岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 石垣のりこ議員の御質問にお答えいたします。
まず、政治倫理審査会への出席と説明責任についてお尋ねがありました。
個々の議員においては、説明責任を果たす観点から、これまでも様々な機会を捉えて説明が行われてきたと承知しておりますが、これは引き続き、それぞれの議員が、自らの置かれた状況をよく省みて最も適切な方法を判断し、そして国民の疑問に可能な限り丁寧な説明を続けることは重要であると考えております。その上で、政倫審への出席については、国会のルールとして議員の意思が尊重されるものであると承知をしております。
政治資金規正法の改正についてお尋ねがありました。
自民党においては、政治と金の問題に対する抜本的解決策として、私の指示の下、政治家の責任の強化、外部監査の強化、オンライン化による透明性の向上、政策活動費の透明性向上、政治団体間の資金のやり取りの適正化、政治資金パーティー券の購入者の公開基準の引下げ、また政治資金パーティー券の販売における銀行振り込みの徹底など、幅広い点において改正を提示したところです。こうした方向性については与党間でも合意ができており、制度面で実効性のある再発防止策を提示したものであると考えております。
今後、各党と真摯に協議を行い、政治の信頼回復に取り組んでまいります。
少子化対策の必要性の認識等についてお尋ねがありました。
令和三年の所信表明演説においても少子化対策を進める旨明確に述べており、その上で、令和四年の出生数が八十万人を割り込んだことも踏まえて、昨年一月の年頭会見において、こども家庭庁の発足を待つことなく、次元の異なる少子化対策を進める、この旨述べました。
また、政府としては、個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させることを目標としています。これは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより、希望がかなえられてその差が小さくなり、結果として出生率が向上し、少子化の流れに歯止めを掛けようということであります。
少子化と非正規雇用との関係においてお尋ねがありました。
御指摘の一九九〇年代後半から二〇〇〇年代前半にかけての非正規雇用の増加については、バブル崩壊以降の雇用環境が厳しい時期に非正規雇用で就業する若年層が増加したこと等がその背景にあると考えています。また、近年の非正規雇用労働者数の増加は、高齢者や女性の多様な就労増加が、就労参加が進む中で増加してきた面もあると考えております。
そして、労働者派遣制度についてお尋ねがありましたが、労働者派遣制度については、これまで労働者保護を図りながら多様な働き方を選択できるよう必要な制度整備を行ってきたところであり、役員を除く雇用者に占める派遣労働者の割合は、二〇二三年平均で二・七%であることからも、我が国全体の非正規雇用割合の増加の主な原因を派遣労働に求めることは必ずしも適当ではないと考えております。
一方、若い世代の雇用や所得などの経済的基盤の問題は少子化の要因の一つであると認識をしており、最重要課題である賃上げを持続的、構造的なものとするための三位一体の労働市場改革に取り組むとともに、同一労働同一賃金の徹底、また希望する非正規雇用労働者の正社員転換に向けた支援、これらの政策を進めてまいります。
固定的な性別役割分担意識と選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
固定的な性別役割分担意識として指摘されるものには様々なものがあると承知しておりますが、一般論として申し上げれば、こうした意識の形成には教育、親、家族、社会、メディア等から受ける影響など多様な要素が絡んでおり、また、往々にして幼少の頃から長年にわたり形成されることが多いと認識をしております。
このため、固定的な役割分担意識の解消に向けては、意識啓発などの取組に加え、そもそも幼少期から性別に基づく固定観念を生じさせないことも重要です。私自身としても、常々、固定的な性別役割分担意識を持たないよう心掛けているところであります。政府としても、意識啓発など粘り強く取り組んでまいります。
また、選択的夫婦別氏制度の導入については、様々な意見を真摯に受け止めながら、国会において議論を進めていただき、その中で具体的な制度の在り方を含め、建設的な議論をしていただくことが重要であると認識をしております。
児童手当の所得制限についてお尋ねがありました。
現在の所得制限は、平成二十三年の民主党、自民党、公明党の三党合意に基づき、限られた財源の中で支援を重点化するなどの観点から設けられたものと承知をしております。
三党合意から十年以上が経過し、この間、様々な少子化対策を実施してきましたが、少子化傾向には歯止めが掛かっておりません。
危機的状況にある少子化傾向を反転させるため、こども未来戦略において、全ての子供、子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援することを基本理念とした上で、児童手当について、次代を担う全ての子供の育ちを支える基本的な経済支援として位置付けることを明確化し、所得制限を撤廃するなどの抜本的拡充を行うことといたしました。
