本会議

2024-06-19 参議院 全42発言

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会議録情報#0
令和六年六月十九日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十八号
  令和六年六月十九日
   午前十時開議
 第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第二 漁業法及び特定水産動植物等の国内流通
  の適正化等に関する法律の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 消費生活用製品安全法等の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 学校設置者等及び民間教育保育等事業者
  による児童対象性暴力等の防止等のための措
  置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 子どもの貧困対策の推進に関する法律の
  一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第六 政治資金規正法の一部を改正する法律案
  (衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
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尾辻秀久#1
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
 日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長新妻秀規君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔新妻秀規君登壇、拍手〕
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新妻秀規#2
○新妻秀規君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、公金の収納事務のデジタル化及び情報システムの適正な利用等のための規定の整備を行うとともに、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例の創設、地域の多様な主体の連携及び協働を推進するための制度の創設等の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院において、各大臣が生命等の保護の措置に関する指示をした場合に、その旨及びその内容を国会に報告する規定を設ける修正が行われております。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、本法律案の立法事実と地方自治の本旨や地方分権改革との整合性、補充的な指示に関する要件の明確化、地方公共団体との事前協議及び国会の関与の重要性、指定地域共同活動団体の制度運用の在り方、地方公共団体における情報セキュリティ確保の取組等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して小沢雅仁理事より反対、日本維新の会・教育無償化を実現する会を代表して高木かおり委員より賛成、日本共産党を代表して伊藤岳委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。拍手
    ─────────────
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尾辻秀久#3
○議長(尾辻秀久君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。小沢雅仁君。
   〔小沢雅仁君登壇、拍手〕
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小沢雅仁#4
○小沢雅仁君 立憲民主・社民の小沢雅仁です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました地方自治法改正案に反対の立場で討論を行います。
 反対の理由の第一は、大規模な災害、感染症のまん延など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態であれば個別法に規定がなくても国が自治体に必要な対策を指示できるようにする、いわゆる補充的指示権などの特例は、想定できない事態をあえて想定したものであり、特例を規定するような法案の根拠となるべき立法事実がないことです。
 今回の改正案、法改正で補充的な指示権をつくり、国と自治体間で情報交換や情報流通する制度をつくったところで、ダイヤモンド・プリンセス号問題はどのように打開できたのか、全国一斉休校要請は法的根拠があればうまくいったのか。アベノマスクや、四日間連続で三十七・五度以上でなければ検査もできなかったことや、地方を無視し国の準備もできていなかったワクチン接種百万回の大号令も同様です。これらの事実関係の綿密な検証がない限り、今回の法改正はあり得ません。
 既存の災害法制が分権的な立て付けになっていて、それだから機能不全を起こしてコロナ対策がうまくいかなかったのではなく、既に十分集権的な要素があったにもかかわらず、それを上手に使いこなすことができなかった。あたかも法制の立て付けが悪いからそこに問題があるのだと落とし込んでいるのが今回の自治法改正案の最大の問題点です。
