本会議

2024-04-19 参議院 全41発言

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会議録情報#0
令和六年四月十九日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第十三号
  令和六年四月十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(米国公式訪
  問に関する報告について)
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○本日の会議に付した案件
 一、民法等の一部を改正する法律案(趣旨説明
  )
 以下 議事日程のとおり
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尾辻秀久#1
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 民法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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尾辻秀久#2
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。小泉龍司法務大臣。
   〔国務大臣小泉龍司君登壇、拍手〕
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小泉龍司#3
○国務大臣(小泉龍司君) 民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や子の養育の在り方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正しようとするものであります。
 その要点は、次のとおりであります。
 第一に、父母の離婚等に直面する子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正して、婚姻関係の有無にかかわらず、父母が子を養育するに当たって遵守すべき責務を明確化することとしております。また、父母が離婚をする場合にその双方を親権者と定めることができるようにする規定を設けるほか、親権の行使について父母間の意見が一致しない場合における調整のための裁判手続を創設することとしております。
 第二に、養育費の履行を確保する観点から、民法等の一部を改正して、養育費等の債権に一般先取特権を付与するとともに、父母が養育費の支払について合意することなく離婚した場合においても父母の一方が他方に対して所定の額の養育費の支払を請求することができる旨の規定を設けることとしております。また、養育費等の債権に基づく民事執行について、一回の申立てにより複数の手続を連続的に行うことができる旨の規定を設けるなど、裁判手続の利便性を向上させるための規律を整備することとしております。
 第三に、安全、安心な親子交流を実現する観点から、民法等の一部を改正して、父母が婚姻中に別居をする場合における親子交流に関する規定を設けるほか、家事審判等の手続において裁判所が当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定を設けることとしております。
 このほか、民法の一部を改正して、養子縁組がされた場合の親権者に関する規定を整備するほか、財産の分与の請求をすることができる期間を五年に伸長するとともに、その請求において家庭裁判所が考慮すべき要素を具体化する規定を設けることとしております。
 なお、この法律案については、衆議院において附則に一部修正が行われております。
 その内容は、第一に、政府は、改正後の法律の円滑な施行のため、子の監護について必要な事項を定めることの重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう、必要な広報その他の啓発活動を行うものとすること、第二に、政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、改正後の各法律の規定の趣旨及び内容について国民に周知を図るものとすること、第三に、政府は、施行日までに、父母が協議上の離婚をする場合における親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとすること、第四に、政府は、この法律の施行後五年を目途として、改正後の各法律の施行の状況等を勘案し、父母の離婚後の子の養育に係る制度及び支援施策の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。拍手
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尾辻秀久#4
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。石川大我君。
   〔石川大我君登壇、拍手〕
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石川大我#5
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました民法等の一部を改正する法律案について、小泉法務大臣に質問をいたします。
 まず、本法律案は、法制審議会が二月十五日に要綱を大臣に答申し、僅か二十二日後に衆議院に提出されました。家族法制部会の採決の際には、委員二十二人のうち三人が反対、一人が棄権をいたしました。DV被害者やシングルマザーの支援をしている代表の声が切り捨てられたのです。
 慎重派委員の訴えを受け追加した附帯決議は、内容が不十分だとして二人が反対しました。異例続きの本法律案提出は、検討が不十分であり、国民の理解を得られているとは言い難い状態です。
 十六日の衆議院本会議での採決においても、自民党議員から反対者が出るなど、審議が尽くされていないとの声が多く上がっているものと承知しています。
 さて、同じく民法改正で対応すべき課題に選択的夫婦別姓制度があります。一九九六年二月に法制審議会がこれを認める要綱を答申したにもかかわらず、二十八年以上の長期にわたり、政府は法案を提出していません。選択的夫婦別姓制度は、民間の調査で六割から七割の国民が賛成し、経団連等、財界からも要望が出ており、その必要性が叫ばれているにもかかわらずです。選択的夫婦別姓制度こそ、法案提出、そして審議を行うべきではないでしょうか。
 法務大臣にお伺いをいたします。
 本法律案を急ぎ提出した理由についてお聞かせください。また、選択的夫婦別姓制度について法案提出を行わない理由について答弁ください。
 世論の賛成ということであれば、我が党を始め野党が提出している婚姻平等法案についても、その成立が急務です。同性同士の婚姻については、共同通信社調査によると、世論の六四%が賛成し、若い世代では八一%が賛成をしています。政府としても同性婚を可能とする制度の創設を法制審議会に諮問し、政府が婚姻平等法案を提出すべきではないでしょうか。
 法務大臣、同性婚については、国民のコンセンサスはこれ以上積み上がることがないほどに高まっています。世論が支持している同性婚を可能とする法案提出をしない理由を明快にお答えください。
 憲法二十四条は、婚姻について両性の合意にのみ基づき成立としています。その婚姻中のみ共同親権というのが現行法です。しかし、本法案では、裁判によって、当事者の合意がなくても共同親権とする非合意強制型共同親権を定めています。
 憲法二十四条は意に反する婚姻を許しませんが、意に反する共同親権は許されると解釈されるのでしょうか。答弁を求めます。
 政府は、国民世論を向いて法案提出をしているだろうかと感じざるを得ません。法務大臣は、この民法改正が、国民が真に求めている法案、家庭の中でDVや虐待に苦しんでいる人たちに希望を与える法案であると断言できるでしょうか。明快な答弁を求めます。
 あるいは、統一教会を始めとする特定の宗教や支援団体の方向や、家族に対する支配を固定化しようとする家父長制的な価値観を有する人々の方向ばかりを向いて政策立案や法案提出をしているのではないですか。明確にお答えください。
 今回の法改正に当たる立法事実について伺います。
 法務省の説明資料では、離婚後の子の養育の在り方の多様化を踏まえと立法事実を説明し、答弁でも繰り返されています。しかし、養育の多様化と親権の所在は関わりがなく、改正案は、多様性の反映ではなく、合意の強制、制度の複雑化であって、多様性を目指しているものとは言い難いのではないでしょうか。大臣の見解をお答えください。
 議論すべきは、民法七百六十六条に基づき、離婚後の父母間の役割分担や協議の在り方についてどう合意し定めるか、子供に安定的な養育環境をどう確保するのか、そのための実親の責任はどうあるべきか、実親が離婚や別居した場合にその責任の果たし方をどうするのかではないでしょうか。法務大臣の見解をお示しください。
 親権の権利的側面は、あくまで第三者に対して子供の権利利益を守るためのものです。全国ひとり親世帯等調査によれば、令和三年度の母子世帯は約百二十万世帯、父子世帯は約十五万世帯です。圧倒的多数のケースで母親が親権を持ち、同居し養育をしています。
 離婚後共同親権の導入がDV、虐待加害者に拒否権、介入権、支配権を与えてしまう危険性があるのではないでしょうか。法務大臣の見解を求めます。
 離婚の際及び離婚後の夫婦関係について質問します。
 今回の改正では、親の責務等として、父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないと明記されています。婚姻関係継続中あるいは離婚後も、子から見た両親が互いの人格を尊重し協力することは子の養育上望ましいことではありますが、一方、その関係が険悪なものとなり、裁判等を経た離婚後においては、協力をし、子を養育するということは極めて難しいことだと考えます。また、身体的なDV、身体的な暴力を伴うDVや経済的、精神的なDVなど様々なDVの可能性がある場合、何がDVに当たるかを認識していない人が多数見られます。
 離婚後共同親権は、DV、虐待ケースは除外とされていますが、DV、虐待ケースに当たるのかの判断は難しく、擦り抜けて共同親権が適用されることが強く危惧されます。いかにしてDV、虐待ケースを除外するのか、その当事者にも分かりやすく具体的にお示しください。
 養育計画などの講習は想定されているようですが、それよりも婚姻中にDVに気付くのが困難だという事例が多数報告されていますので、結婚前に、DVを防ぐため、DVや虐待があった場合の告発、被害届、相談等の対処をできるようにする結婚前のDV講習のような支援の制度化も子の利益に資すると考えますが、御見解を伺います。
 次に、離婚後の一人親とその新しいパートナーによる子への虐待の関連性について質問します。
 離婚後の一人親やその新しいパートナーから子への虐待を共同親権で防ぐことができるとする議論があります。
 しかし、一人親やそのパートナーが虐待をしているケースには、そもそも父親が分からない、父親の所在が不明、音信不通であることなどで共同親権になり得ないケースがあります。また、親権のない親側がDV、虐待の加害者であるといったことで親権者になり得なかったというケースが多く、共同親権の導入で一人親やそのパートナーが虐待をしているケースを解決できると言い切れるとは思えません。
 どのようにして、離婚後共同親権の導入によって虐待を確実に防止できるものと大臣はお考えでしょうか。別居親に虐待を発見、阻止できるスキルがあるのでしょうか。共同親権を採用している諸外国では虐待が防止されているでしょうか。答弁をお願いします。
 既に民事局長が答弁した、協議で合意できなくても、同居親の養育にやや不安があるとか、同居親と子との関係が良好でないという理由で、別居親が子の養育に関わった方がいいという場合という仮想ケースには現実性がないと考えます。
 円満ではなく離婚し、親権行使の在り方すら意見が対立する両親に対して、裁判所が命令で強制的に親権を共同行使させることが子の利益になる場合とは、具体的にどういう場合でしょうか。民事局長の説明は、親権制限や親権変更すべき事案ではないでしょうか。
 離婚後共同親権を導入することにより子供への虐待を防ぐことができるという意見を見ますが、そのような立法事実はないはずです。何らかの調査や検討をしたのであれば、御答弁ください。また、共同親権を導入することによる虐待の増加の危険性についてどのような調査をされたのか、法務大臣の答弁を求めます。
 次に、監護権の無限ループ問題について伺います。
 離婚後、監護権者が指定されていない場合又は共同監護の場合の問題です。例えば、同居親である母親が子供の小学校でのプールの授業を欠席すると決めたとします。しかし、小学校に父親から電話が入り、共同監護権者としてプールに入れると判断したら、どうなるのでしょうか。
 改正案民法八百二十四条の二第二項によると、父母共に日常の監護教育について単独で親権行使できるとされていますから、このような日常的監護教育はまさに両親がそれぞれ単独で親権行使をすることができます。そうだとすると、最新の判断が有効になるということであれば、その父親の電話の後に、再度母親が電話をしてプールの欠席を依頼すれば、再度プールには入れないという対応を学校がしなければならないのでしょうか。これでは、様々な現場において混乱が起きることは必至です。まさに父母の監護権が無限ループしてしまいます。
 監護権者を指定し、同居親と子供の生活に混乱を来さないように配慮や手当てを行うべきではないでしょうか。法務大臣の所見をお伺いいたします。
 本法律案には、共同親権を原則とするという文言はありませんが、一方で、法務省の説明や全体の規定ぶりからは、共同親権が原則として規定されているような印象を与えかねない感があります。この点、共同親権を原則とするとの言葉が多義的であるとか、共同親権とするかは個別具体的な事情に即して判断するといった答弁が法務大臣からなされていますが、これをもって子の利益を確保することがしっかりなされるのか、不信感を抱かざるを得ません。
 共同親権は原則でないと明確に御答弁いただいた上で、共同親権とするか単独親権とするかの明確な基準もお示しください。
 最後に、離婚後の養育の多様化について質問します。
 冒頭でも触れましたが、法務省の説明資料では、子の養育の在り方の多様化を立法事実の一つとして挙げています。まず、子の養育の多様化について、同性同士のカップルの子育ては子の養育の多様化に含まれるのでしょうか。法務大臣にお伺いをいたします。
 小泉法務大臣には、先日、四月十一日の参議院法務委員会で紹介をいたしましたが、近年、同性カップルで子の養育をしている人たちが増えています。
