村松稔の発言 (資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会)

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○参考人(村松稔君) 山梨県公営企業管理者の村松でございます。
 本日は、参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会におきまして、我々の取組について発言の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
 山梨県では、二〇一二年に東京電力と共同いたしまして、甲府市の米倉山という場所に、当時としては国内最大級でありましたが、十メガワットの太陽光発電所を設置いたしました。これを機にいたしまして、将来的に太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入の拡大を図っていく、そういうことを想定したときに、やはり、特に太陽光発電につきましてはお天気次第というようなところがございまして、出力の調整はできませんし、また出力自体も大変不安定であるという欠点がございます。そうした欠点を克服していかないとなかなか効率よく再生可能エネルギーの導入が図られていかないのではないかという問題意識から、電力を蓄える技術、蓄電技術というものに着目した研究開発に取り組んできたところでございます。
 幾つかのプロジェクトを行いまして、本日御説明させていただきます水素に関しましては、二〇一六年度から東京電力、それから東レ、さらにほかの様々な企業、研究機関と共同いたしまして、国の御支援などもいただきながら取り組んできたところでございます。
 ということで、本日は水素に関する取組を中心に御説明をさせていただきますが、本日の説明の項目といたしましては、お手元にお配りしております資料の二ページ目でございます。
 まず簡単に山梨県企業局につきまして御紹介をさせていただきまして、その次に水素エネルギーの役割ですとか果たす期待といったところ、それから水素に関する山梨県の取組でありますやまなしモデルP2Gシステムについて、それから最後に今後の水素社会の実現に向けた現在、それから、これからの取組ということで説明をさせていただきます。
 それでは、資料の三ページ目をお願いいたします。
 山梨県企業局は、企業会計による独立採算の公営企業でございます。住民からの税収ではなく、売電収入でありますとか利用者からの利用料によりまして事業運営を実施しております。
 山梨県企業局では、資料にございますとおり、温泉事業、地域振興事業、電気事業の三つの事業を実施しております。
 温泉事業につきましては、JR中央本線の甲府駅の二駅東京寄りの石和温泉におきまして、温泉供給事業を実施しております。次の地域振興事業につきましては、山梨県と長野県の県境、八ケ岳南麓エリアにおきまして、ゴルフ場やレストランなどのレジャー、レクリエーション事業を実施しております。それから、最後の三つ目の電気事業でございますが、水力発電所など三十三か所の発電所におきまして年間約五億キロワットアワーの電力を発電し、供給しております。年間の収入が約五十億円ほど、それによりまして十億円程度の純利益を上げているというところでございます。本日御説明いたします水素関連事業につきましても、この電気事業の中で実施しているという状況でございます。
 資料の四ページをお願いいたします。
 この電気事業から得られた収益を活用いたしまして、様々な地域貢献の取組も行っております。一例を申し上げますと、ミレーの絵画などを購入いたしまして県立美術館に寄託、展示し、多くの県民や観光客の皆様に楽しんでいただいております。また、利益の一部を一般会計へ繰り出しまして、環境保全や教育などの施策推進に役立てているところでございます。
 次に、本日の本題となります水素エネルギーについて、その特徴などについて御説明したいと思います。
 六ページ目をお願いいたします。
 水素エネルギーは、御案内のとおり、カーボンニュートラル実現のためのキーテクノロジーの一つとして世界中から注目を集めているところでございます。
 水素は、化石燃料の壊変や水の電気分解など、様々な資源を使って様々な方法により生成することができます。このため、国際情勢の影響を受けやすい石油などと比べまして、安定的に調達できる可能性が高いと考えられます。また、環境面では、水素をエネルギーとして利用する際に、地球温暖化の一因でありますCO2を一切排出しません。また、電力や熱エネルギーなど幅広く利用することができます。このため、例えば余剰の再生可能エネルギーを活用して水素を製造、貯蔵しておき、大規模停電や災害などの非常時に活用するといった使い方も可能となります。
 七ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは、水素の製造段階におけるCO2排出に着目した区分についての資料となります。
