渡邊昌宏の発言 (資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会)

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○参考人(渡邊昌宏君) 皆さん、こんにちは。つばめBHBの渡邊でございます。
 こちらの方には資料出ませんので、お手元の資料を御覧いただければというふうに思っております。
 まず、私どもつばめBHB、どんな会社だと。結構名前は覚えやすいかなと思うんですが、つばめは東工大発の技術を使っているものですから、東工大の校章がツバメでございます。それから、後ほど説明しますが、BHBというのは、百十年前、第一次世界大戦のときに開発されたアンモニア製造技術、ハーバー・ボッシュ法といいます。このハーバー・ボッシュ法を超えようということで、ビヨンド・ハーバー・ボッシュということで、東工大発のハーバー・ボッシュを超える企業になるんだということで、二〇一七年設立されました。
 私どもの技術というのは、東工大の細野栄誉教授が開発されたエレクトライド触媒という触媒でございます。この触媒は、先ほど申し上げましたように、ハーバー・ボッシュに比べて低温低圧でアンモニアを合成できるようになっております。さらに、この触媒は、皆さん御存じのように、空気中に含まれている窒素、この窒素自体がN2というふうな形で三重結合になっています。非常に安定した気体でございます。したがって、窒素自体が地中に入っていって例えば肥料になるとか、そういうことはできません。このN2をうまく切ってあげようと。切ると水素と結合しましてアンモニアができます。この私どもの開発したその触媒は、実はN2の三重結合をはさみのように切るという特性を持っております。
 そういうことで、これをできるだけ社会実装していこうということで、現実、今私どもパイロットプラントを持っておりますけれども、ハーバー・ボッシュ法に比べまして、反応温度で約百度、圧力で四分の一、これを達成することができました。
 次のページをお願いします。
 アンモニアというと、皆さん、お名前はよく御存じかと思いますが、現実にアンモニアって何なんだと。多分、臭いなとか、あるいは蚊に刺されたときに塗ると効くなという程度のことかと思います。実は、アンモニアというのは世界で二億トン生産されております。二億トンの生産のうち、約、ここにありますように八五%、これが農業用肥料に使われております。そのほか一五%は、よく御存じのうまみ調味料であるアミノ酸、それからナイロン6とか66の化学繊維、それから火力発電所においては脱硝ということでNOxを除去すると。これ、水を加えますとNOxが除去されます。そのためにアンモニアを使います。そのほか、化学品に使っております。最近では、半導体の窒化膜の生成、これにアンモニアが使われていると。これから二〇三〇年、二〇五〇年に向けて、CO2のフリー燃料、それから水素キャリアというような形で使われていくというふうに想定されております。
 先ほどハーバー・ボッシュの説明申し上げましたけれども、非常に高温高圧でアンモニアを製造するものですから、先ほどの秋元先生ではございませんけれども、CO2、世界のCO2排出量の一%から二%をアンモニア製造に頼っているというのが現状でございます。
 では、アンモニアの課題について次のページ御覧いただければと思いますが、実は、先ほど申しましたハーバー・ボッシュ法、百十年前、第一次世界大戦のときにアンモニアができましたときに、実は世界の食料事情は大幅に良くなりました。これは、農業にアンモニアを使うことによって生物の発育が非常に良くなるということで、食料事情が変わりました。
 ところが、現在どうなっているかといいますと、この地図にございますように、ピンクの丸、これがアンモニアを作っているところでございます。それから、赤い点線で四角く囲ってある部分、これは、実は窒素肥料が足りてない部分でございます。先ほど申しましたように、アンモニアはNH3ということで窒素の肥料でございます。このアンモニアが行かないために非常に食料事情が悪くなっているというのがこの絵で御覧いただけると思います。
 したがって、食料危機、これをできるだけなくしていきたいというふうに私ども思っておりまして、なぜこの四角のところにアンモニアが行かないのかと。実は、港から降ろされたアンモニアがトン当たり二百五十ドルぐらい、これが陸送あるいは貯蔵することによって大体三倍ぐらいになります。したがって、そういう高価なものがアフリカの各国では買えないというのが現状です。そういう意味からすると、できるだけアンモニアが行き届くような仕組みというのをつくっていくのが我々役目かなというふうに思っています。