 現在の法制度では同性婚ができないため、カップル間で養子縁組を行い、子育てをしている同性カップルの事例を紹介しました。そのお二人は同じ学年に当たる年齢にもかかわらず、養子縁組をしたことで数か月早く生まれたAさんが法的には親、Bさんが子供となり、そのBさんの実子を子育てしています。同性カップルと子という関係が法的には養父と養子とその子という状態になり、実態にそぐわない状況です。
 また、異性と結婚して子を産んだ後、離婚して同性パートナーと子育てをしている女性同士のカップルもいます。こうした方たちには法律の手当てが届かず、不便な思いをしている当事者が多いのです。
 子の養育の在り方の多様化を言うのであれば、同性婚の法制化や同性カップルが子育てしやすい法整備や環境をつくることにも政府は早急に取り組むべきではないでしょうか。小泉法務大臣の明快な答弁を求めます。
 最後に、先日の衆議院における我が党の討論で道下議員から、立憲民主党はこの法案が少しでも良くなるよう参議院審議でも尽力するとともに、政府、法務省並びに最高裁判所が、委員会審議における答弁、原案に対する修正案、附帯決議で示された方向性や意味合い、我々の真意をきちんと理解して今後の調停、審判に臨み、適切に法制度を運用、措置するよう監視機能を働かせていきます旨の発言がありました。
 本法案がどれだけ多くの当事者に影響を与えるのか、真に当事者が求めているものであるのか、一度立ち止まって審議を行うべきであると確信します。
 本院の法務委員会における審議は、更に充実したものとなるよう強く求め、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔国務大臣小泉龍司君登壇、拍手〕
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小泉龍司#6
○国務大臣(小泉龍司君) 石川大我議員にお答えを申し上げます。
 まず、本改正案の提出の経緯についてお尋ねがありました。
 離婚後の共同親権の可能性を含む親権制度の在り方の検討は、平成二十三年の民法改正の際に、衆議院及び参議院の法務委員会において全会一致で採決された附帯決議の中に盛り込まれたものであります。
 その後、令和三年二月の法務大臣の諮問を受け、法制審議会において様々な角度から調査審議が重ねられ、令和六年二月に要綱が採択され、法務大臣に答申されました。
 本改正案はこのような検討を経て提出されたものであり、急ぎ提出したとの御指摘は当たらないと考えます。
 次に、選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
 選択的夫婦別氏制度については、直近の世論調査を見ても国民の意見が分かれています。家族の在り方の根幹に関わる問題でもあり、最高裁判決でも、国会で論ぜられ、判断されるべきであると指摘されています。
 法案提出の是非は、国民各層の意見、国会における議論の動向を注視しながら検討する必要があると考えております。
 次に、同性婚制度についてお尋ねがありました。
 同性婚制度の導入の問題は、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、国民生活の基本に関わる家族法制や、これと相互に密接な関係にある国民の家族観に関わる問題であると考えています。
 その導入については、議論を進め、ついて議論を進めるには、国民各層の意見を十分に踏まえる必要があると考えております。
 次に、離婚の際の意に反する共同親権は憲法二十四条に反しないかについてお尋ねがありました。
 現行民法において、夫婦の合意がなくても、裁判上の離婚及び親権者の指定が認められていることを踏まえると、本改正案において、当事者が合意が、当事者の合意がなくても裁判所が子の利益を考慮して父母の双方を親権者と定めることができることとしたことは、憲法二十四条に違反するものではないと考えております。
 次に、本改正案と国民世論との関係等についてお尋ねがありました。
 本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものです。また、本改正案は、子への虐待のおそれがある場合やDV等を受けるおそれにより親権の共同行使が困難となる場合には、裁判所が必ず単独親権と定めなければならないとするなど、DVや虐待のおそれがある事案にも配慮したものです。
 本改正案については、衆議院での審議でこうした点を丁寧に御説明し、御可決をいただいており、国民の理解も得られる内容となっていると考えておりますが、引き続き、その趣旨、内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知に努めてまいります。
 次に、本法案が特定の団体等に向けられたものではないかについてお尋ねがありました。
 本改正案は、父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や子の養育の在り方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益を確保する観点から民法等の一部を改正しようとするものです。お尋ねのように、特定の団体等に向けられたものではありません。
 次に、本改正案と子の養育の在り方の多様化との関係についてお尋ねがありました。
 離婚後単独親権制度を採用した昭和二十二年当時は、共同生活を営まない父母が親権を共同して行うことは事実上不可能であると考えられていました。しかし、その後、離婚後の子の養育の在り方が多様化し、離婚後も父母双方が子の養育についての協力関係を維持することも可能であり、実際にそのような事例があるとの指摘もございます。
 本改正案は、こうした社会情勢の変化を背景とする子の養育の多様性を反映したものであります。
 次に、父母の離婚後の子の養育に関して議論すべき事項についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、離婚後の父母の役割分担等を含め、子の監護に関する事項が父母の協議や裁判所の手続で適切に定められることや、離婚後の父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことは重要です。
 これらに関する法制審議会の議論を踏まえ、本改正案には、離婚後の父母双方を親権者にできるようにする規定や監護の分掌に関する規定、父母の責務等に関する規定が設けられております。
 次に、離婚後の父母双方を親権者とすることとDV、虐待の事案との関係についてお尋ねがありました。
 本改正案で離婚後の父母双方を親権者にできることとしているのは、離婚後の父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことを可能とすることで子の利益を確保しようとするものであります。
 その上で、本改正案は、子への虐待のおそれがある場合やDV等を受けるおそれにより親権の共同行使が困難となる場合には、裁判所が必ず単独親権と定めなければならないこととしています。また、本改正案では、父母相互の人格尊重義務や協力義務に関する規定を新設するとともに、親権は子の利益のために行使しなければならないことを明らかにしています。
 このように、本改正案は、別居の親権者に、同居親による養育への不当な拒否権や介入権、支配権を与えるものではありません。
 次に、DV、虐待がある事案に関する裁判所の判断についてお尋ねがありました。
 本改正案では、DV等のある事案では裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないと規定しており、DV等の有無が適切に審査されることが重要であります。
 一般論として、DV等の主張がされた事案について、家庭裁判所では、当事者双方の主張、立証を踏まえて適切な審理が行われているものと承知しております。
 引き続き、裁判所で適切な運用の在り方を検討されるものと承知しており、法務省としても、裁判所の取組に協力してまいりたいと思います。
 次に、結婚前のDV講習等についてお尋ねがありました。
 本改正案を円滑に施行し、子の利益を確保するためには、DV等を防止して安全、安心を確保することが重要です。
 法務省としては、こうした環境整備のため、円滑な施行に必要な環境整備等について、関係府省庁と連携して適切に検討してまいります。
 次に、離婚後の父母双方を親権者とすることと虐待防止との関係についてお尋ねがありました。
 離婚後の父母双方が親権を有することによって同居親による児童虐待を防止できるかどうかについては、別居親の関与の在り方等を含め、個別具体的な事案によっても異なると考えられるため、一概にお答えすることは困難であります。
 諸外国でも、離婚後の父母双方が親権を有することのみで、同居親による児童虐待を確実に防止できるようになった例があることは承知をしておりません。
 次に、裁判所が父母の双方を親権者と定める場合についてお尋ねがありました。
 一般論として、父母の間に感情的対立があったとしても、相互の人格を尊重し、子の利益のため、共同して親権を行使するために最低限のやり取りをすることが可能なケースなどでは、裁判所が父母の双方を親権者と定めることがあり得ると考えております。
 このほか、御指摘の民事局長が御説明したケースでも同様に考えられ、同居親について親権制限や親権変更がされるべきかどうかは、個別具体的な事案によるものと考えております。
 次に、児童虐待防止の観点から調査、検討からの、観点からの調査、検討についてお尋ねがありました。
 離婚後の父母双方を親権者とすることの必要性については様々な御意見があり、例えばパブリックコメントには、一人親世帯では同居親による児童虐待のリスクが高いとの御指摘や、別居親が離婚後も引き続き親権を有し、子との交流を継続することがそのリスクを低下させるとの御意見も寄せられました。
 離婚後の父母双方が親権を有することで同居親による児童虐待を防止できるかについては、個別具体的な事案により異なると考えられますが、法制審議会ではこのような意見等も参考にした上で議論がなされたと承知をしております。
 次に、離婚後の父母双方を親権者とすることによる虐待の増加の危険性についてお尋ねがありました。
 法制審議会における調査審議の過程では、離婚後の父母双方が親権者となることに対し、児童虐待がある事案への懸念が示され、その対応策も議論されたと承知しております。
 本改正案では、子への虐待のおそれがある場合のように、父母双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、裁判所が必ず単独親権を定めなければならないとするなど、虐待のおそれがある事案にも適切に対応できる内容となっています。
 なお、別居親が親権を有することで虐待の危険性が高まるといった調査結果があるとは承知しておりません。
 次に、監護者指定の必要性についてお尋ねがありました。
 お尋ねのようなケースは、婚姻中の父母について現行法の下でも生じ得ます。
 本改正案では、父母相互の協力義務等に関する規定を新設し、親権は子の利益のために行使しなければならないことを明らかにしており、お尋ねのようなケースでは事案に、お尋ねのようなケースは、事案によってはこれらの義務に違反することがあり得ると考えています。
 いずれにせよ、監護者指定の必要性については、子の利益を優先して、具体的な事情に即して判断すべきものと考えます。
 次に、共同親権と単独親権の基準についてお尋ねがありました。
 共同親権を原則とするという表現は多義的に用いられているため、お尋ねについて一義的にお答えすることは困難であります。
 また、本改正案では、離婚後の親権者を父母双方とするかその一方とするかについて、子の利益のため、父母と子の関係、父と母の関係その他一切の事情を考慮しなければならないと定めており、個別の事案における具体的な事情に即して、子の利益の観点から判断すべきこととなります。
 次に、同性カップルによる子育てについてお尋ねがありました。
 子の養育の在り方について、様々な形態があり得ることは承知をしております。もっとも、本改正案は、父母の離婚に直面する子の利益を確保するためには、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが重要であるとの観点から、民法等の規定を見直すものであります。
 最後に、同性婚の法制化を含め、同性カップルが子育てしやすい環境の整備についてお尋ねがありました。
 同性婚の法制化を含むこれらの問題は、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、国民各層の意見を十分に踏まえる必要があると考えております。拍手
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尾辻秀久#7
○議長(尾辻秀久君) 清水貴之君。
   〔清水貴之君登壇、拍手〕
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清水貴之#8
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。
 教育無償化を実現する会との統一会派を代表し、民法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 今回の民法改正は、夫婦の離婚後に子の親権について、現行では父又は母のどちらかの単独親権とされているところを、父と母が共に親権を担う共同親権を選択できるようにするものです。
 両性の合意によって成立した婚姻は両性の合意によって解消できますが、母と子、父と子の親子の縁は誰も切り離すことはできません。
 にもかかわらず、現行の原則単独親権の制度の下で、離婚後には親が我が子に会えないという悲劇が繰り返され、親権獲得をめぐる父と母との間での激しい争いも後を絶たない状況です。
 まずは、原則共同親権の必要性について、法務大臣、どう考えますでしょうか。
 改正案によって共同親権が選択できるようになりますが、これまで親権獲得をめぐる元夫婦間の争いが共同か単独かの争いに変わるだけではないかという懸念も残されます。子の立場からすれば、両親が争う悲しみが消えることにはなりません。
 共同親権の選択制によって元夫婦間の争いはどのように減るのか、法務大臣の見解と見通しをお答えください。また、共同親権が原則であることを明確にすると親権争いの苛烈化を防ぐことができるとの指摘もありますが、法務大臣の認識をお示しください。
 改正案の第八百十七条の十二では、親の責務等として、父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならないと規定しています。
