高木真理の発言 (本会議)
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○高木真理君 立憲民主・社民の高木真理です。
会派を代表し、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
本改正案は、少子高齢化が急速に進む中、男女が共に働きながら育児、介護を担うことができる環境の整備の必要性に鑑み、仕事と育児、介護の両立支援制度の拡充を図るものです。
育児休業法の初施行が一九九二年四月。介護が加わり育児・介護休業法になって、介護部分の施行が一九九九年でした。それから四半世紀以上たち、合計特殊出生率は一九九二年の一・五〇から二〇二二年は一・二六まで下がりました。家族の形も変わり、少ない子供で親を介護する時代になりました。女性は二十歳から六十歳までの間、有配偶者でも年代を問わず七五%前後の労働力率で仕事を持つようになっています。
こうした中で、育児、介護と仕事の両立支援策の更なる充実が必要であることは論をまちませんが、本改正案には、少子化や介護離職の実態を正面から見据える危機感が本当にあるのかと疑問を持たざるを得ません。
以下、問題点につき、質問していきます。
初めに、育児や介護という人の営みと経済活動の関係性について伺います。
カトリーン・マルサル著「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」という本を御存じでしょうか。経済学の父と言われるアダム・スミスですが、彼の経済学の中には、彼に夕食を作る母親らの労働は入っていませんでした。家事や育児や介護という家庭内の人の営みは、いわゆる経済活動のらち外に置かれてきたけれども、それで経済の全貌は捉えられているのだろうかということがこの本では投げかけられています。
我が国でも、戦後の経済成長は、GDPにはカウントされない育児や家事を家庭内労働が担ってきたからこそなし得たものだとも言えますが、いわゆる有償の経済活動にとって、育児や介護はこれまで常に枠の外に置かれてきました。
しかし、経済活動を行うのも人です。子も産めば、産んだ子供が病気にもなる、親がいて、介護も必要になります。仕事という経済活動を考えるに当たって、切り離した家庭やプライベートがあるのではなく、働く人の人としての営みも包含して常に考える必要があると思います。武見大臣の御所見を伺います。
次に、少子化の進行と育児休業制度について伺います。
我が国では少子化が進行しています。少子化には様々な要素が関係していると言われ、一つに限定できるものではありません。しかし、育児休業制度が充実しているか否かは、少子化に影響を与える要素の一つと言えると思います。武見厚生労働大臣は、我が国の制度を諸外国と比較して充実度をどう評価されるでしょうか。少子化との関係はどうでしょうか。これまでの改正の経緯を振り返りつつ、武見大臣の御所見を伺います。
フランスでは、女性が子供か仕事かの二者択一を迫られない仕組みづくりが必要として進め、少子化対策を成功させてきました。しかし、日本では、育児休業制度を充実させてきましたが、男性の育児参加は二二年度で一七・一三%と、思うように進んでいません。この現実が少子化に与えている影響についても言及いただきたいと思います。
男性の育児休暇といえば、小泉進次郎元環境大臣が二〇二〇年、第一子の誕生に当たり、二週間程度の育休を男性閣僚として初取得ということで話題になりました。ロールモデルは力になります。環境省内でその後の男性育休取得率にどのような影響が出ているか、伊藤環境大臣、お答えください。
この際、伊藤環境大臣に今月一日の大臣と水俣病の患者、被害者らとの懇談の件についても伺います。
一昨日、大臣は謝罪の中で、水俣病は環境省の原点と述べられたそうです。原点、重い言葉です。そこで、改めて、環境省設置の歴史的経緯と、環境省設置法における公害問題の関係について御説明願います。