 それから、CO2については先ほどお話ししたとおりに、全体でCO2排出量の一から二%を占めておりますので、これをいかに削減していくかということが大きな課題だと考えております。
 次のページでございます。
 アンモニアってどういうふうな形になっているのかということで、実はアンモニアには三種類ほどございます。色で分けています。グレー、これは化石燃料をベースにSMRという手法を使いまして水素を作り、そこからハーバー・ボッシュ法でアンモニアを作る、これをグレーと言います。それからブルー、先ほど秋元先生からもお話がありましたCCUSあるいはCCS、これを使って化石燃料からできた水素、これを使ってアンモニアを合成する、これをブルーと言います。それから、再生可能エネルギーから直接水素、水電解等を含めて水素を作りまして、それで空気中からの窒素を取り入れて作っていく、アンモニアを作ると、これをグリーンと言います。
 今後、二〇三〇年には、こちらにありますように、グレーが余り伸びないでブルーとグリーンが伸びていく。二〇四〇年には一億五千七百万トン、これがブルーなりグリーンになっていくと。二〇五〇年には二億八千万トン、二億八千万トンのグリーンの、あるいはブルーのアンモニアができていくと。それから、アンモニアの市場ですが、今現在、肥料、産業で使われております。それが将来的には船舶燃料、それから燃料、水素キャリアとして使われていくという予想になってございます。
 一方、日本はどうなのかというので、ちょっと下の絵を御覧いただきたいと思いますが、今、日本で製造されているアンモニアの量は、国内生産八十万トン弱です。使われているアンモニアの量は百万トンです。これが、二〇三〇年には使用量を三百万トンまで持っていこうというふうに日本は考えております。経産省さんがこういう発表をされております。二〇五〇年には三千万トンまで持っていこうと。今現状、二億トンの生産量でございますが、二〇五〇年にはアンモニアだけで三千万トンまで持っていこうと。
 ここでやはり考えなければならないのは、これだけの量を輸入で頼ろうとしたときに、やはりエネルギーの安全保障といった問題が浮かび上がってくるんではないかというふうに思っています。これについては後ほどお話しさせていただきます。
 次のページですが、業界構造でございます。
 アンモニアは、ハーバー・ボッシュに代表されるように、ライセンサーというのがあります。触媒の供給、プロセスの供給、これをつかさどるライセンサーというのがあります。それから、そのライセンスを受けてアンモニアの設備を造っていくライセンシーというのがおります。それから、実際にプラントを持ってアンモニアを製造するプラントオーナーというのがあります。
 今、このアンモニアの技術というのは、このプロセスライセンサーは、ここにございますように、欧米の四社に限定されているような状況でございます。私どもは、ここの技術強化、日本の技術強化がここでは必要なんじゃないかと思っております。
 それから、ライセンシー、要するに設備を建設するというので、千代田、東洋エンジ、三菱重工、日揮等々、日本がおりますが、その他多数参加しておりまして、あくまでも日本としては建設に関与するだけというのが現状です。
 それから、プラントオーナーとしては、日本ではこの上の四つ、四社がアンモニアを製造しております。ただ、宇部興産さんは二〇三〇年には、三三年にはアンモニアの生産をやめるというようなお話が新聞報道されております。したがって、日本ではアンモニアを作っているのは三社になってしまうというような状況でございます。私どもは、できるだけこのライセンサー、こういったところを目指したいと。
