水岡俊一の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○水岡俊一君 立憲民主・社民の水岡俊一です。
 会派を代表して、総理に質問いたします。
 今年は、元日から能登半島を中心とする北陸地方で大災害が発生するという厳しく悲しい年の始まりとなりました。大切な方を亡くされた御遺族の方々に謹んでお悔やみを申し上げます。そして、今なお避難生活を余儀なくされている方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 二十九年前、神戸であの阪神・淡路大震災を経験し、そのことがきっかけで政治の道を進むことになった私としては、災害と向き合うことがずっとテーマでした。被災者生活再建支援法の抜本改正、学校の耐震化や避難所機能強化など、災害のたびに対応策を検討すると同時に、防災・減災について考えてきました。
 今日は二月一日、能登半島地震から一か月であります。今まさに我々国会議員は、知恵を絞り、言葉を尽くし、与野党それぞれの立場、視点から国民の生活を守っていくべきときであります。そのようなときに、地元石川県選出で政府の現地対策本部副部長でもある総務大臣政務官と災害からの復旧復興を担当する国土交通大臣政務官が自民党の裏金事件を受けて突如辞任するとは、一体何をやっているのか。裏金を受け取りながら政務三役を続けていたということか。大変嘆かわしいと言わざるを得ません。
 岸田総理は政治刷新と政策推進で責任を果たすとおっしゃっておいでですが、政務三役すら十分にチェックできていない岸田総理に政治刷新を語る資格はあるのでしょうか。
 昨日も、安倍派議員らの関係九十五団体で、五年で六億七千六百五十四万円ものキックバックの不記載があったことが明らかになりました。これは、政治と金ではなく、自民党と裏金の問題なのであります。今まさに目の前で起こっている震災対応にまで悪影響を与えているのです。このことに強く抗議申し上げ、質問に入りたいと思います。
 総理に一つ目の質間です。政府は、これまで何度も指摘されていた能登半島沖地震の可能性をなぜ無視してきたのですか。
 専門家の間で知られていたのは、産業技術研究所の調査です。珠洲沖や輪島沖などには数十キロにわたる複数の断層が見付かっており、志賀原発の安全性をめぐる評価で考慮されるなどしていました。また、国土交通省が中心となった日本海における大規模地震に関する調査検討会は、十年前に日本海側六十か所の海底活断層を調査していました。その中のF42、F43という二本の断層モデルが今回の震源域と物の見事に重なっており、地震が起きたらその規模はマグニチュード七・六以上になるとまで、ぴたりと想定されていたというではありませんか。なぜこの調査を生かせなかったのでしょうか。そして、なぜ広く周知されなかったのでしょうか。政府の地震調査委員会はこの断層を把握していたのにもかかわらず、長期評価、つまり地震の規模や三十年以内に何%といった発生確率などの予測をしなかったといいます。なぜですか。南海トラフの方に意識が傾き過ぎていませんでしたか。政府として責任が問われると考えます。総理、お答えください。
 次に、先週の参議院予算委員会で杉尾秀哉議員が質問した道路啓開計画についてです。地震後十三日目に現地に入った杉尾議員は、道路整備がほとんど手付かずだったようで、何でこんなに遅いのかと疑問を持ち、初動の遅れを感じたと言っています。改めて総理にお伺いします。
 質問二。なぜ、北陸地方整備局においては、災害発生時に緊急車両などを通行させるため、最低限の瓦れきや土砂を処理する救援ルートを確保する道路啓開の計画を立てられていなかったのでしょうか。地震災害が想定されておらず、啓開計画が立てられていなかったとすれば、紛れもなく政府の怠慢であり、災害対策の初動対応の遅れにつながったと見るべきではありませんか。昨年の参議院災害対策特別委員会でも能登半島の道路整備が議論されていたことから、何度も注意喚起されていたはずです。迅速な救援活動ができていなかったことの要因の一つは、ここにあるのではないですか。
 能登半島地震の翌日二日には、羽田空港にて日本航空機と海上保安庁機が滑走路上で衝突する事故が発生しました。
 海上保安庁機に搭乗し、犠牲になられた海上保安庁職員の皆様に深く哀悼の意を表します。
 日本航空機の乗客乗員三百七十九名全員の命が助かったことは奇跡的であり、乗務員や空港関係者、医療関係者など、多くの方々の御努力のおかげだと感謝申し上げます。
 現在、運輸安全委員会によって原因究明が進められていますが、立憲民主党でも情報連絡室を設置して情報収集を続けてきました。今後の事故調査の推移を注視しながら、今回の事故で明らかとなった課題を点検し、再発防止の徹底を図るとともに、安全を前提として空港の価値を最大限発揮できる環境の整備を進めるべきであると考えます。
