高木かおりの発言 (本会議)
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○高木かおり君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の高木かおりです。
私は、地方自治法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
本改正案の大きな柱は、DXの進展を踏まえた対応、地域の多様な主体の連携及び協働の推進、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例の三点ですが、それぞれについて賛成の理由と制度運用に当たっての我が会派の意見を申し上げます。
まず、DXの進展を踏まえた対応に関して申し上げます。
先日、民間の有識者グループが将来的に消滅の可能性がある自治体を公表し、各種報道で大きく取り上げられました。これら地域の人口減に対処することは喫緊の課題でありますが、しかし同時に、日本全体で人口減を前提としたシステムづくりを進めることも重要です。
そのために、全体的な最適化を図りながら、デジタル技術を活用して業務改革を飛躍的に進めるべきとする第三十三次地方制度調査会の指摘は的を得たものだと言えます。また、eLTAXの活用範囲を拡大することはデジタル歳入庁にもつながりますし、地方のDX推進にとって重要な一歩であると言えます。
しかし、システム間の相互連携の強化には落とし穴もあります。例えば、システム内に一か所でも脆弱性があると、影響が全体に及ぶこととなります。その結果、サイバー攻撃を受けた際の被害もそれだけ甚大なものとなるでしょう。
附帯決議に盛り込まれたように、国と地方、関係行政団体が連携し、日本全体でセキュリティーを強化すること、また、そのために国がセキュリティーの状況を適切に把握し、的確に助言を行うことが極めて重要である旨指摘させていただきます。
また、サイバーセキュリティーを強化するためには、デジタル人材の充実が欠かせません。しかし、近年の人手不足を背景に、民間ですらデジタル人材の採用には苦慮しています。このまま手をこまねいていては、DXの推進だけではなく、既存のシステムの管理もままならないでしょう。
このような状況を打開すべく、地域の創意工夫によって専門人材を確保する取組が進められています。例えば、広島県では県と市町村でデジタル人材を共通採用し、人材をシェアする取組が生まれています。このように、採用方法や職務内容を見直すことで、デジタル人材にとって効率的でやりがいのある仕事を創造する必要があります。国は、全国の事例に目を配り、適時適切な助言をすることが求められています。
次に、地域の多様な主体の連携及び協働の推進について申し上げます。
さきに述べた消滅可能性自治体の公表では、十年前と異なり、人口を吸収してしまうブラックホール型自治体の存在が新たに指摘されました。都市と地方の人口流入の不均衡や出生率の不均衡はこの十年間で拡大していますが、この不均衡を是正することは、一地方のみならず日本全体の課題であると言えます。
しかし、都市部よりも地方、特に農村部の方が自治会の加入率が高いなど、地域の公共を担う活動が活発である傾向にあることは周知の事実です。人口減少が進む局面だからこそ、地域に積極的に貢献しようとする住民の活力を無駄にしてはなりません。行政と住民の間で有する資源を融通し、共同で活用する取組を推進することで、公と民の連携を強化することが期待されます。
ただし、多様な主体の中心である自治会の加入率が減少傾向にある事実は見逃せません。地方や農村部では高齢化が急激に進行する中で、行政との協力が多様な主体にとって過大な負荷となり、組織力を弱めることのないように目を配る必要があります。
また、行政財産の貸付けや随意契約による事務委託を可能とすることや、国の法律を基に地方が条例で定める随意契約のルールを崩すことは、過剰な便宜の供与につながるのではないかとの声もあり、多様な主体が自律した運営を維持できるようにするための工夫が不可欠です。
本改正案では、民主的で透明性の高い運営を確保するためのルールは条例で定めることとなっています。自治体と多様な主体の間で緊張感のある関係が維持できるよう、取組を慎重に見守っていく必要があります。
最後に、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例について申し上げます。
個別法に規定されていない事態に対する規律を平時から整備しておかなければ、かえって国民の権利や自由がなし崩し的に制限されることがコロナ禍の様々な局面で明らかとなりました。身近な例でいえば、感染拡大当初にはマスク問題がありました。同調圧力でマスクの着用を強制することへの可否が国会を巻き込んで議論されたことは今でも思い起こされます。
また、非常時における分散している医療資源の再配置も問題となりました。新型インフルエンザ等対策特措法三十一条に基づく医療等の実施の要請、指示は個人の医療関係者を対象としており、適用の場面が極めて限定されていました。そのため、我々は病院等の医療機関も対象となるよう求めてきましたが、今のところ実現してはおりません。
コロナ禍のように現行法に定めのない状況においては、既存の法律に権限が明示されず、法の不存在の中、国も地方自治体も手探りで動かなければならないことも想定されます。これらの事態を法の支配の下に押しとどめるべく、民主的統制の下、平時と有事を切り替えることのできる複線的な統治システムが必要であると我々は考えます。法案は、そのような場面における国と地方の権限の明確化につながり、意義のあるものであります。
しかし、課題もございます。委員会で度々議論となったのは発動要件の曖昧さですが、我が会派も問題意識を持ち、政府に度々質問してまいりました。
総務大臣は六月六日の委員会で、補充的指示権に関して、現時点で想定し難い国民の生命等を守るために必要な措置であって、かつ個別法に規定がない場合に限り、限定的な要件、適正な手続の下、自治体と情報共有、コミュニケーションを図った上で慎重に発動されるものと述べ、平時に用いるものではないと明言しました。
附帯決議にも、当該指示以外の措置では目的を達成することができないと認められる場合に限定してこれを行うとすることが盛り込まれました。政府は、本決議に従い適切に指示権を行使することを強く求めます。
また、我々は、我が国の緊急事態対応が個別法中心であることを考慮し、補充的指示権の行使後に各大臣はその旨及び内容を国会に報告するものとする修正案を衆議院で提出いたしました。補充的指示権が行使された後の国会報告において、立法府の無為無策により同様の指示権行使が繰り返されることのなきよう、我が会派は積極的に個別法の改正論議に参加することをお約束いたします。
ただし、補充的指示権のみでどのような事態にも対応できるわけではありません。発災時に初動を担うのは現場を持つ各自治体です。重要なのは、既知の事態に対しては首長が中心となって対応を行い、そうでない事態に対しては国が責任を持って対処方針を決定するという役割分担ではないでしょうか。国の責任と国、地方の役割分担の明確化、そして地方への権限、財源の移譲、どちらもそろって初めて国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に十分に対応できるものと考えます。
るる述べてまいりましたとおり、これら三つの柱はコロナ禍で明らかになった課題に対処し得るものだと我々は認識しています。今後もこれらの制度が適切に運用されるよう注意深く見守っていくことをお誓いし、賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)