石村和彦の発言 (資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会)

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○参考人(石村和彦君) 御紹介ありがとうございます。産総研の石村です。どうぞよろしくお願いいたします。(資料映写)
 今回、このような場で発言させていただく機会いただきまして、本当にありがとうございます。僕は初めて国会でしゃべらせてもらいます。どうもありがとうございます。
 今回は、資源エネルギー分野のイノベーションということで、産総研で今カーボンニュートラルに向けて取組をしていることを中心に今日はお話をさせていただきます。
 最初、ちょっと少しだけ経歴を紹介しておきますけど、僕は一九五四年に兵庫県に生まれまして、大学卒業した後、一九七九年に、僕は機械工学だったんですけれども、旭硝子、当時旭硝子、今AGCと言っていますけれども、の関西工場に入っています。結局、四十二年間旭硝子にいて、二〇二〇年、それで、二一年まで旭硝子いたんです。二〇年の時点ではまだ会長だったんですけれども、その時点で産総研の理事長になれと言われて、会長を辞めろと言われて辞めて、それで、でも取締役もう発表していたので一年だけ取締役やりましたけれども、二一年には旭硝子を完全退社して、二〇二〇年から産総研の理事長を拝命しています。
 経済界では、経済同友会で今も代表副幹事をやっていますけれども、その中で皆さんが関係しておられる環境・資源エネルギー委員会の委員長を三、四年やっていました。そこでは、当時政府の再生可能エネルギーの目標値が二二%だったときに、同友会としては四〇%の提言を出したと同時に、カーボンプライシングの導入というのも提言をさせていただいたのを覚えています。
 それから、あと、科学技術・イノベーション委員会の委員長をちょうどやっていたときに産総研の理事長になれと言われたんですけれども、そこでは、オープンイノベーションがいかに日本の中で少ないのかということで、もうオープンイノベーションの重要性ということを同友会で提言させていただいたという記憶がございます。
 ということで、それでは、まず産総研の概略について簡単に御紹介をさせてもらいます。
 産総研は、御存じのように、経済産業省所管の特定国立研究開発法人です。我々のミッションは、単に研究をしているだけということではなく、研究成果で社会課題解決と産業競争力強化をせよと、こういうミッションで、主に実用化に近い研究を実施している、そういう研究機関だというふうに御認識いただければと思います。
 現在、約二千二百名の研究職員と七百名の事務職員、総合職がいます。で、それ以外に企業からの研究員の方、また大学からの研究員の方、総勢で約一万名ほどが活動している、そういう機関になっています。二〇二二年の総収入額というのは、補正予算も含めますと一千八百億円程度になっています。拠点、活動拠点はつくばを中心にして全国十二か所で活動をしております。活動領域というのは、七分野ということで非常に広い領域で、後ほどこれはまた説明しますけれども、原子力以外はほぼカバーしているという、そういう研究機関になっています。
 我々の大きな目標は、産総研が中核となって企業や大学、また公的機関とも連携しながら、日本の中に次々にイノベーションが生み出されるようなエコなシステムをつくっていこうと、まあ我々はこれをナショナル・イノベーション・エコシステムと呼んでいますけれども、これを日本の中に実現することを目標として活動をしています。
 このエコシステムの実現のためには、研究成果を速やかに社会へ実装していくことが不可欠です。そういう意味では社会のニーズから研究をしていく必要があり、それをやる機関として、昨年、株式会社AISTソリューションズを設立しました。ここでは、社会課題に貢献する事業を提案して、それに必要な研究開発を産総研がしていくと、そういうことを今実施しているところです。今、マーケティング人材を中心に百六十名の体制で活動をしています。
 これが先ほど言いました七つの領域なんですけれども、本日のテーマでありますカーボンニュートラルの実現に向けた研究開発は、この七領域のうちエネルギー・環境領域で主に行っています。ただ、当然のことながら、ここには、デジタル技術も含めて、またバイオの技術、いろんな技術が、材料の技術、いろんな技術が必要になってくるので、他の領域も関与して、産総研全体として総力を挙げてこのカーボンニュートラルの問題には取り組んでいるというところであります。また、政府のエネルギー政策と密接に連動しながら研究開発を行っている、そういう機関であります。
 本日は、このカーボンニュートラルの実現に向けた産総研の取組として、四つ御紹介をします。
 まずは、国家戦略に基づく技術開発の代表例を五つほど御紹介をします。また、企業と共同研究をして、この中から清水建設と日立造船との共同研究の事例を御紹介をさせていただきます。さらに、共通基盤データの整備、提供としてIDEAを御紹介をします。また、国際連携についても、RD20という国際会議について御紹介をしたいと思います。
