西田実仁の発言 (憲法審査会)

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○西田実仁君 大規模災害や感染症の蔓延などにより広範かつ長期間にわたり選挙が実施できない場合に、前議員の復活を含めた議員任期の延長を図り国会の機能を維持すべきとの議論が衆議院において進んでおります。
 さきの憲法記念日に合わせて実施された読売新聞の世論調査では、参議院の緊急集会に触れた上で、衆議院議員が長期不在になる場合に備えた対応として、憲法を改正して衆議院議員の任期を延長できるようにするが三八%、憲法は改正せず参議院の緊急集会で対応するが五八%という結果になりました。一方、参議院の緊急集会には触れずに、緊急事態で選挙が行えない場合、国会議員の任期を延長できるようにすると設問を立てた朝日新聞の調査では、憲法を改正して対応すべきが五一%、その必要はないが四一%となりました。この二つの世論調査だけを見ても、憲法に位置付けられた参議院の緊急集会について、参議院の側でもっと議論を深めなければならないことを実感いたします。
 参議院の緊急集会について考える視点として二つ申し上げたい。
 緊急事態においても国会の機能を維持しなければならないことは、ここにおられる議員のほとんど全てが賛同されることでありましょう。その際、なぜ憲法に定められた参議院の緊急集会では不十分であり、衆議院が活動し続けることが不可欠と考えるか、緊急集会の権能の範囲についてどのように考えるのかという視点が一つ。そしてもう一つは、参議院の緊急集会にしても衆議院議員の任期延長にしても、いずれも民主的正統性に関して完璧とは言えず、緊急事態から通常時へのレジリエンス、復元力の高い仕組み、土井参考人が御指摘されていた点ですが、がいずれか若しくは両方かという視点であります。
 緊急集会の権能の範囲については、昨年六月七日の会派代表意見を中心に見ると、その暫定的、一時的な位置付けからして、緊急の必要がないとされる憲法改正の発議や内閣不信任案の決議は認めるべきではないというのはほぼ共通しています。しかし、緊急事態への対応に必要な閣法の提出は当然に可能であるし、国会法百一条に基づき、議員は内閣から示された案件に関する議案の提出も可能とされるなど、緊急集会の権能の範囲は広く認めてもよい、法律、予算など広く国会の権限に属するものに及ぶ、合目的性に適合する範囲においては制約はないとする意見が目立ちました。
 その上で、災害時に緊急事態が発生した場合に参議院の緊急集会は本当に国会の機能を代行できるのか、それも長期にわたって代行可能なのかという検証も参議院として行うべきではないかと申し上げたい。これは自民党の佐藤筆頭幹事の問題意識に触発されたものであります。すなわち、憲法に定める国に緊急の必要があるときの範囲はどの程度か、大規模災害が発生した場合に参議院議員が指定された期日の午前十時に集まれるのか、通知の方法は公報以外も必要か、議員が発議できる議案の範囲についてどう考えるか、委員会への付託案件以外にどのような調査審議が可能なのか、総選挙が解散から四十日以内に実施できない場合、参議院の緊急集会による対応はいつまで可能なのか等々、参議院の緊急集会の流れと関連する論点の整理は是非とも参議院として行うべきであります。
 もう一つの復元力、レジリエンスに関しましては、昨年五月三十一日に行われました当審査会において、我が党の佐々木さやか議員と土井真一参考人とのやり取りが興味深い。すなわち、佐々木議員からの、参議院の緊急集会と任期延長された衆議院議員のどちらがその正常な状態に戻す力が働くかとの問いに対して、土井教授は、参議院の緊急集会は国会そのものではなく、参議院という国家機関が国会の権能を代行しているというふうに整理する必要があると思います、その意味では参議院の緊急集会の民主的正統性にも実は問題がある、ただ、重要なのは、そういう状態であるからこそ正規に戻すレジリエンスが働くので、任期を延長してしまっていて選挙を十分行えていないという存在を完全な国会であるかのようにするよりは、そちらの方、すなわち参議院の緊急集会がレジリエンスが働くのではないかと答えておられます。
 結局のところ、民主的正統性を確保するには選挙を実施することが肝要であり、それがすぐには可能でない場合に、繰延べ投票ではなぜ駄目なのか、なぜ全国一律の投票でなければならないのか、必ずしも判然としません。戦争による生々しい傷痕がいまだ残っている終戦の翌年、昭和二十一年四月十日には第二十二回衆議院議員総選挙が実施されております。大規模災害、感染症の蔓延といった緊急事態における選挙実施困難事態とはどのような事態なのか、現行法において認められている繰延べ投票制度と併せて議論を深める必要があります。
 最後に、参議院議員の通常選挙が大規模災害等で実施困難な場合に任期延長が必要か否かについて意見を述べたい。
 そもそも現行憲法に定められている参議院の半数改選制の趣旨は、参議院はいかなるときにも間断なく常に存在することを憲法が要求したもの、参議院は言わば万年議会でありますと言われるように、衆議院よりも強い程度の継続性、安定性を期待する趣旨にほかなりません。言い換えれば、参議院は定数の半数であってもその継続性、安定性は現行憲法によって確保されていることになります。それゆえ、参議院が正規の定数の半数だけによって構成されている場合でも、緊急集会もまた半数の議員のみにより成立することとなります。仮に通常選挙が実施できなくなり、参議院議員が正規の定数の半数になっても、衆議院議員はフルにおり、臨時会の開催は可能でありましょう。事実、衆議院が解散して不存在になった場合、それまで審議していた法案は衆参共に全て廃案になる一方、参議院議員の通常選挙が実施される場合には、衆議院ではそれまで衆議院において審議されていた法案は継続審議とする慣行がしかれております。これは、参議院は半数のみでも院として存続していると考えていることによるのではないでしょうか。それゆえ、参議院の通常選挙において仮に選挙実施困難事態となっても、任期の延長は不要、繰延べ投票の活用によりできるだけ早期の選挙実施とすればよいと考えます。
 以上です。

発言情報

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発言者: 西田実仁

speaker_id: 26049

日付: 2024-05-08

院: 参議院

会議名: 憲法審査会