人羅格の発言 (行政監視委員会)

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○参考人(人羅格君) 毎日新聞論説委員の人羅と申します。よろしくお願いいたします。
 今日は、メディアでの立場から、国と地方の役割分担ということについてお話をさせていただきます。
 まず、分権改革についてなんですけれども、地方分権という言葉がメディアにどれぐらい取り上げられているかということを、まあ毎日新聞に限られた資料ではございますが、データ検索してみましたところ、最近は、最近じゃないや、東日本大震災の前の二〇〇九年から一〇年までの間には、一年間で千件もの記事が、地方分権を扱った記事が確認できました。それが最近はどうかといいますと、二〇一三年以降は、この千件に到達するのに十一年も掛かっているということで、記事の分量からいうと、単純計算すると、地方分権を扱っているのは十分の一になっているという状況であります。
 恐らくこれは、メディアの関心ということもありますけれども、政治的にも地方分権ということについての関心が若干やはり低下しているということの表れではないかというふうに考えております。
 それでは、なぜこの地方分権というのが最近非常に目立たない話になっているかということを私なりに考えたところ、三つ理由がありまして、一つは、まず、小泉改革のときのいわゆる三位一体の改革、これが、税源移譲がテーマになりましたけれども、最終的には地方交付税の削減というところが目立ちまして、地方側からすると、頑張った損、一種のトラウマが残ってしまったということがまずあったと思います、税源については。これが一点目です。
 二点目は、国の出先の改革ということがまさに議論されているその途上において、東日本大震災がございました。
 このときに、やはり国道とか港湾とか河川とかそういった基幹的なものについてまでそれを地方に移譲していいものですかという議論がやはりそれはそれなりの説得力持って論じられたということで、やはりそこで国の出先という議論も、まあ正直言うと尻すぼみになったということで、この議論が恐らく、道州制という議論が最近非常に下火になっていると思うんですけれども、なぜかというと、やはりこの議論がしぼんだ結果、道路とか河川とか、その結果やはり道州というものもどうかなというところで、私は道州制の議論が低下しているのもここに関係があるんじゃないかというふうに考えています。
 もう一つが、先ほど来話にあった、分権よりももう目先の人口減少、ここのところの方が大変だというところに焦点が行ったということだと思います。
 これが、二〇一四年、今から十年前のいわゆる消滅自治体リストということができて、それを受けて安倍内閣においては地方創生という取組がなされたということで、分権よりも地方創生ということではないかということで、そういったことがあってその分権改革というものは一種隘路にはまっていると、これからどうやっていいのかという状況にあるというのが客観的に見た状況ではないかというふうに思いました。
 それで、とはいうものの、私、同時に感じたのは、もし地方の方が分権改革はとってもいいことだと、この動きを止めてほしくないという思いが切実にあれば、やはり実際には動くと思うんですね。
 ところが、実際のところ言うと、今、地方の側ももっと分権してくれという話は実際にはなかなか聞こえてこないという、もちろん公式にはもっと分権をと言うんですけれども、実際に非常に強く言っているかというと、そこはどうもそうじゃない感じがありまして、それはやはり、このいわゆる第一期、第二期分権改革とありましたけれども、その果実というものが恐らく地方の方にあんまり実感されていないんじゃないかなという印象があるんですね。下手すると逆に仕事ばっかりもらって何か分権疲れだよみたいな、そういうような印象すらあるんじゃないかという、そこが、分権改革がもうひとつ今停滞しているというもう一つの要因かというふうに思っております。
 それでは、これから、じゃ、国、地方の関係のメインの焦点はどこに行くのかというと、これはやはり、私は率直なところ、まずは人口が減少がしていく中でその地域をどうやって持続していくのかというところにそのポイントが来るということはそれはもう非常に当然であるし、そうあるべきだというふうに思っております。まあ、分権がだからどうでもいいというわけではありませんけれども、その中で分権というものも考えていくという話であると思います。
 この十年間、地方創生というものの取組は進みましたけれども、やはり進んでみると、いかほどの効果があったのだろうかなというところは、やはり客観的、冷静な検証が必要ではないかというふうに思います。
 この議論の一番どこに問題があったかというと、これはやはりその人口減少を食い止めようというベースの議論でありまして、人口は減るんだからといっても、いずれにしろ、少子化対策というものはその勾配を緩めるための議論でございますから、人口減少というものは避けられないんだよということをベースに、じゃ、どうすればいいんだというところの議論がやはり不足していたと。そこで、その人口減少を食い止めるための議論というところに傾斜してしまっているという印象であります。
 そこで、そういう反省もあって、先ほど牧原先生のおっしゃった二〇四〇年の議論とかそういったことが心ある官僚とかによって進められているわけなんですけれども、とりわけやっぱりこの十年間を見ていて決定的に遅いなと思うのは、やっぱりインフラの老朽化ですね。急速に進むインフラの老朽化ということについてどういうふうにその地方は対応するのかという意味での骨太の議論。
