小岸昭義の発言 (国土交通委員会)

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○参考人(小岸昭義君) この度は、このような発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
 当組合は、仮設に起因する労働災害撲滅、職人の地位向上、処遇改善を目指すために、二〇〇〇年に設立した団体となっております。
 私の経歴を簡単に申し上げさせていただきますと、十七歳の高校生のときに子供をつくりまして、学校を退学し、職人の世界に入ってきました。私が十七歳のときの建設業、とび工事業は、社会保険、厚生年金もなく、賞与もなく、退職金もなく、もちろん有給休暇なんということもなく、日給で働いてきました。けがと弁当はてめえ持ちとその当時の親方にもずっと言われており、十八歳のときに建設現場で前歯四本を折ったときも、病院代も休みの日当もいただけませんでした。
 そういった業界で働かざるを得ないのは自分のせい、すなわち中学校しか卒業していなかった自分のせいだと当時は思って働いておりました。二十一歳で現在の会社をつくって、自分の会社ではそういった思いを従業員にさせたくないという思いで今日まで頑張ってまいりました。
 建設業の労働災害の実態は、令和五年の労働災害発生状況から見ましても、小規模な会社の従業員が亡くなっていることが多い。これはずっと続いている問題だとは思いますが、逆に、三百人以上の大きな企業様から死亡事故というのは毎年ほとんどの方が亡くなっておらず、実際に建設現場で亡くなるのは我々みたいな小規模な専門工事業者の会社だと私は思っております。毎年毎年減ってきているのは事実ですが、それでも少なくても毎日一人以上の方が建設現場で亡くなっている。そのことは毎日テレビのニュースでは取り上げられずに、仮囲いの中で起こった事故ということで、我々の仲間が一日一人、一人と死んでいるような状況となっております。
 私も、平成三十年から行われた厚生労働省の建設業における墜落・転落防止対策の検討実務者会合の委員として会議に参加させていただきました。
 国交省直轄現場、国交省のガイドラインにのっとった、より安全な足場からの墜転落死亡災害は十数年ないと伺っております。公共工事で足場からの墜落、転落、高所からの墜落、転落の災害を防げるデータが残っているのに、なぜ民間工事ではそれを採用していただけないのかというのを、私はその会議の中でもたくさん申し上げさせていただいたのですが、建設職人が感じていることは、結局僕らは死に駒だったり捨て駒だったり、けがしたりもしようがない。目標値で二百人を下回ろう、死亡者下回ろうという話でも、その二百人にも家族がおり、子供がいて、朝行ってきますと言ったお父さんが家に夜帰ってこれないというような状況は、この机上の話だけではなく、実際に建設現場の働いている人たちの意見だということを重く受け止めていただきたいと私は思っております。
 設計労務単価も国土交通省様が十二年間連続で上げてくださっているというのは、我々専門工事業者の中でも周知の事実ではございます。ただ、私の周り、北海道から沖縄までいる同じ仲間たちに、十二年連続、実際に私たちが手にするお金が上がってきているよねというような話をしている方は一人もいません。逆に、賃金十二年連続上がっているって、私から問い合わせても、そんなわけないじゃん、そんなはずないじゃん、しかし、国の工事で十二年連続設計労務単価を上げていただいて、私たちに届かないお金というのはどこに行っているんだろうという話にいつもなります。高いところから低いところに水を流していただくにも、途中に穴が空いているところがあったらその水が全て漏れてしまうのじゃないかな。今回の業法改正の中で、賃金の底上げという話もありますが、実際に国が民間の発注者が末端の職人たちに行き届くようにと賃金を上げようと考えてくださって発注してくださっても、実際にその中で末端まで届かないというような事実が起きているということもあると思います。
 先月、私は、ベトナムにも自分の会社があるので、ベトナムにも行ってきたのですが、そのときに、日本に外国人技能実習生、今言い方変わりましたが、送り出している派遣先の企業、十数年以上の友人の社長に会ってまいりました。相変わらず日本に行きたい実習生、ベトナムの方は少なくなったという話を聞いたら、いや、ほぼいないですねと、特に建設業は絶対いないです、これお金の問題でもないですと言っていました。それは、日本で高い賃金をもらってでもベトナムの方々は日本に行きたくないと思う理由がある。それがどういったことなのかといいますと、日本の建設業界で行われているような暴力だったり暴言だったり、そういったところで日本で働きたくない人が多い。