 そこで、総理に質問三です。今回の事故の解明についてはまだ時間が必要ですが、そもそも羽田空港の管制官の人員は足りているのでしょうか。世界でも指折りの混雑空港と言われる羽田空港は、便数も急増していますが、管制官等全体の人数は国に定められた定員が減少しています。当然ながら一人当たりの取り扱う機体の数は増えています。
 原因が解明される前であってもでき得る今後の事故防止への一つの策として、管制官の人員を強化すべきではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 また、アメリカなどでは、航空機事故の際、再発防止のための真実の証言を確保するために、刑事責任を免除して証言させるとともに、事故調査の結果や調査で得られた証言をそのまま損害賠償請求訴訟等の民事責任追及に利用することを禁じています。
 質問四です。日本でも個人への刑事免責を視野に入れる必要性はないでしょうか。次の事故を防ぐためには、関係者に自分のマイナスになるような事実も洗いざらい話してもらう必要があります。総理はいかがお考えでしょうか。
 政治資金規正法は、一九四八年に政治の腐敗を防止する目的で制定されました。最初の大きな改正は一九七五年、自民党を中心とした政界の黒い霧事件が起きて、金権政治に国民の不満が高まっていた時代です。その後、幾度も政治と金の不正が発覚するたびに政治資金規正法の改正が重ねられてきました。
 しかし、今回の裏金問題は、自民党の派閥というシステム内で政治家自らが発案して、領袖クラスどころか多数の議員が組織的、積極的に行っていたことから、その悪質性はロッキードやリクルート事件を優に超えるのではないでしょうか。
 裏金議員は、明らかに議員辞職に値します。自民党は、過去に緊急事態宣言下で銀座のクラブに行っていた議員を離党させました。今回の裏金議員はそれよりもよっぽど悪質なのに、離党も除名も辞職もしない。これは一体どういうことでしょうか。
 ロッキード事件、リクルート事件の際には、国会は特別委員会を設置し、当事者たちを証人喚問して、究明と再発防止に努めました。また、その後の政治資金規正法改正につながりました。今回、政治刷新本部をつくったことを岸田総理は高らかに喧伝していますが、これは法改正も必要なほどの大きな事件です。
 総理に質問五です。自民党が本気であるのならば、政治刷新本部においてではなく、国会で特別委員会を設置するなど、徹底的な議論により全容解明を行うべきではないでしょうか。総理、信頼は揺らいでいるのではなく、既に失われました。派閥を解散してうやむやにするのではなく、政策集団として存続したまま金や人事の問題と決別すべきではなかったのでしょうか。問題は、派閥ではなく、裏金です。
 現在、物流は言うまでもなく日本の経済活動や生活を支える重要な社会インフラでありながら、現場は価格競争に伴う厳しい取引環境に置かれています。長時間の荷待ちや契約にない附帯作業などによる長時間労働など、様々な課題を抱えており、トラックドライバーを始めとする物流分野における人手不足の大きな原因となっています。
 今年の四月から自動車運転業務の時間外労働の上限が年間九百六十時間となるなど、過酷な労働環境を是正する一方で、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、物流が停滞する可能性が懸念されています。同じような問題は建設業でも起こっています。
 二〇一八年の働き方改革関連法における労働基準法の改正の際には、自動車運転業務について、十分な猶予期間が必要との理由から、五年間の猶予の後、本年四月からの施行となりました。
 質問六です。猶予期間は終わりますが、総理は業界において十分な準備ができているとお考えですか。物流業界における商慣行の課題等を踏まえ、政府はこれまで具体的にどのような対策を講じてきたのか、なぜいまだその課題解消に至っていないのか、お伺いします。
 その上で、政府の新たな対策にはこれまでの取組とどのような違いがあるのか、また、実効性ある対策として具体的にどのような取組が行われ、物流業界の課題解消が実現できるのか、総理の見解を伺います。
 環境省の前身である環境庁の設置から半世紀五十年、また環境基本法制定から三十年を経過してなお、環境課題は複雑化、深刻化しています。
 しかし、環境に対する国内外の社会情勢や国民理解が変わってきているにもかかわらず、政府の環境政策の方向性を定める基本法は全く見直されていません。それどころか、昨年は様々な課題が指摘されていたGX推進法案やGX脱炭素電源法案が環境委員会ではなく経産委員会で議論されるなど、経済最優先の政策志向となっています。
