岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 浅田均議員の御質問にお答えいたします。
今般の震災への予算面での対応についてお尋ねがありました。
今般の震災対応については、必要となる個々の施策の内容や予算額について網羅的に確定させることが今の段階で困難であるということ、そして、三月末までの財政需要には発災時点で残高が四千六百億円を超えていた今年度予備費を活用することにより十分対応が可能であると考えられたこと、また、来年度予算について国会開会までに所要の概算決定の変更を行うことが可能であったこと、これらを踏まえて、予算、補正予算では、予算の編成ではなく、最もスピード感のある財政面での対応として、今年度予備費の活用に加えて来年度予備費を増額することにより、震災対応に万全を期すこととしたものであります。
そして、被災者生活再建支援法に関する議員立法及び自動車再取得のための支援についてお尋ねがありました。
議員立法については、まずは国会において御議論いただくべきものであると考えますが、その上で、被災者生活再建支援金は、災害による財産の損失を補填するものとしてではなく、見舞金的な性格のものとして被災者を側面的に支援するものと位置付けられています。このため、被災者生活再建支援金については迅速に支給することとしております。
その上で、被災により住宅の被害を被った被災者への追加的な支援の在り方については、様々な他の支援制度を俯瞰した上で、税制上の対応を含め総合的に必要な施策を検討したところです。
そして、その結果、今般、生活福祉資金貸付について災害援護費、住宅補修費の特例措置を導入するに当たり、高齢者の割合が著しく高い地域では長期の貸付けという従来の手法がなじみにくいことも勘案し、特に高齢化が著しく進み、半島という地理的制約からコミュニティーの再生が乗り越えるべき課題となる能登地域六市町を中心に、地域福祉の向上に資する新たな交付金制度を設けることといたします。
その際、半壊以上の被災をした高齢者等のいる世帯を対象として、家財等の再建支援に最大百万円、住宅の再建支援に最大二百万円、合計最大三百万円を目安に、地域の実情に応じた支援が可能となるよう早急に制度設計を進め、成案を得ます。
また、同制度の対象とならない若者、子育て世帯についても、過疎地が多い能登半島からの人口流出を防ぐ観点から、被災地に住み慣れて、住み続けていただくことが重要であり、遜色のない対応が必要です。このため、足下の物価、金利情勢を踏まえた住宅融資の金利負担助成など、地域の実情を踏まえたきめ細かな事業を行うことが可能となるよう、その方策について石川県と調整を進めてまいります。
なお、新たな交付金制度においては、半壊以上の被災をした対象となる世帯に対し定額で五十万円、被災により自動車を喪失し、新たに購入する場合には別途定額五十万円、合計百万円を目安とした支援が行われる予定であります。
マイナ保険証の普及についてお尋ねがありました。
今般の震災において被災地では、服薬履歴の確認などオンライン資格確認システムが活用され、マイナ保険証を始めとする医療DX基盤が大いに役立っていると聞いております。医療DX基盤と個人をつなぐマイナ保険証の普及は重要な課題であると考えており、緊急医療での利用拡大を図るとともに、本年度の補正予算で設けた医療機関への支援金のほか、令和六年度診療報酬改定において利用実績に応じた評価を検討するなど、マイナ保険証の利用促進を積極的に推進してまいります。
地震動予測地図についてお尋ねがありました。
全国地震動予測地図は、その時々の最新の科学的知見に基づき、一定の期間内に強い揺れの地震に見舞われる確率を示しています。本地図が示しているのは、日本国内で強い揺れに見舞われる確率がゼロとなる地点は存在せず、その確率が数%未満の場合であっても、事故死などと比べ決して低い確率ではないと承知をしております。
このため、地震は国内どこでも発生し得ることを念頭に防災対策を行っていただくよう、今後も丁寧な情報発信を行ってまいります。予測に基づく分かりやすい情報提供と発生した地震に速やかに対応する即応とを組み合わせて、引き続き国民の安全、安心の確保に努めてまいります。
大阪消防庁についてお尋ねがありました。
