明日香壽川の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(明日香壽川君) ありがとうございます。東北大学の明日香と申します。このような機会をいただき、感謝しております。
 私は、資料に沿ってお話しさせていただきます。
 二ページ目を御覧いただければと思います。
 内容は三つありまして、早急かつ大幅な削減の必要性。恐らく、早急かつ大幅な削減、具体的なイメージというのはお持ちでない方が多いかと思いますので、そこに関して少し説明させていただきます。二番目、CCSというのは全てのCCSが悪いというわけではありませんし、私もそこは申し上げません。ですが、日本政府の今のGXにおいて、火力発電に対するCCSに関してはいろいろ問題があるかと考えています。三番目に、じゃ、どうすればいいか、どうした方がより国民経済にとってプラスになるか、そのようなお話を、どちらかというとエネルギー全体の話をさせていただければと思います。
 三ページ、テークアウエーメッセージ、まず皆さん今日持って帰っていただきたいメッセージなんですが、まず第一は、日本の温室効果ガス排出削減目標、今、政府の目標は四六%削減ですが、これはパリ協定の一・五度目標に全然整合しないです。なので、カーボンニュートラル二〇五〇年というのは皆さん何となく御理解なさっていて、二〇五〇年までに減らせばいい、それまではいろいろ試行錯誤すればいいというふうに思っている方が多いかと思うんですが、実は、この二〇三〇年の間に大幅に減らさないと一・五度目標は達成できないということです。
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 二番目のメッセージとしては、基本的には政府としては、補助金をいろんな技術、研究開発に供与するということかと思います。ですが、御存じのように、補助金にはいい悪いがありまして、今、今日午前中にお話があった水素、アンモニア混焼や石炭火力のCCSに多額の公的な補助金を出すのは極めて悪手だとは考えています。まさに、これは機会費用の喪失ということになるかと思います。
 じゃ、どういう機会費用かというと、その分のお金を再エネ、省エネに投資すれば、CO2排出早期削減、いろいろ書いてありますが、全てが実現すると。なので、このような利益が喪失するということが言えるかと思います。
 ページをめくっていただいて、早急かつ大幅な削減の必要性です。
 六ページ御覧になっていただければと思います。
 よく四六%で、NGOとか若い人たちは六二%が必要だということをおっしゃっています。ですが、実はどうやってその六二%という数字が出てきたかは余り分かっていない方が多いかと思います。これは、世界全体での費用最小という分配の仕方で考えたときに六二%になります。
 ですが、世界全体での費用最小というのは実は公平ではなくて、カーボンバジェットを公平に分配する、例えば一人当たりで分配する、まあそれに対してもいろいろ異議があるかと思うんですけれど、実は温暖化の問題というのは、水とか食料を公平にどう分配するかという問題と全く同じです。そのときに必ず出てくるのが、一人当たりで同じでしょうということです。そうすると、この研究機関の、世界中の研究者がこの研究機関の数字に依拠しているんですが、一〇〇%、日本は二〇三〇年までに本当は削減しないと、本当というか、公平性を考えるとということです。
 次のページ、七ページも、違う研究機関ですが、同じような結果を示していて、日本の場合、人口一人当たり同じように割り当てるとすると、二〇二五年に実はゼロにしなきゃいけない。これは、一・五度の目標を六六%の確率で達成する場合です。なので、このくらい実は一・五度目標というのは難しいんですね。なので、二〇五〇年に何とかすればいいというのは全然違う話で、この二〇三〇年までに、公平性を考えれば本当はゼロにしなきゃいけないというのがパリ協定の目標です。ということをまずちょっと頭に入れていただければと思います。
 次のページを願います。
 そういう状況で、どこにお金をどれだけ出すかというのは非常に重要でありまして、そのために政治の場があるのかなとは思います。私のポイントとしては、CCS火力発電に公的な補助を出すのは問題だということをここでお話ししたいと思います。
 九ページ、先ほどいい悪い補助金があるというふうな話をしましたけれど、既に再エネ、省エネというようなより代替技術がある中で、CCS、特に火力発電CCSというのはCO2排出を固定します。かつ高コストです。これ、コストが高いということは、実はほかに安いコストのゼロエミッション技術があったとき、それを、そっちを使った方がより大きな排出削減が実現するということなんですね。なので、脱炭素を邪魔して遅らせるということを私は申し上げていますし、世界中の研究者がこのポイントを今強調しているところです。ここは後でまた説明します。