 また、今ベトナムの若い子たちが夢を持って目指しているのは韓国ですよと。なぜ韓国なんですかと聞いたら、韓国の建設業に行けば最低でも四十五万円から五十万円ぐらい、日本円に直すと、そういった金額をいただけると。もちろん、海外に技術を覚えに行きたいという建前はあるとは思いますが、実際に彼らの望んでいるものは賃金で、その賃金が隣国と比べて半分に近い水準というのは、日本が選んでもらえるという環境ではないんではないでしょうか。
 働き方改革、私の会社にも特定技能のベトナムの社員がいますが、社長、土曜日休み困ります、働きたいです。私の会社は月給なんですが、土曜日仕事を出ると休日出勤がいただけるので、土曜日仕事あれば出してください、ゴールデンウイーク要らないです、お盆休み長いです、正月休み長いです。これは特定技能の子、海外の人だけでなく、日本全国の仲間からも聞く話です。今の三十歳以下の小中高、土日休みで授業、学校に行っていた若い人たちが土日休みたいというのは当然のことなんですが、我々四十代、五十代、六十代、そういった土曜日も小学校、中学校、高校と学校に行っていた人たちは、社会に出ても土曜日働いているのが当たり前で、今更土曜日休みになっても家にもいづらい、お金もっと稼いでこいって嫁に言われる、そういった仲間もたくさんいます。
 今回、このような機会を与えていただいたときに、全国の仲間に話したら、働きたい人にはせめて働かせてもらえるような環境をつくれないかって言ってきてもらえないかという声を多数いただきました。残業の上限があるからといって、土曜日、日曜日、十代から職人でずっと生きてきた俺がガソリンスタンドで働くわけには、ほかの産業で働くわけにはいかないよ、俺、職人が好きだから職人の仕事やりたいんだと言っている仲間たちがたくさんいることも是非知っていていただきたいと思っております。
 建設業に若い人たちがたくさん入ってきたいと、もちろん私も思っておりますが、それには直さなければいけない建設業のあしき習慣もたくさんあると思います。
 私も、この二十数年間会社を経営してきて、今までたくさん、元請様からの指し値、建設業法で違反となっている指し値、よその会社が幾らだからおまえの会社は幾らでやれと断れない状況で言われてきたことも多々あります。私は足場の施工の会社を営んでおるんですが、足場の資材を自分で持っており、工期が延びたときにも、自分の資材だから払わなくてもいいだろう、延滞費は要らないだろうと言われて、使用していただいた足場のお金もいただけなかったことも多々あります。
 ほかの産業でこういったことが考えられるのでしょうか。レンタカーを借りたとき、一週間借りる、出張が延びてしまい二週間借りたときに、一週間分は想定していなかったから払わないと言って、そのままで過ごされるんでしょうか。でも、建設業は、毎日当たり前のようにそういったことが行われているのも建設業の実態だと思います。その実態直さずに、今の若い人たちがこの産業に入ってきてくれるとは到底思えません。
 我々のそういった声を吸い上げてくれるようなところがあればなという話もいつもしております。それがホットラインだったり、建設Gメンだったり。建設Gメンにおかれましては、今年から多くの人員を増やしていただいたと聞いております。そういった人たちに、我々建設業の中でいう弱者が本当に不当な扱いを受けたときに助けを求めるようなところが、また、なぜそういったときに助けを求められないのかといったら、建設業特有の、今後仕事を出していただけないとか、あそこの会社はもう駄目だと赤札みたいなものを出されるような環境だと思います。
 そういったことが、弱者の声が届いて、そういった不当なことをやった会社が罰せられたり、注意、勧告を受けたりするような環境で、そういったことがしづらいような建設業にしていただければ、我々もやっていないお金をいただこうとしているわけじゃありません、せめて、自分たちが仕事して、動いて、働いて、その分ぐらいのお金は正当に払っていただきたい、そうすれば少しでもこの建設業が良くなるんじゃないかなと思っております。
 建設業の改正、建設業法の改正により賃金が上がり、本当の意味でこの建設業という産業が働きやすく、若い人たちが本当に入りたいと思うような産業になり、また、このような災害の多い国で重要な基幹産業だと思っております、我々が日本を守るような立場になれることを心より祈念申し上げて、私たちからの発言とさせていただきます。

発言情報

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発言者: 小岸昭義

speaker_id: 26309

日付: 2024-06-04

院: 参議院

会議名: 国土交通委員会