 次のページですが、私どもが目指すアンモニアの絵なんですが、先ほど申し上げましたように、脱炭素アンモニアを必要な地域に必要な量だけ安定的に供給するといったところが、私どものビジョンの世界の食料危機を改善するといったところに寄与できるのではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、分散型再生エネルギー、太陽光あるいは風力あるいは水力発電、こういったものの再生可能エネルギーを使いまして水の分解、電気分解をし、グリーンアンモニアを作っていくと。これを直接、農地の真ん中にこの設備を造ったらどうだろうということで、農地の真ん中に造れば輸送コストはただです。したがって、使いたいところに使いたいアンモニア、使いたい量、これを製造する設備を農地に入れちゃいましょうということで、例えば五百トンぐらいのアンモニアが必要だといったら、そうですね、三十五平米ぐらいあればできるぐらいの、要するに、農地の一角にアンモニアの装置をぽんと造るだけで十分にそこの農業に賄えるだけの肥料ができるというふうにお考えください。
 次のページですが、一方で、先ほど申し上げましたように、二〇五〇年に三千万トンのアンモニアが必要だといったらどういう対応をするかということで、先ほど秋元先生がおっしゃられましたように、海外の再エネを使って海外で生産して日本に持ってくると。となると、できるだけ日本の技術を海外にお披露目した中で、そこで生産して持ってくるという方法が一つ大きくあります。
 私どもは、新たに大量のアンモニアが生産できるような新しい触媒を開発し始めました。これは、国のGIS資金、グリーンイノベーション資金というのを使わせていただきまして、今触媒の開発を進めております。私どもの、今ある触媒は、実は希金属を使っております。ルテニウムという希金属を使っています。このルテニウムは非常に高価なものですから、このルテニウムをなくした触媒を開発しようということで、今年の末、来年の春には新しい大量生産に向いた触媒、これをお披露目できるのではないかというふうに思っております。
 できるだけ、私どもは、これを開発したところで、二〇三〇年を目標にして国産高効率のアンモニア製造技術ライセンサー、ここを目指したいと。先ほど言いました、欧米四社プラス日本のつばめというような形の絵が描ければいいなと思っております。
 次のページですが、実は昨年、INPEXさんの、新潟の柏崎、ここでアンモニアの実証プラント、これを受注させていただきました。今建設中で、今年の八月には稼働をいたします、あっ、来年の八月には稼働いたします。これは、INPEXさんが天然ガスから水素を作ります。水素を作りますが、そこでできたCO2をCCSで地中に埋めます。INPEXさんは井戸を掘っていますので、ガスの井戸を掘っていますので、そのガスの井戸がございます。ガスの井戸にCO2を埋めます。そのCO2を埋めた水素を私どものアンモニア側が受けてアンモニアを製造するという形にさせていただいております。ただ、これもやはり大きな問題があって、水素の値段が非常にお高くなります。お高くなるんで、市場に流通するような価格でアンモニアが製造できるかというと非常に難しいところがあります。これは間違いなく電力代が高いところです。
 そこで、次のページですが、電力料金の安いところで我々の技術をお披露目できないかということで、昨年の一月、これはUAEに行きまして、このときに、西村経済大臣だったんですが、ここの、ADNOCという国営の石油会社、アブダビの国営石油会社ですが、そことジョイント・スタディー・アグリーメントというのを結ばせていただきました。カタールが、アブダビができて約四十年ちょっとらしいんですが、アブダビとしては初めて海外と一緒にスタディーをするという、初めての経験だということで今進めさせていただいております。
 それから次のページですが、ラオスでアンモニアを作って農業に貢献できないかということで今進めております。二〇二二年の十二月までにJICAの基礎調査を終わらせていただきまして、一応、協力覚書をラオス政府と交わすことができました。今事業スキームをいろいろつくっておる最中でございまして、ファイナンスをどうするか、こういうのを含めて今鋭意やっております。ラオス政府は非常に乗り気で、是非やりたいというお話をいただいております。これも今年の八月ぐらいまでにはある程度めどが付いてくるのではないかというふうに思っております。
 そういうことをいろいろやりながら、国内外における事業展開というのをやっております。ここにございますように、ラオスの話がございます。それから、近々、タイランド、タイでアンモニアを作るという話がこの近々に決まってまいります。
 それから、今注目しているのは南米ですね、特にブラジル。ブラジル辺りはサトウキビの栽培が非常に盛んなのですが、ここの、ブラジルもアンモニアを入手するのに非常に高いお金を取っています。もう早速うちの装置を入れてくれということを直接言われちゃうんですが、すぐにはなかなかうまくいかないので、今お話を進めさせていただいていると。