 質問七です。総理が環境と経済の両立が必要と言いながら、実は環境を軽視し、経済を最優先としてきたのはなぜですか。そうすることで、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な被害をもたらすとともに、結局のところ経済にも大きな負の影響を与えることは歴史が証明しています。昨今の気候変動政策の中で提言される気候正義といった世代間、地域間を超えた公平性の考え方や、健康や環境への被害を防止するための予防的な考えを踏まえ、時代が求める基本法の改正が必要不可欠と考えますが、総理の見解を伺います。
 二〇二三年九月、これまで水俣病と認定されず、水俣病特措法の救済対象外であった原告の全員を水俣病と認める判決を大阪地裁が出しました。この判決は、二〇〇九年の特措法では救済されなかった被害者の訴えが司法の場で認められた画期的な判決です。しかし、国、熊本県及びチッソは控訴に踏み切りました。
 水俣病特措法施行から十四年がたち、被害者の高齢化が進む中で、救済されず被害に苦しんでいる多数の方が存在しています。特措法の救済を受けるべき人々があたう限り全て救済するという原則がいまだに実現されていない以上、法制度を含めた見直しを検討すべきです。また、特措法で定められた健康調査はいまだに実施されていません。いたずらに調査手法の研究開発に時間を費やすのではなく、直ちに実施すべきです。総理の見解を伺います。
 文科省の発表によると、二〇二二年度の不登校児童生徒数は二十九万九千四十八人と、前年度比二二・一%増で過去最多となりました。病気や経済的な理由による者を除かなければ、更に多くの子供たちが学校に行けなくなっています。
 十年前と比較すると小学生は三・六倍、中学生は二・一倍となっており、この間に急激に増加していることが明らかになっています。そして、この一年では五万四千百八人も増えており、約三十人に一人、クラスに一人が不登校の状態にあるというのは、もはや新型コロナの影響など環境の変化ということだけで片付けられない状況であります。
 なぜ学校に行けないのか自分でも分からないという子供や、学校は競争ばかりだから、時間に縛られてばかりと悩む子供が多くいる中で、サボり、わがままだと決め付けての対応は全く意味を成しません。
 そこで、総理に質問九です。今までの学校というものの在り方や、学習のスタイルそのものが根本的に問われる時代に入ったとお感じになりませんか。
 受験競争が過熱ぎみの韓国は、学校に行かない子供が増えていることから、国が教育改革に踏み込み始めていると聞きます。全ての子供の学びをどう保障するか、学びの選択肢を増やす取組が始まっています。
 教育機会確保法が成立し、学びの多様化学校が僅かに認知され始めた日本においては、学校に行くのが全てではなく、多様な学びを国や自治体が強く支援することが求められていると考えますが、総理の御所見をお伺いします。
 昨年の代表質問で総理に教員不足についてお尋ねしました。総理からは、政府として危機感を持って受け止めているとし、国として様々な取組を強化するとの御答弁がありましたので、今年改めてお聞きします。
 質問十。政府としてその後どのような取組を行い、結果としてどの程度の成果があったのか、お示しください。
 全国で今年度新学期当初に担任の配置がない学級がどの程度あったのか、そして、現在、学級担任や教科担任にどの程度の欠員が生じているのか、前年度との比較を基に総理の御所見を示してください。
 教員不足の原因は様々でありますが、理不尽な超過勤務実態はその最たるものの一つだと言われています。定額働かせ放題を引き起こす給特法が根本的な原因であることは周知の事実であり、文科省はさきの給特法改正において、勤務実態調査を実施した後、それに基づいて抜本的な見直しを行うと明確に大臣などが答弁を行っています。
 文科省の調査では、教員は持ち帰りの仕事を省いても月八十時間残業の過労死ライン超えが小学校で一四%、中学校では三六%にも及んでいます。どんなに業務量が膨らんでも教員が何とかするという考え方を改めないといけません。
 質問十一です。幾ら働き方改革を徹底しても、教員の長時間労働の根本的問題は解決できないという観点に立ち、教員の一人当たりの持ち授業数を減らすことが求められています。総理は、いかに給特法、義務標準法の改正を行い、教職員が子供たちと向き合う時間を保障していくことを考えているのか、お聞かせください。
 次に、国際人権を取り上げますが、私の参考書としている藤田早苗博士がお書きになった「武器としての国際人権」から引用しながら質問いたします。
