近藤元博の発言 (経済産業委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(近藤元博君) おはようございます。御紹介いただきました愛知工業大学の近藤でございます。よろしくお願いします。
 本日は、このような貴重な場をいただき、ありがとうございます。私、専門は資源とかエネルギー問題をやっておりまして、特にその資源問題、エネルギー問題の中では多様化と高効率化、この二つをやってきております。
 前職は自動車会社におりまして、その頃から、どちらかというと、大きな発電所とかエネルギーシステムじゃなくて分散型のシステムを開発してまいりました。特に、いろんな燃料を使うという意味では、廃棄物ですとかバイオマス、こういったものから、石油、石炭、天然ガス、そして今日御審議いただきますけど水素、こういったものを利用しながら分散電源をつくっていくというシステムをつくっています。
 さらに、今、この法案に関しましては、経済産業省の水素の小委員会ですとか、この午後審議があると聞いておりますけれども、CO2を貯留するような委員会、ここで参加してやっております。
 今日、特に三つほど申し上げたいと思っていますのが、一つは、この水素をいかに早く大量に調達するかということの必要性。それによって日本の脱炭素と日本の競争力を、いかに競争力を上げていくかというのが二つ目。三つ目が、将来、このCO2と水素を使って新しい産業も生まれてまいりますので、こういった三つの観点でお話ししたいと思っております。
 それでは、資料を御覧ください。一枚めくってください。
 二ページ目になりますけれども、これはIEAの、国際エネルギー機関が作りましたネットゼロのシナリオというふうになっております。左の方から右の方に効率性が高い脱炭素のテクノロジーが書いてございます。今日御議論いただくのが、下に囲っておりますが、水素の燃料、さらには、水素とCO2を化合させたような新しいテクノロジーでありますCCUS、こういったところが書かれています。ですので、水素というのは非常に有効な脱炭素の手段であるということが分かっているかと思います。
 では、次のページお願いいたします。
 それでは、現在その水素の需要はどうなっているかということについて御説明したいと思います。
 左側のグラフが、これは過去の水素の生産量になります。御覧いただいたら分かりますように、この近年、非常に水素の生産が伸びております。これは、全世界的に脱炭素の機運が高まっていること、さらに、ロシアのウクライナ侵攻によりましてエネルギー問題が出てまいりまして、この中で水素が非常に注目されたこと、さらには、将来の経済成長という観点から伸びている感があります。
 さらに、右側のグラフを見ていただきたいんですが、低炭素水素の発生、生産量の予測と書いてございますが、また後で御説明しますが、色がいろいろ付いております。水素には色が付いているということが御覧いただけますが、当面はこのグレー水素と言われます、CO2が出てしまうような水素が中心になりますが、将来にわたっては、グリーンとかブルーといった低炭素水素が普及してくると考えられています。
 一方で、このグラフは二〇二一年に作られたものなんですが、直近の調査によりますと、二〇五〇年で、この二〇七〇年に書いてあります五億トンというものが必要になると言われていますので、この二、三年で二十年ぐらいの前出しになっているということなので、非常に水素は国際的にも注目されているということを御理解いただきたいと思います。
 では、次のページを御覧ください。
 これは、GX経済移行債を活用しました官民投資の概念図になります。ど真ん中に暮らしのGXを置きまして、私がいつも申し上げている四つのグリーンテクノロジーカテゴリーがございます。
 今日御議論いただきますのは下にありますようなグリーンエネルギーのところで、水素、アンモニアを囲ってございます。さらに、左側行っていただきまして、鉄鋼、化学、紙パ、セメントにありますようなグリーンマテリアル。そして、右行っていただきまして、自動車ですとか船舶といった製造過程と使用段階が出てきますグリーンプロダクツ、グリーンサービス。この四つをもって暮らしのGXが成立するというふうに考えてございます。
 では、その次のページを見ていただきたいと思いますが、これをベースに、現在、十年間でどれぐらいの投資があって、どれぐらいのCO2の削減効果があるかというものをGX実行会議の資料から作っております。
 今日御議論いただきます水素につきましては、グリーンエネルギーの分野の中で、七兆円の投資をしながら年間六千万トンのCO2の削減量が見込まれております。特に、グリーンエネルギーの分野の中では、水素は非常にCO2削減効果が高い投資になると考えられます。
