんですよね。
ですので、本当につくってよかったのかというのも私は疑問に思っている。ですから、政策形成プロセスにおいても、私は、今後の議論を進めていく上で検証していくべきだと思います。
また再び言い過ぎたところもありましたけれども、御清聴どうもありがとうございました。(拍手)