石垣のりこの発言 (本会議)

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○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。
 会派を代表して、子ども・子育て支援法等改正案について質問いたします。
 子供、子育てに関わる法律案の審議に先立ち、まず、国権の最高機関たる国会を構成する一議員としての、また、子供の手本となるべき大人としての姿勢を問いたいと思います。
 自民党の派閥の裏金事件を受け、参議院の政治倫理審査会では全会一致で裏金議員三十二人に対する審査の実施が議決されています。しかし、これまで弁明したのは僅か三人です。残る二十九人への再度の意思確認に対し、全員が欠席の意向を示していることが明らかになりました。
 岸田総理は、多くの裏金議員が審査会への出席を拒んでいることについてどのようにお考えでしょうか。議員としての説明責任は果たされていると思われますか。御見解をお願いいたします。
 さらに、政治改革の要となる政治資金規正法の改正について伺います。
 与党内での事前協議が調わず、自民党単独で改正案が提出されるとの報道があります。このことは、まさに自民党案が政治と金をめぐる問題を根絶するための抜本的改革につながらないことの証左ではないでしょうか。
 総理として、自民党総裁として、政治と金について国民の中にある政治不信を払拭し、再発防止につながる実効性のある改革を強く指示すべきではないですか。総理に御見解を伺います。
 なお、国会の専権事項たる憲法改正について党総裁の立場で踏み込んだ答弁をされている岸田総理におかれましては、本件に関して国会のことは国会でお決めになることといった御都合主義の答弁は通用しないと申し添えておきます。
 一九八九年、平成の始まりの一・五七ショックから三十五年です。本法案は、昨年提出されたこども未来戦略の加速化プランを実施するための法改正と位置付けられ、異次元の少子化対策の中心を担うものです。
 岸田総理は、昨年の年頭、若年人口が急激に減少する二〇三〇年代に入るまでが少子化トレンドを反転できるラストチャンスだ、持てる力を総動員してスピード感を持って取り組むと述べられました。次元が違う、持てる力を総動員してと大言壮語を吐いたにもかかわらず、蓋を開けてみれば、表向き予算規模こそ倍増していますが、内容はこれまでの子育て政策の焼き増し、あるいは我が党が何年も前から要望してきた政策の詰め合わせにすぎず、肩透かしを食らったというのが正直なところです。
 岸田総理が総理に就任された二〇二一年十月八日の所信表明演説では、いまだに内容がよく分からない新しい資本主義を実現する柱の一つとして、少子化対策に言及しておられます。しかし、この段階では次元が異なるには至っておりません。
 総理は、いつから次元の異なる少子化対策の必要性を認識されたのでしょうか。また、二〇三〇年代に入るまでが少子化トレンドを反転できるラストチャンスとされていますが、これから二〇三〇年代に入るまでの五年間のうちに何がどのような状態になることが少子化トレンドが反転した状態と判断するのか、総理、具体的にお答えください。
 こども未来戦略では、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造、意識を変える、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援するという三つの基本理念を挙げています。これは、裏を返せば、一九九四年のエンゼルプランに始まり、今日まで幾多の少子化対策を行ってきたにもかかわらず、解決できていない課題と言い換えることができます。すなわち、若い世代の所得が増えず、社会全体の構造や意識は旧態依然としており、所得制限、縦割り行政や地域格差などによって支援の対象が限定されたり、支援が途切れ途切れで当事者にとって使いづらいものであったということです。
 まずは、若い世代の所得を増やすことができなかった理由について伺います。
 総務省労働力調査詳細集計によれば、雇用に占める非正規の割合は、一九九五年から二〇〇五年にかけて正規労働者は四百四万人の減少、非正規労働者は六百三十三万人増加しています。この時期は、一九九三年から二〇〇五年にかけてのいわゆる就職氷河期と重なります。