 しかし、この条文では、親の責務を担うのは、父と母が共に担うのか、それとも父又は母のどちらかが担うのか、はっきりしません。民法の中でも重要な規定が多義的であるのはふさわしくないと考えます。親の責務は父母が共に担うべきことが原則であるということで間違いないでしょうか。法務大臣の答弁を求めます。
 離婚後も子の最善の利益を実現するためには、父母の間で養育費について取り決め、その支払を確実に行うことが必要です。
 しかし、現状では、実際に養育費を受け取っているのは、母子家庭では二八・一%、父子家庭では八・七%にすぎません。そもそもの取決めができた家庭も、子がいる離婚家庭の半分にも満たない状況です。
 養育費の取決め率や履行率の低い原因は何か、法務大臣の見解を求めます。
 もちろん我が子を虐待したり家族に暴力を振るうような者には子の養育を任せることはできず、親権の停止若しくは失効は必要な措置です。
 共同親権に対しての不安の声の中でも多くを占めるのは、DVや児童虐待の問題がある場合、共同親権によって離婚後もそうした問題が持ち越され、再被害が生じるおそれがあるというものです。
 DVや児童虐待は大変深刻な問題です。暴力加害は家庭内であってもれっきとした犯罪であり、警察が毅然として対応すべきと考えますが、DV、児童虐待の防止、加害者への取締りに関する警察の対応の強化の可能性についての法務大臣の認識を伺います。
 また、DV被害の防止や軽減のために、緊急避難や相談の取組を抜本的に充実させる必要があると思いますが、併せて法務大臣の答弁を求めます。
 DVが認定された親は親権を喪失することになり、しかも、一度失った親権を回復することは至難の業です。
 共同親権の選択や監護者の指定に当たっては、DVの有無が大きな問題になります。DVの認定については、客観的事実に基づくなど慎重な検証が必要だと思いますが、法務大臣の見解をお答えください。
 衆議院での質疑の中で小泉法務大臣は、DVや虐待の認定について、父母の一方が暴力等を受けるおそれや、子の心身に害悪を及ぼすおそれの有無を基準として判断すると答弁しています。大臣はDVの立証を必須の要件とするものではないとも答えていますが、立証もないままDV等のおそれをどのように判断するのか、法務大臣の具体的な答弁を求めます。
 DV認定の難しさは、家庭内という言わば密室の中での行為であることと、DVとは何かというそもそもの定義が曖昧であることからくるものと考えます。
 内閣府男女共同参画局のホームページでは、ドメスティック・バイオレンスの用語については明確な定義はありませんとした上で、日本では配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力という意味で使用されることが多いですと説明しています。
 その配偶者からの暴力とは何を指すのかについては、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、いわゆるDV防止法において、身体に対する暴力のみならず、心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれています。今回の民法改正の議論の中では、さらに経済的DVも含まれると言明されています。
 このように、DVの定義が広範で曖昧なものであると、国民の間でのDVに対する認識がばらばらになり、夫婦間で何が暴力に当たるのかの認識も一致せず、互いの人格を尊重し合うという基本もかえっておろそかになるのではないかと懸念をします。
 DV防止を啓発する観点からも、DVとは何かについて更に厳格な定義付けを行うべきではありませんか。加藤大臣の見解をお聞きします。
 また、DV防止法にはその前文に、配偶者からの暴力の被害者は多くの場合女性であるとの記述があり、全国自治体では女性相談員、女性相談支援センターという用語が使われている自治体も多いかと思います。しかし、DV被害者には男性も含まれます。加藤大臣、国の方から男性DV被害者が使いにくい用語の変更を求めてはいかがでしょうか。
 さらに、DVの被害者は女性というDV防止法の前提は、親権をめぐる裁判での、裁判所での調停の際に裁判官の判断に予断を持ち込むことになっていないか、法務大臣の認識をお示しください。
 最後に、本改正案については、今なお様々な立場から激しい論争が続けられています。共同親権に反対する立場からは改正案そのものを廃案にする主張がなされ、共同親権を推進する立場からも本改正案では実質的に何も変わらないのではないかという懸念の声も上がっています。更なる議論の継続を求める声もあります。
 しかし一方では、両親から愛情を持って育まれる当然の権利を奪われた子供たちが大勢いることを思えば、いつまでも立ち止まっているわけにはいきません。
 我が会派は、衆議院で自民、公明、立憲民主党との四党協議において、附則の修正を提案し、その中で五年をめどにした制度の見直しが合意されました。
 共同親権の仕組みをまずは開始し、その運用を通じて制度の不備や改善すべき点を洗い出す、今後の更なる法の見直しについてはちゅうちょなく実施すべきと思いますが、法務大臣の答弁を求めます。
 日本維新の会と教育無償化を実現する会は、結婚、離婚の自由を尊重するとともに、親の離婚によって生じる子の悲しみが最小となり、子の最善の利益が最大化するような親権制度となるよう、この参議院での審議においても全力を尽くしていきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔国務大臣小泉龍司君登壇、拍手〕
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小泉龍司#9
○国務大臣(小泉龍司君) 清水貴之議員にお答えを申し上げます。
 まず、原則共同親権の必要性についてお尋ねがありました。
 原則共同親権という表現は多義的に用いられているため、お尋ねについて一義的にお答えすることは困難でありますが、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、責任を果たすことが子の利益の観点から重要であると考えております。
 次に、離婚後の父母の双方を親権者にできる仕組みが父母間の争いに与える影響についてお尋ねがありました。
 本改正案では、離婚後の父母双方を親権者にできることとし、また、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は、子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないとしています。
 父母間の争いの理由は様々であり、本改正案によって父母間の争いがどのように減るのかお答えすることは困難ですが、本改正案の趣旨、内容が正しく理解され、子の利益の観点から、父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任が果たされることを期待しております。
 次に、共同親権が原則であることを明確にすること等についてお尋ねがありました。
 先ほどお答え申し上げたとおり、共同親権が原則という表現は多義的に用いられているため、お尋ねについて一義的にお答えすることは困難です。
 その上で、本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものであり、このような本改正案の趣旨、内容が正しく理解されることを期待しております。
 次に、本改正案の親の責務に関する規定についてお尋ねがありました。
 本改正案では、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母が責務をそれぞれ負うべきことを明確化しており、そのことは文言上明らかであると考えております。
 次に、養育費の取決め率や履行率が低い原因についてお尋ねがありました。
 養育費の取決めや履行がされない理由については、様々な事情が関連しており、一概にお答えすることは困難でありますが、その上で申し上げれば、その取決めがなされない理由については、平成三年度全国ひとり親世帯等調査によれば、相手と関わりたくない、相手に支払う意思がないと思った、相手に支払う能力がないと思ったなどの回答があったと承知しております。また、養育費の支払をしない理由については、法務省が令和二年度に実施した調査によれば、支払いたくなかったから、支払うお金がなかったからなどの回答があったと承知しております。
 次に、DV等に関する警察の対応強化についてお尋ねがありました。
 DVや虐待は、被害者に深刻な精神的、肉体的苦痛をもたらし、その尊厳を傷つけるものであり、決してあってはなりません。
 DV等に関する警察の対応の強化については、法務省の所管外の事項であるため、お答えすることは困難でありますが、警察においては、適切に捜査を行うとともに、必要に応じて被害者の安全確保のための措置を講じており、今後も被害者の安全確保を最優先とした適切な措置が講じられるものと承知をしております。
 次に、DV被害者への支援策についてお尋ねがありました。
 本改正案を円滑に施行し、子の利益を確保するためには、DV等を防止して安全、安心を確保することが重要です。
 法務省としては、本改正案が成立した際には、その円滑な施行に必要な環境整備について関係府省庁等としっかり連携して取り組んでまいります。
 次に、DVの認定の在り方についてお尋ねがありました。
 DVの有無は、個別の事案における具体的な事情を踏まえて裁判所で適切に判断されるべき事項であるため、法務大臣として具体的にお答えをすることは差し控えますが、その上で、一般論として申し上げれば、家庭裁判所では、当事者双方の主張、立証を踏まえて適切な審理が行われていると承知しており、今後も引き続き適切に対応されるものと考えております。
 次に、DV等のおそれの判断の在り方についてお尋ねがありました。
 お尋ねのDV等のおそれについては、裁判所で個別具体的な事案において、過去にDVや虐待があったことを裏付けるような客観的な証拠の有無に限らず、それを基礎付ける方向の事実とそれを否定する方向の事実とが総合的に考慮されて判断されることとなると考えております。
 次に、DVに関する調停における判断等についてお尋ねがありました。
 家庭裁判所の調停手続は、公平中立な立場から当事者双方の言い分を丁寧に聴取しつつ手続が進められているものと認識しております。
 また、審判手続も、当事者の一方の主張、立証に対し、他方に反論、反証の機会を保障し、公平中立な立場から資料に基づく適切な認定、判断が行われているものと認識しております。御指摘のような懸念は当たらないものと考えております。
 最後に、家族法制の更なる見直しについてお尋ねがありました。
 本改正案については、衆議院で附則に施行後五年を目途とする検討条項が追加されました。この検討条項に基づき、適切に対応してまいります。拍手
   〔国務大臣加藤鮎子君登壇、拍手〕
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加藤鮎子#10
○国務大臣(加藤鮎子君) 清水貴之議員の御質問にお答えいたします。
 DVの定義についてお尋ねがありました。
 配偶者防止、失礼しました、配偶者暴力防止法においては、配偶者からの暴力を、配偶者からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼす暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定義し、こうした暴力の被害に遭った方への相談支援等の体制や国民の理解を得るための教育、啓発などを定めております。
 配偶者からの暴力は、外部からの発見が困難で、周囲も気付かないうちにエスカレートし、被害が深刻化しやすいという特性があります。国民への啓発につきましては、配偶者暴力防止法に基づき、ただいま申し上げた特性も十分踏まえ、取り組む必要があると考えています。
 相談支援機関の呼称等についてお尋ねがありました。
 配偶者暴力防止法では、被害発生や被害後の影響についての性別による状況等を踏まえ、都道府県が設置する女性相談支援センターに配偶者暴力相談支援センターの機能を担わせることや、女性相談支援員が被害者の相談に応じ、必要な援助ができることなどを定めています。御指摘の地方公共団体が使う用語もこれによるものと存じます。
 その一方で、同法における被害者は女性に限られるわけではなく、また、配偶者暴力相談支援センターについても、女性相談支援センターに限られておらず、様々な施設がその機能を担っています。
 男性を含め、多様な被害者がためらうことなく相談でき、必要な支援を受けられる環境の整備は重要と認識しており、引き続き、そのような観点からも相談支援体制の充実に努めてまいります。拍手
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尾辻秀久#11
○議長(尾辻秀久君) 川合孝典君。
   〔川合孝典君登壇、拍手〕
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川合孝典#12
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
 会派を代表して、民法等の一部を改正する法律案について法務大臣に御質問します。
 男女雇用機会均等法の成立から三十九年が経過しました。時を同じくして男女共同参画の取組も始まり、これまで様々な法整備が行われてきました。かつて社会問題となっていた、結婚を機に退職することによる女性労働力の急激な減少、いわゆるM字カーブも欧米諸国が注目するほどに解消が進んでいます。
 国際結婚も現在では毎年およそ二十組に一組となっており、日本人の家族観や結婚観も大きく変化しています。今後、更なる外国人との共生社会の進展が見通される中、本法案は提出されました。
 本法案をめぐっては、反対派、賛成派で鋭く意見が対立しています。それぞれが深刻なDV被害や子供の連れ去りといった深刻な事情を抱えており、法改正に合わせて双方の事情に寄り添った具体的な対策を速やかに講じる必要があることは言うまでもありません。
 その上であえて申し上げますが、私は、親の権利を示す親権の在り方を通じて子の権利を論じることに違和感を持っています。なぜなら、いかなる事情による離婚であっても両親の事情による離婚であることに変わりはなく、子供には一切の権利が、責任がないからです。したがって、私は、子供の権利という点に主眼を置いて質問します。
 まず、子の利益の定義について質問します。
 私は、子の利益を真に最優先させるのであれば、離婚時の親権の所在を云々する前に、子の監護の方法や養育費負担の在り方など、子の権利保護についての議論が最優先されてしかるべきと考えます。