 反対の第二の理由は、いわゆる補充的指示権などの特例は、二〇〇〇年の地方分権改革一括法に基づき積み上げられてきた、国と自治体との関係を上下主従から対等協力に改めた地方分権改革の成果を無にして分権への流れを逆行させ、憲法九十二条の保障する地方自治の本旨に反することです。
 六月十一日の参考人質疑において、早稲田大学政治経済学術院の小原隆治教授は、新設第十四章の補充的な指示権は、国が自治体に対して余計なおせっかいをする、その道を開くものだという認識を示し、地方自治法第一条で国と地方公共団体との基本的な関係を確立し、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的としながら、新十四章で地方自治の本旨を否定する、つまり地方自治法自体が地方自治法を自己否定しているということに当たる懸念を強く持ち、端的に申して新設の第十四章は要らないと思っているとの見解を述べられました。
 反対の第三の理由は、指示権発動の要件が極めて曖昧な上に、発動の手続は閣議決定のみとなっており、事前の自治体との協議、調整の義務はなく、意見徴収も努力義務にとどまり、国会の関与もないなど、濫用が懸念され、自治体への国の不当な介入を誘発するおそれが高く、将来どんどん拡大解釈されるおそれがあることです。
 全国知事会を始めとする多くの関係団体から、拡大された国の指示権行使の際には事前に関係自治体と十分な協議、調整を行うことが求められていました。しかし、改正案には、事前協議、調整を義務とする規定はどこにも存在しません。あるのは、国が地方自治体から資料や意見を提出するよう求められる努力義務規定だけです。これでは、全国知事会を始めとする地方からの要求に真正面から答えたものでないことは明らかです。
 地方自治体の首長が地方分権への逆行や恣意的運用への懸念や反対の声が続々と上げられていること、さらには、地方議会が補充的指示権を含む本改正案の審議について慎重審議を求める意見が日に日に可決されています。
 松本大臣、さらには賛成される議員の皆さん、こうした地方の声を無視して法改正をしてよいのでしょうか。改めて立ち止まっていただくことを強く求めたいと思います。
 また、松本総務大臣が事前の国会の関与を認めない理由として説明しているのは、地方制度調査会では、事前協議をしていると緊急事態に対して機動性に欠いた対応しかできないので、国会の関与は要らなくて閣議決定でいいのだという議論であったと答弁されました。
 しかし、小原教授が今回の制度改正につながる地方制度調査会の一年分の議事録を全て点検したところ、機動性に欠けるという言葉が出てきたのは、山本委員長と田中行政課長が、機動性に欠けるという議論だったよね、はい、そうでしたねというやり取りのみで、公式記録上は機動性に欠けるから国会の関与は要らないんだとの議論はなかったのに、機動性に欠ける議論があったのだということで、国会の関与を弱めることは、国会の最高機関としての権限を損ないかねない重大な問題であると指摘されました。松本総務大臣はこの指摘にどう答えますか。
 反対の第四の理由は、本来、大規模災害や感染症への対処においては自治体と国が連携、協力することこそが大事であるにもかかわらず、補充的指示権、調整に関する指示、応援の指示のいずれも国が常に正しいとの前提で国の一方的指示に従う義務を自治体に課すものであり、自治体側の主体性や自発性をも損ない、現場の的確な判断や対処を妨げかねないことです。
 地方制度調査会の専門小委員会では、非平時として、自然災害、感染症、武力攻撃の三類型が議論されていました。想定していない事態とはどういう事態なのかをただしたところ、特定の事態を排除しないとしながら、武力攻撃事態では必要な規定を設けているから補充的指示権は想定していないとする一方で、大規模災害や感染症では、想定していない事態に対処するため補充的指示権が必要だとしているのも大きな矛盾です。武力攻撃事態対処法制で想定していない事態に対応できるというのであれば、大規模災害や感染症について必要な個別法改正で対応できるはずです。
 補充的指示権の要件や範囲も不明確で、おそれがあるなどの判断は全て各大臣に一任されています。事前の自治体との協議、調整の義務はなく、意見聴取も努力義務にとどまっており、実効性が担保されておりません。事前報告や事前承認など国会の関与もないなど、閣議決定のみで発動可能となっています。時の内閣の恣意的な判断で自治体に指示を行う余地を残すものであり、濫用が懸念されます。
 改めて申し上げます。
 二〇〇〇年の地方分権改革一括法により、国と地方は上下主従から対等協力の関係となり、機関委任事務制度も廃止されました。自治体に対する国の関与の原則も法定化され、必要な最小限度のものとするとともに、自治体の自主性及び自立性に配慮しなければならないとされました。違法な事務処理をした等の場合、是正の指示ができるのは法定受託事務のみで、自治事務については是正の要求までしかできないとされ、個別法に基づく指示も、あくまでも極めて抑制的に例外的なものとして可能としているにすぎません。
 今回の補充的指示権などの特例によって、国は自治体の自治事務の処理に対し、個別法の根拠規定なしに、違法等でなく緊急でない場合でも指示権の行使が可能になります。このことは、地方分権改革の成果を無にして上下主従への時代へと分権の流れを逆行させるとともに、憲法の保障する地方自治の本旨に反する問題です。
 立憲民主党は、今回の改正に対し憂慮する首長や有識者、関係労働組合、また立憲民主党自治体議員ネットワークや政令指定都市政策連絡会等との連携を強化し、最低限、指示権行使を極めて限定的にするため、国の地方への関与の原則の維持、自治体との事前協議、調整の義務化、国会の関与と事後検証の義務化という三点を柱にした修正を与党に求めましたが、全く受け入れられませんでした。
