奥山千鶴子の発言 (内閣委員会)

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○参考人(奥山千鶴子君) ありがとうございます。
 この度は、このような貴重な機会にお招きいただきまして、ありがとうございます。
 私は、現場の方から発言をさせていただきたいと思います。NPO法人子育てひろば全国連絡協議会、また横浜市で活動しております認定NPO法人びーのびーのの代表としてお話をさせていただきます。
 主に資料の二ページにあります六点についてお話をしていきたいと思います。以下は話の参考のために幾つか資料を付けさせていただいております。
 まずは、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会の紹介なんですけれども、今般の制度改革でもゼロ―二歳の就園前の子育て家庭についての支援強化がうたわれましたけれども、私たちは、まさに乳幼児とその養育者が集い交流する場、地域子育て支援拠点、通称では子育て支援センターとか子育てひろばとか言われるものですけれども、全国に八千か所程度ございます。そのような会員のために研修やネットワークづくりを行っております。
 最近では、妊娠期からの支援に関する研修や、拠点の利用者である保護者に向けて大人から子供への避けたい関わりを予防するグループワークを活用した予防型プログラム、こういったものをスタッフがファシリテーターとして実施できるよう研修などにも力を入れております。
 また、私が横浜で活動しております、五ページにもちょっと紹介ありますけれども、認定NPO法人びーのびーのは、二〇〇〇年ですからもう二十四年前に、まさに私も子育て真っ最中で、子供が三人おりましたけれども、その子育て中の親たちが集まって、商店街の空き店舗を借りて交流できる場をつくりました。うまく何とか二年後に補助金が入りましたので、今もって継続して数も増やして運営をさせていただいております。
 当初から、そういった意味で子育て家庭のまなざしで地域に必要な支援の在り方を提案し、実現してきたというふうに感じて、思っております。当事者の視点に立った政策立案はこども家庭庁の基本姿勢と同じもので、とても貴重な視点だと思っております。
 さて、今回の子ども・子育て支援法の一部改定につきましては、妊娠・出産期からの支援強化として、出産・子育て応援交付金、伴走型相談支援が入っております。また、出産等の経済的負担軽減として出産一時金の引上げなどが入っております。
 このように、人生のスタート期を手厚くに関して少し意見を述べたいと思います。
 まず、幾つかデータを紹介させていただきます。六ページですね。これはよく入っている資料だと思いますが、子供を産み育てやすい国だと思うかという質問について、日本はまだまだ、どちらかといえばそう思わない率の方が高いわけです。
 また、性別役割分業観、七ページですけれども、これもどうしても、妻も夫も同じように行うという欧州のところに比べますと、まだまだ、主に妻が行うが夫も手伝うにとどまっているというようなことでございます。
 また、八ページですけれども、これは横浜市で五年ごとに調査をしていますが、ほぼこの五年、十年変わらないんですけれども、初めてのお子さんが生まれる前に赤ちゃんの世話をしたことがありましたかということで、四人に三人がないと答えています。お世話というのは、おむつを替えたり、ミルクをあげたりというようなことなんですね。初めての子育て、赤ちゃんが、もう本当に初めて世話をするというようなことであるということがここでも分かります。
 また、世帯構造別構成割合の年次推移を見ましても、平成の初めの頃には夫婦と未婚の子のみの世帯が三〇%以上あったんですけれども、今はそれも四分の一世帯ということで、一人親世帯や夫婦のみの世帯よりも低くなっている、若しくは同等となっているというような形になっております。
 十ページを御覧いただきたいんですけれども、毎年、私ども活動している港北区と、四か月児の健診のときにアンケートをさせていただいております、区と一緒にですね。里帰りの状況を見てみたんですが、コロナの影響前は約半数が里帰りでしたけれども、コロナを経て、現状では少し戻ってはいますが、もう里帰りが難しいと。それから、一定程度手伝ってくださる方も割合が減ってきておりまして、この丸枠の里帰りなし、夫婦のみというのが二割ぐらいございまして、もちろん夫婦でスタートを切るということではありますけれども、共倒れになってしまうのではないか、ここにしっかりと社会的なサポートが必要であるという認識を深くしております。