 離婚後の父母による子育ての在り方を法制化した諸外国の事例を見ると、アメリカではほぼ全ての州で共同監護を規定しており、離婚する父母は養育計画書を裁判所に提出した上で、その取決めを負う、取決めを守る義務を負うこととされています。また、ドイツでは離婚後は共同親権が原則とする一方、DV、虐待をする親の親権の剥奪や養育費の不払への刑事罰の適用など、厳格な制度が採用されています。
 こうした諸外国の制度が日本社会になじむかどうかは慎重に検証する必要はあるものの、いずれの国でも明確に子の権利に主眼を置いた仕組みを採用しています。
 今回の民法改正法案でも条文案の各所に子の権利という文言が見られます。現行民法第七百六十六条でも親子の交流に関して子の利益を最優先して考慮することが規定されていますが、現実には司法は親子の断絶や交流制限を容認しています。
 その一方で、父母以外の親族と子との交流を制度化する民法第七百六十六条の二については、第三者に申立て権を付与することへの懸念の声も寄せられています。こうした意見を踏まえると、法改正後は、子の利益に対する司法の恣意的解釈が介在しない運用が不可欠となります。
 そこで質問ですが、今次法改正以降、子の利益とは何を指すのか、その定義を含めて明確な説明を求めます。また、子の利益に対する司法の恣意的解釈を防ぐためには、子の権利の要件を明文化すべきと考えますが、この点についても認識をお答えください。
 次に、離婚時に共同養育計画書を作成することの必要性についての認識を伺います。
 現在の日本の養育費受領率は三〇%弱であることから、これまで離婚後の養育費の未払問題が指摘されています。しかし、そもそも離婚時の養育費と面会交流の取決め率自体が、それぞれ四六・七%、三〇・三%と低水準にとどまっています。
 一方、離婚時に養育費や面会交流に関する取決めをしっかり行っている世帯での養育費受領率は、取決めを行っていない世帯を大幅に上回っています。
 これらの事実からは、離婚時に養育費負担や面会交流を含む共同養育計画作成を義務化することが子の利益を保護する上で有効だと考えられますが、この点についての御認識を伺います。
 DV被害者を守るための体制を充実させることの必要性についての認識を問います。
 共同親権の導入に反対しておられる方々の大きな懸念の一つが、DVからの避難者の安全を確保するための具体的な対応策が見えないことにあります。
 フランス民法典では、暴力の被害者の保護、女性に対する暴力の予防、暴力の抑止という三つの観点から家族事件裁判官が保護命令を発することが規定されており、この保護命令に従わなければ、拘禁刑や罰金刑を科すことで保護命令の実効性を担保する法整備を行っています。
 日本においても、警察や配偶者暴力相談支援センターなどがDV被害者の救済などに関する業務を行っているほか、DV被害者が一時的に身を隠せる施設として民間団体がDVシェルターを設置していますが、裁判所の体制面や民間に依存した避難体制など、DV被害者の支援体制が極めて脆弱です。
 今後、国費を投じてDVシェルターを整備することを始めとしたDV被害者の保護、支援体制を速やかに整備充実させる必要があるものと考えますが、この点について御認識を伺います。
 次に、単独親権の決定に当たっての具体的な判断基準について説明を求めます。
 単独親権者となる判断基準には、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無とあります。
 しかし、夫婦関係が破綻している場合、そもそも顔を合わせること自体が心身へのストレスと考えられることから、おそれという曖昧な判断基準のままでは、一方当事者の主張のみが採用される可能性が否定できないものと考えます。そこで、単独親権者決定に当たっての具体的な判断基準とは何かの説明を求めます。
 次に、共同親権が認定された後に別途監護者を選定できることとする理由について伺います。
 今回の法案では、共同親権となっても別途監護者を選定できる運用となっていますが、この場合、監護者は身上監護権を単独で行使することとなります。面会交流すら十分に実施されていないケースでは、むしろ紛争が深刻化するおそれがあることを指摘する声もあります。一般的な共同親権導入国では親権と監護権を分ける運用にはなっていないものと認識していますが、本法案で親権と監護権とを切り分けた理由を御説明ください。あわせて、子を監護すべき者の指定の選定に当たっての具体的な選定要件は何かを御説明ください。
 また、子を監護すべき者の指定に当たっての選定要件については、当事者が納得できる裁定を裁判所が行う上で明文化すべきと考えますが、選定要件の明文化の必要性についての御認識を伺います。
 次に、子の監護の分掌割合に関するガイドラインを作成する必要性についての認識を伺います。
 一般的に、共同親権が採用されている国では、児童心理研究などのエビデンスに基づいて養育スケジュールを作成し、これに基づき共同監護のスケジュールを決定します。日本でも監護の分掌を導入するに当たり、公平性を担保しつつ監護の分掌が決められるよう、児童心理研究などのエビデンスに基づくガイドラインを策定すべきと考えますが、この点についての御見解を求めます。
 最後に、養育費の請求に関する裁判や調停によって生じる費用負担の在り方について質問します。
 日本では、弁護士に依頼して養育費請求の裁判や調停を行った場合、その成功報酬は取決め金額の一〇から二〇%程度とされていますが、離婚などの家事事件での成功報酬は、公序良俗に反するという理由で制限又は禁止している国が少なくありません。
 日本でも今年から、こども家庭庁が養育費に関する弁護士報酬の一部を補助することとしましたが、それでも、養育費という子供の権利の一部を成功報酬の名の下に第三者が取ることに国がお墨付きを与えている事実に変わりはありません。
 養育費請求に関する成功報酬については禁止も視野に見直す必要があるものと考えますが、御見解を伺い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔国務大臣小泉龍司君登壇、拍手〕
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小泉龍司#13
○国務大臣(小泉龍司君) 川合孝典議員にお答えを申し上げます。
 まず、子の利益の意義についてお尋ねがありました。
 一般論としては、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益であると考えております。また、父母の別居後や離婚後においても、父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益にとって重要であると認識しております。
 次に、子の利益の要件の明文化についてお尋ねがありました。
 何が具体的に子の利益であるかは、それぞれの子が置かれた状況によっても異なり、その要件を一義的に規定することは困難であります。
 他方で、本改正案は、子の養育に関する親の責務等に関する規定を新設しており、これは、父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益にとって重要であるとの理念に基づくものであります。
 本改正案が成立した際には、本改正案の趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知広報に努めてまいりたいと思います。
 次に、養育計画の作成の義務化についてお尋ねがありました。
 離婚時に父母が子の養育に関する事項を取り決めることは、子の利益にとって望ましく、養育計画の作成の促進は重要な課題であります。
 他方で、養育計画の作成を必須とすることは、結果的に離婚が困難となる事案を生じさせ、かえって子の利益に反するとの懸念もございます。
 そこで、本改正案では、養育計画の作成を必須とはしておりませんが、離婚時に父母が協議により養育計画を作成できることを明らかにするため、離婚時に父母の協議により定める事項として監護の分掌を追加しています。
 次に、DV被害者への支援策についてお尋ねがありました。
 本改正案を円滑に施行し、子の利益を確保するためには、DV等を防止して安全、安心を確保することが重要です。
 法務省としては、本法案が成立した際には、その円滑な施行に必要な環境整備について、DV等の防止も含め、関係府省庁等としっかりと連携して取り組んでまいりたいと考えます。
 次に、父母の離婚後の親権者の判断基準についてお尋ねがありました。
 本改正案は、子への虐待のおそれがある場合やDV等を受けるおそれにより親権の共同行使が困難となる場合には、裁判所が必ず単独親権と定めなければならないこととしておりますが、このおそれについては、裁判所で、具体的、個別的な、個別的、具体的な事案において、当事者双方の主張、立証も踏まえ、それを基礎付ける方向の事実とそれを否定する方向の事実とが総合的に考慮されて適切に判断されるものと考えております。
 次に、監護者の定めについてお尋ねがありました。
 離婚した父母の双方を親権者と定めた場合に、父母が子の身上監護をどのように分担するかは、それぞれの事情により異なると考えられます。
 そのため、具体的な事情にかかわらず監護者の定めを一律に禁止することは相当ではなく、本改正案では、親権者の定めとは別に監護者の定めをすることができることとしております。
 次に、監護者の定めの具体的な要件についてお尋ねがありました。
 どのような場合に監護者の定めが必要となるか等は、それぞれの事情によって異なるため、一概にお答えすることは困難ですが、現行民法では、監護者の定めを判断するに当たっては子の利益を最も優先して考慮しなければならないとされており、このことは本改正案においても同様でございます。
 次に、監護者の定めの要件の明文化の必要性についてお尋ねがありました。
 先ほどお答え申し上げましたとおり、現行民法でも、監護者の定めの判断に当たって子の利益を最も優先して考慮しなければならないことが明文で規定されております。その上で、具体的にどのような場合に監護者の定めが必要となるか等は、それぞれの事情によって異なるため、その要件を一義的に規定することは困難であると考えています。
 法務省としては、民法の規定等について適切かつ十分な周知広報に努めてまいります。
 次に、監護の分掌のガイドラインの必要性についてお尋ねがありました。
 監護の分掌の定めの具体的な内容としては、例えば、子の監護を担当する期間を父と母で分担したり、教育に関する事項など、監護に関する事項の一部を父母の一方に委ねたりといったものがあり得ます。
 法務省では、心理学の専門家の協力も得て養育計画の作成に関する調査研究の実施を検討しており、こうした取組も通じて具体的な事例も示してまいりたいと考えております。
 最後に、弁護士報酬の在り方についてお尋ねがありました。
 養育費の請求を弁護士に依頼した場合の報酬額は、弁護士と依頼者との間の個別の契約で合意されるものと理解しています。その契約の内容の当否については、個別の事案における具体的な事情に即して判断されるべきものと考えております。拍手
    ─────────────
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尾辻秀久#14
○議長(尾辻秀久君) 仁比聡平君。
   〔仁比聡平君登壇、拍手〕
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仁比聡平#15
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
 会派を代表して、民法改定案について質問いたします。
 離婚後共同親権を導入しようとする本法案は、親子関係と家族の在り方に関する戦後民法の根本に関わる改正であるにもかかわらず、国民的合意のないまま、まるで波風が激しくなる前にと言わんばかりに衆議院採決、本院に送付されました。
 とりわけ、DVや虐待から逃れ、安心、安全な生活を取り戻そうとする方々や、行政、弁護士の支援に対し、裁判所の保護命令が出されたもの以外は虚偽DVなどと一律に非難する質問まで行われましたが、法務大臣、そうした非難は誤りではありませんか。
 多くの一人親家族から悲鳴のような怒りの声が噴き上がっています。衆議院法務委員会採決の朝、十万筆に達したSTOP共同親権オンライン署名は、一週間で二十三万筆を超えようとしています。ある方は、裁判の尋問に立ち、震えながらしゃべるとき、一人きりで怖かった、でも、思った、私は一人じゃない、私たちだったとSNSに投稿されました。これまで沈黙を強いられてきた多くの方々がつながり、上げてきた声を正面から受け止め、丁寧な審議が尽くされなければなりません。
 法務大臣、広がるこうした声をどう受け止めますか。
 離婚後共同親権の導入がどのように子の利益の実現になるのか、伺います。
 夫婦関係は破綻しても、父母間に子供の養育だけは協力して責任を果たそうとする関係性があり、親権の共同行使が真摯に合意され、それが子の利益にかなう場合には、離婚後も共同親権とした上でもろもろの規律を定めることはあり得ます。
 しかし、本法案は、そうした合意がない、できない父母間にも、裁判所が共同親権を定め得るとするものです。
 法務省は、父母の合意がないことのみをもって双方を親権者とすることを一律に許さないとするのは、かえって子の利益に反する結果となりかねない、子の利益のため必要なケースがあり得ると言いますが、それが一体具体的にどのような場合、類型なのか、今なお示しておりません。逆に、法制審委員の民法学者から、共同親権が望ましい場合と単独親権の方がよい場合の基準や運用について十分な議論ができなかったとの発言がなされたのは驚くべきことです。
 改正法案によって新たな人権侵害の危険があってはならないのは当然です。父母間に真摯な合意がないのに親権の共同行使を求めれば、別居親による干渉や支配を復活、継続する仕掛けとして使われ、結果、子の権利や福祉が損なわれてしまう危険は否定できないのではありませんか。
 同居親の不適切養育に対しては、現行法下でも児童相談所を始めとした支援が取り組まれ、民法上も親権者の変更や親権の停止、喪失などの対応が可能です。あえて非合意型共同親権を導入することが子の利益に必要だとする立法事実を、法務大臣、お示しください。
 法務大臣は、私の質問に、両親が離婚をせずにその家庭の中で子供が育つ、これが一番子供の利益だと言い、離婚後においても父母双方が適切な形で子供の養育に関わり、責任を果たすことによって子供の利益を守ることができると述べましたが、それは大臣の家族観であって、立法事実ではありません。関係が破綻した父母の葛藤にさらされることこそ、子の利益を害するのではありませんか。
