熊谷裕人の発言 (本会議)

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○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷裕人です。
 ただいま議題になりました所得税法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。
 一つ目は、所得税の定額減税についてです。
 この定額減税の目的については、政府は、賃金上昇が物価高に追い付いていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として国民の可処分所得を直接的に下支えすることを挙げております。しかし、これを実現するための手法がすなわち定額減税の実施しかないということにはなりません。
 岸田総理は定額減税という形式にこだわりを見せていますが、そのこだわりにどれだけの意味があるのでしょうか。同様の目的を達成するには給付金の給付でも構わないはずです。給付ではなく減税とした理由についてはこれまでも答弁されていますが、給付では同様の目的を達成できないのか、論理的に必然的に給付という手法を取り得ないということなのかどうか、財務大臣の認識を伺います。
 給付金という手法に関連して、岸田総理は、国民への一律現金給付は自然災害級の国難に限るべきだと発言したとの報道がありましたが、財務大臣も総理と同様の認識なのでしょうか。なぜ国難に限定しなければならないのか、財務大臣は納得できる理由の説明をお願いいたします。
 定額減税の実施に当たっては、地方公共団体や企業にも負担を強いることになることを政府も認めています。この手法は平成十年以来二十六年ぶりとなる半ば封印された古い手法で、四半世紀以上も採用されてこなかった理由の一つには、事務負担が非常に煩雑だということがあるのです。しかも、今回は一部給付金も組み合わせることとしているため、制度全体としても非常に複雑なものとなってしまっています。コロナ禍での特別定額給付金を始め、それなりに実績のある手法である給付金の方がまだ事務負担が軽かったのではないでしょうか。
 結局、将来世代への責任だと大見えを切って打ち出した防衛増税に国民から予想以上に反発があり、政府税制調査会の答申もサラリーマン増税だと多方面から指摘されたために、岸田総理が自身にまとわりついた増税イメージを何とか払拭したいがために、どれだけ複雑かつ負担が掛かるものであるかということを度外視した減税ありきの発想でしかなかったということであり、全く筋の通った理念などないのです。その証拠に、岸田総理が当初何度も唱えていた税収の還元という言葉は最近の政府答弁では意図的に避けられています。
 地方公共団体に多大な負担を掛け、企業に面倒を押し付け、国民からも評価されていない定額減税は、岸田総理の思い付きへの壮大な帳尻合わせでしかないのです。財務大臣の認識を伺います。
 今回の定額減税による減収額は、国、地方合わせて約三・三兆円とされていますが、この減収額に対応させる形での特定の財源は用意されていません。この点、政府は、令和六年度予算全体の中でやりくりしており、国債を充てるという指摘は当たらないといった答弁を繰り返していますが、このような答弁が通るはずがありません。令和六年度予算においても、例年どおり圧倒的に税収が不足しています。それを特例公債の発行により歳出歳入を均衡させているのが現実であって、定額減税の財源に国債が全く充てられていないかのような説明は詭弁でしかありません。
 百歩譲って、政府の言うように、この三・三兆円について国債を充てずに捻出することができるとしましょう。その上で、財務大臣は、定額減税は一年限りの措置であると繰り返し答弁されています。そうすると、定額減税に充てている約三・三兆円の財源は、来年度以降は別の経費に充てることができるようになるはずです。国債を充てることなく予算全体の中でやりくりできているというのであれば、それを国民の負担増を想定している防衛増税や、負担増にならないと強弁している、社会保険料上乗せの支援金制度を創設して賄うとしている子供増税に代わって財源に充てればよいのです。財務大臣の明確な説明を求めます。
 二つ目は、賃上げ促進税制についてです。
 本法律案では、賃上げ促進税制を強化することとしています。政府は、本税制がこれまで企業に幅広く活用されてきたと自画自賛していますが、本当に実際に企業が賃上げを行うインセンティブになったと断言することができるのでしょうか。確かに、適用実績を見れば本税制が活用されているのは事実でしょう。そのことをもって本税制の効果があったと見ることもできるかもしれません。
 しかし、物価高に対応するために賃金を上げたところ、図らずも本税制の要件を満たすことになったので、結果的に本税制の適用が可能になったというのが現実かもしれません。この点について政府はどのように判断しているのか、財務大臣の説明を求めます。
 本税制について、財務省においても政策効果を検証したようです。しかし、本税制が企業が賃上げをするという判断の後押しになったのかどうか確定的なことは言えないというのが実際のところであり、それにもかかわらず更に強化しようとしています。
 この改正は、これまでの改正のように賃上げのインセンティブがうやむやなものではなく、確実にインセンティブが働く制度設計であると言えるのか、財務大臣の説明を求めます。
 また、これまで改正の効果を事後的に検証することが難しかったのであれば、それを可能とするように、統計の充実を始めとした検証体制の整備も併せて行うべきと考えられますが、財務大臣の認識を伺います。
