舟山康江の発言 (本会議)

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○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。
 会派を代表し、食料・農業・農村基本法改正案について質問をいたします。
 法案審議の前に、私たち国会議員の自由な政治活動を脅かす重要な問題を共有させてください。
 香港国家安全維持法違反容疑の裁判で、ジミー・ライ被告の共謀者として菅野志桜里元衆議院議員が名指しされています。我々にとっても対岸の火事ではなく、いつどのような活動、言動が狙い撃ちされるか分かりません。
 四月十八日の衆議院本会議での我が党玉木代表の質問を受けた、香港当局に対して関心表明を行っている、言論の自由が保障されるよう毅然と対応していくとの総理答弁から、もう一歩踏み込んだ対応が不可欠です。三月の予算委員会で上川大臣に約束していただいた主権侵害に当たるかどうかの判断を政府は下していただいたのか、抗議はしないのか、不透明な裁判の詳細を把握しているのか、また、刑事共助条約上の扱いなど、総理から御答弁願います。
 さて、法案への質問に入ります。
 基本法は、一般的に政策の理念や方向性を示すもので、それゆえに、食料・農業・農村基本法は農政の憲法とも言われます。そうした性格上、制定や見直しの際は十分な現状分析や検証、議論が必要です。
 実際、一九九九年制定の現行食料・農業・農村基本法は、旧農業基本法制定から三十年後の一九九一年に、見直しを含めた検討を農水大臣が示唆したことで議論が始まりました。農水省での議論を経て、総理府に、総理の諮問機関、食料・農業・農村基本問題調査会を設置、以降約一年半、五十回超の調査会、部会などで検討を重ね、法案の閣議決定にこぎ着けるまで実に約八年の歳月を掛けています。
 一方、今回は、二〇二二年二月設置の自民党食料安全保障に関する検討委員会が僅か三か月でまとめた提言の総理への提出を契機に、九月に官邸が基本法見直しを指示したのを受ける形で、農水大臣から食料・農業・農村政策審議会に見直しを諮問、審議会の下に設置された基本法検証部会が十月に第一回の部会を開催、以降、翌年五月まで僅か十六回の部会での議論で九月に最終答申が決定。議論提起から法案閣議決定までも合わせても僅か二年で、拙速感が拭えません。
 農政の憲法である以上、前回同様、総理直属の諮問機関を中心に政府全体での十分な議論が不可欠だったはずが、なぜ結論を急いだのか、総理の答弁を求めます。
 加えて、今回の答申は、大臣からの諮問に答えていない疑念もあります。
 現行基本法では、効率的かつ安定的な農業経営を中心に強い農業を目指していましたが、これは実現されたのか。農業者も農地も維持され、農村は豊かになったのか。まずは、このような基本事項に対して答申ではどのように分析、評価しているのか、大臣、教えてください。
 食料、農業、農村をめぐる現下の課題は、単に人口減少など社会情勢がもたらしたものではなく、政策によってつくられた、その側面が大きいと考えます。だからこそ、諮問文では、基本的な政策の検証及び評価並びにこれらの政策の必要な見直しを求めているんです。基本政策の評価と現状分析なしには次なる施策は打ち出せません。
 残念ながら、現状は農業者も農地も減少、国内生産の増大も実現できず、自給率は下がる一方、生産基盤の弱体化と農村の疲弊に歯止めが掛かっていません。この現状を打破するために、これまでの政策の何を反省し、どう転換していくのか、見直しの方向性について大臣の見解を伺います。
 現場の声を反映させたのかも疑問です。昨年五月の基本法検証部会の中間取りまとめ時には、我が党も八項目にわたる提言書を直接大臣に申し入れました。この提言書は参考にしていただいたでしょうか。また、十一か所での地方意見交換会やパブコメ募集などで寄せられた多くの意見は最終答申にどのように反映しましたか。大臣、お聞かせください。
 中間取りまとめと最終答申との違いは僅か一か所、ファーストマイルという言葉の追加のみで、あとは一切変更がありません。多様な意見から浮かび上がった重要な論点に目をつぶり、拙速に組み立てた法案作成のプロセスには重大な瑕疵がないのか、総理の見解を伺います。