 憲法にある地方自治の本旨は、自治体は地域の運営に対して自己決定権を有しており、国が必要な範囲を超えて介入してはならないという原理があります。住民に身近な行政はできるだけ自治体に委ねること、防災、公衆衛生など、まさに住民に身近な行政は自治体の役割であり、これは自治体の矜持です。
 地方分権推進決議から三十年余、地方分権一括法から四半世紀となりますが、国からの地方への税財源の移譲を含め分権改革は道半ばです。立憲民主党は、真の地方自治の確立を目指し、地方分権、地域主権改革の推進に全力で取り組む決意を申し上げまして、政府案に断固反対の討論を終わります。拍手
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尾辻秀久#5
○議長(尾辻秀久君) 高木かおり君。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕
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高木かおり#6
○高木かおり君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の高木かおりです。
 私は、地方自治法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
 本改正案の大きな柱は、DXの進展を踏まえた対応、地域の多様な主体の連携及び協働の推進、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例の三点ですが、それぞれについて賛成の理由と制度運用に当たっての我が会派の意見を申し上げます。
 まず、DXの進展を踏まえた対応に関して申し上げます。
 先日、民間の有識者グループが将来的に消滅の可能性がある自治体を公表し、各種報道で大きく取り上げられました。これら地域の人口減に対処することは喫緊の課題でありますが、しかし同時に、日本全体で人口減を前提としたシステムづくりを進めることも重要です。
 そのために、全体的な最適化を図りながら、デジタル技術を活用して業務改革を飛躍的に進めるべきとする第三十三次地方制度調査会の指摘は的を得たものだと言えます。また、eLTAXの活用範囲を拡大することはデジタル歳入庁にもつながりますし、地方のDX推進にとって重要な一歩であると言えます。
 しかし、システム間の相互連携の強化には落とし穴もあります。例えば、システム内に一か所でも脆弱性があると、影響が全体に及ぶこととなります。その結果、サイバー攻撃を受けた際の被害もそれだけ甚大なものとなるでしょう。
 附帯決議に盛り込まれたように、国と地方、関係行政団体が連携し、日本全体でセキュリティーを強化すること、また、そのために国がセキュリティーの状況を適切に把握し、的確に助言を行うことが極めて重要である旨指摘させていただきます。
 また、サイバーセキュリティーを強化するためには、デジタル人材の充実が欠かせません。しかし、近年の人手不足を背景に、民間ですらデジタル人材の採用には苦慮しています。このまま手をこまねいていては、DXの推進だけではなく、既存のシステムの管理もままならないでしょう。
 このような状況を打開すべく、地域の創意工夫によって専門人材を確保する取組が進められています。例えば、広島県では県と市町村でデジタル人材を共通採用し、人材をシェアする取組が生まれています。このように、採用方法や職務内容を見直すことで、デジタル人材にとって効率的でやりがいのある仕事を創造する必要があります。国は、全国の事例に目を配り、適時適切な助言をすることが求められています。
 次に、地域の多様な主体の連携及び協働の推進について申し上げます。
 さきに述べた消滅可能性自治体の公表では、十年前と異なり、人口を吸収してしまうブラックホール型自治体の存在が新たに指摘されました。都市と地方の人口流入の不均衡や出生率の不均衡はこの十年間で拡大していますが、この不均衡を是正することは、一地方のみならず日本全体の課題であると言えます。
 しかし、都市部よりも地方、特に農村部の方が自治会の加入率が高いなど、地域の公共を担う活動が活発である傾向にあることは周知の事実です。人口減少が進む局面だからこそ、地域に積極的に貢献しようとする住民の活力を無駄にしてはなりません。行政と住民の間で有する資源を融通し、共同で活用する取組を推進することで、公と民の連携を強化することが期待されます。
 ただし、多様な主体の中心である自治会の加入率が減少傾向にある事実は見逃せません。地方や農村部では高齢化が急激に進行する中で、行政との協力が多様な主体にとって過大な負荷となり、組織力を弱めることのないように目を配る必要があります。
 また、行政財産の貸付けや随意契約による事務委託を可能とすることや、国の法律を基に地方が条例で定める随意契約のルールを崩すことは、過剰な便宜の供与につながるのではないかとの声もあり、多様な主体が自律した運営を維持できるようにするための工夫が不可欠です。
 本改正案では、民主的で透明性の高い運営を確保するためのルールは条例で定めることとなっています。自治体と多様な主体の間で緊張感のある関係が維持できるよう、取組を慎重に見守っていく必要があります。
 最後に、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例について申し上げます。
 個別法に規定されていない事態に対する規律を平時から整備しておかなければ、かえって国民の権利や自由がなし崩し的に制限されることがコロナ禍の様々な局面で明らかとなりました。身近な例でいえば、感染拡大当初にはマスク問題がありました。同調圧力でマスクの着用を強制することへの可否が国会を巻き込んで議論されたことは今でも思い起こされます。