 日本乳幼児精神保健学会は声明で、子供は離婚により傷つくと言われることがあるが、正確ではない、離婚に至るまでの面前DVによる心理的虐待など、父母のいさかいに伴う親子関係、離婚後の生活環境や親子関係の変化などの複数のストレス要因の絡み合いにより、身体的、心理的、社会的に大きなダメージを受けるのであり、子供の成長、発達にとって最も重要なのは、安全、安心を与えてくれる主たる養育者との安定した関係と環境が守られることと強調して、離婚後共同親権のリスクを厳しく指摘していますが、こども政策担当大臣、法務大臣、どのように受け止めますか。
 さらに、日本乳幼児精神保健学会は、家庭裁判所で二〇一二年頃から鮮明になった原則面会交流と呼ばれる運用に対し、臨床現場では、家庭裁判所で面会交流を決められた子供たちが、面会交流を嫌悪し、面会をめぐる別居親との紛争にさらされ、あるいは過去のトラウマからの回復が進まず、全身で苦痛を訴え不適応を起こして、健康な発達を害されている事例が増えていると厳しく指摘しましたが、法務大臣、どのように受け止めますか。
 別居親との面会は原則よいこととし、子供が別居親を拒否すると、根掘り葉掘り拒否の理由を尋ねたり、どういう条件なら会ってもよいかという聞き方で直接の面会交流が実施されるように誘導し、あるいは子供が別居親を拒否するのは同居親の刷り込みであると評価して子供の意思を尊重しない扱いは、子供の意思を否定することに等しい、それは逆に親子関係の改善を困難にし、大人不信、社会不信を募らせるリスクを持つとの指摘は、そのとおりだと思います。法務省は、最高裁判所とともに、この間の面会交流を含む子の監護をめぐる家庭裁判所の運用の実態について検証すべきではありませんか。
 本改正に当たっても、子供の人格を尊重するというだけでなく、子どもの権利条約、こども基本法の精神に立ち、子供の意見表明権を明記すべきです。答弁を求めます。
 子供の意思に反する強制は子供を傷つけることになります。戦前の家制度を引きずるかのように親の子に対する支配権という認識が色濃く残る親権という用語、概念を改め、子供を主体に親子関係を捉え直し、子供が安心、安全に暮らせるようにするための親の責務であり、社会による子供の権利と福祉の保障であることを明確にするときです。法務大臣、どう取り組むのですか。
 法案では、既に離婚し単独親権となっている親子に対して、別居親が共同親権への親権者変更を申し立て、合意できないのに裁判所が共同親権を定めることもあり得、その後、約定の養育費が払われないことがあり得ることになります。
 盛山文部科学大臣は、高校無償化の就学支援金について、共同親権で二人の親であれば合算、親権者二人分、二名分の収入に基づいて判定を行うということに当然なると述べましたが、共同親権になって高収入の別居親が授業料、養育費を払わないとき、無償でなくなるのは子の利益に反することは明白ではありませんか。
 法務大臣、親の資力、収入などが要件となっている各省庁の主な支援策は、児童扶養手当や日本財団のまごころ奨学金など、昨日までの調べで少なくとも二十八件あります。親の同意や関与が規定されている法令も多数に上っています。離婚後共同親権の導入がこれらにどのような影響を及ぼすか、関係省庁ときちんと協議し、当該施策の基準と運用、課題と検討の見通しを国民が一覧できるよう、速やかに示すべきです。
 子を監護する者が誰かなどの混乱をなくすためにも、少なくとも、非合意型で裁判所が共同親権を定めるというなら、監護者の指定を必須とすべきではありませんか。
 さらに、省庁横断的な連携協力体制の構築について、衆院では与党の質問に対し、構築に向けて具体的な検討を進めてまいりたいと逃げ道を残す答弁にとどまっていますが、一体どう進めるのですか。
 養育費の国による立替払と求償制度も具体的速やかに検討すべきだと考えますが、いかがですか。
 法務大臣の明確な答弁を求め、質問を終わります。拍手
   〔国務大臣小泉龍司君登壇、拍手〕
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小泉龍司#16
○国務大臣(小泉龍司君) 仁比聡平議員にお答えを申し上げます。
 まず、DVの主張に対する非難についてお尋ねがありました。
 DVの主張の当否は、個別の事案における具体的な事情に即して判断されるべきものであり、保護命令が発令されていないことのみをもって、DVの主張を虚偽と評価することはできないと考えております。
 次に、本改正案に関する様々なお声についてお尋ねがありました。
 本改正案については、改正に慎重なお立場からも様々な御意見があることは承知をしております。真摯に受け止めるべきものと考えております。
 今後の国会審議においても、国民に不安が広がることなく、本改正案の趣旨、内容について正しく理解されるよう丁寧に説明をしてまいります。
 次に、別居親による干渉や支配の危険性についてお尋ねがありました。
 本改正案では、離婚後の父母双方を親権者にできることとしているのは、本改正案で離婚後の父母双方を親権者にできることとしているのは、離婚後の父母が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことを可能とすることで子の利益を確保しようとするものであります。
 また、本改正案では、父母相互の協力義務等に関する規定を新設し、親権は子の利益のために行使しなければならないことを明らかにしております。
 このように、本改正案は、別居の親権者に同居親による養育への不当な干渉や支配を容認するものではありません。
 次に、父母の合意がない場合に離婚後の父母双方を親権者とする必要性についてお尋ねがありました。
 父母の協議が調わない理由には様々なものが考えられるため、合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないのは、かえって子の利益に反する結果となりかねません。
 そこで、本改正案では、裁判所は、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して実質的、総合的に判断するべきこととしております。
 どのような場合に父母双方を親権者とすることが子の利益に資するかについては、一概にお答えすることが困難でありますが、例えば、親権者変更や親権の停止又は喪失に至らない事案においても、同居親と子供の関係が必ずしも良好ではないケース、同居親による子の養育に不安があるために別居親の関与があった方が子の利益にかなうケースがあり得ると考えております。
 次に、父母の葛藤が子の利益に与える影響についてお尋ねがありました。
 お尋ねについては、父母の意見対立の状況等によっても異なり、一概にお答えすることは困難ですが、例えば、父母の感情的問題等により、親権の共同行使、これが困難である状態は子の利益を害すると考えています。
 次に、離婚後の子の養育の在り方に関する日本乳幼児精神保健学会の声明に対する受け止めについてお尋ねがありました。
 子の利益を確保するためには、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが重要であり、また、その安全、安心を確保することも重要であります。
 本改正案では、DVや虐待のおそれがある場合のほか、父母の感情的問題等により親権の共同行使が困難である場合にも、裁判所が必ず、場合にも、裁判所が必ず単独親権としなければならないこととしており、御指摘の声明で指摘されている御懸念にも対応したものとなっていると考えております。
 次に、親子交流事件の運用に関する、同じく日本乳幼児精神保健学会の声明に対する受け止めについてお尋ねがありました。
 親子交流の実施に当たっては、その安全、安心を確保することが重要であると考えています。親子交流を実施する旨を定めるかについては、個別の事案における具体的な事情を踏まえて家庭裁判所で適切に判断されるべき事項であるため、法務大臣として具体的にお答えすることは差し控えます。
 その上で、一般論として申し上げれば、家庭裁判所では、親子交流の安全、安心を確保するとともに、子の利益を確保する観点から適切な審理が行われることを期待しております。
 次に、子の監護に関する事件をめぐる家庭裁判所の運用の検証についてお尋ねがありました。
 法務省としては、親子交流に関しても、協議離婚に関する実態調査や未成年期に父母の別居や離婚を経験した子に対する調査などの調査を行ってまいりました。もっとも、お尋ねについては、裁判所の運用に関わる事項であるため、そのような検証を行うかどうかも含め、裁判所において適切に検討されるべきものと考えております。
 次に、子の意見表明権についてお尋ねがありました。
 子の意見聴取は、現行の家事事件手続法で定められています。子の意見表明権を民法上明文化することについては、離婚の場面で子に親を選択するように迫ることになりかねず、かえって子の利益に反するとして慎重な意見もございます。
 本改正案では、子の意見表明権を明文化してはおりませんが、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化しており、ここに言う子の人格の尊重は、子の意見、意向等が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨を含むものであります。
 次に、親権の用語、概念についてお尋ねがありました。
 親権は、子に対する支配権ではなく、また権利のみではなく義務としての性質を有しており、子の利益のために行使しなければならないものと理解されています。
 本改正案では、親権という用語自体は見直しておりませんが、このような親権の性質を明確化しているところでございます。
 次に、親の資力等が要件となっている各省庁の支援策についてお尋ねがありました。
 本改正案が御指摘の支援策に影響を及ぼすかなどについては、第一次的にはそれぞれの法令を所管する各省庁において検討されるべき事柄であると考えていますが、その上で、衆議院法務委員会の附帯決議では、本法の施行に伴い、税制、社会保障制度、社会福祉制度等への影響がある場合には、子に不利益が生ずることはないかという観点に留意して、必要に応じ関係府省庁が連携して対応を行うこと等とされました。
 本改正案が成立した際には、その趣旨を踏まえ、円滑な施行に必要な環境整備を確実かつ速やかに行うとともに、国民への周知広報の在り方の検討も含め、関係府省庁等と連携してまいりたいと思います。
 次に、監護者の定めについてお尋ねがありました。
 父母の離婚に直面する子の利益を確保するためには、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが重要です。裁判所の判断で離婚後の父母双方を親権者と定めた場合に、父母が子の身上監護をどのように分担するかは、それぞれの事情により異なると考えられます。そのため、離婚後の父母の一方を監護者と定めることを必須とすることは相当ではないと考えております。
 次に、省庁横断的な連絡協力体制の構築についてお尋ねがありました。
 お尋ねについては、衆議院法務委員会の附帯決議でも、子の利益を確保するための措置が適切に講じられるよう、関係府省庁等が連携して必要な施策を実施するための体制整備を進めることなどとされております。
 本改正案が成立した際には、その趣旨を踏まえ、円滑な施行に必要な環境整備を確実かつ速やかに行うべく、関係府省庁等との連携協力体制の構築に向けて取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、養育費の立替払と求償制度についてお尋ねがありました。
 お尋ねのような仕組みの導入については、期待するお声がある一方で、回収手続に要するコスト、給付型社会保障制度との関係の整理、モラルハザードの問題など、様々な問題、課題があり、慎重な検討が必要です。
 その中で、一人親の方が養育費を請求するために民事法律扶助を利用した場合の償還等免除の要件を緩和する取組が既に開始されています。
 本改正案では、法定養育費を新設するなど、養育費の履行確保に向けた改正を行っており、行おうとしており、まずは、その施行後の養育費の履行状況等を注視したいと考えております。拍手
   〔国務大臣加藤鮎子君登壇、拍手〕
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加藤鮎子#17
○国務大臣(加藤鮎子君) 仁比聡平議員の御質問にお答えいたします。
 離婚の際の面前DVなどによる子供への影響についてお尋ねがありました。
 婚姻状態であるかを問わず、子供の健やかな育成のために、面前DVなど、子供に対する虐待になり得るような身体的、精神的な暴力は防がなければなりません。
 こども家庭庁としては、引き続き、離婚前後の親への支援や、虐待の未然防止のための支援などを行い、子供の健全な育成に努めてまいります。拍手
   〔国務大臣盛山正仁君登壇、拍手〕
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盛山正仁#18
○国務大臣(盛山正仁君) 仁比議員にお答えいたします。
 共同親権の場合における高等学校等就学支援金の取扱いについてお尋ねがありました。
 高等学校等就学支援金は、親権者等の収入に基づいて受給資格の認定が行われるため、今般の民法改正後に共同親権となった場合には親権者が二名となることから、基本的には親権者二名分の収入に基づき判定を行うこととなります。
 他方で、親権者が二名の場合であっても、親権者である保護者の一方がドメスティック・バイオレンスや児童虐待等により就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には親権者一名で判定を行うこととしており、これは共同親権となった場合においても同様の取扱いとなります。
 御指摘のような場合も含め、これらの判定に当たっては、認定を行う都道府県等において個別のケースに応じて柔軟に判断することとなりますが、文部科学省としても、適切な認定事務が行われるよう、法務省とも連携しながら、都道府県等に対する丁寧な周知に努めてまいります。拍手
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尾辻秀久#19
○議長(尾辻秀久君) 以上で質疑は終了いたしました。
 これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
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長浜博行#20
○副議長(長浜博行君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(米国公式訪問に関する報告について)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。岸田文雄内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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岸田文雄#21