 なぜこの時期に非正規雇用が一気に増加したのか、度重なる労働派遣法改正との関連も踏まえて、岸田総理、お答えください。
 また、総務省の二〇一九年労働力調査では、非正規雇用の七五%が年収二百万円以下、二百万円から三百万円未満が一五%です。非正規雇用で働かざるを得ない人々にとって結婚や子供を持つことは、経済的にも、ひいては心理的にもハードルが高くなることは容易に想像できます。雇用に占める非正規の割合は今や四割です。
 非正規雇用の大幅な拡大は、政府が日本経済再生への戦略とののろしを上げ、経済界とタッグを組んで雇用の流動化を進めてきたことにあり、若い世代の所得が増えなかったどころか減少した主たる理由であり、少子化の理由の主な要因であると考えますが、総理の見解を伺います。
 二点目として、社会全体の構造、意識を変えることについて伺います。
 こども未来戦略では、子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境があり、今も根強い固定的な性別役割分担意識から脱却することが少子化対策の課題として示されています。
 固定的な性別役割分担意識が今も根強い理由をどのように分析していますか。また、意識を変えるために何が重要であると考えますか。さらに、御自分が固定的な性的役割分担意識が強いと感じておられますか。イエスであれば、どのような場面でそう感じるか、岸田総理、加藤大臣、お答えください。
 結婚して姓を変える人は女性が圧倒的に多く、二〇二二年時点で全体のおよそ九五%を占めます。
 結婚したら妻は夫の姓になるものという意識も固定的な性別役割分担の一つと捉えられると考えますが、岸田総理の見解を伺います。
 また、社会全体の意識改革や働き方改革を正面に据えた総合的対策として、早々に選択的夫婦別姓制度を導入すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 こども未来戦略の基本理念の三点目、全ての子供、子育て世帯への切れ目ない支援の一つとして、今回、児童手当の支給期間を中学生までから高校生年代までとし、支給要件から所得制限を撤廃したことは評価できます。もっとも、立憲民主党は、親の収入によって支援の対象から外されるということはこどもまんなかに反すると、これまでも再三申し上げてきた次第です。
 岸田総理、御党自民党は、所得制限なしの児童手当にかたくなに反対されていたのではありませんか。かつての民主党政権下、所得制限なしの子ども手当をばらまきだと批判し、政権復帰後に所得制限がある児童手当を復活させたにもかかわらず、今回、所得制限を撤廃した理由をお聞かせください。
 共働き、共育ての推進ということで、両親共に育児休業を取得した場合の給付の創設は、所得の減少を理由に育児休業取得をためらう状況を改善するためにも必要であると考えます。一方で、育児休業の取得に関し、代替要員の確保が困難であると回答した事業者が七割を超えるという東京都の調査結果もあります。
 そもそも圧倒的な人手不足の中、後顧の憂いなく育児休業を取得するようにするための施策について岸田総理に伺います。
 多くの職場では慢性的な人手不足にあえぎながら、生産性向上の掛け声の下、一層の努力が求められています。努力が報われるだけの賃上げが実現すればまだしも、実質賃金は二十四か月連続でマイナス、比較可能な一九九一年以降で過去最長を更新しました。今や結婚や出産は高所得者の特権とまで言われる時代になり、子育て中の親が職場などで配慮を受けていることを特別扱いのように捉え、やゆする意味で子持ち様という言葉まで生まれています。また、内閣府が二〇二一年に公表した少子化社会に関する国際意識調査によりますと、子供を産み育てやすい国だと思うかとの質問に、そう思わないと回答した割合は、欧州各国では二%から一七%だったのに対し、日本では何と六割にも達しています。
 岸田総理と加藤大臣は、このような子持ち様言説をどのように捉え、どのような対応が必要と考えますか。
 続いて、子ども・子育て支援金について伺います。
 これまでの議論でも、公的医療保険の仕組みを使って支援金を徴収するのは目的外使用であるとして、その制度設計の問題が指摘されています。しかしながら、岸田総理は、子ども・子育て支援金制度を、社会全体の連帯の理念の下に、全世代、全経済主体で支える仕組みと捉え、保険料と合わせて徴収することの正当性を主張しています。
