小原隆治の発言 (総務委員会)
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○参考人(小原隆治君) 御質問ありがとうございます。
地方自治の本旨条項という昔々のお話から始めましたけれども、戦前は国が上であって自治体は下であるということでありましたので、地方自治法の基になっている戦前の法制というのは、市制町村制ですとか府県制、郡制ですとかございましたけれども、さらに、国が自治体に対して官の監督を加えなければならないということで、地方官官制という勅令もございました。
その中で、国が自治体に対して関与をしていく、その表現というのは監督という言葉でございました。監督というのは上下というのが大前提になっておりますのでそれを使ったわけでございますけれども、戦後、憲法が定まり、地方自治法が定まって地方自治の本旨がうたわれて、その中で監督という言葉を変えてまいります。よく皆さん御存じだと思いますけれども、地方自治法を私が作りましたという具合におっしゃっているのはこれまた自治官僚の大先輩と言っていい鈴木俊一さんでございますけれども、その鈴木俊一さん、あの優れた官僚であっても、取りこぼし、まさに取りこぼしでございますが、があったのか、戦前、地方自治法の中で何と監督という言葉が残っておりました。それで、慌ててこれはまずいということで関与という言葉に変えたという、そういう経緯がございます。
そして、現在に至るわけでございますけれども、その言葉を使って言うならば、戦前の監督の体制に戻すような、一般法によって授権して、関与ではなくて監督していくようなことになりはしまいかということでございます。
それで、そのことに関して私が聞き及んでいるところによりますと、総務省の担当者から、いや、これはなかなか使うものではございません、補充権、補充的な指示は使うものでございませんということでございますけれども、そもそも使わないんだったら何で立法するのかということがまずございますし、使わない使わないといってそれは脅しを掛けるのか、監督するぞという、そういう脅しを掛けるのかということが大変心配でございます。
自治体も、ずっと国から、自治事務であれば技術的助言、法定受託事務であれば事務処理の基準などなど、いろいろなもう少しソフトな関与の仕方がありますけれども、それで全体、合理的であれば従う、そうでなければ従わないということであって、今からもう二十年近い前になりますけれども、平成の大合併がございましたときに、では、全国三千二、三百あった市町村が全部従ったかというと必ずしもそういうわけではなくて、数週間前だったでしょうか、福島県の矢祭町の根本町長という方が名物町長で、彼は政治的には保守政治家でございましたけれども、その彼などは、国からしろしろと言われても、それは納得できないからしないと、こういうことでございました。
しかし、その平成の大合併があり、それに先んじて分権改革があり、それから今、今まで四半世紀ぐらいたっておりますけれども、その中で、自治体がともすると国の言うことだから聞くしかないのかなという、そういう雰囲気が次第に広がってきているようなそういう懸念も覚えます。分権改革から四半世紀で何か後退していることがありはしまいか。その中で監督類似の新十四章ができますと、ますます、確かに使わないかもしれないけれども使うかもしれないという前提で萎縮効果ができてしまうのではないかということを私は大変恐れております。
そのことも考えますと、国会が十分、国が自治体にこういう関与をしてはいいのかどうかということを国会が十分行政に対して、内閣に対して関与してコントロールしていく、そのことが大変重要であって、立法技術的にはそれは国会の関与を承認、報告などでどう担保していくか、既に一部改正が衆議院でなされているとは思いますけれども、それで十分かどうかということを是非参議院で御議論していただきたいという、こういう思いでございます。
長くなりました。