榛葉賀津也の発言 (本会議)
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○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対し、木原防衛大臣に質問します。
まず冒頭、四月二十日の深夜に発生した海上自衛隊ヘリコプターの墜落事故でお亡くなりになられた自衛官とその御家族に心より哀悼の誠をささげます。
そして、政府には、今なお行方不明となっている七名の捜索に全力を尽くしていただきますようお願い申し上げます。
墜落したSH60K哨戒ヘリコプター二機は対潜水艦戦の夜間訓練中でしたが、島国日本にとってこの対潜戦はまさに国防の要であり、海自にとっては任務の核心です。日本の対潜能力は世界最高水準と他国からも高い評価を得ている任務の訓練中に起きた事故によって優秀な隊員を失ったことは、ざんきに堪えません。
現在の自衛隊について、関係者からは二つの構造的な問題が指摘されています。
一つは、中国の軍事力強化や北朝鮮のミサイル発射など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、自衛隊に求められる任務の増加に対して隊員の育成と補充が追い付いていないという点です。
二三年三月時点で自衛官の充足率は九二%と深刻な人員不足が常態化しているにもかかわらず、中東アフリカ地域などへの派遣任務は恒常化し、加えて、同盟国、同志国との多国間共同訓練は昨年五十六回あり、現在の運用体制になった二〇〇六年比で十八倍に増加しています。さらに、二三年度のスクランブルは六百六十九回、二二年度の災害派遣は三百八十一件にも及びました。つまり、訓練をしようにも実任務に追われ、訓練が十分にできない現状があります。
二つ目が、長年の予算不足が理由で航空機の可動数が不十分で、訓練時間が制限されている点です。固定翼哨戒機の訓練時間が過去十五年で四割減少したというデータもあり、事態は深刻です。
防衛大臣、今回のヘリコプター事故を二度と生起させないよう、事故の背景を徹底的に検証し、これら根底にある問題への対応策をお伺いします。
次に、日独ACSAについてお伺いします。
ドイツ政府は、二〇二〇年九月、インド太平洋地域におけるドイツの役割を長期的に強化することを目指し、インド太平洋ガイドラインを策定しました。ドイツが自国の戦略文書にインド太平洋の概念を用いるのはこれが初めてで、近年、中国との緊密な連携を構築していたドイツが経済や安全保障の分野においてインド太平洋地域に強い関心を示していることを歓迎します。政治、経済が中心であった日独関係が今後は安全保障分野においてもより拡充するという意味で、日独ACSAの締結は画期的だと言えます。
今後、自衛隊はドイツ軍といかに関係強化を図り、防衛関連産業の分野においてもどのように連携を強化をしていくお考えか、防衛大臣にお伺いします。
次に、本改正案の核心である統合作戦司令部の新設についてお伺いします。
今回の統合作戦司令部の創設で、平素から有事まであらゆる段階において領域横断作戦を実現できる体制が構築されたことは極めて有意義です。特に反撃能力や宇宙・サイバー領域における作戦などを含む任務を遂行する上で、陸海空自衛隊の能力を複雑な状況かつ極めて限られた時間の中で最適な形で運用するためには、常設、専従の統合司令官及びスタッフが必要となります。
統合幕僚監部が五百名規模の体制なのに対し、統合作戦司令部は二百四十名体制での発足となりますが、統合作戦司令部の適正人員について大臣にお伺いします。
反撃能力の行使や宇宙・サイバー領域における作戦など、政治レベル、戦略レベルの状況判断が必要な分野が拡大する中、統合幕僚長がこれまで一人で担ってきた自衛隊の作戦運用に関する大臣の補佐機能と自衛隊の作戦を執行する機能を統合作戦司令官との間で分離、分担することは、対処力を強化する上で重要です。
しかしながら、現場における状況を政治レベルに正確に伝達するという点と、また政治的、戦略的な判断を確実に部隊に伝達し、実行させる点ではリスクがあるとも考えられますが、このようなリスクをいかに回避するのか、防衛大臣にお伺いします。
統合作戦司令官が陸海空自衛隊の部隊を統括し、さらには米軍とも連携しながら、平素から有事まであらゆる段階において領域横断作戦を適時的確に実施する上では、各領域における情報をタイムリーに集約、共有し、速やかに作戦を立案し、確実かつ迅速に命令を伝達する必要があります。
そのためには、AIの活用等を含め、指揮統制を支えるシステムやネットワークの整備が極めて重要になると考えますが、現在の取組について大臣にお伺いします。
先般の日米首脳会談においては、日米同盟の指揮統制の向上が盛り込まれ、我が国においては統合作戦司令部を創設するとともに、米軍においても日本における米国の作戦指揮機能の強化が検討されることになります。今後、日米のそれぞれの指揮統制の新たな枠組みにおける効果的な調整メカニズムについて検討が進むことになると思いますが、その一方で、日米間の円滑かつ効果的な指揮統制の連携の枠組み及び要領を検討する前提として、日米両国間の役割、任務が明確化される必要があります。
現行の日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインは二〇一五年に策定されたものであり、現在の日米同盟に直面する脅威は当時から大きく変化するとともに、反撃能力の保有、宇宙・サイバー能力の構築が進展するなど自衛隊の持つ能力が広がり、従来のいわゆる盾と矛という役割分担が変容してきています。このような中、日米間の役割、任務を改めて明確化するために、ガイドラインの改定を視野に入れてレビューを行うべきだと思います。
ガイドラインの見直し作業そのものが、日米協力を効果的に実施することのみならず、日米両国民の同盟に対する理解を深め、国際社会に対するメッセージとして重要であると認識していますが、大臣の見解を求めます。
最後に、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、陸海空一体の統合運用が重要性を増す中、特殊な勤務環境や任務に就く自衛官の処遇格差についてお伺いします。
先日、参議院外交防衛委員会で視察をした長崎県佐世保市に拠点を置く水陸機動団は、島嶼部防衛、特に占領された離島を奪還するために水陸両用作戦を行う第一線部隊です。同部隊は、海自との連携が重要で、訓練では護衛艦や輸送艦に長時間乗艦します。従来、護衛艦などで勤務する海上自衛官には乗組手当として俸給月額の三三%が支給されており、更に今年四月から約三〇%増額されました。他方、同じく海自艦船に乗艦する陸自の水陸機動団は、乗組員と定義されないために乗艦に伴う手当がありません。
陸海空の統合運用が極めて重要になる中、自衛官の給与、手当に不均衡が生じることは、現場の自衛官同士の統合マインドにひびが入る原因にもなりかねず、あってはならないと思います。命を賭して国防の任に従事する自衛官の処遇格差の改善に対する防衛大臣のお考えをお伺いします。
本改正案では、統合作戦司令部の新設や、海上自衛隊地方隊の改編、自衛官の定数の変更など、組織の改編が大きな柱です。組織改編はスクラップ・アンド・ビルドが鉄則ですが、その結果、人員面での現場の部隊にしわ寄せが及んでは本末転倒です。自衛隊にとって予算の確保や装備基盤の充実は重要ですが、最も大事なものは人、つまり一人一人の自衛官です。そして、強い使命感を持って国家国民を守る任務に服する自衛官を支えるのが我々政治の役割です。
最後に、防衛省の長である木原防衛大臣にその決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