人口減少が進んでいる一方、今回の令和六年能登半島地震など大規模災害が頻発している現状を踏まえると、緊急消防援助隊の充実による広域的な応援体制の強化が重要であると認識をしています。また、消防本部の体制強化に向け、消防の広域化を推進しており、大阪府においても消防本部の体制や規模について地元市町村等と議論を進めていただくことが重要であると認識をしております。
首都直下地震への備えや道州制についてお尋ねがありました。
昨年七月に閣議決定した国土形成計画において、首都直下地震等の巨大災害リスクの軽減に向けて、政府機能等の中枢管理機能のバックアップの強化等を図ることとしております。これに基づいて、政府機能の維持については、首都直下地震における緊急災害対策本部の代替拠点の確保等に係る検討をしっかりと推進してまいります。
地域主権型の道州制については、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであると承知していますが、国と地方の在り方を大きく変更するものであり、国会における議論も踏まえつつ対応する必要があると承知をしております。
多様な自治制度の整備と市町村合併についてお尋ねがありました。
政府としては、これまで、複数の自治体が連携して事務を行う定住自立型、自立圏などの広域連携施策を推進するとともに、他の地方自治体に対する事務の委託などの制度を設けてきたところです。
市町村が将来の人口減少や高齢化を見据えて行財政基盤の維持強化を図るため、市町村間の広域連携、都道府県による補完、自主的な市町村合併などの多様な手法の中から最も適したものを自ら選択をし、持続可能な行政サービスの提供体制を構築していくことが重要であると認識をいたします。
政治資金の課税関係についてお尋ねがありました。
一般論として、政治団体が行う政治資金パーティーの収入については、法人税法上の収益事業に該当せず、法人税の課税関係は生じません。他方、政治家個人が政治資金を受領した場合は、一般論として、所得税法上雑所得の収入となり、必要経費を控除した後、残額がある場合には確定申告が必要となります。
いずれにせよ、政治資金については、法令等にのっとり適切に取り扱われることが必要であると考えております。
金融市場の競争についてお尋ねがありました。
証券取引所については、欧米はもとより、アジア各国の証券取引所との間でグローバルに競争が展開されています。各取引所が上場企業や投資家にとっての魅力を高めるための取組を実施しているところであり、日本の証券取引所が競争原理の働かない環境にあるとの指摘は当たらないと考えています。
実際、東京証券取引所は、市場区分をコンセプトごとに再編をする上場企業に対して、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請し、また企業の取組状況を開示するなど、市場としての魅力を高める取組を進めており、政府としてもそれを後押しすることで我が国金融市場の国際競争力、これを高めてまいります。
同一労働、同一価値労働同一賃金の実現や労働市場改革についてお尋ねがありました。
岸田政権の最大の使命は経済の再生であり、持続的な賃上げを可能とするための人への投資を進めるとともに、個々の企業の実態に応じた職務給の導入も含め、三位一体の労働市場改革を早期かつ着実に進めてまいります。
また、同一労働同一賃金については、非正規雇用労働者の処遇改善に向けて更なる遵守徹底に取り組んでまいります。こうした取組を進めることで、持続的な賃上げとともに公正な待遇の確保、実現してまいります。
大学の教育研究環境の改革についてお尋ねがありました。
大学は、人材育成とイノベーション創出の基盤として我が国の社会や経済を支えており、日本の国際競争力の向上にも貢献することが期待されています。政府としては、個々の大学が自律的、戦略的に経営改革を進める中で教育や研究力の向上が実現することが望ましいと考えています。
我が国全体の教育研究力の抜本的な強化に向け、引き続き、基盤的経費の措置や成果を中心とする実績状況に基づくめり張りある配分、そして世界最高水準の研究大学や地域の中核大学等への支援、こうした取組を進めてまいります。
ライドシェアについてお尋ねがありました。
地域交通の担い手や移動の足の不足といった深刻な社会問題の解決に向けて、昨年のデジタル行財政改革会議及び規制改革推進会議での議論を踏まえ、地域の自家用車や一般ドライバーを活用した新たな運送サービスが四月から実装されるよう、制度の具体化と支援を進めてまいります。