 これは、日本の国家プロジェクト、カーボンニュートラル、CO2排出削減に向けた国家プロジェクトの全体像です。電力分野、また非電力分野、省電力、また省エネルギー、それからネガティブエミッションと、幅広い分野でいろんな研究をしていく必要があるというのが国家の戦略になっています。革新的環境イノベーション戦略ということで、このカーボンニュートラルの技術と、カーボンニュートラルの革新技術として、国として三十九のテーマが挙げられています。このうちこの黄色で示した三十四のテーマにつきましては、産総研が関与しながら取り組んでいるところであります。このうち、今日、幾つか御紹介します。ただ、この電池は当然入っているんですけれども、菅野先生が今日はいらっしゃいますので、電池のところはほぼしゃべらないようにしようと思っています。
 例えば、このような技術開発に取り組んでいます。風力発電では風車を制御して発電電力を高める研究であったり、地熱発電では持続的、効果的に発電するための地熱のモニタリングなどを実施しているところです。また、次世代太陽電池、水素、アンモニアの利用、またCCUSについては後ほど少しだけ詳しくお話をします。
 産総研、このような研究を主にはGZR、これはゼロエミッション国際共同センターということで、G20各国が集まりながらこういうのをやろうということでつくった研究機関です。これ、主に基礎的な研究を中心にやっている。
 もう一つは、FREAというのが、これが福島再生可能エネルギー研究所ということで、ここ、まさに再生可能エネルギーを中心に、郡山、福島の郡山で実施しています。これは東日本大震災からの復興支援の一環としてこのFREAというのが二〇一四年に立ち上がって、そこで研究をしていると、そういう機関になっています。
 この国家戦略に基づく技術開発の例として、一つ、太陽電池の例としてペロブスカイトの太陽電池について御説明をします。
 これ、日本発の技術であるペロブスカイト太陽電池というのは、既存の、今一般的に使われているシリコン太陽電池の十分の一以下の重さになるということが言われています。かつフレキシブルであるということで、どこにでも付けれる。軽くてどこにでも付くということから、自動車であったり、耐荷重の低い工場、倉庫の屋根であったり、ビル、住宅の壁面などへも設置できる太陽電池として期待されているところであります。
 産総研では、独自材料の開発を実施していて、今、発電効率二四%以上という世界最高レベルの発電効率を達成、変換効率を達成しているところであります。産総研では、この二〇三〇年の本格的な社会導入を目指して、耐久性の向上、また量産化、大面積化に関する研究開発を進めているところです。
 次に、アンモニアについてです。
 アンモニアは、直接燃料として使用できる水素エネルギーキャリアであります。産総研では、東北大学と共同で一〇〇%アンモニアを燃料としたガスタービン発電にこれ世界で初めて成功をしています。現在、この技術の実証研究を関係企業と共同で進めており、二〇二五年の実用化を目指しているところであります。
 これは、次はEフューエルです。これも国家戦略に基づく研究開発の例です。産総研では、合成燃料、Eフューエルを製造する技術の開発も進めています。
 Eフューエルというのは、CO2と再エネ由来の水素を反応させて得られるガソリンなどの液体燃料のことです。欧州を中心に実証事業が始まっていますけれども、コスト低減が最大の課題であります。
 産総研では、低コスト化に向けたCO2と水の共電解システム、この共電解システムによって得られた一酸化炭素、COと水素の反応を組み合わせたEフューエルの一貫製造プロセスの開発を行っています。これ、世界的に見ても新しい効率的なプロセスであります。現在、このEフューエル製造プロセスのベンチプラントを産総研内に整備しており、二〇二四年中の運転開始を目指しているところであります。
 次に、このCO2を使うわけですけれども、CO2を空気から、大気から分離、回収していく必要があるわけです。そのために、大気からCO2を直接回収するDACという技術、DACと書きます、という技術が必須になってきます。この得られたCO2を、先ほどのCO2と水素を使ってEフューエルを作ると、このような仕組みに回していきたいというふうに考えているわけです。DACの実証は欧米を中心に進められていますが、現行の技術は多量の熱エネルギーを消費する、そういうシステムになっています。
 産総研では、原理的に熱を必要としない膜分離法に注目して、高い選択率で大気中のCO2を濃縮できるイオン液体を用いた膜分離法を開発しているところです。現在はこのモジュールの開発を進めています。二〇二六年から二七年頃には実証装置を設置し、二〇三〇年頃には膜モジュールを上市したいというふうに考えています。
 もう一つ、国家戦略に基づく技術開発の例です。
