加藤宣行の発言 (環境委員会)

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○参考人(加藤宣行君) ありがとうございます。
 皆さん、こんにちは。私は、加藤商事株式会社の代表を務めます加藤宣行と申します。この度は、このような場にお招きいただき、誠にありがとうございます。
 これから、この新法に関する私の考えを述べたいと思いますが、その前に、私の会社を含めた業界の歴史や背景について御説明をさせていただきたいと思います。
 弊社は昭和二十一年に、祖父、加藤長次郎が創業いたしました。そして、私の父、加藤実を含めた私のおじ、おばがその祖父の仕事を手伝い、様々な場所で営業所を展開し、責任者として働きました。その後、それら営業所が独立をし、私の父も東京の東村山で営業所を昭和三十五年に独立させて現在に至っており、私で三代目の社長になります。
 加藤商事の歴史はまさに日本経済の発展とともに成長させていただきました。日本の経済成長は目まぐるしく発展を遂げるわけですが、それに伴って環境問題が深刻化いたしました。
 一九六〇年代から七〇年代にかけて、大気汚染、水質汚染、土壌汚染などが顕在化し、有名な事件としては、足尾銅山鉱毒事件に始まり、水俣病や四日市ぜんそくなどが起こりました。
 また、不法投棄問題も深刻でありました。一九七〇年代後半から八〇年代にかけては、豊島周辺の海域において大量な有害廃棄物が不法投棄されています。これは産業廃棄物処理業者が法規制を逃れるために行ったもので、地域住民や海洋生態系にも深刻な影響を与えてしまいました。
 さらに、焼却炉によるダイオキシン問題もありました。ダイオキシンは有害な環境汚染物質で、焼却炉からの排出によって発生してしまいます。これは家庭や産業の廃棄物を処理する際に放出され、周辺地域の健康や生態系に影響を与える可能性がありました。ちょうどこの頃、私の親戚の加藤商事の所沢の会社も、せっかく造った焼却炉をマスコミの報道や風評被害により廃炉になったという経験をしております。
 これらの問題に対応するため、一九七〇年代から八〇年代にかけて廃棄物処理法が改正されます。廃棄物処理を行う業者に対する厳格な規制が強化されていきました。殊更、欠格要件というのがありまして、欠格要件の規制は最たる例です。交通違反など本業ではない刑に、会社の役員などが罰金刑、禁錮刑に科せられた場合、この廃棄物の業の許可をも取り消すことになっており、ほかに類を見ない法律だったと思います。しかし、言い方を変えれば、我々の業務はそれだけ地球環境に対して責任の重い事業を行っていると認識し、真面目に仕事をしていれば規制強化を恐れる必要は全くなく、悪徳企業を滅するには効果的な手段だったと理解しております。
 しかし、少し冷静に考えてみれば、違法な処理の温床の一つに、悪質な業者に仕事を託す排出者の問題もあります。その排出者の心理は、ずばりコストです。それまで私たち廃棄物処理業者は、これまでどんなに高度な施設を建設しても、排出者側から見ればコスト優先が否めなかったのだと思います。排出側は消費者によりいいものをより安く提供することは当たり前であり、それを実現するために必死になっていたわけであります。材料調達にもコストを下げる努力をする、人件費も考える、高効率も進める、そんな中、廃棄物の処理費にお金を掛けることが極めて難しかったのかもしれません。
 こんな時代が長く続きましたので、世間から見れば、私たちの業界はダーティーで印象が悪く植え付けられていきます。現に、私自身もこの業界に長くおりますが、中には印象を悪く持つ人もおりました。議員さんの周りにも、廃棄物業者というだけで少し敬遠する人もかつてはいたんではないでしょうか。
 これまでの間、レッテルを取り除くために、我々優良企業は業界活動等を通し様々な努力をしてきました。そんな中、がらっと話が変わってきました。それは何か。地球温暖化問題の発生です。これは私たちに大きな大きな変化をもたらすことになります。
 私は、二〇〇九年から一一年まで、現全国産業資源循環連合会、旧全国産業廃棄物連合会の青年部の会長を仰せ付かっておりました。青年部は次世代の廃棄物業界を担う若者の集まりで、当時全国で千六百人を超える会員がおりました。活動目的は業界の認知と会員資質の向上であります。
