大山礼子の発言 (政治改革に関する特別委員会)

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○参考人(大山礼子君) 大山でございます。
 本日は、意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、大学の教員になる前に、一九九五年まで国立国会図書館におりました。ということは、一九九四年の政治改革に至る経緯を間近で拝見させていただき、本当に微力でございますけれども、少しお手伝いをしたこともあるというものでございます。そういう立場から見ますと、その後、だんだん改革への機運がしぼんでしまったように見えて、近年余り議論されていなかったということは非常に残念な状況だというふうに思っておりました。
 そもそも、政治改革というのは一過性の問題ではございません。常に、より良い政治を目指してどういうふうに制度改革をしていくかということを議論しなくてはいけないことだと思います。特に日本は、国際比較の面から見ましても非常に政治に対する不信感が根強い、信頼が低いということがありますので、ここで是非国民の信頼を回復するにはどうしたらいいかという大きな議論をしていただきたいと思っております。今回は、不祥事が発端ですけれども、言わば改革への千載一遇のチャンスと思いますので、是非皆様の御努力をいただきたいと思っております。
 では、時間も限られておりますので、今日は大きく分けて二つの方向からお話をしたいと思います。
 一つは、短期的といいますか、当面の課題としてどういうことをやるべきかということ、それから、もうちょっと長期的に何を考えていくべきかということでございます。
 その前に、ちょっと過去も振り返っておくことも大事かと思います。
 現在の制度の枠組み、基本的には、一九九四年に実現いたしました政治資金規正法の改正と、そして政党助成法の制定と、ここまで遡るわけですけれども、実は、改革の議論というのは、その前、もう十年以上やっていたわけですね。特に、一九八〇年代末以降は本当に活発な議論がされていました。ですので、そこをちょっと振り返っておくことは必要かと思います。
 私も、このような機会をいただきましたので、改めて過去の経緯をちょっと見てみたんですけれども、一九八九年に自由民主党政治改革大綱というのが発表されております、これは皆様御存じのことかと思いますけれども。それを読みましたら、次のような記述がございました。
 まずは、政治と金の問題は政治不信の最大の元凶というフレーズがありまして、別なところで、政治資金は庶民感覚から懸け離れるほど肥大化し、使途、収入も不透明なことから、本来の政策活動や政治活動に要する資金さえ、国民から理解されない側面がある。
 これ、一九八九年の文書でございます。何か、今このままもう一度述べられてもよろしいような感じで、もちろん改善策というのはとてもたくさん積み重ねられてきたわけですけれども、何か根本的なところで状況が変わっていない。そうすると、今までに何が改革されてきて何が取り残されてきたのかということを、やはりちょっと過去の経緯を振り返って考えてみるということが大事なのではないかというふうに感じた次第でございます。
 それでは、当面の改革について、これもう様々御議論進んでおりますので重なることが多いと思いますけれども、私からは四点申し上げたいと思います。
 まずは、企業・団体献金の禁止でございます。
 これは、禁止すべきかどうかという是非の議論はいろいろございますけれども、皆様御承知のとおり、政治資金規正法の一九九四年の改正のときに附則で見直し規定というのが入っております。つまり、この法律の施行後五年を経過した場合には、会社、労働組合その他の団体の政党及び政治資金に対してする寄附の在り方について見直しを行うものとすると、こういうふうに書いてあるわけですね。しかし、見直しがされないままここに至っているというのが現状でございます。
 今回の法案も拝見しますと、多くの重要な事柄が附則に書いてございます。しかし、その九四年の附則がたなざらしにされたままですと、今回附則に書いてあることもいつ実現するのか分からないよねと、こういうことになってしまいますので、ここはどうするかということも含めて是非もう一度、それこそ見直しの議論をすべきだと思います。
 やはり、企業・団体献金が政策をゆがめているという疑念と申しますか疑惑は完全にはなかなか払拭できない状況かと思います。私が一国民の立場で拝見していましても、長年国民の大多数が望んでいるような改革がなかなか実現しない。一方では、どうも安全性が確保されているとは言い難いようなものがもう本当に迅速に許可されてしまうというようなことが間々あるわけです。
 私、最近の報道で印象に残りましたのは、世界租税支出透明性指数というのがあることを知りました。これ、租税支出というのは日本でいえば租税特別措置のことですけれども、この透明性ランキングが日本では九十四位なんですね。これはやはりもう少し改善していくべきだと思います。まあ、企業・団体献金を禁止しましてももちろん抜け道は残ります。ですけれども、だからといって全く意味がないとは私は思いません。
 それから二番目です。これは先ほど飯尾参考人からも御指摘がございましたけれども、やはり独立機関といいますか第三者機関の設置は、これは絶対に必要なことだと思います。ルールを幾ら厳しくしましても、監視機関がなければ絵に描いた餅でございます。
 それから、今政策活動費が問題になっていまして、もちろんすぐに公開できない支出がおありだと思います。ですけれども、すぐに公開しなくてもよいものかどうかということを判断するような第三者機関があったら問題は解決するはずでございまして、これは例えば情報公開法の運用などのそういう例も御参考になさるとよろしいのではないかと思います。これも附則になっておりますので、是非早急に御検討いただきまして実現を図っていただきたいことでございます。
 それから三番目は、デジタル化の促進でございます。