 三つ目は、戦略分野国内生産促進税制の創設です。
 GXやDX、経済安全保障の分野において国際的な産業政策競争が激化している中にあって、税制においても思い切った支援が必要であるとの考え自体は理解することができます。ただし、本税制は、生産や販売量に比例して減税するというこれまでの税制になかった方法が採用されており、しかも法人税額の四〇%という非常に高い割合での税額控除を認めるもので、まさに異例尽くしの制度となっています。
 そういった本税制について、ごく一部の企業のみが過度に優遇される結果とならないか危惧する向きもありますが、財務大臣の見解を伺います。
 また、本税制における高い税額控除割合は、エネルギー対策特別会計において発行するGX経済移行債の発行収入を一般会計へと繰り入れることにより減収額を補填することで実現したと説明されていますが、その規定は整備されていません。
 特定の財源があることが高い税額控除率の根拠となっているにもかかわらず、その財源の確保は定かではないというのは空手形と言うほかなく、そんなあやふやな状態のものを税制として打ち出すのは不適当です。財務大臣の認識を伺います。
 四つ目は、法人税についてです。
 法人税は、毎年度のように新規の政策税制が打ち出され、企業の減税が図られています。投資の促進や生産性の向上など、掲げられている様々な政策目的は、それ自体は我が国において必要性を感じるようなものが並べられています。しかし、法案審議過程ではそれが声高に叫ばれるものの、可決されてしまえば、本当に効果があったのかどうかは検証されず、期限が到来すればまた延長するという流れ作業を繰り返しているというのが現実ではないでしょうか。
 総務省は、租税特別措置等に係る政策評価の点検を毎年度行っています。公表されている点検結果においては、達成目標が具体的に設定されていないこと、目標が実現したのか、租税特別措置がどのように寄与したのか明らかでないこと、政策目的の実現に有効な手段であったことの分析、説明が不十分であることなどの問題点が毎年度必ず指摘されています。
 この種の指摘が一向になくならないまま税制改正が行われていることをどう受け止めているのか、また、同種の指摘が繰り返される現状の政策評価は実効性に乏しく、人的リソースの無駄遣いになっているのではないかという点について総務大臣の認識を伺います。
 そして、総務省が指摘するような問題点が解消されていない租税特別措置については創設も延長も認めるべきではないと考えますが、財務大臣の見解を伺います。
 五つ目は、財源余力についてです。
 令和元年十月の消費税率一〇%の引上げに合わせて軽減税率が導入されており、この軽減税率導入による減収額は、創設時の試算では一・一兆円と見込まれ、これに対応する安定的な恒久財源を確保することが法律により求められました。この点、政府は、個人所得課税の見直し、たばこ税の見直し、総合合算制度の見送り、社会保障の見直し効果の一部活用、そしてインボイス制度の導入によって確保するとの説明を行ってきました。
 ところが、昨年十二月に閣議決定されたこども未来戦略では、こども・子育て支援加速化プランの財源として、インボイス制度導入に伴う消費税収相当分も活用すると注釈で小さく書かれ、軽減税率による減収に充てるべき財源をこっそりと転用することとしています。これは一体どういうことでしょうか。安定的な恒久財源の確保について、財務大臣は、財政健全化目標の堅持、社会保障の充実等を図るための安定財源の確保が趣旨であるところ、社会保障充実分の財源は確保され、プライマリーバランス黒字化目標は達成の見込みであり、インボイス制度の導入に伴い新たに発現する増収分は財源余力となることから少子化対策の財源に充てることとしたとの説明をしており、これに納得する国民はどこにいるのでしょうか。
 あえて政府の見解に立つならば、インボイス制度の導入以外の方法によって確保された財源により社会保障充実の財源は確保され、プライマリーバランス黒字化目標は達成の見込みとなったので、インボイス制度による増収のみを財政余力と考えているということになるのではないでしょうか。財務大臣の認識を伺います。
 また、財政余力があるというのであれば、財源をぎりぎりまでかき集めても足りないため防衛増税を行うこととしたという旨の大臣の答弁と矛盾するのではないでしょうか。財務大臣の説明を求めます。
 最後に、今まさに所得税の確定申告期間です。財務大臣は、岸田総理の言うところの裏金事件の派閥からの還流金に関して、一般国民であれ、国会議員であれ、まずは納税者において自身の収入や経費を正しく計算して、所得が発生した場合には申告していただくと述べ、その上で、政治資金が個人に帰属する場合は、余りがあれば確定申告、納税しなければならないと説明をしてきています。
 しかし、裏金事件に関与した多くの自民党議員は、政治資金収支報告書を修正しているものの、支出については不明や領収証の裏付けがない修正報告のオンパレードで、真面目に確定申告している皆さんからは納税がばからしくなるといった不満の声が非常に高くなっているのが現状です。そこで、不明や領収証の裏付けがない修正についてきっちりと税務調査を行うべきと考えます。
 財務大臣は、昨日の財政金融委員会での大臣所信において、税務行政について適正かつ公正な、公平な課税徴収の実現を図ってまいりますと表明していますが、財務大臣の認識を伺います。
 以上、財務大臣の真摯な答弁を求め、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 熊谷裕人

speaker_id: 3116

日付: 2024-03-08

院: 参議院

会議名: 本会議