 水素は、化石燃料などから作る方法と水を電気分解して作る方法に大別されまして、さらに、発生又は放出されるCO2の有無により区分されております。私たちが開発いたしましたシステムは、この資料の一番下の、太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解してグリーン水素を製造するものであります。電力から気体の水素を作ることからパワー・ツー・ガス、P2Gと呼んでおります。
 続きまして、私たちが開発いたしましたやまなしモデルP2Gシステムの特徴や開発状況について御説明いたします。
 九ページを御覧いただきたいと思います。
 やまなしモデルP2Gシステムでは、水を電気分解して発生した水素と酸素のうち、水素のみを透過させる性質を持つ電解質膜を用いる方式を採用しておりまして、固体高分子型、PEM型の水電解装置により水素を製造するものでございます。
 このPEM型では、水道水をろ過した純水のみを原料といたしますことから、生成される水素の純度が極めて高いこと、薬品類を一切使わないため安全で安心であること、また、電力の変動に対する応答性が極めて迅速でありますことから、気象条件により刻々と変動する再生可能エネルギーとの相性が大変良いといった特徴がございます。
 さらに、やまなしモデルでは、東レ株式会社が開発いたしました極めて高効率な電解質膜を用いております。従来膜を利用したシステムと比較いたしますと、同一の電力量で二倍の水素を製造することができます。
 こうした特徴から、この資料の下側に記載してございますとおり、太陽光発電の発電状況などにより、電力の供給量が多く価格が低廉な時間帯に着目して水素を製造することで、より安価な水素の製造が可能になります。また、ディマンドレスポンス的な運用をすることによりまして、再生可能エネルギーの導入拡大を図っていく上で課題となる太陽光発電等の出力制御などの問題の解決にも寄与できるものと考えております。
 さらに、エネルギーの地産地消の推進やエネルギーセキュリティーを高めることへの貢献が期待されますとともに、熱エネルギーを多く使う工場などにこのシステムを設置しグリーン水素を供給利用することによりまして、再生可能エネルギー由来の電力の活用などと組み合わせまして、より完全に近い形で脱炭素化を図ることが可能と考えております。
 続きまして、十ページ目を御覧ください。
 こちらは、グリーン水素によるエネルギー需要転換のイメージを示したものでございます。
 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、省エネルギーの取組と再生可能エネルギーの利活用を徹底的に追求することによりまして、化石燃料への依存度を低減させることが不可欠でございます。しかしながら、その一方で、我が国におけるエネルギー最終消費に占める電力の割合は三割程度となっておりまして、残りの七割を占める熱需要をいかに脱炭素化させるかが重要でございます。
 私たちが開発いたしましたP2Gシステムによりまして、再生可能エネルギー由来の電力でグリーン水素を製造し化石燃料に置き換えていく、その意味で私たちはこれを間接電化と呼んでおりますが、この間接電化を推進することによりましてCO2の発生を大幅に削減することが可能でございます。
 十一ページ目でございます。
 次に、実際に山梨県で実施しております水素の製造事業について御説明させていただきます。
 この写真でございますけれども、山梨県甲府市内の米倉山電力貯蔵研究サイトの全景となります。当サイトは、この周囲を十一メガワット、先ほどの東京電力と共同開発、設置しました十メガに加えまして、山梨県企業局独自の一メガワットを加えた十一メガワットの太陽光発電所が設置されております。その内側にP2Gシステムを始めとする実証設備が整備されているところでございます。
 この研究サイトに隣接いたしまして、左側の白い建物でございますが、次世代エネルギー関連の実証開発に取り組む事業者が入居する研究開発棟が整備され、また、この写真には写っておりませんが、この右側には次世代エネルギーの学習施設が整備されておりまして、研究開発から普及啓発まで一連の機能が集積したエリアとなっております。
 次に、十二ページでございます。
 米倉山におけます水素製造設備について御説明いたします。
 この米倉山のP2G実証棟におきましては、国とNEDOからの御支援をいただきまして、一・五メガワットの水電解装置を核とするP2Gシステムを構築しているところでございます。本システムは、一時間に三百六十ノルマル立方メートル、約三十キログラムのグリーン水素の製造が可能であります。さらに、二〇二一年六月から、本システムで製造いたしました水素を県内外の工場などへ輸送いたしまして御利用いただいております。これまで三年近くにわたりまして、グリーン水素の製造から輸送、利用までを通じたサプライチェーンの社会実証に取り組んでいるところでございます。