 また、非常時における分散している医療資源の再配置も問題となりました。新型インフルエンザ等対策特措法三十一条に基づく医療等の実施の要請、指示は個人の医療関係者を対象としており、適用の場面が極めて限定されていました。そのため、我々は病院等の医療機関も対象となるよう求めてきましたが、今のところ実現してはおりません。
 コロナ禍のように現行法に定めのない状況においては、既存の法律に権限が明示されず、法の不存在の中、国も地方自治体も手探りで動かなければならないことも想定されます。これらの事態を法の支配の下に押しとどめるべく、民主的統制の下、平時と有事を切り替えることのできる複線的な統治システムが必要であると我々は考えます。法案は、そのような場面における国と地方の権限の明確化につながり、意義のあるものであります。
 しかし、課題もございます。委員会で度々議論となったのは発動要件の曖昧さですが、我が会派も問題意識を持ち、政府に度々質問してまいりました。
 総務大臣は六月六日の委員会で、補充的指示権に関して、現時点で想定し難い国民の生命等を守るために必要な措置であって、かつ個別法に規定がない場合に限り、限定的な要件、適正な手続の下、自治体と情報共有、コミュニケーションを図った上で慎重に発動されるものと述べ、平時に用いるものではないと明言しました。
 附帯決議にも、当該指示以外の措置では目的を達成することができないと認められる場合に限定してこれを行うとすることが盛り込まれました。政府は、本決議に従い適切に指示権を行使することを強く求めます。
 また、我々は、我が国の緊急事態対応が個別法中心であることを考慮し、補充的指示権の行使後に各大臣はその旨及び内容を国会に報告するものとする修正案を衆議院で提出いたしました。補充的指示権が行使された後の国会報告において、立法府の無為無策により同様の指示権行使が繰り返されることのなきよう、我が会派は積極的に個別法の改正論議に参加することをお約束いたします。
 ただし、補充的指示権のみでどのような事態にも対応できるわけではありません。発災時に初動を担うのは現場を持つ各自治体です。重要なのは、既知の事態に対しては首長が中心となって対応を行い、そうでない事態に対しては国が責任を持って対処方針を決定するという役割分担ではないでしょうか。国の責任と国、地方の役割分担の明確化、そして地方への権限、財源の移譲、どちらもそろって初めて国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に十分に対応できるものと考えます。
 るる述べてまいりましたとおり、これら三つの柱はコロナ禍で明らかになった課題に対処し得るものだと我々は認識しています。今後もこれらの制度が適切に運用されるよう注意深く見守っていくことをお誓いし、賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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尾辻秀久#7
○議長(尾辻秀久君) 伊藤岳君。
   〔伊藤岳君登壇、拍手〕
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伊藤岳#8
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
 私は、会派を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 本改正案に対して、地方自治体の首長などから、指示権が将来なし崩し的に適用され、地方自治の根幹を壊してしまわないか危惧する、白紙委任するのは有事法制の作りと一緒だ、個別法で十分対応でき、立法事実がないといった深い懸念や批判の声が今次々と上がっています。本法案は廃案とすべきであり、採決に強く抗議するものです。
 反対の最大の理由は、本改正案が、政府が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがあると判断すれば、国が地方自治体に指示をすることができる指示権を新たに導入するものであるからです。
 自治体は国の補充的指示を拒否できるのかという私の質問に、政府は指示には従っていただくと答弁しています。地方自治体を国に従属させる仕組みをつくる、こうした乱暴極まりないやり方は、これまで歩みを進めてきた地方分権を否定するだけでなく、憲法が保障する地方自治を根本から破壊するものです。断固として反対するものです。
 我が国を悲惨な侵略戦争に導いた戦前の中央集権的な体制の下、地方自治体は戦争遂行の一翼を担わされました。その深い反省の上に、日本国憲法は第八章に地方自治を明記し、地方自治の本旨として、国から独立した団体が行うべきとする団体自治と住民の意思に基づき行われるべきとする住民自治を保障しました。
 しかし、歴代の自民党政権は、自治体の権限や財源を抑制し続け、一九九九年に成立した地方分権一括法でも、地方分権を掲げて機関委任事務を廃止したものの、広範な自治体の事務を法定受託事務とした上に、国による強力な関与の仕組みを新たに法定化し、自治事務に対しても国による是正の要求を可能としてきました。
 本法案による指示権がとりわけ重大なのは、国による強制的な関与は基本的に認められないとされている自治事務にまで、国による極めて強い関与の仕組みが設けられていることです。
 まず、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態と判断する類型も基準も、大規模な災害、感染症のまん延その他としているだけで極めて曖昧であり、さらに、発生のおそれがある場合も判断することができるなど、恣意的判断が広く可能となっていることです。