あわせて、これらの施策の実施効果を検証しつつ、ライドシェア事業に係る法制度について、デジタル技術を活用した新たな交通サービスといった観点も含め、六月に向けて議論を進めてまいります。
米の需要拡大についてお尋ねがありました。
主食用米の需要減少が続く中、その需要拡大を図るため、引き続き、パック御飯や米粉製品の生産、利用拡大、多様なニーズに対応した米の品種開発等を推進するとともに、米の輸出拡大に向けて取り組んでまいります。
ただし、主食用米の需要拡大だけでは国内の主食用米の需要減少に対応できない現実もあります。このため、食料安全保障の観点から、過度に輸入に依存している麦、大豆等の国内生産の拡大を一層進めることが重要であり、これら畑作物の生産拡大にも取り組んでまいります。
農地の集約についてお尋ねがありました。
農業を成長産業化するため、担い手に農地を集積、そして集約することが重要であるとの問題意識は共有をいたします。
政府としては、農地バンクの活用促進に向け、農地バンクに貸し付けた農地について、御提案のように、既に農家負担を伴わずに大区画化等の基盤整備を行うとともに、固定資産税の軽減措置を行っています。
これらの施策も活用しながら、農地の集積、集約化、加速してまいります。
法人の農地取得についてお尋ねがありました。
農地を取得、所有する農地所有適格法人については、出資割合等により経営面における農業者の主体性を確保することを前提としております。
今般、経営基盤を強化し、活動の幅が広がることができるよう、農地転用の際の農林水産大臣による確認など一定の措置を講じた上で、食品事業者等による出資の割合を増やすことができる特例を設けることとし、所要の法案を今国会に提出をいたします。
また、特区による法人の農地取得の特例については、全国の希望する自治体が申請できるよう構造改革特別区域法で特例を設けたところですが、その際、農地売買に市町村が介在するなど、農地の適正利用の点で安心感ある制度としております。
農協改革についてお尋ねがありました。
農協は、組合員の農業所得の向上を最大の使命とし、輸出も含めた販売力の強化など、自己改革を不断に進めていると承知をしています。
御指摘の農協の信用事業の譲渡や、地区が重複する農協の設立については、これまでの農協法の改正によりいずれも制度上可能となっており、実績もあります。
政府としては、農協が組合員との対話を重ねながら取り組んでいる自己改革を引き続き後押ししてまいります。
貯蓄から投資へと金融システムなどについてお尋ねがありました。
新NISAにより貯蓄から投資へのシフトが進む中、外国資産への投資が増加するという面はあるものの、資産運用立国に向けた取組を通じて国内の金融市場の魅力を高め、国内投資も呼び込んでまいります。
また、貯蓄から投資へのシフトにより預金が減少しても、日本の金融機関は足下において総じて充実した資本、預金基盤を有しており、金融システムの安定性に影響が出るとは考えておりません。
なお、金利と成長率については、様々な要因によって決まるものであり、その大小関係について一概に言えるものではないと解されていると承知しております。
年金の財政検証と制度改革についてお尋ねがありました。
年金の財政検証においては、出生率や被保険者数、運用利回り等の実態を踏まえつつ、専門家による検討を経た上で適切に実施してきております。今年行われる財政検証においても、これまでと同様、直近までの実態を反映し、適切に実施をしてまいります。
年金制度の積立方式への切替えについては、若い世代を含む全世代が自身の積立てに加えて現在の高齢者の給付を賄うこととなるいわゆる二重の負担の問題があり、これを克服するには難しい課題があると考えております。
医療、介護の報酬制度についてお尋ねがありました。
診療報酬や介護報酬等の公定価格の仕組みは、国民皆保険制度の下で、経済状況等を踏まえつつ、制度の持続可能性の確保にも配慮しながら、全ての国民に公平に一定の質を担保した医療サービス等を保障するために必要なものであると考えております。
その上で、令和六年度の診療報酬、介護報酬等の同時改定では、医療、介護の現場で働く方々の物価に負けない賃上げの実現に必要な水準の報酬の改定率を昨年末に決定したところであり、フォローアップの仕組みをしっかりと整備するなど、実効性を高め、確実に賃上げを実現してまいります。
医薬品の開発と薬価制度改革についてお尋ねがありました。
日本を起源とする医薬品の世界市場でのシェアが低下する中、ベンチャー、アカデミア、製薬企業等が相互に協力して創薬に取り組むエコシステムを構築し、創薬基盤を再構築することが重要です。