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私は、四月八日から十四日まで、バイデン大統領からの招待を受け、日本の総理大臣としては約九年ぶりに国賓待遇で米国を公式訪問しました。その概要を報告いたします。
 米国は、自由、民主主義といった価値や法の支配などの原則を共有する、日本にとって唯一の同盟国です。日米同盟は、我が国の安全と繁栄の礎であり、また、国際社会の平和と安定の基盤の一つです。
 国際社会が複雑かつ多様な課題に直面し、また、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでになく厳しさを増す中で、日米同盟の重要性は一層高まっています。
 四月十日に実施した日米首脳会談では、バイデン大統領との間で、日米両国が深い信頼と重層的な友好関係で結ばれていること、そして、このかつてなく強固な友好・信頼関係に基づくグローバルなパートナーとなっていることを確認しました。より具体的には、大きく五つの成果があったと考えます。
 第一に、安全保障協力については、私から、防衛力の強化に取り組んでいることを説明し、バイデン大統領から改めて強い支持を得ました。また、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化が急務であることを再確認し、米軍と自衛隊との相互運用性強化など、安全保障・防衛協力を拡大、深化していくことで一致をいたしました。
 第二に、地域情勢について、力又は威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所であれ、断じて容認できず、同盟国、同志国と連携し、毅然と対応していくことを再確認しました。また、その上で、中国をめぐる諸課題への対応、北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題、ロシアによるウクライナ侵略、中東情勢等につき率直に意見を交わし、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。なお、史上初の開催となった十一日の日米比首脳会談では、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現の観点から、極めて有益な成果を得ることができました。
 第三に、日米経済関係について、日米両国が世界の経済成長を共に牽引していくこと、またそのためにも双方向の投資の促進が重要であるとの認識で一致しました。その上で、先端技術分野での競争力を維持強化し、経済的威圧、非市場的政策・慣行や過剰生産の問題に適切に対応しつつ、サプライチェーンの脆弱性を克服し、持続可能で包摂的な経済成長を牽引していくための連携の必要性を確認しました。加えて、脱炭素化、AI、スタートアップ等についても協力を進めることで一致をしました。
 第四に、宇宙分野での協力を一層推進していくことでも一致をしました。与圧ローバーによる月面探査の実施取決めの署名を歓迎するとともに、アルテミス計画の将来のミッションで、日本人宇宙飛行士が米国人以外で初めて月面に着陸するという共通の目標を発表しました。
 最後に、この揺るぎない日米関係を一層強化するべく、人的交流を更に促進していくことを再確認しました。
 これらの点を含め、今回の訪米の成果として、未来のためのグローバル・パートナーと題する共同声明をバイデン大統領と共に発表をしました。ここに記された指針を踏まえ、日米は不退転の決意で、国際社会の平和と繁栄の礎である法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を何としても維持強化してまいります。
 首脳会談に続き、十一日には、米国連邦議会上下両院合同会議において「未来に向けて 我々のグローバル・パートナーシップ」と題した演説を行いました。世界が歴史的にも大きな転換点を迎える中で、日米がグローバルなパートナーとしていかなる未来を次世代に残そうとするのか、そのために両国がなすべきことは何なのかという未来志向のメッセージを、米国連邦議員のみならず、広く米国国民、そして世界にしっかりと伝えることができたと考えております。
 また今回は、日本企業による大型投資が行われているノースカロライナ州も訪問しました。日本企業が投資や雇用創出を通じて米国経済に大きく貢献していることを発信するとともに、米国の地域社会における日米間の幅広い分野における草の根交流の重要性などについても、改めてハイライトすることができたと考えております。拍手
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長浜博行#22
○副議長(長浜博行君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。佐藤正久君。
   〔佐藤正久君登壇、拍手〕
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佐藤正久#23
○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。
 会派を代表し、総理帰朝報告に対して岸田総理に質問をいたします。
 総理は、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない、中国の軍事動向はこれまでにない最大の戦略的な挑戦との認識を披露されましたが、年々内向き傾向を強める米国をつなぎ止め、地域の安定化を図るためには、日本の抜本的な防衛力の強化、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化は待ったなしです。
 今回の首脳会談では、平時、有事問わない日米双方の指揮統制機能の向上について、日米2プラス2で検討することとなりました。
 指揮統制機能の向上としては、実効性ある反撃能力を日米で実施することを含め、抑止力、対処力向上のため、我が国の統合作戦司令部、JJOCの設置に合わせた在日米軍司令部の機能強化により、ハワイにある米インド太平洋軍の司令部の機能を一定程度日本にあらかじめ置くなど、具体的な内容をしっかりと日米2プラス2で詰めていくことが不可欠であります。総理のお考えをお伺いします。
 また、両首脳は、2プラス2の機会に拡大抑止の突っ込んだ議論も求めましたが、なぜこれまでの審議官級から閣僚級に格上げしたのか、突っ込んだ議論とは何を意味し、何を期待するのか、総理のお考えを伺います。
 今回の共同声明には、米英豪の安全保障協力、AUKUSの第二の柱である先進能力プロジェクトに関して日本との協力の検討が示されました。ただ、日本が高度な先進技術をAUKUSと共同研究開発するためには、関係者のセキュリティークリアランスだけではなく、能動的サイバー防御を含めたサイバーセキュリティー強化が必要だと考えますが、総理のお考えを伺います。
 同時に、我が国が、インド太平洋で中国の覇権拡大を阻止するため、関係強化に努めている東南アジアや太平洋島嶼国に、誤解を招かぬよう、AUKUSと協力、連携の趣旨を理解していただく必要があると考えます。この点について総理のお考えをお伺いします。
 また、防衛装備品の共同開発、生産、整備の役割分担に関する協議体、DICASの創設が打ち出されました。米国では、ウクライナへの長期軍事支援やイスラエルとの二正面支援により、装備品不足や生産能力の逼迫が生じましたが、防衛装備品の共同開発、維持整備等は、同盟国や同志国とのリスク関係を共有しながら、力による一方的な現状変更を抑止し、望ましい安全保障環境を創出していくための重要な政策手段となります。
 そこで、DICASを通じた日米両国の防衛産業の連携強化をどのように進めていくべきと考えるのか、総理の御所見を伺います。
 北朝鮮は米朝というレンズを通して日朝を見る傾向もあると考えます。
 日本人拉致問題解決のための日朝首脳会談について、米大統領に理解を求め、全面的な支持を改めて得た意義は大きいと考えますが、これを目に見える成果とし、一刻も早い拉致被害者の祖国への帰国を実現しなければなりません。総理の決意とその道筋を伺います。
 総理は、日米はグローバルパートナーであるとして、日本も、ウクライナや中東等、インド太平洋以外の地域や安全保障以外の分野でも責務を果たしていく覚悟を示されました。
 イスラエルとハマス間の戦闘やイランとイスラエルの報復合戦は中東地域の不安定化につながり、日本の国益にも影響を与えかねません。中東地域の安定化のためのグローバルパートナーとしての日本の貢献策及び邦人保護策について総理に伺います。
 また、共同声明には、日本における人道支援、災害救援のためのハブの設置、アルテミス計画での日本人宇宙飛行士の月面着陸、核融合発電の技術開発、半導体や重要鉱物のサプライチェーン強靱化等、経済安全保障の強化など、これまでにないほど幅広く、かつ多くの協働、協力事業等が盛り込まれました。
 最後に、この外交面、安全保障面、そして経済面、それぞれでの狙いを総理にお伺いし、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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岸田文雄#24
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 佐藤正久議員の御質問にお答えいたします。
 日米の指揮統制機能の向上及び拡大抑止協議についてお尋ねがありました。
 今般の日米首脳会談においては、私とバイデン大統領は、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化が急務であることを再確認し、米軍と自衛隊の相互運用性強化など、安全保障・防衛協力を拡大、深化していくことで一致をしました。
 具体的な取組については、日米安全保障協議委員会、日米2プラス2を通じ、今般の日米首脳会談の成果も踏まえ、しっかりと取り組んでまいります。
 また、拡大抑止に関しては、更なる日米協力と対応強化の観点から、従来からの日米拡大抑止協議に加え、今回の日米2プラス2の機会に拡大抑止に関する突っ込んだ議論を行うよう、それぞれの外務・防衛担当閣僚に求めた次第であります。
 そして、AUKUSとの協力の在り方についてお尋ねがありました。
 先進能力分野に係るAUKUSとの協力の在り方については、今後、まずはAUKUS側において具体的な検討が行われることになると承知をしております。
 我が方においては、その協力の具体的な態様に応じた体制の整備が必要になってくるものと考えていますが、いずれにせよ、能動的サイバー防御を含め、我が国のサイバー対応能力を向上させることは重要な課題であると認識をしております。
 その上で、AUKUSが効果的にその取組を進めていく際には、東南アジア諸国や太平洋島嶼国の理解が重要であり、AUKUSとしても、関係国に対して透明性を持って説明を行ってきているものと承知をしております。
 日本としても、引き続き、地域の平和と安定の維持強化に向けて、東南アジア諸国、太平洋島嶼国との間で緊密な意思疎通を行ってまいります。
 次に、日米の防衛産業の連携強化についてお尋ねがありました。
 日米首脳会談において、新たに日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議、DICASを開催することで一致をいたしました。
 DICASにおいては、日米同盟の技術的優位性や相互運用性、即応性、継戦能力の確保といった観点を踏まえつつ、日米の防衛産業が連携する優先分野の特定に向けて具体的な協議を行い、日米2プラス2に進捗が報告される予定であります。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 日朝間の実りある関係を樹立することは、日朝双方の利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するという考えの下、北朝鮮との間の諸懸案の解決に向けて首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を進めていくとの方針に変わりはありません。
 日米首脳会談では、こうした基本的な考え方の説明を含め、北朝鮮への対応について率直な意見交換を行い、事後の共同記者会見において、バイデン大統領から、同盟国が北朝鮮と対話を始めるという機会を歓迎する、こうした旨の発言があったところです。拉致問題についても、私から即時解決に向けた米国の引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領から改めて力強い支持を得ることができました。
 全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、引き続き全力で、そして果断に取り組んでまいります。
 中東地域での日本の貢献及び邦人保護についてお尋ねがありました。
 日本はこれまで中東各国と良好な関係を築いてきており、こうした外交資産の土台の上に、現在、ガザの人道状況の改善や事態の早期鎮静化、さらには中東地域の平和と安定に向け、積極的な外交努力を行ってきています。
 今回のイランによる攻撃は、現在の中東情勢を一層悪化させるものとして深く懸念しており、日本としてこのようなエスカレーションを強く非難いたします。その上で、イラン、イスラエル双方に対して強く自制を求めているところです。
 情勢の把握と邦人への情報提供を日々行うとともに、関係国、機関とも連携しつつ、在留邦人の安全確保に全力で当たってまいります。在留邦人の保護は、政府の取組の最重要事項の一つであります。
 日米首脳共同声明の分野ごとの狙いについてお尋ねがありました。
 今回発出した首脳共同声明は、国際社会の安定と繁栄の礎である法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を何としても維持強化していくという日米両国の一致した外交方針の下での協力について取りまとめたものです。
 安全保障面では、米軍と自衛隊の相互運用強化を含め、日米の安全保障・防衛協力を拡大、深化させるための具体的取組を進めることを確認しました。
 経済面については、先端技術分野での競争力の維持強化、並びに経済的威圧や非市場的政策・慣行、過剰生産などの問題への対応、さらには、サプライチェーンの強靱化などで協力していくことを確認いたしました。拍手
    ─────────────
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長浜博行#25