 一方で、後ほど御説明いたしますが、水素は、このエネルギー分野にとどまらず、鉄鋼、化学、さらには自動車といった幅広い分野で使われてまいります。そういう意味では、脱炭素の形成と経済競争力の強化につながると思いますし、先ほど申しましたように、世界はもう水素に非常に注目しています。そういう意味なので、投資をするに当たりましては、国内の需要ではなくて世界の市場をにらんだ投資にしていく必要があるというふうに考えた所存でございます。
 では、次のページを御覧ください。
 では、水素はどうやって作るのかということなんですけれども、地球上には水素分子という形では水素は存在しません。必ず何かの分子、原子とくっついて化合物になっております。そういう意味では、一番左にございますように、いろんなものから水素は取り出すことができます。特に、一番上にございますように、水を使って再生可能エネルギーから電気分解をする、これがグリーン水素と呼ばれるところになりますが、そういう意味では、いろんな色があるよねということがここで分かっていくかと思います。
 さらに、その用途でございますが、七ページを御覧いただきたいと思うんですけれども、既に産業界では多くの分野で水素が使われております。この後、水素はいろんなところに展開されていくと思うんですが、水素は、先ほどから申しますように、多様性があって多面性がございます。そういう意味ではいろんな場所で使います。工業地帯でもあれば、民家、家庭でも使います。さらに、いろんな用途で使います。輸送用、産業用、家庭用、業務用。そして、そのためにはたくさんのユーザーがいますので、そういう意味では、水素というのは非常に広がりが高い燃料であるというふうに考えていただいて結構かと思います。
 では、次のページを御覧ください。
 とはいえ、水素は、供給ですとか輸送に対していろんなインフラが必要になります。
 ところが、水素は、先ほど申しましたようにいろんな原料からできるのと反対に、いろんな原料を作り出すことができます。左側にございますように、空気中にありますような窒素ですとかCO2、厄介者のCO2、これと先ほど申しましたようなブルーとかグリーンの水素を組み合わせることによりまして、既存燃料であるようないろんな燃料ですとかいろんな原料、さらにはアンモニアというものができます。そうなりますと、一番右にございますように、発電、輸送、産業、民生、いろんな分野で既存のインフラを使いながら供給ができるようになります。そういう意味では、水素は多様性があっていろんなところで使えるというのも、この意味も含めまして御理解いただけるかと思っております。
 では、次のページを御覧ください。
 では、少し最初の議論に戻りまして、最初に御説明しました四つのグリーンカテゴリーを書いてございます。そこに、中央に水素を書いてございますが、この青い矢印が水素の動脈になります。
 御覧いただいて分かるように、水素は、グリーンエネルギーの分野にとどまらず、先ほど申しましたように鉄鋼、化学といったグリーンマテリアルの分野でも使われます。そして、自動車、船舶、家庭、家電機器といって、こういったグリーンプロダクトを作るためのエネルギーとしても使われます。そして、最終的には、自動車ですとか航空機ですとか船舶に対しても、利用段階、使用段階でも使われるということになるので、そういう意味では、水素の普及というのがこの四つのグリーンカテゴリーをカバーするということになります。
 つまり、この水素の普及速度というのが、実際に脱炭素の普及速度に一致するんではないかと私は考えておりまして、それで、水素は脱炭素のペースメーカーというふうに呼んでおります。
 一方で、一番下段にございますように、CO2を回収して貯留するというCCS事業につきましては、これは全分野の底辺にございます。そういう意味では、CO2を削減するとりでというふうに考えます。ですので、CCSというのはゴールキーパーと呼んでいます。
 そういう意味で、今日の御議論にありますような水素のペースメーカーとCCSのゴールキーパー、この二つが相乗効果を生みながら、今日の議論にはありませんが、カーボンプライシングをうまく使うことによって、脱炭素の進行というのが、推進等ができるというふうに考えている次第でございます。
 では、次のページを御覧ください。
 これを少し産業立地論的に考えていきたいと思いまして、次のページを作っております。
 上段にございますように、水素のほかのカーボンニュートラル資源、これを使いまして、現在ではたくさんのCO2を出しております石炭火力ですとか石油精製、製鉄、こういったところが水素を使うことによってゼロカーボンプラントに豹変いたします。そして、こういったプラントから出てまいりますカーボンニュートラルエネルギーですが、カーボンニュートラルマテリアル、これが、自動車ですとか機械、電機、いろんなところで使われることによって世界に製品として出荷されていきます。そういう意味では、こういった新しい産業が生まれてまいりますし、新しい価値というものを生み出すポテンシャルがございます。