このため、昨年十二月、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議を立ち上げるなど、エコシステム構築に向け、政府一丸となって取組を進めています。
また、令和六年度薬価改定では、革新的医薬品のイノベーションの適正な評価を推進する観点から、薬価上の措置を講じました。
引き続き、創薬力の強化に向け、政府を挙げて取り組んでまいります。
検察官の抗告の制限を含む再審制度の改正についてお尋ねがありました。
再審制度の在り方は、確定判決による法的安定性の要請と個々の事件における是正の必要性、この双方を考慮しつつ、様々な角度から慎重に検討すべき問題です。
その上で、再審開始決定に対する検察官の抗告の制限は、違法、不当な決定の是正を困難にするおそれがあり、慎重な検討を要すると考えます。
いずれにしましても、この問題については、法務省において現在開催中の改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会での議論等も踏まえ、適切に対応するものであると考えております。
検察当局における情報、捜査情報の管理についてお尋ねがありました。
捜査の内容に関わる事柄が外部に明らかになれば、捜査、公判の遂行に重大な支障を生じたり、関係者の名誉やプライバシーに重大な影響を与えたりすることになりかねません。
捜査上の秘密について、これを外部に漏らすことはあってはならないものであり、検察当局においても、そのような認識の下、厳正に対応されるものと考えております。
父母の離婚後の子の養育の在り方についてお尋ねがありました。
父母の双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことは、子の利益の観点から重要です。
お尋ねの民法改正については、法制審議会で審議中であり、法務大臣に答申された場合には、所要の法案を提出すべく政府として準備を進めてまいります。
NHKの改革についてお尋ねがありました。
我が国の放送は、公共放送と民間放送による二元体制の下で、お互いが切磋琢磨することによって発展してきたものと認識をしております。
NHKにおいては、広告主の意向や視聴率にとらわれることなく、報道や教養を始めとする豊かで良い番組を放送すること等により公共放送としての基本的役割を果たしており、NHKを分割する必要があるとは考えておりません。
国民負担の軽減については、本年一月にNHKが公表した次期中期経営計画で、昨年十月に一割値下げを行った受信料額を堅持しつつ、事業支出の削減などの経営改革を進めるとされており、こうした方針が着実に実施されるようNHKに求めてまいります。
そして、我が国の外交・安全保障政策についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くことは政府の最も重要な責務です。
このため、まずは、首脳レベルを含め、多層的に積極的な外交を展開することによって、我が国にとって望ましい安全保障環境を実現していきます。同時に、外交の裏付けとなる防衛力の抜本的強化を実現し、抑止力、対処力を高めてまいります。
こうした外交力、防衛力を含む総合的な国力を結集して、我が国を断固として守り抜いてまいります。
イスラエルの軍事行動についてお尋ねがありました。
事実関係を十分に把握しておらず、確定的な法的評価を行うことは困難ですが、自国及び自国民を守る権利に基づくものであれ、全ての行動はいかなる場合でも国際人道法を含む国際法に基づいて行わなければならず、均衡性の要件も満たされなければならないと考えます。
引き続き、全ての当事者に国際法の遵守を求めつつ、人道状況の改善及び事態の早期鎮静化に向けて外交努力を粘り強く続けてまいります。
台湾についてお尋ねがありました。
麻生副総裁の発言に逐一政府としてコメントすることは控えますが、台湾海峡の平和と安定が国際社会全体の安定にとり重要であり、台湾をめぐる問題は対話により平和的に解決されることが、解決されることを期待するというのが我が国の一貫した立場であり、これについてはこれまで明確に説明、発信をしてきております。
なお、いかなる事態が存立危機事態に該当するかは、個別具体的な状況に即し情報を総合して判断することとなるため、一概に述べることは困難であります。(拍手)