石川大我の発言 (本会議)

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○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました民法等の一部を改正する法律案について、小泉法務大臣に質問をいたします。
 まず、本法律案は、法制審議会が二月十五日に要綱を大臣に答申し、僅か二十二日後に衆議院に提出されました。家族法制部会の採決の際には、委員二十二人のうち三人が反対、一人が棄権をいたしました。DV被害者やシングルマザーの支援をしている代表の声が切り捨てられたのです。
 慎重派委員の訴えを受け追加した附帯決議は、内容が不十分だとして二人が反対しました。異例続きの本法律案提出は、検討が不十分であり、国民の理解を得られているとは言い難い状態です。
 十六日の衆議院本会議での採決においても、自民党議員から反対者が出るなど、審議が尽くされていないとの声が多く上がっているものと承知しています。
 さて、同じく民法改正で対応すべき課題に選択的夫婦別姓制度があります。一九九六年二月に法制審議会がこれを認める要綱を答申したにもかかわらず、二十八年以上の長期にわたり、政府は法案を提出していません。選択的夫婦別姓制度は、民間の調査で六割から七割の国民が賛成し、経団連等、財界からも要望が出ており、その必要性が叫ばれているにもかかわらずです。選択的夫婦別姓制度こそ、法案提出、そして審議を行うべきではないでしょうか。
 法務大臣にお伺いをいたします。
 本法律案を急ぎ提出した理由についてお聞かせください。また、選択的夫婦別姓制度について法案提出を行わない理由について答弁ください。
 世論の賛成ということであれば、我が党を始め野党が提出している婚姻平等法案についても、その成立が急務です。同性同士の婚姻については、共同通信社調査によると、世論の六四%が賛成し、若い世代では八一%が賛成をしています。政府としても同性婚を可能とする制度の創設を法制審議会に諮問し、政府が婚姻平等法案を提出すべきではないでしょうか。
 法務大臣、同性婚については、国民のコンセンサスはこれ以上積み上がることがないほどに高まっています。世論が支持している同性婚を可能とする法案提出をしない理由を明快にお答えください。
 憲法二十四条は、婚姻について両性の合意にのみ基づき成立としています。その婚姻中のみ共同親権というのが現行法です。しかし、本法案では、裁判によって、当事者の合意がなくても共同親権とする非合意強制型共同親権を定めています。
 憲法二十四条は意に反する婚姻を許しませんが、意に反する共同親権は許されると解釈されるのでしょうか。答弁を求めます。
 政府は、国民世論を向いて法案提出をしているだろうかと感じざるを得ません。法務大臣は、この民法改正が、国民が真に求めている法案、家庭の中でDVや虐待に苦しんでいる人たちに希望を与える法案であると断言できるでしょうか。明快な答弁を求めます。
 あるいは、統一教会を始めとする特定の宗教や支援団体の方向や、家族に対する支配を固定化しようとする家父長制的な価値観を有する人々の方向ばかりを向いて政策立案や法案提出をしているのではないですか。明確にお答えください。
 今回の法改正に当たる立法事実について伺います。
 法務省の説明資料では、離婚後の子の養育の在り方の多様化を踏まえと立法事実を説明し、答弁でも繰り返されています。しかし、養育の多様化と親権の所在は関わりがなく、改正案は、多様性の反映ではなく、合意の強制、制度の複雑化であって、多様性を目指しているものとは言い難いのではないでしょうか。大臣の見解をお答えください。
 議論すべきは、民法七百六十六条に基づき、離婚後の父母間の役割分担や協議の在り方についてどう合意し定めるか、子供に安定的な養育環境をどう確保するのか、そのための実親の責任はどうあるべきか、実親が離婚や別居した場合にその責任の果たし方をどうするのかではないでしょうか。法務大臣の見解をお示しください。
 親権の権利的側面は、あくまで第三者に対して子供の権利利益を守るためのものです。全国ひとり親世帯等調査によれば、令和三年度の母子世帯は約百二十万世帯、父子世帯は約十五万世帯です。圧倒的多数のケースで母親が親権を持ち、同居し養育をしています。
 離婚後共同親権の導入がDV、虐待加害者に拒否権、介入権、支配権を与えてしまう危険性があるのではないでしょうか。法務大臣の見解を求めます。
 離婚の際及び離婚後の夫婦関係について質問します。
 今回の改正では、親の責務等として、父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないと明記されています。婚姻関係継続中あるいは離婚後も、子から見た両親が互いの人格を尊重し協力することは子の養育上望ましいことではありますが、一方、その関係が険悪なものとなり、裁判等を経た離婚後においては、協力をし、子を養育するということは極めて難しいことだと考えます。また、身体的なDV、身体的な暴力を伴うDVや経済的、精神的なDVなど様々なDVの可能性がある場合、何がDVに当たるかを認識していない人が多数見られます。
 離婚後共同親権は、DV、虐待ケースは除外とされていますが、DV、虐待ケースに当たるのかの判断は難しく、擦り抜けて共同親権が適用されることが強く危惧されます。いかにしてDV、虐待ケースを除外するのか、その当事者にも分かりやすく具体的にお示しください。
 養育計画などの講習は想定されているようですが、それよりも婚姻中にDVに気付くのが困難だという事例が多数報告されていますので、結婚前に、DVを防ぐため、DVや虐待があった場合の告発、被害届、相談等の対処をできるようにする結婚前のDV講習のような支援の制度化も子の利益に資すると考えますが、御見解を伺います。
 次に、離婚後の一人親とその新しいパートナーによる子への虐待の関連性について質問します。
