猪瀬直樹の発言 (本会議)

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○猪瀬直樹君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の猪瀬直樹です。
 会派を代表し、育児・介護休業法等の一部改正法案について関係大臣にただします。
 本法案は、昨年末に閣議決定されたこども未来戦略に盛り込まれた施策を実施するためのものですが、その二ページ目に次のように書かれています。「こうした若者・子育て世代の所得向上と、次元の異なる少子化対策を、言わば「車の両輪」として進めていくことが重要であり、少子化対策の財源を確保するために、経済成長を阻害し、若者・子育て世代の所得を減らすことがあってはならない。」。
 ところが、先日衆議院を通過した子ども・子育て支援法等改正案に盛り込まれた子ども・子育て支援金は、まさにその現役世代の負担を増加させて可処分所得を減らし、さらに、経済成長の担い手たる企業側にも拠出を強いるというこども未来戦略の方針とは完全に逆行した内容であります。
 まず、この戦略方針と支援金制度の明らかなそごについて、加藤大臣の見解を求めます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 支援金に関するこれまでの議論では、その負担額が月額五百円とか八百五十円とか、数字の話が中心になっていましたが、それ以上にこの支援金制度に重大な構造的な問題があります。
 まず一点目、この支援金制度は社会保険料の目的外使用であるということです。本来、健康保険制度は加入者の疾病リスクに備えるためのものであり、負担と受益の関係が明確であることが求められます。加入者にとってこの関係が不明朗な少子化対策にまで保険料を流用することは、本来の趣旨を大きく逸脱し、制度全体の信頼性、さらに持続可能性を大きく損ねるものと言わざるを得ません。
 この点、社会保障制度をつかさどる厚労省を代表する大臣の立場から、本来であればこのような訳の分からない制度に抗議すべきではないかと、大臣としてね、それについて伺います。
 二〇一二年のいわゆる三党合意にて、少子化対策の財源は消費税によって賄うことが明確にされました。先日の衆議院本会議において、自民党、公明党は今回この方針を転換したのかとただした日本維新の会の議員に対して、岸田総理の答弁は、その時々の社会的経済状況を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべきものであると考えていますと、このような重大な政策変更にもかかわらず、その理由に触れることもない不誠実なものでした。
 消費税が一〇%に増税されたのは二〇一九年十月で、それからまだ五年もたっていません。五年もたたないうちに増税で手当てした財源でもはや足らない、もっともっと取らなければならない、でも増税はやれないから社会保険料を上げよう、取りやすいところからもっと取ろう、こういう政府が方針変えたのは、これ、財務大臣のこれ責任だと思うんだよね、ここは。だから、財政をつかさどる鈴木財務大臣に説明きちっとしてもらいたい、論理的に。
 二点目は、冒頭申し上げたとおり、社会保険料に上乗せする仕組みのために、その負担が企業負担分も含めて現役世代に集中することになっていることです。少子化対策は国全体の未来を左右する重大な施策であり、その財源は国民全体が満遍なく負担することで受益とのバランスが取れるはずですが、なぜそうではなく、既に社会保険料の負担が限界に達している現役世代の可処分所得を狙い撃ちにして更に減少させるやり方をあえて取るのか、加藤大臣の見解を伺います。
 三点目は、支援金の徴収は企業の健保組合等の保険者に行わせるのに、その使い道に保険者は一切関与できない仕組みになることです。これでは保険者機能が発揮できずに、ガバナンスも利かない。将来、政府が様々な理由を付けて支援金の負担を引き上げようとするときにも、これに対して保険者は全くなすすべがありません。
 国会での議論と法改正を経ることなく、引き上げやすい仕組みだから社会保険料を流用することにしたんじゃないかと。これは加藤大臣に聞きたいんだけどね、財務大臣と厚労大臣とどんな話合いをしたのか、御披露願いたい。
 今回の育児・介護休業法の改正案では、主として、現に子を持つ夫婦に対してその育児をいかにしやすくするかという観点から様々な施策が予定されています。その施策の内容については大きな異論はありません。しかし、これらは少子化対策としてそもそも妥当なんでしょうか。
 発生結婚出生数、すなわち婚姻数に対する出生数は近年一・五前後のまま推移しており、我が国における少子化の根本的な原因は非婚化にあると言われています。育児をしやすくすることももちろん重要だが、根本原因が非婚化であるならば、もっと結婚しやすくする、あるいは婚姻に準ずる制度を導入するなどの抜本的な対策こそが重要と考えますが、加藤大臣の見解を求めます。
 以下は、武見大臣に伺います。
 今回の改正案には、対象となる企業数の拡大や子の年齢範囲の引上げなど含まれていますが、過去の施策の効果をきちんと測定し、プラスの効果を確認した上で更に充実を図っていく、いわゆるPDCAサイクルが重要ですが、厚労省は本改正案を起案するに当たり、過去の関連施策に関するPDCAをどのように行ってきたのか、説明を求めます。
 今回、事業主に対する様々な義務付けが強化されますが、いわゆる町の魚屋さん、八百屋さんなど零細企業が果たしてこれらの義務を正しく理解し、実行することができるのか、甚だ疑問であります。厚労省としてはその実効性を具体的にどのように担保するのか、説明を求めます。
 育児・介護休業等については、労働局の雇用環境・均等部室が所管となり、労働基準監督署とは縦割りの別ラインになります。すなわち全国に三百二十一か所ある各労基署に配置されている司法警察権限を持つ労働基準監督官は、育児・介護休業などの実施状況に関しては管轄外となり、権限行使はできません。労働局がそれを担当するといっても、各都道府県の県庁所在地に一つしかない労働局で果たして実効性のある指導監督が行えるのか、見解を伺いたい。
 同じ労働局内でわざわざ担当部局を分けて、監督官が権限行使できないようにしたのはなぜなのか。国民側の利便性を考えれば、全ての相談、届出窓口を労働基準監督署に一本化することを目指すべきだと考えますが、なぜそうしないのか、見解を伺いたい。
 また、今回の改正案は、主として企業で働くフルタイムの労働者を想定した内容となっていますが、フリーランスや複数のアルバイトを掛け持ちしている人たちは制度から取り残されてしまいます。これらを抜本的に解決するためには、育児、介護と仕事の両立の責任を企業のみに委ねるのではなく、働く人々がその働き方によらずに皆が支援を受けられるような仕組み、例えば子育てバウチャー等の制度を政府の責任で導入すべきではないか、見解を伺いたい。
 今回の改正案では事業主側の義務として様々な負担が増加することになりますが、この負担増を望まない企業側が正社員雇用をできる限り減らして派遣社員やフリーランスに置き換える動きが起こるかもしれない。育児、介護に関して事業主側に過重な負担を強いる余りに、肝腎の雇用の安定が損なわれては元も子もないのです。この防止策や事業主に向けた支援等について厚労省としてどのように考えているか、説明を求めたい。
 日本維新の会は、育児や介護を始めとした家庭の様々な状況に国民それぞれが直面したとき、それらの個別事情によらず一定の所得が確保できるよう、給付付き税額控除の導入を掲げています。個々のパッチワーク的な政策ではなく、このような抜本的な構造改革が我が国全体の持続可能性を高めるために必須であることを強く申し上げて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣武見敬三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 猪瀬直樹

speaker_id: 12449

日付: 2024-05-10

院: 参議院

会議名: 本会議