五月九日付けの環境省の説明ペーパーが意味不明です。五月一日に、現場では各団体からの発言は全て聞こえており、マイクの音量が切られた認識がなかったとありますが、では、なぜ被害者の方々のマイクを切らないでくださいの声は聞こえなかったのでしょうか。マイク音が切られたことについて、五月七日午前中に事務方から報告を受けるまで認識しなかった旨ありますが、三日から報道されていてなぜ四日も気付かないのですか。対応が遅過ぎませんか。伊藤大臣の認識を伺います。
総理の聞かない力を見習ったのでしょうか。省設置の原点の公害病の被害者の声をマイクを切って無視をする。これを現場で止めなかった大臣は、資質が欠如していると言わざるを得ません。伊藤大臣、自身に環境大臣としての資質があるとお考えか、答弁を求めます。
続いて、育児、介護を理由とした離職のもたらす損失について伺います。
育児、介護との両立がなし得ず、離職せざるを得ない人がいます。育児では、一つのパターンとして、出産で仕事を辞め、少し育ったらパートなどの仕事で復帰するというのもあります。しかし、それまで積み上げてきたスキルを手放すことは、本人にとっての損失のみならず、企業にとっても、ひいては我が国経済にとってもマイナス要因となります。
育児、介護によりそれまでの仕事を離れる人々の人数と経済的損失について、武見厚生労働大臣、それぞれお答えください。
ちなみに、ドイツでは仕事に正規、非正規の区別がなく、短時間労働の場合にはフルタイムの人の給与に時間の割合を掛けて算出するという仕組みだそうです。ドイツでも子育て期には母親の労働時間の方が短い傾向がありますが、正規、非正規の別がないので、社会保障もきちんと付いています。日本において、パートで社会復帰する女性が安い労働力の不可欠な存在として想定される経済になっているのだとしたら、そこから変えていく必要がありますが、武見大臣の受け止めをお聞かせください。
次に、改正案における柔軟な働き方について伺います。
今回の法案では、子の年齢に応じた柔軟な働き方拡充策として、三歳以上小学校就学前まで、テレワーク、始業時繰下げなどの四類型から事業主が二類型を選び、うち一類型を本人が選択することができるようになっています。私も、自身の双子を含む三人の子育てを振り返ると、市議、県議という一部に柔軟性がある仕事だったから乗り切れたという側面があると思います。
しかし、今回の柔軟性ですが、最終的に働く人が選べるのは一種類です。これで柔軟でしょうか。業種や職場により取れる対応はまちまちかもしれませんが、幾つかを組み合わせても成果を出せる働き方が可能と思います。
また、これまで三歳以降で完全フルタイムだったものが小学校就学前までに延びることは前進ですが、とはいえ、小学校一年生になったら残業免除もなく完全フル規格で働くしかないというのは無理があります。実際、とある勉強会の講師の先生から、霞が関勤務の優秀な教え子が完全フルタイムに復帰後、過酷な残業が続き、子供が不安定になって、とうとう離職したとのお話を聞きました。
子供は機械ではありません。小学一年生になったら親が遅くまで帰らなくても大丈夫になったりはしません。放課後児童クラブも遅くまでは預かりません。
改正案の柔軟性を拡充する必要性について、武見厚生労働大臣の御見解を伺います。
子の看護休暇について伺います。
小学校三年生までに延長されるのは、方向としては歓迎です。しかし、大臣、リアルに小学校四年生の子供が高熱を出している姿を想像してください。一人で寝かせておくわけにはいきません。病児・病後児保育も九歳までです。少なくとも看護は小学六年生まで必要との声があります。私の感覚では中学生ぐらいまで必要に思います。けがで自力通院ができない場合なども考えれば、むしろ年齢であとは看護不要とすることに無理があるとも言えます。子の看護休暇の年齢制限は妥当なのでしょうか。武見大臣の御見解を伺います。
子の看護休暇について、もう一点伺います。現行制度になりますが、子供一人で五日まで、二人以上は十日までというのは妥当か、武見大臣に伺います。
子供一人五日までは、一回のインフルエンザの出席停止にも足りません。二人以上は子供何人でも十日までというのも理解に苦しみます。兄弟で感染症にまとめてかかるようなことはありますが、別々の人間で、別々の病気にかかります。けがもします。何人子供がいても十日までというのは、たくさん産んだことへの罰なのでしょうか。お答えください。