 あともう一つ、心配、私しておりますのは、介護ですね。さっき、大都市圏の急速な高齢化、これがもうすぐ、もう目の前に迫っていますので、そのときに、もう試算として大量の介護要員の不足というものがもう出ているわけですね、数字として。その大量に介護要員が不足したその人手を、また地方さんお願いしますと、若い人お願いしますという話になったら、もう本当に日本の地方はどうなるんだろうかというふうなぐらいに思っています。だから、もう試算で穴が空くというふうに分かっているんだから、じゃ、それどうしようかというものを政治の方で一生懸命考えていただきたいと。そこのところを、インフラと特にこの介護、ここについては非常に心配しているわけです。
 あともう一つ、その分権の絡みでいいますと、日本のこの、また私の目から見た分権改革というのは、どうしても首長さんへの分権ということで、いわゆる団体自治というところが重視されていまして、住民が参加している住民自治、この要素がやはり弱いのではないかと。だから、住民の方からも分権してくださいという声が余り出なく、聞こえてこないという話ではないかというふうに思います。
 なので、これからまさにこの地域をどういうふうに持続していくんだということを、住民の人が入って、いろんなその役割を持つパーツを演じている地域の代表がございますよね、そういったところできちんと議論して、どうやったら自分たちの地域が持続していけるんだろうかというところをきちんと議論していくような枠組みというものをつくっていくと。それで、そういったところから国にこうしてほしいというところの要望もあるでしょう。そういったことを議論していくというサイクルが、分権改革の絡みでもありますけれども、住民が参加して、もうそのところに住んでいる住民の人に、これから自分たちの地域をどうしますかというのは、それ国が決めることでもなきゃ都道府県が決めることでもございません、その住民の人が話し合うというところの枠組みをしっかり構築するということが必要ではないかというふうに感じております。
 あと、さっき三位一体改革の挫折について申し上げましたけれども、税源の移譲ということについては、もう私は現時点で地方に何かまとまった動きを取ることは困難じゃないかと思っています。もう今、ふるさと納税と偏在是正の議論で大都市圏とその他地方の利害関係というのはもう真っ向から対立している状況になっていますので、このところでその両者をつないで何かその税源移譲をやるといったところで、じゃ、それでその税源をどうその偏在是正に絡めるんだというところで問題になってしまいますので、なかなかもうこの話で地方はまとまりにくくなっていると思いますので、何かしら、今度、森林環境税ですか、ということがございますよね、あれは国税としてですけども、もうちょっとあれに近いような形を地方税的に考えるとかいう形で、何か共通の目的で地方全体で取り組むというような、そういった議論だけでも進めていかないと、なかなか今、この対立してしまっている大都市圏と地方の関係というところからその税源の移譲なりのそういった議論を進めるということは難しい状況ではないかというふうにも考えております。
 あともう一点、国、地方の関係で今必要かなと思っているのは、都道府県の議論ですね。都道府県の役割というものをどう考えていくのかということの議論もこれからの議論としては必要かと思います。道州制の議論というものは非常に下火になっていますけれども、これから都道府県は、恐らく小規模町村の機能をどうやって補完していくんだというところの議論が切実になっていくと推察しております。では、そういった議論で都道府県の役割というものをどういうふうに位置付けていくのかというところがかなり問題になると思います。
 あともう一つは、その一方で、都道府県だけでは収まらない議論というのがあるわけですね。例えば人口減少にしても、やはり中枢都市、札幌、仙台、広島等々のですね、そういったところのダム機能というものをどう整えていくのかというところの議論で、やっぱり東北ブロック、中国ブロック、九州ブロック、そういったところで物事を考えていくというところが必要だと思いますので、こういう枠組みを、じゃ、どう考えていくのかというところもこれから大いに議論が必要ではないかというふうに考えております。関西には関西広域連合ってございますね。ああいったものの、じゃ、ああいったものを何か法的に位置付けることはできないかとか、そういった議論の余地もあると思います。
 あと、住民については、自治体については関係人口ですね、最近話題になっている。この関係人口というものを、今はふるさと納税一回やっても関係人口だとか、旅行に繰り返し行ったら関係人口だとか、いろいろ定義もはっきりしておりませんけれども、この関係人口というものがもし地方にとって非常に有望な選択肢であるとするならば、それをどういうふうに位置付けていくのかと。例えば法制化を考えて住民税の分納みたいなことをある程度考えていくとか、まあ総務省は絶対嫌だと言うでしょうけども、そういった議論とかですね。
 そういったもろもろの議論のフロンティアがあると思いますので、なかなかやっぱり総務省とか今の現状の自治体ではなかなかそういった議論が積極的に提起されにくい環境もあると思いますので、政治的な議論を、地方行政というのはなかなか地味な分野でありますけれども、起こしていくのが政治の役割ではないかというふうに期待している次第でございます。
 もう一つ、これを話し始めると長くなるのであえてここで話しませんでしたけども、例の、先ほど来話になっている指示関係の法整備ですね。これについては、弊紙は社説で非常に慎重な立場を取っております。もしその理由等に質問がございましたら、質問があればお答えしたいというふうに考えております。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 人羅格

speaker_id: 14163

日付: 2024-02-26

院: 参議院

会議名: 行政監視委員会