 世界中のCCS、今動いている、世界で四十ぐらいあるんですけれど、そのほとんどがいわゆる原油増産目的のCCSです。なので、一トンのCO2で二・五バレル石油が増産される計算になっていまして、二・五バレルの石油を燃やすと一トン出ることになります、CO2が。なので、実は何をやっているか全然分からないというのが石油増産、世界のCCSです。
 補助金の場合、それに与えられることによって民間投資が進めばそれでコストが下がりますので、それで政策としては良い補助金ということになるんですけれど、CCSの場合は、世界レベルでは大規模な民間投資が行われていません。今、現時点で行われているのは、ほとんど政府の補助金によっているものです。なので、かつ、それによってコストが下がらない。コストが下がらないというお話も後で申し上げますけど、結局は補助金を国民が永遠に払い続けるということになります。
 三番目は、雇用増にならず、コベネフィットが小さい。かつ、CCSの場合はエネルギーを使いますので、その分実は効率が悪くなるということです。
 十ページ、お願いします。
 これは、CCS技術が習熟率、学習率というんですかね、ラーニングカーブって、たくさん投資をしてたくさん導入すればコストが下がるという、それは皆さんお分かりになるかと思いますけど、それをほかの技術と比較したものです。太陽光モジュールやLED、電気自動車、いろいろありますが、CCSは原発と並んでほとんどコストが下がっていない。CCS自体は一九二〇年代ぐらいから使われて、一九五〇年代、だから、かなりアメリカで入っているんですけれど、ほとんどコストは変わっていない、安くなっていないというのがCCSです。
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 これもアメリカの事例なんですけれど、アメリカ政府も、二〇一〇年ぐらいから火力発電CCSに対して補助金をたくさん出しています。ですが、八件中七件は失敗しています。稼働していないです。結局お金が無駄になったんで、アメリカの会計検査院が警鐘したレポートを出しているというのがアメリカでのCCSです。
 この一件だけ動いたんですが、十二ページお願いします。
 一件だけ動いた、実はそれは、世界で動いている石炭火力の発電CCSは、カナダ一件、アメリカ一件だけです。そのアメリカが、その先ほどの一つだけ動いた、補助金で動いたものなんですが、二〇一七年、動いたんですけれど、これも原油増産回収ですが、日本の国際協力銀行とみずほ銀行が低利融資して、アメリカが約二億ドルの補助金を出している案件です。なので、日本のお金がかなり入っているという案件です。
 これ動いたんですけれど、次の十三ページお願いします。
 技術的問題、採算性悪化で、二〇二〇年五月に稼働停止しています。親会社は、三回の減損処理後、保有していた五〇%の持ち株をCCS建設費の僅か〇・五%の価格で売却です。これ何があったかというと、不良債権の処理ですね。建設費の〇・五%で、ある意味で二束三文で売り払ったと、損を切ったということかと思います。なので、今このアメリカの唯一の、世界で動いている二つのうちの唯一の一つのアメリカの火力発電CCSというのは、日本のENEOSの子会社が一〇〇%出資しているという状況です。
 次のページ、十四ページお願いします。
 二〇二〇年に止まったんですが、二〇二三年九月にまた再稼働しました。なので、今動いていますが、コストや排出削減量は不明な状況です。もう一つ世界で動いているカナダのバウンダリーダム発電所のCCSも、一千億円以上投資して、CO2回収率は六割程度です。IEAも、二〇二一年ですか、最初にネットゼロのシナリオ、こうすればカーボンニュートラル二〇五〇年達成できるというようなシナリオをCCSに関して研究していたんですが、二〇二三年のアップデート版では、CCSはやはりかなり難しいんじゃないかというような少し厳しい評価をしているところです。
 十五ページは、低いCO2回収率に関するデータですね。グラフです。左が天然ガス火力、石炭火力です。動いているのは二つしかない。天然ガスのコマーシャルベースのCCSが世界にまだ存在しないです。見ていただければ分かりますように、火力発電の場合は今六割ちょっとですかね、五割、五六%。実はほかの天然ガスの生成とか水素生成のCCSも、実は回収率は九割を超えていないです。なので、技術としてはまだまだ途上、少なくとも、九〇%、九十何%回収できるというのは現実とは違うという話になります。
