高橋謙司の発言 (憲法審査会)
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○政府参考人(高橋謙司君) 内閣府防災担当の政策統括官をしております高橋と申します。
御指示に基づきまして、首都直下地震対策の概要について御説明を申し上げます。
首都地域は、政治や行政、経済の首都中枢機能が極めて高度に集積し、かつ人口や建築物が密集しております。このような首都地域において大きな地震が発生した場合、広域的な災害応急対策に不可欠な政治・行政中枢機能や我が国の経済中枢機能などの首都中枢機能の継続性の確保が課題となります。また、他の地域と比べ格段に高い集積性から、人的、物的被害や経済被害は甚大なものになると予想され、その軽減策の推進は我が国の重要課題となっております。
このため、政府では、中央防災会議の下に首都直下地震対策検討ワーキンググループを設置をいたしまして、地震モデルと首都直下地震対策の検討を行い、平成二十五年十二月に首都直下地震の被害想定と対策についてを取りまとめているところでございます。
お手元に配付させていただいております資料をおめくりいただきまして、左側、一ページの上段を御覧をいただきたいと思います。
この被害想定では、切迫性の高いマグニチュード七クラスの首都直下地震を対象としております。文部科学省に設置されております地震調査研究推進本部が公表しております南関東地域でマグニチュード七クラスの地震が発生する確率は、今後三十年間に約七〇%と推定されております。
首都直下地震には様々なタイプの地震が考えられますが、そのうち、被害が大きく、首都中枢機能への影響が大きいと考えられます都心南部直下地震で想定される被害は、建物の全壊、焼失棟数は六十一万棟、建物倒壊や火災等による死者数は二・三万人、要救助者数は七・二万人に上るほか、経済的な被害は約九十五兆円に達すると推計されております。
このような中で首都直下地震が発生した場合において、首都中枢機能の維持を図るとともに、首都直下地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的としまして、首都直下地震対策特別措置法に基づき、首都直下地震対策を推進すべき緊急対策区域で一都九県三百九市区町村を指定するとともに、この一ページの下にある緑の範囲の部分でございます、国におきましては、基本計画、政府業務継続計画、また具体的な応急対策活動に関する計画の策定等を通じまして、円滑かつ迅速な首都直下地震対策を講じてきたところでございます。
おめくりいただきまして、三ページを御覧をいただければと思います。
首都直下地震により想定される被害の特徴を踏まえまして、基本計画におきましては、首都中枢機能の確保及び膨大な人的、物的被害への対応等を基本的な方針としております。また、今後十年間で達成すべき減災目標といたしまして、死者数及び建築物の全壊、焼失棟数の半減をそれぞれ定めております。さらに、これら基本的な方針等を踏まえ、ライフライン、インフラや住宅、公共施設等の耐震化、感震ブレーカーの普及等の火災対策等につきまして、具体目標も設定しながら、各省庁が取り組むべき対策を定めております。
また、右側、四ページでございますけれども、首都直下地震発生時におきまして、政府は、どのような事態に対しても首都中枢機能の維持を図り、国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小化するため、行政中枢機能の継続性を確保する業務継続体制を構築する必要があります。このため、政府業務継続計画では、より過酷な被害様相、具体的には一週間にわたり停電、断水し、外部から食料等の補給が行われない状況を想定し、非常時優先業務を定め、執行体制の構築、執務環境の整備、教育訓練等の事前の備えに取り組んでおります。
なお、首都直下地震発生時において政府として維持すべき必須の機能として、内閣機能、被災地域への対応、金融、経済の安定、国民の生活基盤の維持、防衛及び公共の安全と秩序の維持、並びに外交関係の処理を位置付け、これに該当する所掌事務を非常時優先業務としておるところでございます。
さらに、政府は、緊急災害対策本部を設置するなど、全体として非常時優先業務の継続に係る総合調整等を行う体制を速やかに総理官邸に立ち上げますけれども、万が一官邸が使用できない事態となった場合には、一番下のところでございますけれども、内閣府、これは中央合同庁舎八号館でございます、また次に防衛省中央指揮所、また三つ目として立川広域防災基地、災害対策本部の予備施設でございますけれども、この順序に従いまして体制を整備することとしております。なお、官邸機能が回復した場合には、速やかに官邸に機能を戻すこととしているところでございます。
次に、五、六ページを御覧をいただければと思います。
政府では、首都直下地震が発生した場合に、各防災関係機関が直ちに活動を開始し、災害応急対策活動を円滑かつ迅速に実施するため、災害応急対策活動に当たる部隊の活動規模、緊急輸送ルート、防災拠点等を具体的に定める計画を作成し、発災後速やかに緊急災害対策本部や現地対策本部を設置し、関係機関との密接な連携を図るなど、災害応急対策活動をタイムラインを目安に実施することとしております。
緊急輸送ルートにつきましては、発災直後から部隊等の広域的な移動など人命の安全確保を主眼とした全国からの人員、物資、燃料の輸送が迅速かつ円滑に行われるよう、あらかじめ通行を確保すべき道路を選定しており、緊急輸送ルートの緊急点検、通行可否状況の集約、必要な交通規制、啓開の実施等を行うこととしております。
救助、救急、消火等につきましては、人命救助のために重要な七十二時間を考慮しつつ、広域応援部隊を可能な限り早く的確に投入できるよう、被災地の警察、消防等の域内の部隊に加えまして、自衛隊を始めとする全国からの広域応援部隊の初動期における派遣の方針と具体的な手順を定めており、広域応援部隊等の編成、出動、航空機、船舶による救助等活動、活動拠点の設定等により、順次活動を本格化させることとしております。
医療につきましては、全国から災害派遣医療チーム、DMATなどによる応援を迅速に行い、膨大な医療ニーズに対応できるよう、被災地内の医療体制の確保、地域医療搬送の支援、広域医療搬送などの実施手順及び各防災機関の役割を定めております。
また、物資につきましては、多数の避難者が見込まれ、家庭等の備蓄や公的備蓄だけでは食料等が不足すると見込まれる場合には、具体的な要請を待たないで必要不可欠と見込まれる物資を調達し、被災地に物資を緊急輸送できるよう、国による物資調達、供給の内容及び手順を定めており、関係省庁による物資の調達、広域物資輸送拠点への輸送等を行うこととしております。
燃料、電力、ガス、通信につきましては、重要施設の業務継続や災害応急対策活動に必要な燃料、電力、ガス、通信を確実に確保し、迅速かつ円滑に供給できるよう、各業界における広域での供給体制、重要施設への臨時供給等を定めており、関係機関等が行う災害応急対策活動の円滑な実施を支えることとしております。
以上、切迫する首都直下地震に備え、政府が取り組んでいる内容について御説明させていただきました。