2024-04-09
衆議院
柴田悠
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
柴田悠の発言 (地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会)
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○柴田参考人 柴田でございます。
この度は、大変貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
お手元に、この縦長の印刷された配付資料がございます。これを基にお話しさせていただきます。
これからの少子化対策として必要なものを特に数字の面で確認した上で、今回の法案について御意見申し上げます。
結論から申し上げますと、現在の政府での少子化対策で恐らく最も視点として欠けているのは、この一枚目の真ん中にある男性の働き方改革。男性というのは、子供を持つ男性だけではありません。未婚者の男性も含めて、とりわけ、やはり結婚が減っているのが最大の要因ですので、未婚者の男性も含めた、あるいはその男性を取り巻く上司も含めた全男性の働き方改革が一番欠けているのではないか、そういった視点から今回の法案について御意見申し上げます。
この資料の右下に、各スライドの右下にページ数を振っておりますので、そのページ数を参照しながらお話しいたします。
まず、二枚目なんですけれども、昨年、予算委員会の方で、私の方でも意見を申し上げました。
三枚目に移ります。次のページをめくりまして、三枚目の上の方ですけれども、官邸での子供政策の強化の会議でも御意見申し上げました。
そこで申し上げた意見が簡単にまとまった図が四枚目、二ページ目の下ですが、スライド四枚目になります。これは、幅広く少子化対策として重要なもの、結婚の未婚率に関する、結婚が減っている、結婚難という点も含めて、あるいは働き方も含めた幅広い視野で少子化対策として重要なものをここに一覧としてまとめた図になっております。
大筋は、今回の加速化プランや、あるいは、より大きくこども未来戦略でも取り込まれたといいますか、ほぼ一致したものになったかなと思うんですが、やはり理論的に見ますと、一番男性の働き方改革は弱いかなというところです。
五枚目に参ります。次のページの上ですけれども、五枚目。私が提言してきた内容の中で、とりわけ予算として実際に組まれたのは、児童手当の分が一・二兆円程度組まれたりだとか、あるいは学費軽減、これも〇・二六兆円組まれることになりました。
ただ、この赤く塗ったところですけれども、そのような児童手当や学費軽減にある程度の予算がつきましたけれども、じゃ、これで出生率はどのぐらい上がるかというのを過去の研究や私の推計から試算をしますと、大体〇・一程度、出生率が〇・一程度上がるぐらいの効果ではないかなと見込まれます。ですので、日本の大きく出生率の減っている状況に関し、それに対して見ると、効果としては、やはりあっても小さいなという規模であります。
あとは、先ほども申し上げましたが、対策として決定的に大きく欠けているのが、子供のいない男性も含めた男性全体の働き方改革が欠けていると考えられます。
今回は、男性育休の推進だとか、そういったところは入っているんですが、それは子供がいる男性だけの話です。子供がいる前の未婚の男性、ここも含めた対策、例えば賃上げだとか、賃上げもある程度は文言として入っていますけれども、具体的な取組としては余り含まれておりません。あとは、未婚の男性の働き方をどう改善していくのか。これも、ある程度、勤務間インターバルというような文言は多少入っていますが、具体的な取組は余り言及されていません。
そういった面で、賃上げや働き方の面、そういう抜本的な、若者を取り巻く経済的な状況、働き方の状況、これへの対策が今後強化されるべきだと考えます。
このような働き方改革によって、例えば、所得水準、生活水準が変わらずに労働時間だけが仮に減った場合、つまり生産性が上がった場合ということですが、労働生産性が上がれば、生活水準を下げずに労働時間を減らすことができます。そうなると出生率がどうなるかというのを私自身で計算したところ、過去のOECD諸国のデータから、データは限られているんですが、計算したところ、出生率が上がるという計算結果を得ることができました。
こういったところからも、やはり、いかに賃上げをしていくか、そして、働き方改革によって、とりわけ男性の労働時間を減らして、より家族での時間を取れるようにしていくかというのが大事かと考えられます。
七ページ目に参ります。ページをめくりまして、上の方になりますけれども、七枚目に参ります。七枚目では、この日本において、男性の働き方改革、とりわけ労働時間や通勤時間の短縮がいかに出生に結びつくかというエビデンスがこれだけたくさんあります。
つまり、夫の労働時間、通勤時間が減りますと、夫の家事、育児時間が増えるというたくさんの研究がございます。そして、夫の家事、育児時間が増えると、妻の出産確率や出産意欲が上がるというたくさんの研究がございます。あるいは、夫の労働時間が減ると、直接妻の出産確率も上がるという研究もございます。
こういったところから、日本においてもこの働き方改革は非常に重要であるということが、日本での研究からも示されるということです。
