伊藤孝江の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。
大規模災害や感染症の蔓延などにより広範かつ長期にわたって選挙ができない場合でも、国会の権能を維持するため、参議院の緊急集会に関する規定が置かれています。
参議院の緊急集会は、衆議院が解散されて総選挙が挙行され、特別会が召集されるまでの間に、法律の制定、予算の改定、その他国会の開会を要する緊急の事態が生じたとき、それに応えて国会を代行する制度であり、参議院の基本的かつ重要な権能であるとともに、参議院の存在意義の一つとして位置付けられます。災害時に緊急事態が発生した場合に、参議院の緊急集会が国会の権能を代行するために議論を深める必要があるとされる点が様々指摘されています。
参議院の緊急集会に関しては、先ほども示されたとおり、手続及び運営が既に整備されており、これは緊急集会の特徴であり利点の一つと言えます。具体的には、国会法及び参議院規則において所定の規定の整備がなされているほか、過去二回の先例を踏まえた先例録も整理されており、これらにのっとった手続及び運営を通じてその権能が発揮されるものと考えます。
本日は、この流れに関連し、二点述べさせていただきます。
まず一点目として、参議院の緊急集会は、憲法五十四条二項では衆議院が解散されたときと規定されていますが、衆議院の任期満了による総選挙の場合にも開くことができると考えます。
その理由としては、憲法制定時には衆議院議員の任期満了時を参議院の緊急集会の対象から意図的に外したわけではないこと、衆議院の不存在という点においては解散の場合と根本的な差異はないことが挙げられ、近時の学説も、憲法五十四条二項の類推適用により参議院の緊急集会を求め得るとの見解が多く見られるようになっております。
二点目として、オンラインによる出席、国会審議や採決に参加できる制度を創設することの検討が必要と考えます。
緊急集会が開催される状況においては、参議院議員の全部ないしは一部が議場に参集することが困難であることを想定しておかなければなりません。参議院の緊急集会の流れによれば、参議院議長からの通知に基づき、参議院議員は指定された期日の午前十時に集会することになります。議院運営委員会理事会で本会議について協議し本会議が開かれるという流れですが、これらへの出席は現実に集合するという形で出席するしかないのでしょうか。この点は、各委員会の理事懇談会や理事会、委員会についても同様の問題があります。
私は、一定の要件の下で例外的にオンライン参加を認めることは、憲法五十六条一項の議事の定足数、五十七条一項の会議の公開の趣旨に反するとは言えず、各議院の自律権、憲法五十八条二項の範囲内であり、憲法上も許容されるものと考えます。
ただ、検討すべき課題も多くあります。オンライン国会を実施するには、議場への参集が難しく困難な客観的状況であるかどうかの認定が必要であり、オンライン国会の実施の要件と手続を具体的に定めておく必要があります。また、本会議、委員会、理事会などを同じに扱うことができるのかどうか、また、憲法五十七条一項の公開原則に反することがないよう、会議の公開性や可視性が確保される方策が取られることや、システムのセキュリティーや投票の真正性が確保されなければならないことなどの課題についても検討する必要があると考えます。
参議院の緊急集会に求められる役割を十分に果たすことができるよう、参議院の緊急集会の流れに関連する論点の整理は、まず参議院として主体的に行うべきと考えます。憲法審査会において、積極的に真摯に議論を重ねていくべきと申し上げ、私の発言といたします。