 さらに、総務委員会の審議では、新設される特例関与は、いわゆる補充的指示の条項だけでなく、言わばその前段である資料、意見の提出の要求や事務処理の調整の指示に関する条項においても特例関与がたやすく発動され、そして発動されたならば強力な権力的関与として働くことが明らかとなりました。
 資料、意見の提出の要求では、権限行使の主体である各大臣に限らず、都道府県知事とその他の執行機関、つまり県教育委員会や公安委員会、選挙管理委員会なども、その担任する事務に関して、事態や発生のおそれがある場合であると判断できることが明らかになりました。
 さらに、資料の提出要求では、自治体の保有するデータや住民の個人情報全般が含まれ、オンラインでやり取りされることも想定されます。これでは、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の場合に限って特例的な関与として行われるオンラインでのデータの交換が日常的、恒常的に行われないとも限りません。
 政府が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがあると判断した場合、各大臣は、その担任する事務に関して、事態が発生している当該都道府県に対して、市町村を超える広域の見地から事務処理の調整を指示する事務処理の調整の指示を行うことができます。この調整の指示の対象となる自治体の事務には道路などのインフラ管理や都市計画が含まれ、さらに、法改正を踏まえ、今後、政令によって指定する事務の対象には、市町村の規模や能力に応じて設置されている保健所や福祉事務所などが含まれます。
 つまり、生命保護の措置を的確かつ迅速に実施するために必要とされる全ての自治体の事務が調整の指示の対象事務とされて、さらに、この調整の指示は、法定受託事務として、都道府県に法的義務として実行を迫り、代執行さえも可能とされるのです。松本大臣は、国が直接に調整の指示を行うことはあることを明言しました。地方分権、地方自治の本旨を真っ向から否定するもので、断固容認することはできません。
 本法案の核心である補充的指示権を新設することについての立法事実は、衆参の審議を通じて、ついに全く示されませんでした。
 そもそも自治体に対する国の関与は、現行地方自治法に基づき、関与法定主義、関与最小限度などの原則によるものです。この地方自治法の一般ルールで間に合わない場合に例外として個別法を設けることができるものであり、本改正案の補充的指示権は、これを覆して、個別法の規定で想定できない場合は国が自治体に指示権を行使するというもので、これまでの地方分権の考え方を否定するものです。
 総務省は、個別法には三百六十二件の指示の規定があることを示しました。しかし、本法案の提出に責任を持つ総務省は、これら個別法で想定される事態やそれぞれの指示について、何が可能で何が課題かなどについて検討、精査すらしていません。立法事実がないことは明白です。
 政府が、存立危機事態を含む事態対処法や安保三文書に基づく特定利用空港・港湾への法律の適用について、除外するものではないとしていることは看過できません。アメリカの戦争に自治体を動員するために使われる危険は極めて重大です。安保三文書に基づく戦争する国づくりのための立法は断じて許されません。
 さらに、本改正案は、国による特例関与と一体に、国による自治体職員の派遣のあっせんを可能とするもので、国の補充的指示に基づく業務遂行のために自治体職員までも駆り出すもので、強く反対するものです。
 また、本改正案は、他の自治体又は国と協力し、情報システム利用の最適化を図ることを自治体の努力義務と規定するものです。
 政府は、これまでも地方公共団体システム標準化や国が構築するガバメントクラウドの活用を求めてきました。今後国が進める情報システムの整備の取組に幅広く協力していくことを自治体に求めるものです。自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲しか施策を行わないことになり、地方自治を侵害しかねません。地方自治法にこうした規定を持ち込むべきではありません。
 最後に、重ねて申し上げます。
 戦前、団体自治、住民自治がなかったことが政府が戦争体制を国の隅々まで貫徹する要因となりました。政府が行うべきは、地方自治体に権限と財源を十分に保障し、国民の命と暮らしを支える現場の力を強くすることです。憲法が保障する地方自治を踏みにじることは断じて許されません。
 以上を述べて、討論とします。拍手
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尾辻秀久#9
○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
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尾辻秀久#10
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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尾辻秀久#11
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。拍手
     ─────・─────
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尾辻秀久#12
○議長(尾辻秀久君) 日程第二 漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長滝波宏文君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔滝波宏文君登壇、拍手〕