育児休業、子の看護休暇、介護休業等で休む人が出る場合の職場側への支援について伺います。
これらで休む人が出る職場では、カバーする同僚に負荷が掛かります。管理職も手腕が問われます。
今回、代替する周囲の社員に応援手当を支給する中小企業主に対する助成を拡充するとのことですが、それに加えて、マネジメントを行う上司のスキルアップ支援などはあるか、武見厚生労働大臣に伺います。
男性の育児休業の取得が進むかどうかのキーは管理職が握っているとも言えます。職場に不公平感がたまらないようにするマネジメントスキルを付け、迷惑を掛けるから休みは取りづらいという実情を打破する必要があります。スキルアップ支援の必要性についてもお答えください。
介護休業と介護休暇について伺います。
介護は育児と異なり、何年後に大体こうなるという先の予想が付きません。今回は、制度自体の変更はなく、取得率を上げるための制度周知等が改正の内容ですが、そもそも取得率が低い理由の中に制度が使いにくいとの指摘はなかったでしょうか。
介護休業は通算九十三日まで、三回分割取得可能と言われても、先が読めないため、どう三回に分ければ大丈夫か分かりません。通院に付き添う必要の多い高齢者には、介護休暇が年五日で足りるかは分かりません。これらが重なると、もう仕事を辞めるしかなくなります。
もっと利用しやすい制度への見直しをすべきではないか、武見厚生労働大臣の御見解を伺います。
介護離職防止に向け、介護サービスを維持する必要性と方策について伺います。
本改正案では、介護離職を防ぐべく、現行の介護休業等の制度利用が低い現実に鑑み、制度周知に努める内容などが盛り込まれています。しかし、幾ら周知が届き、当該働く人が介護休業等を使って親の介護態勢を整えようとしても、介護サービス自体が不足していて利用できないのでは元も子もありません。
今回、介護の報酬改定で訪問介護の基本報酬の引下げがあり、事業者からは倒産の危機を懸念する声が上がっています。処遇改善加算の取得状況調査は四月分より行われるとのことですが、今、何より必要なのは、期中改定も盛り込んだ我が党衆議院提出の訪問介護緊急支援法案の成立と考えます。
あわせて、我が党からは、介護と障害サービスの担い手を確保するため、政府の報酬改定の処遇改善に加えて、月額一万円の給与アップを可能にする介護・障害福祉事業者処遇改善法案を衆議院に提出しています。
衆議院で吉田統彦議員への答弁で武見大臣は、今回の介護報酬改定で対応可能と答えられましたが、それではもたないとの現場の声に応えていません。再度、この二法案の成立の必要性について、武見厚生労働大臣、御答弁願います。
最後に、両立支援のためには長時間労働の慣行を改めるべきについて伺います。
今、この国の人手不足は深刻な状況にあります。今後ますます深刻になることも予想されます。一方、日本人の美徳とも思いますが、人手不足で職場が困っていても、何とかいる人たちの頑張りで、残業してカバーしようとする傾向があります。
しかし、それでは結局働き方改革はされぬまま、長時間労働の世界が続きます。長時間労働が常態化していては、育休も介護休業も絵に描いた餅です。権利は行使しにくく、離職を決意せざるを得なくなります。少子化に歯止めを掛けるためにも、働く人の人間としての営みの側面を大切にするなら、長時間労働の現場を許してはなりません。
長時間労働はさせないという大臣の強い決意と、そのための政府の取組について、武見厚生労働大臣、具体的にお答えください。
一人一人の働き手は、単なる労働力ではなく、子育ても介護も行う人です。人の営みを働くという経済活動から切り離すことなく、そのまま包含する働き方を考えなければ、人の営みは押し潰され、これまでこの国を支えてきてくれた親世代を大切にすることも、これからを担う子供の命の誕生もかなわなくなってしまいます。
今こそ、人へ、未来へ、真っ当な政治へ、立憲民主党が変えていきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣武見敬三君登壇、拍手〕