 具体的な内容についてお聞きします。
 現行基本法には、価格により所得確保を図るという価格政策の考え方を見直し、価格形成は市場に任せ、所得の確保は政策に委ねるという明確な柱があったからこそ、議論の過程で例えば当初は否定的だった直接所得補償方式が最終答申では新たな公的支援策として有効な手法の一つと明記され、中山間地域等直接支払制度につながりました。
 WTOなどの国際交渉で価格支持政策が赤の政策として削減対象になる中、欧米型の価格支持から所得補償へ踏み出した点を私は評価しています。今回改正では、これを一歩進めるか否か、新たな基軸が見えません。政府が柱の一つとして掲げた食料安全保障も、食料の安定供給から表現を変えただけに映ります。違いを挙げるとすれば、不測時の個々への分配にウエートを置いたぐらいですが、分配するには供給が必要です。
 世界的にリスクが高まる中、国内の食料供給困難事態を迎えてから慌てて生産者に作付け指示をしても遅く、平時からの国内生産の増大こそが食料安全保障の要であり、その観点からも二条二項に食料自給率向上を明記すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 一方、食料自給率目標が未達成で、要因などの検証もされていないことを会計検査院が指摘しています。目標を達成できなかった理由と施策の検証、併せて自給率向上に必要な施策について大臣に伺います。
 広島県が地元の総理はよく御存じでしょうが、今、農村現場は危機的状況です。条件のいい平地農業地域でさえ、高齢農家や兼業農家を含め、あと何年もつのか、ぎりぎりの状況で営農を続けています。政府の言うスマート化や効率化だけでは何の解決にもなりません。農業者減少の最大の理由は所得の低さであり、長引くデフレによる安売り競争の常態化や、関税撤廃や引下げによる海外の安価な農産物の市場席巻、資材価格の高騰による更なる収益性悪化が主な要因です。
 こうした中、改正案の二条で食料安全保障の柱の一つに掲げている合理的な価格の形成は果たしてうまく機能し、所得確保につながるのか、大臣の所見をお伺いします。
 野菜や果樹のような労働集約型かつ品質の差が価格に反映しやすい品目でさえ価格転嫁は容易でなく、ましてや土地利用型で国際価格の影響を受ける米や麦、大豆などは、海外産との競合もあり、なおさらです。さらには、低所得者層への安定供給確保の面からも、消費者負担型にはおのずと限界があります。何より必要なのは所得の確保です。先も見えず、もうかりもしないことを誰がやるのか。このままでは地域の将来計画すら描けません。
 政府は、生産性向上と高付加価値化で所得の向上を目指すと言うだけで、所得確保を担保する具体策を示していません。それどころか、法案には所得という言葉が一つも出てこないんです。価格よりも所得を基本法で明記すべきではないか、総理に伺います。
 また、改正案では農業の環境負荷ばかりが強調されていますが、本来、農業は環境調和型の産業です。有機農業など負荷低減活動への支援に加え、価格に反映されない景観形成や生物多様性の保全、洪水防止機能など、多面的な役割や価値を政策によって評価することで、再生産可能な所得を実現し、国内生産の増大による食料安全保障の確保につなげる、海外では当たり前の本格的な直接支払の政策、例えば農地への面積支払を基本とした食料安全保障基礎支払等を導入するべきです。こうした政策の必要性に対する総理の見解を伺います。
 結びに、防衛予算が特に昨年度から大幅な増額となっている一方で、同じく安全保障の要を成す食料・農業・農村関係予算は減少し続けています。国を守るのは防衛力だけではありません。食料安全保障の重要性が高まる中、農林水産予算の増額について、改めてその実現への御決意を総理からここで表明いただくようお願いし、私の質問とさせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 舟山康江

speaker_id: 29872

日付: 2024-04-26

院: 参議院

会議名: 本会議