 離婚後の一人親やその新しいパートナーから子への虐待を共同親権で防ぐことができるとする議論があります。
 しかし、一人親やそのパートナーが虐待をしているケースには、そもそも父親が分からない、父親の所在が不明、音信不通であることなどで共同親権になり得ないケースがあります。また、親権のない親側がDV、虐待の加害者であるといったことで親権者になり得なかったというケースが多く、共同親権の導入で一人親やそのパートナーが虐待をしているケースを解決できると言い切れるとは思えません。
 どのようにして、離婚後共同親権の導入によって虐待を確実に防止できるものと大臣はお考えでしょうか。別居親に虐待を発見、阻止できるスキルがあるのでしょうか。共同親権を採用している諸外国では虐待が防止されているでしょうか。答弁をお願いします。
 既に民事局長が答弁した、協議で合意できなくても、同居親の養育にやや不安があるとか、同居親と子との関係が良好でないという理由で、別居親が子の養育に関わった方がいいという場合という仮想ケースには現実性がないと考えます。
 円満ではなく離婚し、親権行使の在り方すら意見が対立する両親に対して、裁判所が命令で強制的に親権を共同行使させることが子の利益になる場合とは、具体的にどういう場合でしょうか。民事局長の説明は、親権制限や親権変更すべき事案ではないでしょうか。
 離婚後共同親権を導入することにより子供への虐待を防ぐことができるという意見を見ますが、そのような立法事実はないはずです。何らかの調査や検討をしたのであれば、御答弁ください。また、共同親権を導入することによる虐待の増加の危険性についてどのような調査をされたのか、法務大臣の答弁を求めます。
 次に、監護権の無限ループ問題について伺います。
 離婚後、監護権者が指定されていない場合又は共同監護の場合の問題です。例えば、同居親である母親が子供の小学校でのプールの授業を欠席すると決めたとします。しかし、小学校に父親から電話が入り、共同監護権者としてプールに入れると判断したら、どうなるのでしょうか。
 改正案民法八百二十四条の二第二項によると、父母共に日常の監護教育について単独で親権行使できるとされていますから、このような日常的監護教育はまさに両親がそれぞれ単独で親権行使をすることができます。そうだとすると、最新の判断が有効になるということであれば、その父親の電話の後に、再度母親が電話をしてプールの欠席を依頼すれば、再度プールには入れないという対応を学校がしなければならないのでしょうか。これでは、様々な現場において混乱が起きることは必至です。まさに父母の監護権が無限ループしてしまいます。
 監護権者を指定し、同居親と子供の生活に混乱を来さないように配慮や手当てを行うべきではないでしょうか。法務大臣の所見をお伺いいたします。
 本法律案には、共同親権を原則とするという文言はありませんが、一方で、法務省の説明や全体の規定ぶりからは、共同親権が原則として規定されているような印象を与えかねない感があります。この点、共同親権を原則とするとの言葉が多義的であるとか、共同親権とするかは個別具体的な事情に即して判断するといった答弁が法務大臣からなされていますが、これをもって子の利益を確保することがしっかりなされるのか、不信感を抱かざるを得ません。
 共同親権は原則でないと明確に御答弁いただいた上で、共同親権とするか単独親権とするかの明確な基準もお示しください。
 最後に、離婚後の養育の多様化について質問します。
 冒頭でも触れましたが、法務省の説明資料では、子の養育の在り方の多様化を立法事実の一つとして挙げています。まず、子の養育の多様化について、同性同士のカップルの子育ては子の養育の多様化に含まれるのでしょうか。法務大臣にお伺いをいたします。
 小泉法務大臣には、先日、四月十一日の参議院法務委員会で紹介をいたしましたが、近年、同性カップルで子の養育をしている人たちが増えています。
 現在の法制度では同性婚ができないため、カップル間で養子縁組を行い、子育てをしている同性カップルの事例を紹介しました。そのお二人は同じ学年に当たる年齢にもかかわらず、養子縁組をしたことで数か月早く生まれたAさんが法的には親、Bさんが子供となり、そのBさんの実子を子育てしています。同性カップルと子という関係が法的には養父と養子とその子という状態になり、実態にそぐわない状況です。
 また、異性と結婚して子を産んだ後、離婚して同性パートナーと子育てをしている女性同士のカップルもいます。こうした方たちには法律の手当てが届かず、不便な思いをしている当事者が多いのです。
 子の養育の在り方の多様化を言うのであれば、同性婚の法制化や同性カップルが子育てしやすい法整備や環境をつくることにも政府は早急に取り組むべきではないでしょうか。小泉法務大臣の明快な答弁を求めます。
 最後に、先日の衆議院における我が党の討論で道下議員から、立憲民主党はこの法案が少しでも良くなるよう参議院審議でも尽力するとともに、政府、法務省並びに最高裁判所が、委員会審議における答弁、原案に対する修正案、附帯決議で示された方向性や意味合い、我々の真意をきちんと理解して今後の調停、審判に臨み、適切に法制度を運用、措置するよう監視機能を働かせていきます旨の発言がありました。
 本法案がどれだけ多くの当事者に影響を与えるのか、真に当事者が求めているものであるのか、一度立ち止まって審議を行うべきであると確信します。
 本院の法務委員会における審議は、更に充実したものとなるよう強く求め、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小泉龍司君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 石川大我

speaker_id: 7786

日付: 2024-04-19

院: 参議院

会議名: 本会議