では、もう少し視野を広げまして、少子化対策全般について、もう少し見てまいります。
下の八枚目に参りますけれども、昨年、日経新聞でこのような記事を掲載させていただきました。このような記事で書いたことのバージョンアップ版をこれからお話しいたします。
次の上の九枚目に参ります。少子化の主要因は何か。これは、どの国でも今出生率は下がっています。これは、社会が近代化して、価値観が自由化したり高学歴化していく、そして育児の心理的なコスト、経済的なコストが上がっていくと、当然、どの国でも出生率は下がっていきます。これは北欧もそうです。
ただ、日本では、これに加えて、三つの更なる少子化の要因があります。一つ目が男性稼ぎ主モデルの長時間労働です。これによって生産性がなかなか上がらない。特定の人にどんどん、仕事がよくできる人、慣れた人にどんどん長時間労働をさせて、その人が無限定に働いてくれる、そして転任もいとわず働いてくれるので、何とか社会が回っていくんですが、しかし、長時間労働をずっと放置しているので、単位時間当たりの生産性が上がらない。その結果、所得が低迷しているということです。その所得の低迷によって結婚が増えないということです。加えて、学費などの育児の負担がいまだに家族に偏っている。この三つの要因によって、少子化が更に悪化しているという状況と考えられます。
十枚目に参りますけれども、まず、一つ目の要因、男性稼ぎ主モデルの長時間労働、これがいかに問題かということですが、これが生産性の低迷や未婚化につながるということですが、十枚目のこのグラフが非常に一番重要かなと思っております。
これは社人研の調査結果のグラフですが、今の若い未婚女性の価値観は、過去十年間と比べると急激に変わっています。非常にキャリア志向に傾いている。未婚女性の第一位の価値観は、両立したいということです。結婚、育児と仕事を両立したい、これが今第一位になっています。しかし、実際、あなたのライフコースはどうなると思いますかという現実を尋ねますと、両立は難しいだろうと。なぜなら、夫が長時間労働だからです。あるいは、パートナー、結婚する前の彼氏が長時間労働だからです。そうなると、もし結婚したら、私は家事、育児に縛られる、そんなのは目に見えている。
かつての女性は、それでも結婚していました。そして、仕事を辞めて、再就職をしていました。しかし、今は逆です。仕事を選んで、そして結婚を選ばないということです。これが、とりわけ女性の未婚化の一つの要因になっている。つまり、男性の長時間労働によって女性が結婚に夢を抱けなくなっているということです。
めくりまして、次の上の十一枚目に参ります。ここからは社人研が発表したデータを転載しております。
日本の男性の有償労働時間、つまり労働時間は世界で一番長い傾向にあるということです。ヨーロッパよりも長い、ほかのアジアよりも長いということです。これゆえに、日本の男性はいまだに長時間労働。
そして、下の十二枚目に参りますと、この三十年間以上、ほとんど減っていない。恐らく、最近の、最新のデータでは少し減っているかと思います。いろいろ対策が進みましたので少し減っているかと思いますが、それでもやはり非常に長い、四百分を超える労働時間があるということです。
次のページの上の十三枚目に参ります。お父さんのデータで見ても、これも三十年以上減っていないということが分かります。つまり、子育てをしていても、男性は子育てに幾ら参画したくても参画できない状況にある。最近の若い男性は、育休を取りたい率というのは、取得希望率は八割を超えています。しかし、育休が取れない状況は、こういった長時間労働にある。
このような、長年なかなか変わらない男性の長時間労働を変えるには、やはり先進国並みに労基法を改正する必要があるんじゃないか。例えば、残業時間の割増し率、日本は非常に低いです、一・二五倍ですが、アメリカやフランス、ドイツやイギリスなどでは一・五倍にしています。あとは、勤務間インターバル、十一時間というのもヨーロッパでは義務化しています。フランスに至っては最も進んでいまして、法定労働時間が週三十五時間になっています。このような働き方改革を進めないと、なかなか男性は家事、育児に参画できない。
そのような状況を見ると、女性にとっては、とてもじゃないけれども結婚できない、私のキャリアを犠牲にしなくちゃいけない、そのような状況が続いてしまっています。これが、女性側から見る未婚化の一つの原因になっています。もちろん、男性側から見れば、雇用の悪化だとか賃金が上がらない、こういった問題がありますが、雇用の悪化、賃金が上がらない一つの要因にも、このような長時間労働を放置しているところがあるかと思います。
十四枚目に行きますと、先進各国の労働時間に関する法律の一覧があります。
次の十五枚目、めくりまして、上の十五枚目に行きますと、労働時間、残業の割増し率を一・五倍化したらいいんじゃないかと先ほど申し上げたんですが、いきなり全て一・五倍化するのは難しいですので、例えば、月二十時間以上の残業に関しては一・五倍化というラインを仮に引きますと、既に月二十時間以下の残業になっている企業はこれだけたくさんございます。ですので、ある程度、月二十時間までは一・二五倍でいいけれども、二十時間を超えたら一・五倍に引き上げる、このような現実的な労基法の改正は可能なのではないかと考えられます。
