古賀千景の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○古賀千景君 立憲民主・社民の古賀千景です。
 私は、会派を代表して、令和四年度決算並びに国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況総計算書の是認及び内閣に対する警告案に賛成の立場から討論を行います。
 本題に入る前に一言申し上げます。
 参議院では、国会で成立した予算について、その執行状況を把握、評価し、次期予算編成に適切に反映させることを重視してきました。それが決算の参議院と言われるゆえんです。今年も、決算審査の内容を来年度の予算の概算要求へ反映させるべく、与野党の努力によりこの通常国会中に審議を終えることができたことに対し、関係各位に敬意を表したいと思います。
 一方、決算審査の結果に対する政府の姿勢には疑問が残ります。
 参議院では、毎年度、決算を議決するに当たり、政府が行った不当、不適正な事象や非効率的な予算執行等に対し、遺憾の意を込めて警告決議を行っております。決算委員会においては、これとは別に措置要求決議も行っております。こうした決議に対し、政府は講じた措置を国会に報告していますが、本当に適切な措置をとり、将来の予算や行政の執行につなげているのでしょうか。
 与野党の努力により決算審査を充実させたとしても、政府が適切な措置をとらなければ、決議項目を始め、質疑においてなされる様々な指摘も実効性を伴いません。国民からお預かりしている大切な税金は、国民の幸せのために有意義に使われなければなりません。お札が紙に見える、金額が単なる数字に見える、そんな使われ方がなされてはなりません。政府の真摯な対応を改めて強く求めます。
 それでは、以下、令和四年度決算に反対の理由を述べます。
 第一の理由は、財政健全化に対する政府の姿勢が不誠実な点です。
 政府は、本年一月に内閣府が公表した中長期の経済財政に関する試算において、目標としている二〇二五年度の国と地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化が視野に入るとしています。しかしながら、令和四年度一般会計のプライマリーバランスを見ると、決算ベースで二十三・六兆円の赤字であり、コロナ禍前の水準には戻っていません。当初予算と比べても、二度にわたる補正予算の編成によって十・六兆円も赤字幅が拡大しています。公債依存度も三八・一%と依然として高い水準にあり、より真剣な歳出改革が求められます。
 四年度決算では二・六兆円の決算剰余金が発生しましたが、これは税収などの上振れ分三・三兆円と、いわゆる予算の使い残しである不用額十一・三兆円の合計額十四・六兆円から、発行を取りやめた国債十二兆円を引いた金額です。このうち十四・六兆円はその年度の経済状況や事業の実施状況に応じて決まる数字ですが、不用額は過去最大となっており、そのうち三割は予備費の不用額が占め、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費一兆円に至っては全く使われませんでした。
 一方の十二兆円、すなわち国債の発行取りやめ額は、税収や不用額の発生状況を踏まえて政府は調整することができます。したがって、仮に国債の発行取りやめ額を可能な限り十四・六兆円に近づけていれば、決算剰余金が減少する代わりに、その分だけ国債発行を行わずに済んだのです。可能な限り国債発行を取りやめることで一層の財政健全化を進められるにもかかわらず、決算剰余金を膨らませ、まるで余り金のように見せかけて巨額の五年度補正予算や防衛力整備計画対象経費の財源に充てた政府の姿勢は不誠実であると言わざるを得ません。
 第二の理由は、決算情報の開示にいまだ後ろ向きな姿勢でいることです。
 国の決算書では、当初予算や補正予算と予備費が一体となった歳出予算現額の執行状況しか記載されないため、予備費使用額を財源とする額を区別して確認することができません。
 この問題について、かつて鈴木財務大臣は、予備費のみを区分管理することについては、予算の不足を補うという予備費の性格や各省庁の執行管理が複雑化することによって追加的事務負担が生じ得るなど実務上の課題があり、予算執行の効率性を損ないかねない等の観点から慎重に検討すべきであると答弁していました。しかし、決算委員会からの要請を受けて会計検査院が検査した結果、コロナ関係予備費に関しては、各府庁は管理簿を作成して事業単位で予算の執行管理を行っており、予備費使用相当額の執行状況を区別できるようになっていた事態が明らかになりました。
 事実との整合性が取れていない答弁がなされたことについて再度問われた大臣は、一般論としての実態を述べたと説明しましたが、管理簿の存在を知らなかったのでしょうか。知っていながらそのような答弁でよいと考えたのならば、国会を軽視し過ぎます。
 更に言えば、一般論として、執行管理の複雑さや追加的事務負担があるとしても、なぜそれを解消するために取り組もうとしないのでしょうか。これこそ、まさにAI技術やデジタルトランスフォーメーションの活用によって解決するにふさわしい課題ではないでしょうか。
 政府は、資産所得倍増プランを掲げて国民の貯蓄を投資につなげようと働きかけていますが、投資家にとっては企業の決算が重要であることは言うまでもありません。投資に関わる国民が増えれば、企業決算の見方と同様に、納税者として国の決算や事業の成果に対する見方もこれまで以上に厳しくなるでしょう。企業の決算情報の開示は重要でも、国の決算情報の開示については大目に見てくださいなどという姿勢が通用するはずがありません。
 第三の理由は、この国の将来に不可欠な教育の充実に対する取組が不十分な点です。
 学校現場では教職員不足が大きな問題となっています。担任がいない学級も少なくありません。そんな中、スクール・サポート・スタッフ等の外部人材は学校の中でも大きな力になっており、盛山文科大臣の所信でもスクール・サポート・スタッフの小中学校全校配置を明言しています。
 しかし、財務省の財務制度等審議会による令和六年度予算の編成等に関わる建議では、外部人材の人数、予算を大幅に拡充してきたにもかかわらず、十分な成果が出たとは言い難いと指摘されました。五月に出された建議でも、公立学校教員の給与を改善するための財源を既存予算や財政優遇の見直しで捻出するよう求めました。文部科学省が教職員や外部人材の増員は必要で効果があると言っているにもかかわらずです。
 教職員不足により教職員が疲弊していくような働き方が教職員の心の余裕を失わせ、命と健康を奪っています。先日、福岡では、初任者の自死も報道されました。教職員が足りない、それをほかの教職員でカバーし合い、次はそのカバーした教職員が倒れていく。こんな負のスパイラルです。
 この状況は、今まで財政縮小のために学校の教職員を正規採用として採用せずに、臨時採用や会計年度任用職員として大量に採用してきたことに原因があります。政策の失敗です。
 このことは子供たちにも大きな影響が出ています。子供たちのいじめ、暴行、不登校の件数は過去最高、自殺件数は過去二番目と高止まりしています。これから国を担っていく子供たちが苦しんでいます。合理性や効率性を中心に考えては学校教育は成り立ちません。
 ほかにも、能登半島地震により被災した子供たちへの教育支援、GIGAスクール構想に必要な支援の充実など、取り組むべき課題は山積しています。政府は教育の充実に向けて真摯に取り組むべきです。
 OECDの発表によれば、日本の二〇一九年におけるGDPに占める教育機関への公費支出の割合は二・八%と、データのある加盟三十七か国中三十六位。低過ぎます。この国の将来のために教育予算を付ける。教育にお金を掛けない国は滅びます。
 最後に、決算重視の参議院において、立憲民主・社民は、これからも行政に対して厳しく意見し、改善を求めていくことを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 121315254X02620240612_004

発言者: 古賀千景

speaker_id: 6522

日付: 2024-06-12

院: 参議院

会議名: 本会議