○副議長(長浜博行君) 小西洋之君。
   〔小西洋之君登壇、拍手〕
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小西洋之#26
○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。会派を代表して質問します。
 日本の国会で拍手がない。自虐ジョークで始まる岸田総理の米国議会演説を聞きながら、私は笑うどころか大きな不安にとらわれました。
 総理は、「未来に向けて 我々のグローバル・パートナーシップ」と名付けた演説において、全て軍事的な文脈の中で、何の留保も条件も付けずに、日本が米国のグローバルパートナーの役割と責任を果たすと繰り返し宣言しています。
 すなわち、孤独感や疲弊を感じている米国民の皆様へ、米国は一人で国際秩序を守ることを強いられている理由はないと述べた上で、自衛隊と米軍の共同の任務遂行を称賛しながら、自由と民主主義の宇宙船で、日本は、米国の仲間の船員であることを誇りに思い、共にデッキに立ち、任務に従事し、なすべきことをする、日本は米国と共にありますなどと主張をしています。
 そして、日本は地球の裏側にあるNATOとも協力と、地球の裏側という言葉を発した後に、日本はかつて米国の地域パートナーだったが、今やグローバルなパートナーになったなどと表明しているのであります。
 この総理演説について、複数のメディアや与党議員さえもが、日本が米国の軍事行動に対して、その内容や地理的範囲に無限定に協力する大風呂敷な国際約束をしたのではないかとの疑念が広がっています。
 総理に伺います。
 外務省は、四月十六日の私の質疑を通じて、グローバルパートナーシップ、グローバルパートナーという表現は、国際秩序を共に維持強化していく両国の不退転の決意を示すもので、これらの表現をもって、これまでの日米の役割分担や責任分担を変えるものではないとし、また、上川外相は、一昨年の国家安保戦略の枠組みを超えたものではないと答弁しています。
 これらは、総理の見解としても間違いないのでしょうか。
 なお、当時議場にいた上川外相は、今後日本が地球の裏側を含め米国と軍事的活動を共にするという認識を、広く議場の米国議員が共有したという印象は持たなかったなどと答弁していますが、本当でしょうか。岸田総理もこの上川外相と同じ認識なのでしょうか。
 一方で、未来のためのグローバル・パートナーとの表題を掲げる前日の共同声明においては、地域概念のないサイバーセキュリティーなどを除き、自衛隊の行動の地理的範囲はインド太平洋地域に限定されています。この点でも、議会演説の異様さと矛盾が際立っていますが、共同声明と議会演説は日米の軍事面の協力内容として同一のものなのでしょうか。
 仮にこれらを同一とするならば、岸田総理は、米国議会や米国民への受けを狙って意図的に大風呂敷を広げる、言わば二枚舌外交の二枚舌演説を行っているのではないでしょうか、真摯な説明を求めます。
 この前代未聞の総理演説の悪影響を憂慮いたします。それは、日本がアメリカの戦争に巻き込まれる危険であり、このリスクは絵空事ではありません。
 かつてトランプ大統領は、二〇一七年から一八年に北朝鮮に空母打撃群などを派遣し、そこに自衛隊が三十回以上共同訓練を繰り広げ、日本が北朝鮮から核攻撃の威嚇を受けるに至る事態がありました。
 私は、この共同訓練は不測の場合に北朝鮮に日本攻撃の口実を与えかねないと当時の河野外相に問いましたが、米空母との共同訓練は、特定の国又は地域を念頭に置いたものではないという驚くべき答弁ぶりでした。
 ところが、当時の河野統合幕僚長は、退官後のインタビューなどにおいて、米軍情報からアメリカが軍事行動に踏み切る可能性が六割以上あると認識し、安保法制の集団的自衛権などの発動を検討し、安倍総理に報告していたと証言。後日、岸防衛大臣はこれらを事実と答弁しています。
 つまり、当時、日本政府は戦争の準備と態勢を講じ、日本国民は戦争の瀬戸際にあったのです。この事実を議場の皆様は御存じだったでしょうか。安倍総理の、私と日本国民はトランプ大統領と一〇〇%共にありますとの宣言の下の、まさに国難というべき事態でした。
 岸田総理、アメリカとともに世界のどこへでも駆け付け、課題の解決に取り組むというメッセージを発したなどと報道されている総理の議会演説は、将来のトランプ政権の再来も含め、米国独自の軍事方針に対して日本が主体的な外交を講じる政治基盤を著しく損ねてしまったのではないでしょうか。あの岸田演説は何だったのか、自衛隊は米軍と軍事行動を共にしないのかと米国に要求される危険はないのでしょうか。
 なお、実は当時、安倍総理は、共同訓練の実施など、米国とあらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にすると答弁していました。当時の日米共同訓練が、特定の国などが念頭になかったものなのか、それとも北朝鮮への圧力手段だったのか、戦争の危険をめぐる同盟の真実を日本国民に正直に答弁ください。
 さらに、今回の共同声明では、より効果的な日米同盟の指揮統制が定められていますが、これは具体的に何を意味するのか。報道等にあるように、ハワイのインド太平洋軍司令部から作戦指揮の権限を在日米軍司令部に移管し、自衛隊の新たな統合作戦司令部と対応させるのでしょうか。
 実は、既に自衛隊と米軍は、自衛隊の航空総隊司令部が在日米軍司令部が所在する在日米軍横田基地内に設置され、航空総隊司令官の入退出も米軍が管理するといった他国に例を見ないありようとなっていますが、今般の共同声明や議会演説は、自衛隊が圧倒的な戦力や情報力を有する米軍との間で軍事的な一体化に陥り、そして、それが同時に、トランプ政権の危機にあったように、日本が米国の軍事政策に巻き込まれる政治的な一体化に陥る危険はないのでしょうか。これらの危険排除の具体的手段も含めて答弁をください。
 さて、岸田総理の議会演説では一切語られなかった日米同盟の最重要の本質があります。それは、日米同盟はアメリカにとっても世界最重要の同盟関係であるという事実です。
 かつて、駐留経費の膨大な負担増を訴えていたトランプ氏は、大統領就任後の最初の訪日で、アメリカ軍を駐留させてくれてありがとうと述べました。すなわち、世界で唯一の空母機動艦隊の海外母港であり、自由で開かれたインド太平洋の中核拠点である横須賀の海軍基地、嘉手納や岩国などの空軍や海兵隊の航空基地などなど、日米同盟に基づく在日米軍基地がなければ、アメリカは東アジアから中東域に至るまで実効的な軍事プレゼンスを一秒たりとも保持できず、一言で言うならば超大国たり得なくなるのであります。日米ガイドラインに基づく自衛隊の米軍基地防衛、高度な技術力などの貢献も含め、アメリカにおいて日米同盟こそが世界最重要の同盟関係であるのであります。
 このような事実認識に基づき、これまで茂木外相と林外相が、日米同盟は米国にとっても他に並ぶもののない最も重要な二国間関係であると答弁していますが、岸田総理も同様の認識にあるのか、その具体的な理由とともに明確な言葉で答弁を求めます。
 そして、実は、私からの、米国の国民や政治家はこうした日米同盟の本質、メリットをほとんど知らない、政府を挙げた説明をとの求めに対し、令和三年三月に茂木外相からは、米国の議会や、米国の議会や米国内の各層の理解増進に一層取り組んでいきたいとの答弁をいただいています。なぜ岸田総理は、こうした政府の外交方針に反し、ただただ日本の更なる貢献、しかも地球規模での軍事貢献などを訴えるだけで、日米同盟が本来的に有する米国にとっての死活的かつ代替不可能な価値を米国議会で一切、ただの一言も訴えることをしなかったのでしょうか、説明を求めます。
 また、日米同盟は、米国民の繁栄の存立の礎であるとともに、日本国民においては同時にその存立のリスクをも抱えるものであります。すなわち、日米同盟は、在日米軍基地を基盤とする米国の戦争に日本が必然的に巻き込まれるリスクを有するものであり、このことは、日米安保六条に基づく米軍の在日基地使用の戦闘作戦行動の事前協議制度に具体化しています。
 総理は、仮に台湾海峡有事、米軍と中国軍の武力紛争が勃発すれば、在日米軍基地が中国軍の標的になるという認識はあるのでしょうか。特に米軍の在日基地へのミサイルの持込みとその他国への発射は、米軍の戦闘作戦行動として当然に日米の事前協議の対象になるのでしょうか。政府はこの間、これらの常識問題に答弁拒否を連発していますが、日本国民の命、日本国の主権に懸けて、逃げることなく答弁をください。
 以上のように、日米同盟とは、今般の総理の訪米のように、米国への多大な軍事協力や軍事的一体化をただ進めれば日本が安全になるというものではありません。
 自由で開かれたインド太平洋の基盤となっている日米同盟の健全な維持発展とその抑止力、対処力の強化により日本の防衛を確かなものにすることは必須ですが、その一方で、常に同盟の米国側のメリット、そして普天間基地、横田空域、佐世保制限水域などの日本国民が負う代償や負担、日本の抱える戦争のリスクなどの本質を真摯にアメリカに訴え、共有し、同盟国として米国政府、米国議会、世論と対話し、時にそれを制御していく営み、すなわち高度の戦略性を要する強靱な日本の主権外交が必須なのであります。
 さえないジョークを飛ばし、大風呂敷を広げて相手の機嫌を懸命に取り、その場の雰囲気で拍手とスタンディングオベーションを得るのが日本国総理の国賓演説ではありません。
 そもそも、まさに全ての米国議員が共有できるはずの、米国にとっての自由で開かれたインド太平洋の具体的価値すら一切訴えなかった岸田総理の議会演説は、九年前の安倍総理の演説に続いて、アメリカとの間で日米同盟の本質を共有し、未来における健全かつ実効的な同盟関係を創造する基礎、基底を形作る絶好の、かけがえのない機会を逸したものであり、私たち日本の国会として到底すてきな拍手を送るべきものではないと考えますが、総理の見解を伺います。
 さて、今後も人口が増加し世界経済の牽引役である米国と、失われた三十年で衰退に陥り、アベノミクスの失政による構造的な岸田インフレなどに直面する我が国の国力の差は歴然たるものがあり、日本の実情を真摯に米国と共有し、厳しい安全保障環境に対処し得る、身の丈に合った同盟の責任を果たしていく国家戦略が求められると考えますが、総理の見解を問います。
 また、この点で、総理が米国議会で超党派の強力な支持を訴えた防衛費倍増が本当に一兆円程度の増税だけで賄えるのか、円安による調達費用の高騰も含め、更なる増税や国民負担の見通しについて答弁ください。
 また、この倍増に至る防衛費四十三・五兆円の内訳について、政府はこの間、百四十六項目の事業名を並べたA4の紙五枚の資料しか国会に提出していません。これは、財政民主主義を踏みにじり、国を誤る、GDP比二%ありきの史上最大の丼勘定と言うべき暴挙ですが、いつまでに四十三・五兆円の内訳、積算を国会、国民に資料説明するのか、具体的期限を答弁ください。
 また、共同声明では、日米防衛産業協力などの定期協議とミサイルの共同開発が明記され、木原防衛大臣は、現時点では第三国へのミサイル輸出を予定しないと答弁しましたが、将来に輸出はしないとなぜ言えないのか、説明を求めます。
 この点、昨年十一月に政府は、紛争当事国に防衛装備を移転することは、憲法前文の全世界の国民の平和的生存権の理念とそぐわないことから、憲法の平和主義の精神にのっとったものではないと答弁しながら、次期戦闘機の輸出の閣議決定の後には、フルスペックの集団的自衛権などの国連憲章上の武力の行使に次期戦闘機が使用されることは憲法の平和主義に反しないと論理破綻した答弁を行っています。この二つの答弁の論理的整合性について説明を求めます。
 最後に、安倍政権以降の国家安保戦略に欠けるのは、国防、安全保障、外交を包含する平和創造、ピースクリエーションの国家戦略です。
 その要であり、特に日米同盟の在り方をリードし、補完すべき日本の主権外交について、薮中元外務次官は、近著「現実主義の避戦論 戦争を回避する外交の力」の中で、二〇一七年の日中首脳会談で再確認され、維持されている東シナ海を平和、協力、友好の海にするという二〇〇八年日中合意の早期の条約化、日本が主導したCPTPPへの中国と台湾への加入交渉を提言していますが、一般論として、これらの取組たる外交政策について、日中の戦略的互恵関係の発展に意義があると考えるか、総理の見解を問います。
 結びに、主権外交の喪失を含め、失われた三十年の根本原因は、利権、人事、世襲の自民党の派閥政治の弊害であり、その根絶が我々与野党議員が負う歴史的使命と確信しますが、岸田総理は、派閥の政治資金パーティーの根絶を、自民党の内規ではなく政治資金規正法改正で実現する決意がありますか。この間、犯罪と脱税の隠蔽を主導し、自身の処分をも免責した総理が、最後は偽装の政治改革で国民を欺くことがないよう、明確な法改正の決意の答弁を求めて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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岸田文雄#27
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小西洋之議員にお答えいたします。
 日米首脳共同声明と議会演説についてお尋ねがありました。
 今般用いたグローバルパートナーシップ等の表現は、かつてなく強固となった友好・信頼関係に基づき、日米両国が、二国間や地域にとどまらず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に維持強化していくという両国の不退転の決意を示すものです。この表現をもって、これまでの日米の役割分担や責任分担を変えるものではなく、また国家安全保障戦略の枠組みを超えるものでもありません。
 また、日米がグローバルなパートナーとして協働する場合を含め、我が国の外交・安全保障上の政策は、我が国の憲法、法律にのっとり、かつ、我が国の国益に基づいて行っていくものであり、この点を含め、今回の日米首脳共同声明と今回の私の議会演説、この両者のメッセージは一貫したものであり、相互のそごはありません。
 なお、グローバルパートナーとしての活動は、軍事的手段に限らず、外交や経済も含めたあらゆる手段により取り組んでいくものです。今次訪米においては、こうした点も含め、米国議会や米国国民の理解を得ることができたと考えております。
 連邦議会での演説及び日米共同訓練についてお尋ねがありました。
 今回の連邦議会における私の演説では、米国が築き上げてきた国際秩序が新たな挑戦に直面していること、自由と民主主義が世界中で脅威にさらされていることを指摘した上で、米国のリーダーシップが必要不可欠であること、その取組において日本は米国と共にあることを訴え、多くの賛同を得ることができました。
