高良鉄美の発言 (外交防衛委員会)
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○高良鉄美君 私は、沖縄の風を代表し、日独ACSAに反対の立場から討論をいたします。
なお、他の三条約には賛成します。
国境なき記者団が発表する報道の自由度ランキングにおいて、日本は世界七十位です。世界には多様な情報、意見がありますが、日本の新聞、テレビが流すのは、英米の情報の更にその一部であるバイデン政権に有利なものに偏っており、多極化する世界の姿を十分に伝えていません。
以前、プーチン大統領がウクライナ侵攻に踏み切った理由について、孫崎享さんの著書に引用された安倍元総理の、領土的野心ということではなくて、ロシアの防衛、安全の確保という観点から行動を起こしていることと思いますという発言を紹介しました。リベラル派の孫崎さんの議論はおろか、安倍元総理の見解ですら事実上封印されてしまうところに日本の言論界の異常さを感じます。
対ロシア制裁に加わった国は五十ほど、残りの大半の国がロシアとの関係を維持発展させています。その理由の一つには、NATO東方拡大がロシアを追い込んだ結果、戦争になったことが広く認識されていることもあるでしょう。そしてもう一つ、西側諸国が、私が以前取り上げたセルビア空爆のように、侵略を含む多くの国際法違反を繰り返してきたこと、そしてこれを多くの国の人々が忘れていないため、西側の言う法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序なるものが何の説得力も持たないということもあると思います。
そして、自らが法の上にあるかのように振る舞う西側諸国が全く改心していないことは、イスラエルがパレスチナに対して行っているジェノサイド、それへのアメリカの支援、そしてイスラエルを止めるため、対ロシアでしたような本気の行動に出ない西側諸国の姿により、世界の前で明らかになりました。
道義面だけでなく、様々な局面でG7が主導する国際秩序は終わろうとしています。昨年、購買力平価GDPで、拡大前のBRICS五か国がG7のそれを超えたことを紹介しました。今や、ロシアが日独を抜いて購買力平価GDPで世界四位になる状況です。このような状況の下、西側諸国と軍事的つながりを強める一環としてドイツとACSAを結ぶことは、世界の流れに逆らうものであり、日本の世界における立ち位置を悪化させるものです。
さらに、西側諸国との軍事的つながりを強めることは、アメリカの中国に対する軍事的な駒として日本を差し出すものであり、NATOのロシアに対する駒として利用され、国民と国土が悲劇的な状況に陥っているウクライナと同様の状況に、日本、とりわけ軍事拠点の沖縄を追い込む危険な行動です。
NATOの拡大がウクライナに及ぶことは、ロシアにとっては武力をもってしても阻止すべきレッドラインであり、ロシアが繰り返し警告しただけでなく、アメリカでもヨーロッパでも多くの人がそんなことをしたら戦争になると警告していました。そんな少し調べれば分かる歴史も、新聞、テレビにはほとんど出てこないのが日本の異常な言論空間です。
中国にとって、武力をもってしても阻止すべきレッドラインは台湾独立です。今、アメリカや日本に台湾独立をあおる者たちがいて、中国を挑発し、それに何度も中国が強い警告を発しています。今、日本がなすべきは、西側諸国との軍事的連携を強めることではなく、逆にアメリカから距離を置くことです。
以上、世界の流れ、そしてアメリカの中国に対する軍事的駒として日本が利用される危険性から、今回の日独ACSAを含む西側との軍事協力の推進に反対する旨表明します。
例えば、我が国の言論空間では、台湾の民主主義を守るのだとあおる言論が横行しています。しかし、台湾では、アメリカを信じず、アメリカと距離を置いてこそ台湾は米中対立による衝突に巻き込まれないことができるといった民意は強く、私が昨年、本委員会で紹介した民意調査では過半数に達していました。
委員各位、そして政務三役におかれましては、政府情報や日本の新聞、テレビの情報をうのみにすることなく、是非とも世界の多様な情報源から触れていただきたいとお願いし、反対討論を終わります。