伊波洋一の発言 (外交防衛委員会)
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○伊波洋一君 極めて現実的なシミュレーションと言いながら、防衛省のみでクローズで行っていて、手法もどのようなものか不明です。クローズで行ったことは、この間、私もレクで聞いておりますので、そう申し上げておきます。
昨年十二月に改めて当委員会で提出されたシミュレーションの全体像の資料には追記されませんでしたけれども、外交も国民の被害も、石油、天然ガスの輸入に関する想定もシミュレーションでは考慮されていません。米軍が支援に駆け付けると言いながら、日本政府の窓口である外務省も参加せず、国民保護や有事法制を所管する内閣官房も関与していません。
結局、このシミュレーションは、防衛予算の総額が五年で四十三兆円になる、倍増されるということを前提に、既存の米軍事戦略に沿った形でこれまで防衛省内で温めてきた装備や施設整備の費用を積み上げて四十三兆円掛かりますと正当化したにすぎないと考えられます。
岸田総理は一年以上にわたる丁寧なプロセスで検討したと繰り返していますが、そもそも、このシミュレーションの一年前の時点では五年で四十三兆円は決まっていないのです。四十三兆円が決まったのは安保三文書が閣議決定される直前の二二年十二月六日であって、それまでは、配付資料⑧の新聞記事にもあるように、防衛予算をGDP比二%に増額せよという米国からの要求を受けて、二二年四月に自民党がNATO諸国の対GDP比目標を念頭に五年以内に必要な予算水準に達成すると提言し、七月の衆議院選の自民党の公約に盛り込まれたものです。
その後、二二年十一月二十八日の総理のGDP比二%程度とする指示があって、防衛省は四十八兆円を希望し、財務省は三十五兆円を主張し、政治決着で四十三兆円になったというのが実情です。
防衛省の極めて現実的なシミュレーションの取組は、結局一人で対戦ゲームをやっているようなもので、自作自演、一人芝居のように感じます。だからこそ、自由に発言できる防衛省・自衛隊のOBの皆さんからは、身の丈を超えているなどの批判がされたのではないでしょうか。
このシミュレーションは、岸田総理の言葉を借りれば、戦後安全保障の大転換をし、そして、結果として、安全保障政策のみならず、これからの日本の形までも極めて危険な方向に変質させてしまう大軍拡の根拠となっています。
しかし、実際のシミュレーションは、防衛省・自衛隊のみがクローズで実施したものであり、そこまでの重大な意義が当初から込められていたとは思えません。防衛省は否定しますが、この岸田軍拡、安保三文書の根拠とされる極めて現実的なシミュレーションは、まさしく防衛研究所の高橋杉雄研究員が令和三年度特別研究成果報告でまとめた、資料⑨の「将来の戦闘様相を踏まえた我が国の戦闘構想/防衛戦略に関する研究」において解説する統合海洋縦深防衛戦略をそのまま実現するものになっています。
この高橋論文はどのような内容か、防衛省は承知していますか。