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 アメリカの話なんですけれど、これまさに二週間ほど前ですか、バイデン政権が、発電所のCO2排出量を二〇三二年から九〇%削減するという規制を導入しました。これはまさに、石炭火力を止めるかCCSを入れるかのどっちかを迫っていることになります。業界団体は、CCSはまだ経済性がなく導入する段階にない。先ほどお話があったように、アメリカの補助金があるので経済性があるという話かもしれないんですが、実は業界団体は分かっているので、経済性がないから今は無理だというような話をしています。実質的な石炭火力及び火力CCSへの引導、これ引導という言葉はニューヨーク・タイムズがこのアメリカの政権の政策に関して使っていた言葉で、そのまま使ったんですけれど、まさにそういう状況であります。
 十七ページお願いします。
 ここもちょっとお話はしょりますけれど、G7では、やはり日本に関して非常に厳しい、特に日本の石炭火力を使い続けることに関しては厳しい意見が出ています。
 そのときに問題になるのが、日本の政府の見解というのは、排出削減が取られていると、だから大丈夫だという話なんですけれども、その排出削減という定義がどう考えるかなんですね。IEAはCCUSが付いていなきゃいけない、IPCCはライフサイクル全体で九〇%以上回収しなきゃいけないというような定義をしているんですが、十八ページを御覧になっていただけますように、日本は、そう言うには、それは一つの定義であって、日本政府の定義は違うというような立場を崩してはいないです。九〇%以下でもオーケーというふうに解釈していますし、先ほど申し上げたカーボンバジェットなり一・五度目標、石炭火力だけでカーボンバジェットを全部使ってしまうというような議論は無視しているというのが日本ではあります。
 なので、このような日本に対しては面白い記事があったので御紹介しているんですけど、日本に対して、宿題は犬が食べてしまったという、ザ・ドッグ・エイト・ジャパン、アンド・ザ・ドッグ・エイト・ホームワークという言い方がありまして、子供が宿題何でしないといけないんですかと言われたときに、宿題は犬が食べちゃったというふうに子供が答えたと、まさに日本はそういうような言い訳をしているというような記事がブルームバーグで世界中で流れているという状況です。
 最後に、ではどうすればいいかというお話をさせていただきたいと思います。ちょっともう時間が過ぎてしまっているので簡単にお話ししたいと思います。
 基本的に、再エネ、省エネは今非常に安くなっています。この十年間で十分の一の値段になっています。なので、そっちを使った方が全然安いんですね。
 二十二ページ、お願いしたいと思います。
 これも御覧になった方もいらっしゃるかと思うんですけれど、一トンCO2を減らすのに幾らぐらいお金が掛かるかということです。事業用太陽光が二・九USドル、原発運転延長が十七ドル、原発新設は五十六ドルです。なので、差が六倍から十九倍なんですね。これ、IEAのデータです、IEAの報告書。
 これどういうことかというと、同じお金を出すんであれば、事業用太陽光に投資した方が六倍から十九倍、原発の再稼働又は新設に対してCO2の削減ができると。なので、先ほど冒頭に申し上げたように、脱原発、済みません、無駄なお金を投資するのは脱炭素を遅らせると、邪魔するということです。
 いろいろな計算は我々の研究グループがしています。一つだけグラフを紹介させていただいて、二十六ページ、二十七ページです。
 我々の研究、計算だと、政府のGX、水素、アンモニアも使うし、CCSも使う、石炭火力も使うというエネルギーシナリオの方が全然電気代が高くなるという結果になります。先ほど申し上げたように、再生可能エネルギーは十分の一の価格になっていますし、CCSは高いです。我々、二〇四〇年からCCSが入るという想定で、一万二千円という先ほどのデータ、コストを入れているんですけれど、誰が計算してもこういうふうになります。
 こういう結果というのは、最後のグラフになりますけど、二十九ページ、別に我々の研究グループがこういう数字を出しているわけじゃなくて、アメリカの政府の研究機関も、アメリカの今のインフレ抑制法案、基本的には再エネ、省エネをたくさん入れるという、EVもたくさん入れるという政策なんですが、それによって電気代は下がるということを示しています。
 なので、申し上げたいのは、もちろんそのゼロエミッション、CCSも、水素、アンモニアも、CO2はゼロに何とかすればなると思います。ですが、お金が非常に掛かると。そのお金をほかに使った方がより電気代も安くなりますし、CO2の削減にもつながりますし、エネルギー安全保障にもつながるということを強調して終わりたいと思います。
 ちょっと遅くなって、延びてしまいまして申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 明日香壽川

speaker_id: 22646

日付: 2024-05-07

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会