 そういう意味で、水素は、新しい産業ポテンシャルを生み出すという意味も含めまして、非常に重要な資源であるというふうに考えている所存でございます。
 では、これをもう少し立地的に考えてみたのが次のページになります。
 この絵は、経済産業省の方のカーボンニュートラルコンビナート研究会の方で作った絵に私がちょっと加筆したものになります。国土交通省さんですとか港湾関係者と協力しながら、例えば左上にありますように水素とかアンモニアの受入れのハブ拠点をつくること、これによってこのコンビナート内に水素、アンモニアが十分行き渡ってまいります。さらに、中央にございますが、CCSのハブ拠点と書いてございますが、どうしてもコンビナート内で出てくるCO2を回収して貯留する拠点をつくることによって、このコンビナート自体はゼロカーボンコンビナートに変貌しております。さらに、水素、アンモニアとCCS、要はCO2が同時に回収されて同時に入ってまいりますので、一番右にございますような、将来の技術でありますCCUネットワークの形成にも貢献すると考えています。
 つまり、現在は行われておりませんが、CO2を使って新しい資源をつくるといった新しい産業構造もコンビナートの中に生まれてくるというふうに考えている次第でございます。
 では、これが夢物語のように見えるかもしれませんので、少し現実論でお話をしたいと思います。
 次の十二ページを御覧いただきたいと思うんですが、これはNEDOがやった調査の中の資料を引用しておりますけれども、ちょうど私がおります中部の、名古屋の臨海工業地帯の写真を載せております。
 御覧いただけるように、先ほどのカーボンニュートラルコンビナートのプレーヤーであります鉄鋼、それから石油化学、さらには火力発電所、こういったものが立地しております。そういう意味では、先ほど申しましたようなプレーヤーがちゃんとおりますし、下の方にございますが、東邦ガスのような都市ガスの供給者、さらには製油所もございますので、新しくつくられるようなエネルギーもこの動脈を使って容易に地域に供給ができるというふうに考えてございます。
 そういう意味では、夢ではなく現実論、こういうコンビナートがあるよねということを御覧いただいたと思います。
 では、次のページを御覧いただきたい。それをもう少し大きく鳥瞰したいと思います。
 同じように、中部の地区を愛知を中心に、三重、岐阜、長野、静岡まで鳥瞰してございます。黒色の矢印がアンモニアの流れ、赤い色が水素の流れ、さらに、緑色がCO2の流れになってございます。このように、産業がきちんと立地するところにつきましては、水素、アンモニアのハブ拠点の整備ニーズが大きくございます。さらに、CO2の輸出拠点としても非常に有効な拠点になってまいります。
 そういう意味では、こういったサプライチェーンをうまく有効に使用しながら、最初に申しましたように、グリーンエネルギー、グリーンマテリアル、グリーンプロダクト、グリーンサービスといったものが地域に展開することによって地域が再成長するという構図になるのかと思っております。
 そういう意味で、こういったグランドデザインを地域ごとにつくりながら、産学連携をしながら、そして民間も入っていくことによって地域の脱カーボンを進めていくということが必要かと、最後に思っております。
 最後、まとめでございますが、十四ページを御覧いただきたいと思います。
 いろいろお話をいたしましたけれども、我が国のカーボンニュートラルに貢献する産業ポテンシャルは非常に高いと思っています。既存産業も力は非常にございますし、いろんなテクノロジーを持っております。そこに、現在カーボンニュートラルが追い風になっておりますので、世界の産業をリードするような可能性が出てまいりました。
 そのためにも、ずっとお話をしましたように、エネルギーとか素材、こういったもののカーボンニュートラルが急務でございます。そのためにも、今日御議論いただきますような、国際的な資源になっております水素、これを大量に安定的に安価に調達すると、こういう仕組みが不可欠になってまいります。こういったものがそろいますと、各地域の産業ポテンシャルを最大限活用することができますので、これによりまして、国際競争力と環境競争力の向上ができてくると考えております。
 そういう意味で、国の重点施策、優先支援になりますような本法案につきましては、短期的な視点もございますが、中長期的な視点も含めまして非常に重要な法案だと私は考えてございます。
 以上で私のプレゼンを終わらせていただきます。ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 121314080X00720240507_002

発言者: 近藤元博

speaker_id: 29372

日付: 2024-05-07

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会