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滝波宏文#13
○滝波宏文君 ただいま議題となりました法案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法案は、厳格な漁獲量管理を行うべき水産資源について、個体の数の報告、船舶の名称の伝達等を義務付ける等の措置を講じようとするものです。
 委員会におきましては、太平洋クロマグロの管理強化の実効性、情報伝達の負担軽減や電子化等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して紙委員より反対する旨の意見が述べられました。
 採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。拍手
    ─────────────
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尾辻秀久#14
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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尾辻秀久#15
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。拍手
     ─────・─────
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尾辻秀久#16
○議長(尾辻秀久君) 日程第三 消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長森本真治君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔森本真治君登壇、拍手〕
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森本真治#17
○森本真治君 ただいま議題となりました消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、消費生活用製品等による一般消費者の生命又は身体に対する危害等の防止を図るため、規制の対象に係る輸入の定義を見直すとともに、主務大臣による取引デジタルプラットフォームの利用停止要請の創設等の措置を講ずるほか、主として子供の生活の用に供される製品の安全性を確保するための措置を講ずるなど、四法律について改正を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、海外事業者の国内管理人の要件及び規制の実効性を担保する方策、取引デジタルプラットフォーム提供者に期待される役割、子供用特定製品の対象品目の在り方及び民間の任意規格との関係等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して九項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
    ─────────────
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尾辻秀久#18
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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尾辻秀久#19
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。拍手
     ─────・─────
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尾辻秀久#20
○議長(尾辻秀久君) 日程第四 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第五 子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長阿達雅志君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔阿達雅志君登壇、拍手〕
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阿達雅志#21
○阿達雅志君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案は、児童対象性暴力等の防止等のために学校設置者等が講ずべき措置等について定めるとともに、教員等及び教育保育等従事者が特定性犯罪事実該当者に該当するか否かに関する情報を国が学校設置者等及び認定を受けた民間教育保育等事業者に対して提供する仕組みを設けようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、本法律案の提出に至る検討経緯、対象事業・業務や特定性犯罪の範囲を拡大する必要性、犯罪事実確認の対象期間の妥当性、安全確保措置の具体的内容、更生、教育、治療などの性被害防止に向けた総合的な取組の推進等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 次に、子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案は、こどもの貧困の解消に向けた対策を総合的に推進することとし、法律の題名をこどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律に改め、目的及び基本理念を見直すほか、民間団体の活動の支援等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長谷公一君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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尾辻秀久#22