 そのほか、一昨日も私、ウクライナ復興会議に出てまいりましたけれども、ポーランドの企業と一緒になって、ウクライナのブチャという、キーウから北東に三十キロぐらいで、昔虐殺のあったところなんですが、二百三十人も殺されたという。そのブチャ市で、グリーン・インダストリアル・ゾーンという新しい再生可能エネルギーによるヒーティングシステム、これをつくっていこうというような形のプロジェクトをこれから起こしていこうというふうに考えております。
 次のページですが、技術インフラということで、私ども、東京工業大学の中にRアンドDセンター、それから川崎にパイロットプラント。パイロットプラントは二〇一九年の十二月から動かしておりまして、四年半にわたって二十四時間運転を継続させております。それから、東京工業大学の方では多くの機器を導入させていただきまして、新しい触媒の開発をしております。こういうことをやりますと、どうしてもその資金が掛かってくる、それから要員の確保が非常に難しいというところでございます。
 それでは、十六ページ目で、余り時間がございませんのであれですが、ここにありますように、先ほども申し上げましたように、推定輸入量が薄いブルーになっておりますが、輸入に頼る日本の体質、これで本当大丈夫なんですかといった議論はなるべくやるべきだと思います。
 海外も、例えば信頼のおける国とのジョイントで考えるというような方法もあると思いますが、ウクライナの例のように突然隣国が襲ってくるみたいなそういう状況の中で、LNGの価格も上がり、アンモニアの価格も上がっているのが現状でございます。そういうことを含めると、輸入をするのはいいけれどもどこから持ってくるんだといったところが非常に重要なことだと思います。岸田首相は、オーストラリアとの契約で、オーストラリアでできたアンモニアを持ってきますよというお話されていますけれども、オーストラリアが果たして適切なのかどうか、これは是非考えるべきであろうと。それから、少々無理でも自国生産に持っていくという、どこまで日本が持てるのかといったところも考えなきゃいけない。それには、電力価格の低減化ということが絶対に必要になってきます。そういうことを一つ申し上げたいと。
 それから、水素、アンモニア関連の各国の政策が十七ページ目にございます。
 特に、アメリカは、グリーン水素製造で最大三ドル・パー・トン・水素という補助金が出ておりまして、もう実施しております。これは、実はアンモニア、水素を作る事業者にとっては非常にメリットが出てくる話でございます。それから、電力の高いところもこれによって電力代をカバレッジできるというようなことがあるので、このアメリカの英断はすばらしいと思います。
 そのほか、EUの施策、それからサウジの施策、またチリ、チリはもうグリーン一本に入るという決断をして、二〇三〇年には世界一安いグリーン水素を作ろうと。チリの方からも私どもに声が掛かっております。
 最後になりますが、日本発の技術でアンモニアを世界に広げていくためにということですが、まず一点目は、市場の創出を官民で実施できないだろうかというふうに思っております。化石燃料ベースのエネルギー、製品がカウントしない外部不経済の内部化と、これは、作ろうといった、私どもの技術を使おうとするお客様がやはり脱炭素にとってメリットがあるということが享受できるような、そういうシステムをつくるということでございます。それから、グリーンプレミアムの話。先ほど申し上げましたアメリカの例にあるように、グリーンプロダクトの市場創出。
 それから、今研究開発を進めさせていただいていますけれども、でき得れば事業開発まで含めた支援というのがいただけれたらと思います。
 それから最後ですが、補助金によるファイナンスの支援で大企業のイノベーションをつくっていただけないかと。我々この事業をやっておりますと、大企業さんの壁というのは非常に厚うございます。こういったところで大企業さんのイノベーション、これを創出できるような施策というのがあればというふうに思っております。
 以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 渡邊昌宏

speaker_id: 3309

日付: 2024-02-21

院: 参議院

会議名: 資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会