 これは、誠に失礼でございますけれども、永田町は大変遅れていて、もう多々驚くことが多いです。いまだに電話とファクスというようなことが多いようでございまして、ちょっとびっくりしております。これは監視の実効性を高めるためにも是非必要なことですので、早急に検討していただきたいと思います。
 ただ、データの保存については慎重に考えるべきで、やはり紙のデータがなくなりますと、もう簡単に廃棄されてしまう、後から検証できないということが起こりかねませんので、そこには御留意いただきたいと思います。
 それから四番目に、パーティー券の問題でございます。
 これは、私は、パーティーというのは政治資金集めだということはもう皆さん御承知のとおりなので、これはもうはっきり寄附として位置付けるべきだと思います。そうすると、個人がそんなにパーティーに来てくれるのかというふうにお思いになるかもしれませんけれども、近頃はファンドレイジングというのがすごくはやっていて、もうかなり成功している事例がたくさんあります。こういう場合、いろいろありますけれども、寄附をしてくださった方には何か講演会のようなものに御招待するとか、そういった企画が割合盛んに行われています。これは工夫次第であると思います。でも、政治家と国民が本当に直接に意見交換をする場というのは非常に大切なので、そういう機会としてこれから生かしていただくのがよろしいのではないかと思っておる次第でございます。
 では、最後に長期的課題の方にお話を移したいと思いますけれども、いろいろ改革されるんですけれども、一体何が目標なのかということもきっちり考えておくべきだと思います。
 これ、いろいろな目標ありますけれども、大きな目的の一つは、金の掛からない政治の実現によって幅広い人材が参画できる開かれた政治を目指すと、こういうことだと思います。そういう目標を見失わないで長期的にいろいろな改革を進めていっていただきたいと思うわけでございます。
 現在、国民の政治不信を招いている大きな理由の一つに世襲議員というものがあると思います。もちろん、御両親の仕事に誇りがあって、こういうことを自分もやってみたいと思う方がいらっしゃるの、これはもう当然のことですけれども、何が問題かというと、日本では世襲ではない人が議員になりにくいということなんですよね。世襲議員の方がそのお金とネームバリューでもうちょっと完全に有利な場所にいると、そこが問題なんだと思います。ですから、どうやって普通の人が政治家を目指すためのハードルを下げていくかと、これが大きな目的かと思います。
 世襲議員については、すぐできる小さな改革としては、政治団体の継承をやめることだと思います。政治団体に皆さんが献金なさったようなお金というのは、その方の政治活動に共感して支援するための献金されている浄財でございますので、これを親族が受け継ぐというのは理屈に合わないですよね。ですから、こうしたものは政党に返納するとか国庫に返納するとかいうことを考えるべきだと思います。
 そして、更に根本的な問題として、選挙が個人頼みになっているということが私は非常に大きな問題だと考えております。つまり、資金とネームバリューがないとなかなか選挙で戦えないということです。
 振り返ってみますと、一九九四年にはあれだけ政党本位、政策本位ということが声高に叫ばれたんですけれども、どうも私の見るところ不徹底になっていると思います。相変わらず個人が前面に出て個人戦でやっている。二十四時間戦えますかという、こういう選挙になっております。ここが政治にお金が掛かる大きな原因だと思います。ここを変えませんと、事務所費用も掛かるし人件費も掛かるからお金はたくさん要るんですよという話から抜け出せません。
 ですので、やはりここは選挙制度も含めて大きな意味の政治改革に取り組んでいただくべき時期ではないかと思います。とりわけ、参議院の選挙制度については大変問題が多くなっておりますので、是非良識の府として皆さんの御検討をお願いしたいと思います。
 その上で、政党助成の在り方も再考すべきだと思います。
 先ほども飯尾参考人からも御意見出ていましたけれども、例えば国庫に返納するというようなこともあり得ますし、それから使い道についてももう少し考えてもよいと思います。政党助成法の第一条には、政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的するというふうに書かれています。つまり、民主政治の発展のために使うべきこれは浄財でございます。もちろん政治活動の自由というのは非常に重要ですけれども、それが何事にも優先する絶対のものというわけではないと思います。
 ここでちょっと例を御紹介しますと、例えば韓国では、政党に対する交付金の三〇%は政策研究所の費用として支出しなければならないというようなことも書かれておりますし、また、女性候補を多く公認した政党に対しては女性公認補助金を支給しているというようなこともございます。女性のことについていえば、フランスの場合は、下院選挙での女性候補比率が低かった政党に対して国庫補助を削減するというようなことも行われております。こうしたことも是非参考にしていただいて、より良い政党助成の在り方をお考えいただきたいと思います。
 今回の法案の処理にとどまらず、長期的な視野でもって改革に取り組んでいただきたいんですけれども、私、議会政治、議会制度の研究者なものですから、最後に一つだけ御要望申し上げたいと思いますけれども、是非、今後の議論は国会の中でやっていただきたいと思います。こういう場がせっかくできたんですから、是非、国会の外で各党の協議で終わりましたではなくて、こういうところで本当に議論を闘わせていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

発言情報

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発言者: 大山礼子

speaker_id: 29898

日付: 2024-06-14

院: 参議院

会議名: 政治改革に関する特別委員会