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
 まず、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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尾辻秀久#23
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。拍手
 次に、子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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尾辻秀久#24
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。拍手
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尾辻秀久#25
○議長(尾辻秀久君) 日程第六 政治資金規正法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。政治改革に関する特別委員長豊田俊郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔豊田俊郎君登壇、拍手〕
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豊田俊郎#26
○豊田俊郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治改革に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における政治資金をめぐる状況に鑑み、政治団体の収支報告の適正の確保及び透明性の向上により政治に対する国民の信頼の回復を図るため、国会議員関係政治団体の代表者の責任の強化、収支報告書の不記載及び虚偽記入に係る収入等の国庫納付制度の導入、政治資金監査の強化、政治資金の透明性の向上のためのデジタル化の推進、政治資金パーティーの対価支払者の氏名等の公開基準の引下げ、いわゆる政策活動費の使途の明細の公開の導入、政党交付金の交付停止等の制度の創設、政治資金に関する独立性が確保された機関の設置等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、井上哲士君発議に係る政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法を廃止する法律案並びに竹詰仁君外一名発議に係る政治資金規正法等の一部を改正する法律案と一括して議題とし、各発議者、岸田内閣総理大臣等に質疑を行うとともに、参考人を招致してその意見を聴取いたしました。
 委員会における主な質疑の内容は、政治資金規正法違反事件の真相究明と政治家の責任の在り方、政策活動費の是非と公開の範囲や時期についての具体的な考え方、政治資金に関する独立性が確保された第三者機関の必要性とその役割、企業・団体献金の是非と政治資金パーティーの適正な実施についての考え方、検索機能等を備えた収支報告書のデータベース化の必要性等であります。
 本法律案について質疑を終局いたしましたところ、日本維新の会・教育無償化を実現する会を代表して音喜多駿委員より修正案が提出されました。
 続いて、討論の後、順次採決の結果、修正案は否決され、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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尾辻秀久#27
○議長(尾辻秀久君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。水岡俊一君。
   〔水岡俊一君登壇、拍手〕
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水岡俊一#28
○水岡俊一君 立憲民主・社民の水岡俊一です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。
 自民党派閥の裏金事件とそれに対する自民党の対応は、国民の政治に対する信頼を根本から損なう深刻な事態を招いています。国民は、真相究明と責任追及、再発防止策を国会にこそ求めていました。
 昨年末、岸田総理は、国民の信頼回復のため火の玉となって党の先頭に立ち取り組むと記者会見で強調しました。しかし、委員会の審議では、しっかり調査する、丁寧に説明する、事実を確認するといった中身のない答弁ばかりで、自身の責任には触れることすらありませんでした。そして、一月には総裁派閥の解散を宣言、二月には衆議院政治倫理審査会に現職総理として初出席するなど、パフォーマンスばかりを繰り返しました。結局、裏金事件の真相は全く明らかになっておらず、その責任もあやふやなままで、信頼回復どころか、国民にはますます不信や不安感が広がっています。
 さて、政治資金規正法は、政治腐敗の防止を目的に、一九四八年、議員立法で成立しています。
 政治資金規正法の規正は、規範を正すと書く規正であって、制限する意味の規制ではないことに改めて注目したいと思います。