 この考え方を採用するならば、公的医療保険制度の存立基盤である全世代、全経済主体を守る、存続させるという大義をもって、例えば安全保障に係る財源を公的医療保険制度を使って徴収することも可能になってしまうのではありませんか。本来の公的医療保険制度をゆがめる禁じ手であると考えますが、総理、明確にお答えください。
 また、財源確保に当たっては、徹底した歳出改革を掲げています。徹底した歳出改革とは何でしょうか。具体的にお示しください。また、徹底した歳出改革は新たな負担増を生じさせないと言い切れますか。歳出改革と同時に賃上げも示されていますが、賃上げすれば、上げ幅に比例して社会保険料の負担は増えるのではありませんか。
 徹底した歳出改革による負担減と賃上げによる収入の上乗せ、それによる社会保険料の負担増、さらに、子ども・子育て支援金の負担増をトータルで見たときに、現状よりも負担は増えることも想定されるのではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 負担が増えるのは子ども・子育て支援金だけではありません。出産育児一時金は、昨年四月に四十二万円から五十万円に引き上げられました。七十五歳以上が加入する後期高齢者医療制度から費用の一部を回す仕組みが今年度から導入されており、一時金の七%を後期高齢者医療制度で負担、今年度と来年度は激変緩和措置で負担額は半額となる措置がとられています。
 この出産育児一時金の引上げ分について、今年度と来年度において後期高齢者の負担額は月幾ら増えているのでしょうか。また、激変緩和措置が終了する二〇二六年度以降は幾らになるのか、武見厚労大臣、具体的にお示しください。
 保育所における四、五歳児の配置基準が七十六年ぶりに見直されました。遅きに失したことは否めませんが、改善されたことは一歩前進です。
 配置基準の増員は必要であるものの、一方で、保育士の確保はこれまで以上に園の死活問題です。その弱みに付け入るように、悪徳な職業紹介事業者が保育士を紹介し、保育所は高額の紹介手数料や成約料を支払って採用しても、すぐに退職されてしまうなどの事例が問題になっています。厚労省は職業紹介事業者の認定制度を設けるなどして対応に当たっていますが、根本的な解決策にはなっていません。
 保育の質を保ち、安定的な人材を確保するためには、ハローワークなどの公的機関が人材を紹介し、保育士の採用に際して保育所に過度な負担を掛けるべきではないと考えますが、岸田総理の御所見を伺います。
 教育費はもちろん、経済的負担が大きい項目として、ランドセルや教材費、制服などの隠れ教育費負担が挙げられます。総理、こうした負担を軽減する施策についても検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、岸田総理は、こども未来戦略会議において、学校給食費の無償化に向けて、全国の実態を調べた上で具体的方策を検討するとの方針を掲げましたが、検討状況の進捗はどうなっていますか。給食費無償化こそ真っ先に実現すべき子ども・子育て政策であると考えますが、いかがでしょうか。
 妊娠、出産という極めて私的な事柄は、同時に、国家や社会の成立基盤そのものに関わる公的な課題と交錯しています。政治ができること、すべきことは、結婚も出産も希望する人が希望するときにかなえられるような社会を実現することです。あくまで選択は個人に委ねられています。こども未来戦略における、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造、意識を変える、全ての子供、子育て世代を切れ目なく支援するという三つのポイントに通底するのは、基本的人権を守るという一点にほかなりません。
 選択的夫婦別姓も同性婚もいつまでたっても認められない、外国人の人権も守れない、大勢の子供や女性が虐殺されているガザでのジェノサイドに明確な抗議の声を上げることもできない、こうした人権軽視の旧態依然とした政治に私たちは終止符を打ち、閉塞感にさいなまれた社会に風穴を空けるべく全力を尽くすことをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 石垣のりこ

speaker_id: 10953

日付: 2024-05-17

院: 参議院

会議名: 本会議