 私の会長時代に行ったものは、地球温暖化問題に着目し、業界でCO2を減らす企画でありました。そもそも温暖化問題とは何なのかから勉強し、それを防ぐためのCO2をどう減らすかを考え、その結果を表彰するというものでした。温暖化問題は私自身もよく分かっていなかったので、いろんな専門家の方と会って勉強させていただきました。
 特に、国立環境研究所に所属していた江守正多さんが作った地球温暖化シミュレータは印象深いものでありました。スーパーコンピューター内で架空の地球をつくり、そこに過去百年の世界の気象情報などを入れ、その後を予測するものであります。そこには、地球の平均気温が四・六度上昇していく結果が出ています。
 あれから十五年がたち、残念ながら世界は今その道をたどっているわけであります。同じ危機感を世界中が持ち、現在、各国が動き始めたわけであります。世界人口や温暖化問題による資源の枯渇は間違いなく来ているわけで、EUにおいては、欧州グリーンディールの一環で、令和二年に新循環経済行動計画二〇二〇を発表しております。その中で、販売される製品につき、長時間の使用、再利用、修理、リサイクルが容易な製品設計なども義務化するとなっております。経済大国アメリカでも、令和三年、二〇二一年の国家リサイクル戦略を循環経済を第一弾に位置付け、取組を進めております。
 ここで私が申し上げたいのは、ヨーロッパ、アメリカらは、資源循環経済に対する計画をここ数年で本気で進めております。そういった意味では、リサイクル先進国と言われた我が日本が少し後れを取っているとも思えてなりません。日本のリサイクルの歴史は古く、特に一九九〇年から加速します。リデュース、リユース、リサイクルの教育もあり、数十年たったわけですが、この最後のリサイクルの技術がいま一つ進んでいないのが現状です。
 この原因は、我々廃棄物業者の廃棄物から製品になる材料を作る技術の問題と、それを使う製造側の受入れがきちんと話し合われていないからだと思います。廃棄物からいい物を作るにはそれなりのコストが掛かります。先ほども述べましたが、我々はどんなに地球に配慮した、環境に配慮した高度な施設を建てても、処理費を払う側からすれば、コスト優勢の時代が続いていてなかなかその技術の向上にアクセルを踏めなかったわけです。また、製造側も、材料のクオリティーが下がっては国内外の競争力に負けてしまうので使うことが難しかったとも考えます。
 まとめますと、今回の資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律におきましては、欧州を中心に世界では再生材を求める動きが拡大化しており、対応が遅れれば成長機会を逸する可能性があるということです。我が国も再生材の質と量の確保を通じて資源循環の産業競争力の強化をすることが重要であると考えます。
 このような状況を踏まえ、資源循環を進めていくため、製造側が必要とする質と量の再生材が確実に供給されるよう再資源化の取組を高度化し資源循環産業の発展を目指す、これは必須課題でもあり、もう待ったなしというふうにも思えます。
 最後になりますが、我々廃棄物を取り扱ってまいりました者たちにとって、これはチャンスでもあります。そしてまた、レベルアップをしなければならない時期だとも思っております。もちろん、中小企業が多い我々は、製造側の要求に応えるための技術革新、そして初期投資の、多額な初期投資など多くの問題をクリアしなければならないことはあります。
 したがって、協会員全員、我々業界全員がレベルアップをすることは大変ですが、一方、我々はこれまで国のために多くの努力をしてきたのも事実です。特に災害時には、エッセンシャルワーカーとして責任を果たすべく自らの社員や資材を提供し、復旧復興へ尽力してまいりました。そして、これからもそうしていく覚悟を持って仕事をさせていただいております。大手ばかりが主導権を持つのではなくて、我々も国を支える第一線の企業として頑張りたいと思っております。
 先生方に最後にお願いがあります。
 私らは、これまで一部の悪徳企業のためにかなり不利な嫌な思いをしてきました。次の世代には同じ思いをさせたくはありません。そのためにも、どうか私らの業界を発展させていただくよう切に申し上げ、私の発表とします。詳しい御質問については後ほど伺いますので、よろしくお願いします。
 以上です。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 加藤宣行

speaker_id: 16680

日付: 2024-05-07

院: 参議院

会議名: 環境委員会