 他の法律とは違い、あえて規正、規範を正すとしたことから、この法律が政治資金の流れを国民に明らかにし、正しい方向で政治活動が行われることを目的としていることが自明の理であると言えます。失礼ながら申し上げますが、このことを自民党の方々は理解なさっているでしょうか。
 更に申せば、規正とは、公正な規律に照らし、不都合なところを直すことと捉えるならば、この改正案が公正な規律でなければ意味がありません。特別委員会の審議において、抜け穴だらけの法案、ざるのような法案との指摘を覆せなかった自民党は、そもそもこの法律が目指した方向性に逆行していると言わざるを得ません。
 以下、反対の理由を申し上げます。
 第一は、この改正案では政治家本人の処罰強化につながらないことです。
 自民党派閥が組織ぐるみの違法な行為を行っているにもかかわらず、結局、秘書や会計責任者に責任を押し付けて、政治家が罪を逃れることが繰り返されています。今こそ政治家本人に対して責任を問うことができる仕組みを強化しなければなりません。
 しかし、自民党案の確認書方式は、会計責任者の説明に問題があった、確認したが気付かなかったと言い逃れの余地を残しており、実効性が乏しい、なんちゃって連座制にほかなりません。
 第二は、この改正案では裏金の温床とも言える政策活動費が温存される点です。
 今回の事件では、派閥からの裏金を政策活動費と認識していたとの説明がなされました。政党から党の役職者に対して政策活動費等の名目で寄附や渡し切りの支出が行われていますが、政治資金の透明性の向上を図るため、政策活動費の全面的な廃止か領収書を全面公開することが求められていました。
 しかし、自民党案では、項目別に幾ら使ったかにとどまるものであり、領収書の添付もなく、証明にならないものでした。
 修正で十年後の領収書公開と五十万円以下も対象とすることになりましたが、そもそも公訴時効が五年であり、十年後に公開されたところで全く意味がありません。領収書の中身も黒塗りやマスキングが認められ、全面開示からは程遠いものです。また、年間の上限額も決まっていません。
 第三は、この改正案では利益誘導政治を存続させることです。
 これまでも多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきたことから、政治家個人及び資金管理団体に対する企業・団体献金は禁止されました。しかし、政党への献金が引き続き認められたことから、政党支部経由の献金がまかり通るとともに、今回、裏金事件の舞台となった政治資金パーティーが企業・団体献金の代わりとして活用されました。大企業や業界と自民党が癒着する裏で国民のための政策決定がゆがめられてきたからこそ、私たち野党は企業・団体献金を禁止すべきだとしてきましたが、回答はありませんでした。
 政治資金パーティーについては、元々、公開基準が一回二十万円までと、年間五万円を公開とする寄附より緩く、パーティー券を買った側が政治資金規正法の対象でない個人や企業の場合は購入側による公開はほとんどなく、裏金化が容易だと言われてきました。
 任意団体の主催する岸田方式や、オンラインパーティー、会場のキャパシティーの数倍にも及ぶパーティー券の販売、券だけを売り、出席者はほぼいない架空パーティー、加えて、御入金のみというパーティー案内など、公開を逃れ、事実上の政治家個人への企業・団体献金禁止の迂回路となる抜け道は全く塞がっていません。
 第四は、検討、先送りのオンパレードである点です。
 附則では各党各会派に委ねる検討事項が多過ぎて、委員会では何を聞いても今後の制度の詳細は各党間の議論になるとの答弁ばかりでした。そんな曖昧な法律なんて聞いたことがありません。
 その上、参議院の審議では、政策活動費について、金銭しか対象になっておらず、商品券や小切手という有価証券が除外されていたことが明らかになりました。公開対象は党の役職者の支出に限られ、党の役職者からお金を受け取った国会議員の最終支出に関わる領収書が公開対象となるかどうかについても、領収書の保存先すらも決まっていません。まさにブラックボックス合法化法案です。
 ところで、本法案の審議では、同一の政党が衆議院と参議院で賛否をたがえるという異例の対応がありました。審議において法案に重大な瑕疵が発見されるなど、やむを得ない場合を除き、今回のように当該法案と関係のない要素を理由に衆参で賛否を変えるのはいかがなものでしょうか。党の判断ですから、他党の人間がとやかく言う必要はないかもしれません。しかし、公党の行動として、国民の理解は得られにくいのではありませんか。少なくとも、我が会派としては極めて理解に苦しみます。
 最後に、フランス人作家バルザックの言葉を紹介します。法律はクモの巣である。大きな虫は突き抜け、小さな虫だけが引っかかる。
 まさに自民党案は、小さな虫だけが引っかかり、巨悪は温存するような小手先の改革にすぎず、相も変わらぬ裏金体質や金権腐敗の根を絶ってガラス張りの政治を実現するものではありません。こんな抜け道だらけの規正法改正で裏金事件の幕引きとは、自民党は国民の怒りを甘く見過ぎてはいないですか。幕を引くべきは、裏金事件だけではなく、自民党政治そのものです。
 国民の期待に応え、本気の政治改革に取り組み、真っ当な政治を実現するのは一体誰なのか。総理が言われるように、国民に判断してもらおうではありませんか。
 以上で、立憲民主・社民を代表しての反対討論を終わります。拍手
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尾辻秀久#29
○議長(尾辻秀久君) 佐藤正久君。
   〔佐藤正久君登壇、拍手〕
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