柴愼一の発言 (財政金融委員会)
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○柴愼一君 立憲民主・社民の柴です、柴愼一です。
私は、会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
直近の日本経済は、バブル崩壊後、失われた三十年とも呼ばれる長期デフレ、まさにコストカット型経済からの脱却に向けた動きを始めています。三月期の上場企業の純利益は過去最高を更新することが見込まれ、今春闘での賃上げ率は約三十年ぶりの高水準を実現した昨年を上回る予測もあります。日経平均株価は史上最高値を更新、日本銀行は金融政策の正常化に向けて一歩を踏み出しました。今こそ三十年続いたデフレから完全脱却し、経済の好循環を実現するため、企業収益の果実を幅広く国民全体に行き渡らせる分配政策が必要です。その観点から見ると、本税制改正案の内容は不十分と言わざるを得ません。
賃上げ促進税制は、総務省の政策評価や財務省の内部勉強会で指摘されるように、本税制が企業の賃上げを促進しているのか、その因果関係は不透明なまま拡充されることとなります。業績が好調で賃上げ原資が潤沢な大企業は、減税措置がなくても賃上げが可能です。そうした大企業への減税は縮減し、その財源を用いて中小企業の賃上げを後押しする直接支援を行うべきです。
一部の自治体では、中小企業の賃上げを実現するため、直接補助金を支給する制度を実施している実例があります。地元企業の厳しい実態を踏まえ、実効ある支援を実践する自治体の取組を見習い、政府も急ぎ有効な中小企業の賃上げ政策を検討すべきです。
所得税の定額減税について。既に二十二か月連続で実質賃金はマイナスであり、国民は長らく物価高に苦しんでいます。実施されるのが本年六月では、物価高対策として遅きに失しています。なぜ迅速かつ事務負担も軽減される給付としなかったのか。政府は、減税こそデフレマインドの払拭につながるため、所得の上昇をより強く実感していただけると主張しますが、企業や自治体に膨大な事務負担を掛けてまで減税に固執する政策効果は最後まで明らかになりませんでした。
将来的には、防衛増税に加えて、子ども・子育て支援金の保険料負担増も待ち受けています。相矛盾する方針を政府が見直さない限り、今回の定額減税が国民から理解され、所期の政策目的を達成できるはずもありません。政府は、国民負担をめぐる方針を統一し、国民に分かりやすく示すべきです。
我が国における租税特別措置は、世界の研究機関からもその不透明性を指摘され、世界でもその評価は低位にあるとされています。また、巨額の税収減に見合うだけの政策効果が上がっているのかも疑義があります。
戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制は、最終生産者である大企業や知的財産権等の資本を既に保有する企業への減税につながるだけです。減税では、サプライチェーン全体への波及効果及びスタートアップ企業の成長が実現されるのか、疑いが払拭されません。租税特別措置の政策効果の透明性の向上と補助金との政策効果の比較検討を政府は明確にすべきです。
税制は、企業や家計の行動や意識に広範な影響を与え、回り回って社会構造に変化を及ぼす力を有します。それゆえ、税法は国会審議においても予算関連法案として高い重要性を持つものです。その令和六年度税制改正案が審議される渦中においても、自由民主党の派閥裏金問題の全容解明が全く果たされていません。また、脱税の疑いのある議員が、検察の捜査が終了したことをもってあたかも罪を免れたように振る舞い、国民の義務としての納税を自ら進んで行わない。税務当局も、国民の信頼回復に向けた具体的対応、税務調査の実施について明言を避け続けています。
裏金の原資となったパーティー券を購入した企業、団体への恩恵税制は大いなる弊害を日本社会にもたらし、政治に働く者や生活者へのまなざしが置き去りにされ続けています。
本税制はそうしたあしき自民党政治の象徴にほかならず、そこからの転換を期すためにも、明確に反対することを主張して、私の討論を終わります。