 その上で、我が国の外交・安全保障上の政策については、我が国の憲法や法律にのっとり、かつ、我が国の国益に基づき判断するものであることから、今回の議会演説によって、米国独自の軍事方針に対して日本が主体外交を講ずる政策基盤を、失礼、政治基盤を著しく損ねた、あるいは米国の軍事力行使に日本が巻き込まれる危険が増大したとの指摘は当たりません。また、御指摘の日米共同訓練については、特定の国や地域を念頭に置いたものではありません。
 そして、より効果的な日米同盟の指揮統制及び米国との軍事的、政治的な一体性についてお尋ねがありました。
 まず、より効果的な日米同盟の指揮統制については、日米が共同対処を行う場合に、様々な領域での作戦や能力を切れ目なく緊密に連携させていく観点から、自衛隊の統合作戦司令部の新設を踏まえ、日米それぞれの指揮統制の枠組みを向上することで一致したものです。
 その上で、御指摘の在日米軍司令部の権限を含め、米側の今後の体制については現時点で決まっていないと承知しておりますが、今後とも日米間で緊密な連携に向け議論を行ってまいります。
 このように、日米間で様々な能力の発揮のため緊密な連携を図ることは当然ですが、自衛隊の全ての活動は、主権国家たる我が国の主体的判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われること、また自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動すること、何ら変更はありません。
 また、自衛隊の指揮については、法令で定められているとおり、日本国内閣総理大臣が最高指揮官として自衛隊を指揮監督することに変わりはありません。
 さらに、日米ガイドラインにおいて、自衛隊及び米軍の活動について、各々の指揮系統を通じて行動すること、また、各々の憲法及びその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われること、これらが明記されております。こういった点は日米間の共通の認識となっています。よって、御指摘の自衛隊と米軍の軍事的な一体化や日米の政治的な一体化に至る危険といった指摘は当たりません。
 日米同盟の重要性と米側の理解についてお尋ねがありました。
 日米同盟は、我が国にとって、現在、唯一無二の同盟関係であり、我が国の安全と繁栄の確保について欠くべからざる礎です。私は、今回の連邦議会における演説においても、不朽の友好に基づく日米同盟の重要性と、これが今後も堅固な同盟としてあり続けるということを具体的なビジョンとともにしっかりと伝え、超党派の米国議員から大きな賛同が得られたものと考えております。
 また、バイデン大統領との間では、今回、日米両国が深い信頼と重層的な友好関係で結ばれており、このかつてなく強固な友好・信頼関係に基づき、外交、防衛、経済等のあらゆる分野において連携を強化し、グローバルなパートナーとして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に維持強化していくことを確認いたしました。
 このように、米側においても日米同盟の重要性に対する評価は相当程度確立しているものと理解しており、今回、バイデン大統領からも、日米同盟は米国にとって最大の資産であるとの評価が得られたところですが、引き続き、地方も含めた米国の各界各層の理解の増進に取り組んでまいります。
 そして、台湾有事の際の米軍基地への攻撃の可能性及び米軍のミサイルに係る事前協議についてお尋ねがありました。
 まず、台湾有事における在日米軍基地に対する攻撃の可能性とのお尋ねについては、台湾有事という仮定の御質問であり、お答えすることは差し控えなければならないと考えております。
 政府としては、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要と考えており、台湾をめぐる問題について、対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場です。
 また、お尋ねの在日米軍施設・区域へのミサイルの持込みと他国への発射に係る事前協議について、一般論として申し上げれば、米国による通常弾頭のミサイルの我が国への持込みについては、日米安全保障条約上の事前協議の対象となりません。
 また、日米間では、岸・ハーター交換公文により、日米安全保障条約第五条の規定に基づいて行われるものを除き、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は事前協議の対象であるとされています。
 ここで言う戦闘作戦行動については、昭和四十七年の政府統一見解において、その典型的なものに言及した上で、そのような典型的なもの以外の行動については、個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断するほかないとされています。
 御指摘のような米軍の行動が戦闘作戦行動に該当するか否かは、この政府統一見解の基本的な考え方に基づき、実際の個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断することになります。
 連邦議会における演説についてお尋ねがありました。
 今回の演説で私は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が新たな挑戦に直面しており、そして自由、民主主義といった日米が共有する価値が脅威にさらされていると述べた上で、引き続き、米国のリーダーシップが必要不可欠であること、そして日本も共に責任を果たす用意があること、これらを訴えました。
 ここで掲げた米国のリーダーシップが必要とされている国際秩序の維持強化という取組にはインド太平洋におけるものも当然含まれており、さらに、現下の国際情勢に照らせば、そこでの日米共同の取組の意義はかつてなく深いものとなっています。
 この点、この演説では、米国のプレゼンスがインド太平洋で果たしてきた役割の重みに触れた上で、自由や民主主義といった価値を守ることが、日米両国、そして世界中の未来世代のための大義であり利益であるとして、米国自身の未来にとっても価値あるものだとし、また、日米同盟は自由で開かれたインド太平洋の実現を目指しているのだと訴えた次第です。
 こうした日米双方の未来に向けたメッセージは、今申し上げた点も含めて、超党派の米国議員の多くにしっかり伝わったと感じております。
 国家戦略及び防衛費についてお尋ねがありました。
 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、日米同盟は、我が国の安全保障のみならず、国際社会の平和と安定の実現に不可欠な役割を果たすものです。
 国家戦略の在り方について、それぞれの国力の差との比較において単純に論ずることは適当ではありませんが、いずれにせよ、我が国としては、先ほど述べた認識を念頭に、日米の戦略レベルで連携を図り、米国と共に外交、防衛、経済等のあらゆる分野において日米同盟を強化していく考えです。
 防衛費については、防衛力整備計画で定めた金額の規模を超過することなく必要な防衛力の抜本的強化を行っていく考えであり、そのための財源については、国民負担を最大限抑制する観点から、歳出改革の徹底や税外収入の確保などに取り組み、それでも足りない分について税制措置での協力を国民の皆様にお願いするものです。今後とも、一昨年末の閣議決定の枠組みに基づいて、防衛力強化を安定的に支える財源の確保を図ってまいります。
 また、防衛力整備計画における契約額四十三・五兆円程度の内訳は既にお示しをしており、お求めの更なる詳細について、防衛省において作業を了したものから順次お示ししているところであると承知をしております。
 そして、共同開発、生産した装備の第三国移転、防衛装備移転と憲法の関係についてお尋ねがありました。
 新たに開催する日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議、DICASにおける協議の対象は日米間での共同開発、生産であり、第三国への移転は想定しておらず、将来における移転も想定しておりません。
 装備移転三原則等では、憲法の平和主義の精神にのっとり、我が国の行為として他国による国際法違反の侵略等の行為への関与を避けるため、装備移転三原則に言う紛争当事国への防衛装備の移転は禁止しております。
 他方、我が国憲法は他国の行為に適用されるものではなく、例えば、他国が国際法に違反する侵略を受け、国連憲章で認められている自衛権の行使等を行う際に我が国から移転した防衛装備を用いることは、我が国憲法の平和主義の精神に何ら反するものではないと考えております。
 中国との戦略的互恵関係の維持発展についてお尋ねがありました。
 戦略的互恵関係とは、国際社会の平和、安定及び発展に対して責任を負う日中両国が、将来にわたり二国間、地域、国際社会等、様々なレベルにおける互恵協力を全面的に発展させ、両国、アジア及び世界のために共に貢献し、その中でお互いに利益を得て共通利益を拡大し、そのことにより両国関係を新たな高みへと発展させていくという考え方です。
 御指摘の東アジア、失礼、東シナ海情勢やCPTPPについては、政府として日本の立場に基づき適切に対応してまいりますが、その他様々な分野においても中国との間で戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくことが重要であると考えております。
 政治資金規正法の改正についてお尋ねがありました。
 政策集団による政治資金パーティーの禁止については、我が党の政策集団がお金や人事から完全に決別した真の政策集団として生まれ変わるため、自民党単独でも速やかに実行に移すべく、厳格に遵守されるべきルールとして党のガバナンスコードに明記をしたところです。
 他方で、これを政治資金規正法でも禁止することについては、自民党の政策集団以外の全ての政治団体の政治活動の在り方とも密接に関わる事柄であることから、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点も含めた各党各会派における十分な議論が必要であると考えております。
 そして、今回の一連の事案に鑑みますと、まずもって着手すべき喫緊の課題は厳格な責任体制の確立や政治資金の透明化の向上であり、我が党としては、私の指示の下、議員本人の責任の強化、外部監査の強化、デジタル化の推進を内容とする政治資金規正法の改正について制度の詳細を詰め、考え方を整理してきたところです。
 既に公明党との協議も開始しているところであり、今国会での法改正を必ず実現するべく、我が党としての最終的な改正案を責任を持って取りまとめ、可能な限り早期にお示ししたいと考えております。拍手
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長浜博行#28
○副議長(長浜博行君) 窪田哲也君。
   〔窪田哲也君登壇、拍手〕
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窪田哲也#29
○窪田哲也君 公明党の窪田哲也です。
 公明党を代表して、ただいまの報告に対し、岸田総理に質問をいたします。
 我が国の近現代史を俯瞰するとき、七十七年を一区切りとする捉え方があります。明治維新から一九四五年の敗戦まで七十七年。これは、敗戦から今日までとほぼ同じ長さです。黒船の来航をきっかけとした明治維新、そして米国と戦った太平洋戦争の終結。二つの七十七年を経た節目での総理の訪米に歴史的意義を感じずにはいられません。
 安全保障や経済安保の強化、宇宙・技術協力など、目覚ましい成果を残した岸田総理のリーダーシップと行動力を高く評価します。
 その上で、質問をさせていただきます。
 日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議、DICASの対象には、ミサイルの共同開発、生産も含まれています。米国における装備品生産能力の逼迫や我が国防衛産業の育成は理解できますが、枠組みありきで装備品輸出の一層の拡大が進むのではないかとの懸念を抱く向きもあります。
 総理は、DICASの対象にミサイルの共同開発や生産が含まれることに国民の理解は得られていると考えますか。国民への丁寧な説明と理解が不可欠だと思いますが、総理の認識をお聞かせください。
 共同声明では、南西諸島における同盟の戦力態勢の最適化を更に推進することが確認されました。しかし、南西シフトに対しては、有事の際に標的になるのではないかとの声が沖縄、奄美を始め南西諸島の住民から聞かれます。こうした不安に総理はどう応えるのか、明快な御答弁を求めます。
 また、米軍普天間飛行場の返還については、沖縄県民の苦渋の決断が旧民主党政権下で軽々しく扱われた経緯もあり、政府に対する県民の強い不信感が拭えません。
 普天間飛行場の返還の見通し、さらに沖縄の基地負担軽減へ向けた総理の決意をお聞かせください。
 半導体やレアメタルなど戦略物資の供給網強化が確認されるとともに、共同声明には、米英豪の安全保障枠組み、AUKUSと日本が人工知能や量子技術などの共同研究で協力をすることが盛り込まれました。
 我が国産業の振興にどう期待できるのか、総理の見解を伺います。
 アルテミス計画で日本人の宇宙飛行士二人を月面着陸させることが合意され、とても誇らしく感じます。宇宙協力の一環として、例えば大分では、大分空港を宇宙輸送船の拠点として活用する宇宙港構想と、関連産業の進出などに夢が膨らんでいます。宇宙センターがある鹿児島県種子島でも期待が掛かります。
 地域活性化を含めた宇宙産業の振興への総理の見解を伺います。
 共同声明は、中国との率直な意思疎通の重要性に触れています。訪米で高まった抑止力を対話へとつなげていく外交戦略が必要です。
 日中韓首脳会談が五月下旬にも開催される方向で調整されていると承知していますが、日中韓首脳会談の見通しと、これらの機会を通じた日中対話への基本姿勢について伺います。
 日中ホットラインを含む海空連絡メカニズムなど、中短期的な視点も必要です。意思疎通のパイプを太くし、意図せざる衝突を防ぐ危機管理が一段と重要になってくると考えますが、併せて総理の認識をお聞かせください。
 訪米では、多岐にわたる日米の連携強化が打ち出されましたが、人と人とのつながりこそ日米を結び付けるきずなではないか。議会演説における総理の少年期の体験談に、私はそう感じました。しかし、米国での我が国理解に努めた外交専門家の多くが引退時期を迎え、米国大学の日米関係専門の教員や科目が急減していると聞きました。
 日米関係を担う人材の育成は急務だと訴え、質問を終わります。
 ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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