そして、人手不足の中で育児休業を取得できるようにするための施策についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、周囲に気兼ねなく育児休業を取得できるようにするためには、育児休業中の業務を代替する体制整備への支援が重要となります。このため、育児休業中の業務を職場内でカバーすることができるよう、令和六年一月から両立支援等助成金に新たなコースを新設し、育児休業中の労働者の業務を代替する周囲の労働者に対して中小企業事業主が手当を支給する場合などの助成措置、これを大幅に強化をいたしました。そして、これと併せて、人手不足に対しては省力化投資の支援、年収の壁・支援強化パッケージなど、必要な政策を講じてまいります。
こうした取組を進めることによって、育児休業を取得しやすい職場づくりに向け、企業や周囲の労働者の支援に取り組んでまいります。
そして、子供、子育てを取り巻く環境についてお尋ねがありました。
我が国の社会全体の意識、雰囲気が子供を産み育てることをためらわせる状況にあり、子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境を改善していく必要があります。
このため、加速化プランにより三・六兆円規模という前例のない規模で政策を強化することと併せて、制度や施策を充実するだけではなく、それが社会や職場で活用されるよう、社会全体で子供、子育て世帯を応援する機運を高めていく取組が重要であると考えており、この社会の構造、意識の改革を車の両輪として進めてまいります。
子ども・子育て支援金制度や徹底した歳出改革等についてお尋ねがありました。
社会保険料は、各社会保険制度の目的を超えて何にでも充てられるというものではありません。支援金については、急速な少子化、人口減少に歯止めを掛けることが医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤として重要な受益となることから、社会保険料と整理をし、医療保険と合わせて拠出いただくこととしたものですが、こうした関連性がない安全保障等の財源に社会保険料を充てられるものではないと考えております。
また、徹底した歳出改革の具体的な内容については、昨年末閣議決定した改革工程において、窓口負担の見直し、医療提供体制の効率化、介護分野におけるICTの活用など幅広いメニューが列挙されておりますが、これらは一義的には社会保障の持続可能性を高める観点から記載されたものであり、これらのメニューの中から実際に取組を検討、実施するに当たっては、必要な保障が欠けることがないよう、見直しによって生じる影響を考慮しながら丁寧に検討を進めてまいります。
これまでは歳出改革としては主に公費節減の効果に着目をし、保険料負担の軽減効果には具体的なメルクマールを設定しておりませんでしたが、今回は社会保障負担率という具体的なメルクマールを設け、歳出改革によって社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することを基本とすることとし、支援金の導入によっても社会保障負担率は上がらないことを、国民に新たな負担を求めないことのあかしとしてお約束したいと考えております。
その上で、賃上げによって雇用者報酬の伸びが高まれば、社会保障負担率の一層の軽減につながり、支援金の導入のために社会保障負担率が上昇しないことを確実にすることから、政府として賃上げに総力を挙げて取り組んでいくこととしている次第であります。
そして、安定的な保育人材の確保についてお尋ねがありました。
保育人材の確保に当たっては、ハローワークや各都道府県等に設置されている保育士・保育所支援センターといった公的機関の役割、非常に重要であると考えています。
ハローワークにおいては、全国の主要なハローワークに医療、介護、保育分野等の専門コーナーを設け、求人充足に向けた助言や指導、また職場見学会等を通じた求職者の確保、こうした取組を進めております。
また、保育士・保育所支援センターにおいては、令和六年度予算において、保育所等への見学同行など、伴走支援の拡充を行ったところです。
引き続き、こうした公的機関の強みを生かして保育人材確保の取組を進めてまいります。
教育費の負担軽減についてお尋ねがありました。
今回の加速化プランにおいては、児童手当の抜本的拡充や高等教育の負担軽減、児童扶養手当の拡充など、長年指摘されながら実現することができなかった子育て世帯への経済的支援の強化に取り組むこととしています。
その上で、ランドセルを含む学用品費や教材費、制服代、学校給食費等については、家庭の経済状況が厳しい児童生徒への支援として、生活保護による教育扶助や就学援助を通じて実施しており、引き続き保護者の教育費負担を軽減してまいります。
また、学校給食費の無償化については、現在、全国ベースの実態調査を実施し、取りまとめ中であり、その結果の公表を六月までに行った上で、制度面等も含め課題を整理し、結論を出してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣加藤鮎子君登壇、拍手〕