 日本では、人権を話題に取り上げるとき、困っている人のためのもの、弱い立場の人の問題と考えている人が多いようです。ある元国連人権高等弁務官が次のように述べています。人は生きるために一日二万回呼吸する必要があるが、呼吸の数を意識している人は少ない。でも、例えば首を絞められて呼吸ができなくなるとその重要性に気付く。人権も同じで、失いそうになって初めて人はその重要性に気付く。
 私たちは、自分が当事者になって初めて人権問題の重要性に気付くことが多い。要は、人権は困っている弱い立場の人だけの問題ではないのです。
 だからこそ、私たちは人権を意識しながら政治に関わっていかねばならないと思います。その際のチェックシートとなるのは、国際人権規約、条約です。日本は八つの国際人権文書を批准しており、そこで規定されている権利と義務が果たされているか定期的に審査されています。
 そこで、総理に質問十二です。日本国憲法は条約を誠実に遵守することを定めており、批准した条約は国内でも法的拘束力を持つとされていますが、政府は度々勧告に対し法的拘束力を持たないと無視するのはなぜですか。
 かつて日本は、自由権規約委員会での審査の際、当時のナイジェル・ロドリー議長から、日本はこれまで何度も同じ勧告を受けてきて全く改善しようとしない、まるで国際社会に対して反抗しているように見えると極めて厳しい言葉を浴びました。
 国連や人権保障制度の下で打ち立てられた規範と制度の総称である国際人権法に関して総理はどのような見解をお持ちなのか、お示しください。
 自民党の衆議院議員が二〇一六年にアイヌ民族を差別する投稿を自身のSNSやブログへ行ったことについて、札幌法務局が人権侵犯と認定しました。しかし、驚くことにその議員は、人権侵犯を認定された後もアイヌ民族を差別したことを認めず、差別の意図はない、もしもあのブログを読んでどなたも傷ついていないのであれば謝罪をする必要はないとまで表明しているのです。これに呼応するかのように、SNSなどインターネット上では人権侵犯の申立てをした方やアイヌ民族に対する暴言、誹謗中傷が起き、それは現在も続いています。
 これに対し、北海道アイヌ協会は昨年十二月、法務局による認定後においても国会議員の立場であるにもかかわらず発言が繰り返されるのは大変遺憾との見解を公表しています。
 二〇一九年に成立したアイヌ施策推進法は、アイヌの人々への差別行為を禁止しています。
 総理に質問十三です。国会議員が差別を差別と認めない姿勢は、差別を禁止する法規定の実現を妨げることになりませんか。総理の見解をお示しください。
 アイヌ施策推進法が成立した際、委員会での附帯決議では、不当な差別的言動の解消に向けた実効性のある具体的措置を講ずることを求めています。また、附則では、施行後五年で検討を加え、必要があれば所要の措置も講ずるとされています。今回の事案によって、現行制度では差別的言動の解消が困難であることが明らかになりました。今こそ実効性のある具体的措置を急ぐとともに、改正の検討を始めるべきではありませんか。
 国会議員の女性比率が低いことは、長年にわたる日本の課題です。
 参議院の我が会派、立憲民主・社民は、所属議員四十人のうち女性が二十人で男女同数を達成しています。日本版パリテ法と呼ばれ、二〇一八年に施行された政治分野における男女共同参画の推進に関する法律に忠実な会派と言えます。しかし、参議院全体では女性比率は三割に届かず、衆議院においては僅か一割にすぎません。日本の女性国会議員比率は、参議院の場合、世界で八十八位、衆議院は百六十四位です。
 国会で議会のジェンダー配慮への評価に関するアンケート調査を行ったところ、現在の国会における女性議員の数は十分かという設問に対して、八割以上の議員が不十分若しくはどちらかといえば不十分と答えています。
 イギリスでは、同じように自己点検を行い、その報告書を受けて産休中の議員に代理投票を認めるなど、実際に改革が進んでいます。
 議会がジェンダー平等において後れを取っている状況は、民意を反映する場としてふさわしくありません。総理、政府としても、政治分野のジェンダー平等を進めるべく、積極的な策を講じる行動に出ませんか。お答えください。
 最後に申し上げます。
 多額の献金をする企業や業界ばかりに国の予算を付けることを続けている限り、この国はまともな国にはなれません。金権政治に今こそピリオドを打ち、この国に暮らす全ての人の安心、安全を求め続ける政治を続けようではありませんか。
 総理の明確な答弁を求め、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121315254X00320240201_002

発言者: 水岡俊一

speaker_id: 27705

日付: 2024-02-01

院: 参議院

会議名: 本会議