 ということで、こういったことでスタート期が非常に重要であると。そこで、産前産後の経済的支援に加えて、社会的にしっかり子育て家庭を支えていく、誰でも使える普遍的なサービスが必要だというふうに思っています。
 働いている人も参加できるように、出産前の両親教室ですね、これも十二ページに入れさせていただいていますが、私どもの方では、助産師さんと協力して、年間六十回、土曜、日曜ですね、土曜日に開催させていただいて、働いていても参加できるというようなことをさせていただいております。このようなことですとか、それから、まだちょっと公費が入っていないんですが、産前産後のヘルパーなども希望すれば利用できるよう、加速化プラン、非常に充実した内容ですが、更に充実させていただきたいというふうに願っております。
 人生のスタート期は大きな変換点でございます。そのスタート期に夫婦が社会に支えられて安定していることが子供の育ちにとってもその後のウエルビーイングに影響を与えること、こういったことが科学的にも実証されております。
 次に、二つ目に、現金給付と現物給付のバランスの点です。
 子供を持ちにくい理由に、お金が掛かるからという理由が大体一番に挙げられているかと思います。今回、加速化プランでは、児童手当については、所得制限なし、高校生年代までの延長、第三子以降の拡充などが図られ、本当に大幅に拡充することになると思います。高等教育の負担軽減も、まあもちろん十分ではないかもしれませんが、充実が図られるというふうになっております。
 一方で、現物給付については、こども誰でも通園制度や保育所等における保育所配置基準の見直しなどが入りましたが、もちろんこれもまだまだ十分ではないというふうに感じております。生後六か月から利用できるとなっているこども誰でも通園制度ですが、その年齢まで、六か月までに利用可能な産後ケア事業、こういったものも希望する方が全員が利用できればいいんですが、今日の何か調査の報告でも一割ぐらいというふうに出ておりました。また、産前産後のヘルパー等も、限られた自治体のみが実施している状況であるということです。
 今回の拡充を一歩として、就園までの期間の充実が更に図られ、現物給付、現金給付のバランスが図られていくことを期待しております。
 三点目ですね、全ての子ども・子育て家庭を支援するという点についてです。
 こども誰でも通園制度の創設というのは、親の就労の有無に関わらない子供の育ちを応援し、良質な成育環境を提供するものでございます。全ての子供が月一定の利用枠で可能となる仕組みですけれども、実はこれは保育所等だけではなく、私ども地域子育て支援拠点でも取り組めるものというふうになっております。実は、ふだんからその親子、対象親子は利用しておりますので、実は子供たちは場所に慣れておりますので負担が少ないんですね。ですので、私たちも是非取組に参画させていただきたいというふうに思っております。
 また、よく類似事業として比較される一時預かり事業というものがありますけれども、これは私たちも取り組んでおりまして、もっともっと充実させていきたいというふうに考えておりましたが、これまで年間の利用延べ数、これをその対象年齢で割った場合、三歳未満の場合、年間たった三日程度というような利用にこれまでとどまっておりました。今回、月十時間、年間百二十時間という枠は非常に少ないと感じる向きもあるかと思いますけれども、その一時預かりのこれまでの状況を考えますと、ここからがスタートではないかなというふうに思っています。
 また、横浜市では、保育所とは別に一時預かり事業に特化した事業というのを持っております。これまで長く実施してきたということもあって、保育者のノウハウやスキルアップというのも図ってきたということがあります。今回、この制度には、施設整備費も整ったということで、今後始まる二年間の試行実施、これを踏まえて、多様な主体が取り組めるよう、参画できるように期待しております。その際、一時預かり事業もそうだったんですが、条件がしっかり整っていてもNPOや市民活動団体に受託の機会が与えられていない自治体も中にはございました。併せて改善をお願いしたいというふうに思っております。
 また、全ての家庭といったときに、経済的に支援が必要な御家庭、障害児や医療的ケア、ダブルケア、ヤングケアラーなど、多様な支援ニーズ、こういったものに対してオーダーメードで対応できるような官民連携の伴走型相談支援体制構築や、全ての希望する家庭が産後ケア事業や産後のサポート事業、家事支援等のヘルパー、活用できるように更に拡充をお願いしたいというふうに思っております。
 四点目は、子供と過ごす時間を保障する働き方という点です。
