水岡俊一の発言 (本会議)
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○水岡俊一君 立憲民主・社民の水岡俊一です。
会派を代表して、ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。
自民党派閥の裏金事件とそれに対する自民党の対応は、国民の政治に対する信頼を根本から損なう深刻な事態を招いています。国民は、真相究明と責任追及、再発防止策を国会にこそ求めていました。
昨年末、岸田総理は、国民の信頼回復のため火の玉となって党の先頭に立ち取り組むと記者会見で強調しました。しかし、委員会の審議では、しっかり調査する、丁寧に説明する、事実を確認するといった中身のない答弁ばかりで、自身の責任には触れることすらありませんでした。そして、一月には総裁派閥の解散を宣言、二月には衆議院政治倫理審査会に現職総理として初出席するなど、パフォーマンスばかりを繰り返しました。結局、裏金事件の真相は全く明らかになっておらず、その責任もあやふやなままで、信頼回復どころか、国民にはますます不信や不安感が広がっています。
さて、政治資金規正法は、政治腐敗の防止を目的に、一九四八年、議員立法で成立しています。
政治資金規正法の規正は、規範を正すと書く規正であって、制限する意味の規制ではないことに改めて注目したいと思います。
他の法律とは違い、あえて規正、規範を正すとしたことから、この法律が政治資金の流れを国民に明らかにし、正しい方向で政治活動が行われることを目的としていることが自明の理であると言えます。失礼ながら申し上げますが、このことを自民党の方々は理解なさっているでしょうか。
更に申せば、規正とは、公正な規律に照らし、不都合なところを直すことと捉えるならば、この改正案が公正な規律でなければ意味がありません。特別委員会の審議において、抜け穴だらけの法案、ざるのような法案との指摘を覆せなかった自民党は、そもそもこの法律が目指した方向性に逆行していると言わざるを得ません。
以下、反対の理由を申し上げます。
第一は、この改正案では政治家本人の処罰強化につながらないことです。
自民党派閥が組織ぐるみの違法な行為を行っているにもかかわらず、結局、秘書や会計責任者に責任を押し付けて、政治家が罪を逃れることが繰り返されています。今こそ政治家本人に対して責任を問うことができる仕組みを強化しなければなりません。
しかし、自民党案の確認書方式は、会計責任者の説明に問題があった、確認したが気付かなかったと言い逃れの余地を残しており、実効性が乏しい、なんちゃって連座制にほかなりません。
第二は、この改正案では裏金の温床とも言える政策活動費が温存される点です。
今回の事件では、派閥からの裏金を政策活動費と認識していたとの説明がなされました。政党から党の役職者に対して政策活動費等の名目で寄附や渡し切りの支出が行われていますが、政治資金の透明性の向上を図るため、政策活動費の全面的な廃止か領収書を全面公開することが求められていました。
しかし、自民党案では、項目別に幾ら使ったかにとどまるものであり、領収書の添付もなく、証明にならないものでした。
修正で十年後の領収書公開と五十万円以下も対象とすることになりましたが、そもそも公訴時効が五年であり、十年後に公開されたところで全く意味がありません。領収書の中身も黒塗りやマスキングが認められ、全面開示からは程遠いものです。また、年間の上限額も決まっていません。
第三は、この改正案では利益誘導政治を存続させることです。
これまでも多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきたことから、政治家個人及び資金管理団体に対する企業・団体献金は禁止されました。しかし、政党への献金が引き続き認められたことから、政党支部経由の献金がまかり通るとともに、今回、裏金事件の舞台となった政治資金パーティーが企業・団体献金の代わりとして活用されました。大企業や業界と自民党が癒着する裏で国民のための政策決定がゆがめられてきたからこそ、私たち野党は企業・団体献金を禁止すべきだとしてきましたが、回答はありませんでした。
政治資金パーティーについては、元々、公開基準が一回二十万円までと、年間五万円を公開とする寄附より緩く、パーティー券を買った側が政治資金規正法の対象でない個人や企業の場合は購入側による公開はほとんどなく、裏金化が容易だと言われてきました。
任意団体の主催する岸田方式や、オンラインパーティー、会場のキャパシティーの数倍にも及ぶパーティー券の販売、券だけを売り、出席者はほぼいない架空パーティー、加えて、御入金のみというパーティー案内など、公開を逃れ、事実上の政治家個人への企業・団体献金禁止の迂回路となる抜け道は全く塞がっていません。
第四は、検討、先送りのオンパレードである点です。
附則では各党各会派に委ねる検討事項が多過ぎて、委員会では何を聞いても今後の制度の詳細は各党間の議論になるとの答弁ばかりでした。そんな曖昧な法律なんて聞いたことがありません。
その上、参議院の審議では、政策活動費について、金銭しか対象になっておらず、商品券や小切手という有価証券が除外されていたことが明らかになりました。公開対象は党の役職者の支出に限られ、党の役職者からお金を受け取った国会議員の最終支出に関わる領収書が公開対象となるかどうかについても、領収書の保存先すらも決まっていません。まさにブラックボックス合法化法案です。
ところで、本法案の審議では、同一の政党が衆議院と参議院で賛否をたがえるという異例の対応がありました。審議において法案に重大な瑕疵が発見されるなど、やむを得ない場合を除き、今回のように当該法案と関係のない要素を理由に衆参で賛否を変えるのはいかがなものでしょうか。党の判断ですから、他党の人間がとやかく言う必要はないかもしれません。しかし、公党の行動として、国民の理解は得られにくいのではありませんか。少なくとも、我が会派としては極めて理解に苦しみます。
最後に、フランス人作家バルザックの言葉を紹介します。法律はクモの巣である。大きな虫は突き抜け、小さな虫だけが引っかかる。
まさに自民党案は、小さな虫だけが引っかかり、巨悪は温存するような小手先の改革にすぎず、相も変わらぬ裏金体質や金権腐敗の根を絶ってガラス張りの政治を実現するものではありません。こんな抜け道だらけの規正法改正で裏金事件の幕引きとは、自民党は国民の怒りを甘く見過ぎてはいないですか。幕を引くべきは、裏金事件だけではなく、自民党政治そのものです。
国民の期待に応え、本気の政治改革に取り組み、真っ当な政治を実現するのは一体誰なのか。総理が言われるように、国民に判断してもらおうではありませんか。
以上で、立憲民主・社民を代表しての反対討論を終わります。(拍手)