 これは、太陽光発電など変動するエネルギーを有効利用するには、電気エネルギーによって水を水素へと分解して化学エネルギーとして貯蔵する技術が重要になってきます。産総研では、現在、再エネが大量に導入されている状況を想定して、大型の水電解装置の性能を評価できる世界的にもユニークな拠点を構築しました。これを活用して、関係企業とともに、更なる効率の改善など実用化に向けた実証研究を進めていくところです。
 次に、企業との共同研究の例を二つ紹介します。
 これは、一つ目は清水建設との共同研究です。水素を活用してビルのゼロエミッション化を可能にする技術の開発です。産総研の水素吸蔵合金の技術と清水建設のエネルギーマネジメント技術を組み合わせて、Hydro Q―BiCと名付けた水素エネルギー利用システムを開発しました。現在、低コスト化への取組を加速しているところです。
 また、この水素吸蔵合金を活用して、山梨県で生産したグリーン水素、東京都が利用する社会実装事業を臨海副都心の青海地区で開始しているところであります。
 次の例は、日立造船さんと共同研究している例です。
 産総研と日立造船は、国内で毎年約二百三十万トン発生している下水汚泥を水素などに転換する独自の装置やプロセスの開発に成功しました。この技術によって、下水処理場の省エネや低炭素化が可能になります。現在、その実証化に向けて、スケールアップとしてフィールド試験を計画中であります。
 続いて、これは共通基盤データの整備、提供に対する取組を御紹介をします。
 カーボンニュートラルに向けては、各製品に起因するCO2排出量、いわゆるカーボンフットプリントを可視化して、低炭素の製品が選ばれるようにすることが重要です。カーボンフットプリントを算出するには、サプライチェーン全体のCO2排出量を見積もる必要があり、信頼できるデータベースが必要です。
 産総研は、ほぼ全ての種類の製品や原材料の排出原単位を網羅したデータベース、IDEAというデータベースを作成、提供をしています。世界三大データベースの一つです。カーボンニュートラルへの国際的な流れの中で日本の製品が競争力を持つには、その優位性が適正に評価されることが必要です。そのためにも、フェアな正しい計算方法と実態を正確に表したデータベースが世界で使われるようにしていくことが重要であり、IDEAが世界標準になるように頑張っていこうと考えています。
 産総研は、これ以外にも、海外の研究機関との国際連携も進めているところです。
 二〇一九年に、当時の安倍総理の提案によって、G20各国の地域の主要な研究機関がカーボンニュートラルの実現に向けて研究開発の国際連携を進める枠組み、RD20が設立されました。このRD20の国際会議を産総研が主催して毎年開催しているところです。
 この国際会議では、太陽光発電や水素などの分野で標準化などに向けた議論を進めています。また、各国の若手研究者育成のためのサマースクールも実施しているところです。
 最後に、カーボンニュートラルに向けたイノベーションについて私なりに考えていることを述べさせていただきます。
 この分野では、海外企業もカーボンニュートラルの動きを積極的に捉えて、市場獲得に向けて技術開発を精力的に実施している状況があります。また、各国政府もそうした企業に対して多額の支援を行っています。
 そのような中で、日本もスピードを持って研究開発を進めていくことが重要です。例えば、水素やアンモニアの製造、利用などについてはまだまだ日本にはチャンスがあるというふうに考えています。
 一方で、水素やアンモニアなど低炭素のプロセスは、技術開発によって実用化できても、当面は現状よりコストアップになるということが考えられます。開発した技術によって海外市場を獲得できるかどうかは国際的なルールに依存するところが大きいです。したがって、この日本がルール作りをリードしていくことが重要です。
 例えばカーボンプライシング、この国境調整付きのカーボンプライシングは一つの合理的な手法だと考えています。カーボンプライシングは低炭素製品への転換促進に有効な方法だと考えられます。しかし、海外から炭素排出量の多い安い商品が入ってきては意味がありません。輸出競争力への悪影響も出ると思います。
 したがって、国境調整付きのカーボンプライシングにより産業競争力を維持しつつ、日本が先行してカーボンニュートラルを推進して世界に広げていくべきだと考えています。あわせて、先ほど紹介したIDEAのような合理的なカーボンフットプリントの算出方法を国際的なルールとすることによって、国際的にフェアな課金を実現していくことが重要だというふうに考えています。
 以上で私からの発言とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 石村和彦

speaker_id: 14606

日付: 2024-04-17

院: 参議院

会議名: 資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会