 今回、若い世代の所得向上に向けた取組において、若い世代が希望すれば正規雇用に就けることや賃金が上がること、男性も女性も希望に応じて就業が継続できること、こういったようなことが重要だというふうに思っております。
 男性の育休取得についてはこのところ随分増えてきているというふうに思いますけれども、この流れを加速化する必要があるというふうに思います。また、私たちは、休みを取るだけでなくて、男性も女性も地域でどう支えていったらいいのか、そういった点も配慮が必要だというふうに思っております。また、とにかく若い世代は忙しいです。さらに、子供は体調を崩すものです。夫と妻、どっちが保育園に迎えに行くのかということでストレスをためるようでは、二人目など考えられないという気がいたします。
 男女とも希望すれば時短勤務が取れるよう、柔軟な働き方とその所得保障、そして、最終的には、子育て期の世代だけでなくて、全ての世代の長時間労働や働き方の是正というものも視野に入れていく必要があるかなというふうに思います。そうでなければ、今、子持ち様と言われるように、子育て中ではない社員とのあつれきというのを生みかねないなというふうに感じております。
 五点目は、乳幼児期の支え合いというところが非常にウエルビーイングにつながるという点です。
 やはり、先ほど権丈先生からもありましたけれども、経済的なことだけでなくて、幸せに暮らしていけるという点、それが非常に重要で、地域の支え合いということがとても大事だと思います。
 こども大綱等にも掲載されているウエルビーイングの考え方、特に、私も委員に入っておりました、はじめの百か月の育ちビジョンというのが今回提示されましたけれども、乳幼児期に安心と挑戦の循環を通して子供のウエルビーイングを高めることをうたっております。そのためには、乳幼児期にアタッチメント形成と豊かな遊びと経験、挑戦が重要で、親だけでなく子供と直接関わる支援者でもその形成が可能であり、ということ、そういったことを国民とともに共有していきたいというふうに思っております。
 京都大学の柴田悠先生の報告から抜粋をさせていただいた資料も付けさせていただきましたが、より多くの人が幸せに生きられる社会づくりにおいて、支え合いや人々の寛容さ、そして私生活と仕事の両立支援ということが挙げられています。経済的支援に加えて、子供が育つ地域に目を向け、暮らしが豊かになるように支えていくこと、また、乳幼児期の養育者同士の支え合いや保護者、養育者のウエルビーイングの成長の応援を進める必要性を申し上げたいと思います。
 最終的には、支えられる側から支える側への転換と、地域のボランティアの活用、それから生徒の赤ちゃんとの触れ合い体験、もう本当にちっちゃい子と触れ合ったことがないという方たちが多いので、こういった赤ちゃんとの触れ合い体験非常に重要だというふうに思っています。親同士の学びの機会創出など、どの地域でも実施していく必要があると実感しており、それは私たち地域子育て支援の役割だというふうに思っております。
 最後に、全世代型社会保障の位置付けについてです。
 私たちが活動を始めた二〇〇〇年当時、私たちの区には認可保育所が十六園のみでした。現在、区には認可保育所百二十園というふうに大幅に増えております。
 この間、二〇一五年の子ども・子育て支援新制度のスタートなど、新たな制度改革等も進められてきましたが、人生の終末期が家族を超えて介護保険という社会保障制度に守られたのに比べて、人生のスタート期の支援はこれでも十分ではありませんでした。どこか家族で産んだ責任を果たすべきといったような価値観にとらわれがちですし、若い世代にプレッシャーになっているというふうに感じております。例えば、里帰り出産をしなくても人生のスタート期が制度として守られるよう、今回の改正が第一歩になればと願っております。
 子供は、その家族の子供であるとともに、一人一人がかけがえのない存在であり、その権利が守られ、社会を構成していく貴重な人材として社会全体で応援すべき主体だと思っております。支援金制度に関しましても、その観点から、全世代型が、全世代が拠出するという点が特に重要だと思います。また、社会保障料財源一兆円のうちの四割が企業の拠出であることも、将来の働き手ということで理にかなったものではないかと感じます。こどもまんなか社会実現に向けて、総力で進めてほしいと願っております。
 以上です。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 奥山千鶴子

speaker_id: 17135

日付: 2024-05-23

院: 参議院

会議名: 内閣委員会