そして、そのような労働時間の是正などの健康的な経営をすると、果たして経営の利益率、企業の利益率にどういう影響があるのか、これは研究がございます。
十六枚目ですけれども、利益率が二年後から上がるということです。つまり、経営が非常に健康的になり、社員が健康的になることで経営の生産性が上がり、会社の利益率が二年後から上がるという研究結果でございます。
十七枚目に参ります。次のページの上のところですが、十七枚目ですが、これは世界各国の、OECD諸国、先進諸国のデータを分析したものですけれども、労働時間が減ると一人当たりGDPがどうなるのかという傾向を表した図になります。右側の図二というのが重要ですけれども、労働時間が減ると、ある程度減らしていくと、一人当たりGDPが上がるという傾向が見られます。
もちろん、労働時間がゼロ時間になると、当然ながら一人当たりGDPはゼロになりますけれども、労働時間が千三百六十時間までは、少なくとも一人当たりGDPは上がる傾向があるということが明らかになっています。そういったところからも、今、日本は千六百時間台ですから、まだまだ労働時間を減らす余地があると考えられます。
十八枚目に参ります。働き方の柔軟化というのも非常に重要です。長時間労働を減らすとともに、やはり柔軟化しなくちゃいけない。例えば、転勤は無理強いしてはいけませんし、あるいは休みも取りやすくしなくちゃいけない、育休も取りやすくしなくちゃいけない。そのような働き方柔軟化支援によって国民がどういうふうに変わるかというと、この図が示すのは、幸福感が上がるということです。そして、実はこれは少子化に関連するんですけれども、子供がいても幸福感が下がらないというふうになります。
十八枚目の左の方では、柔軟化支援が乏しい国ですけれども、このような国では子供がいると幸福感が下がっています。実は日本の女性もそうです。つまり、子供が生まれると不幸せになるわけなんです。これが少子化の一因となっていまして、とりわけ日本では、女性にとっては子供を産みたくない一つの要因になっています。これはやはり、働き方が柔軟ではない、とりわけ男性の働き方、夫の働き方が硬直的である、転勤も強いられる、そんなところでは子供なんか産めないということだと思います。
次のページに行きますが、十九枚目に参ります。上の十九枚目ですが、日本では、女性だけでそのような幸福感低下が見られるという研究結果がございます。なぜ女性だけで幸福感が低下するのか、子供が生まれると幸福感が下がるのかといいますと、夫婦関係が悪化する、あとは消費生活も悪化する、この二点で説明ができるという研究結果です。
そういったところから、やはり夫の家事、育児が余りにも少ないと、そこで夫婦関係が悪化するし、自分ばかり時間とお金がなくなる、とりわけ時間がなくなる、それで消費生活が悪化する、こういったところが分かっていますので、やはり男性の長時間労働を減らしていく、あるいは転勤の無理強いを減らしていくなど、様々な男性の働き方改革が重要で、そのためには労基法の改正というてこ入れが、いよいよ、より重要になるのではないかと思います。
次、あと二分程度ですけれども、二十枚目に参ります。所得低迷という要因ももちろんございます。所得が高い方が、あるいは正規雇用の方が子供が生まれやすいし、結婚も生じやすいということが研究で分かっていますので、やはり、先ほども先生方からもあったように、結婚をやりやすくするような賃金の問題だとか雇用の問題は非常に重要です。
次、二十一枚目に参ります。これは経済財政諮問会議の有識者委員が出した資料ですけれども、若者に関して年二%の賃上げをしていくと、十年後、出生率は〇・一上がるという推計が出ています。さらに、職務給への転換によって若者により強固に賃上げしていくと、更に〇・一出生率が上がる可能性がある。つまり、合計〇・二上がる可能性があるという推計になっております。
下の二十二枚目に参ります。非正規雇用に関しては、若い人々では非正規雇用はかなり減ってきまして、北欧よりも低い状況にあります。
しかしながら、次のところに参ります、二十三枚目ですが、非正規雇用の人たち、つまり有期雇用の人たちの賃金率が非常に低い、正規雇用に対して低いというのが日本の特徴です。ですので、やはり同一労働同一賃金も重要かと思います。
次、二十四枚目です。最後に、育児の家族負担。育児の責任が余りにも家族に偏っている、これが日本や東アジアの特徴です。
これは、例えば学費の軽減だとか、いろいろなもので軽減することができますので、今回の加速化プランにも入っていますが、保育も軽減できます。保育のこれまでの定員増によって出生率は〇・一上がったんだ、日本の出生率は〇・一上がった、これまでの保育定員の拡大というのは出生率上昇に寄与してきたという研究結果が最近出ていますので、ここで御紹介しております。
最後、二十五枚目に参ります。財源案ですけれども、これまで様々な議論がありましたが、財政学の実証的な研究によると、最も経済成長に悪影響が少ない税は何か、それは資産課税であるということが様々な研究で同じように示されていますので、ここで御紹介しております。
しかしながら、これまでの議論では、資産課税あるいは資産への考慮というのが議論の中でかなり抜けていたのではないか。資産課税も是非選択肢の一つに入れて議論をすべきだということを提案しまして、これで意見陳述を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)