 次の十三ページにつきましては、この社会実証の一環といたしまして、利用していただく水素がグリーンであることを証明するために、山梨県知事名義による証書を発行しているところでございます。現状では、国などの認証制度がございませんので、山梨県独自の取組として行っているものでございます。水素をお使いいただく方々に対しましてグリーンであることを可視化して提供することによりまして、グリーン水素によるエネルギー転換への関心を高めていきたいと考えております。
 続きまして、水素社会の実現に向けた現在そして今後の取組ということで御説明をいたします。
 十五ページ目をお願いいたします。
 水素社会の実現に向けまして、米倉山での開発実証の成果を広く国内外へ普及させるために、二〇二二年二月に、東京電力ホールディングス株式会社、東レ株式会社、山梨県の三者によりまして、株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー、通称YHCと呼んでおりますが、を設立いたしました。国内初のP2G事業会社といたしまして、現在、新たな技術開発や国内外へのシステム導入に取り組んでいるところでございます。
 十六ページでございますが、現在進行中の主なプロジェクトの一覧でございます。
 一番上でございますが、こちらはシステムの大容量化を目指す取組でございます。現在、十メガワット級の大容量化モデルの開発を進めておりまして、将来的には百メガワットクラスシステムの実現につなげてまいりたいと考えております。
 次の二番目は、小型パッケージ化の開発でございます。五百キロワットの水電解装置とその稼働に必要なシステム一式をコンテナに格納することでコンパクト化を図っているところでございます。
 それから三番目の海外事業でございますが、インドとインドネシアにおける事業化可能性調査の取組を進めております。インドにつきましては、自動車製造工場へのシステム導入に向けまして調査事業を実施しております。また、インドネシアにつきましては、インドネシア国営の石油会社と連携いたしまして、地熱発電を活用したグリーン水素とグリーンアンモニアの製造実証に向けた調査を行っているところでございます。
 十七ページ以降、ただいま申し上げましたプロジェクトのうち、国内プロジェクトについて御説明をさせていただきます。
 まず、十七ページ目でございますが、グリーンイノベーション基金事業を活用いたしまして、山梨県北杜市のサントリー天然水南アルプス白州工場及びサントリー白州蒸留所にP2Gシステムの導入を進めております。二〇二五年の稼働を予定しているところでございます。この写真にございますとおり、工場の隣接地に国内最大規模となります十六メガワットのP2Gシステムを導入いたしましてグリーン水素を製造いたします。製造した水素はパイプラインで工場へ送られ、水素ボイラーの熱源として活用される予定でございます。
 十八ページ目でございますが、こちらは福島県との連携協定に基づくプロジェクトとなります。
 福島県田村市の工業団地内の半導体用のガラス工場へNEDO事業を活用いたしまして十四・八メガワットシステムを導入し、バーナー燃料としてグリーン水素とグリーン酸素を供給することとしております。さらに、この余剰分の水素につきましては周辺地域へ輸送をいたしまして、地域経済圏内における水素利用にも取り組むことにしております。
 十九ページ目、二十ページ目につきましてはコンパクト化の取組でございます。
 まず、十九ページ目でございますが、大成建設グループの大成ユーレック川越工場に五百キロワットワンパック、ワンパッケージモデルを今年二月に設置したところでございます。資料の下側の写真にございますとおり、ほかの場所にある組立て工場でP2Gシステム一式をコンテナに格納し、コンテナごと搬送し現地に設置したものとなります。現在、五月からの本格稼働に向けまして試験調整を行っており、稼働後は製造されるグリーン水素をコンクリート養生用の熱源として利用することとしております。
 次の二十ページでございますが、東京都との共同実証事業となります。
 一昨年十月に両都県間で締結いたしましたグリーン水素の活用促進に関する基本合意書に基づきまして、昨年五月から東京ビッグサイト内に設置した燃料電池用に米倉山で製造したグリーン水素を供給しております。
 さらに、東京都と連携いたしまして、都内では初となる水素製造拠点として、現在、大田区京浜島内の都有地へコンパクトモデルを設置するプロジェクトを進めており、稼働後は都有施設などでの水素の活用が予定されております。
 最後となりますが、今後の本格的な水素利用に向けたYHCを中核とする事業展開についてでございます。二十一ページ目をお願いいたします。
 国におきましては、現在国会で審議されております水素社会推進法案に基づきまして、今後、カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な施策が講じられていくものと承知しております。大規模かつ効率的な水素等サプライチェーンの構築に向けまして、国では、大規模発電利用型、多産業集積型、地域再エネ生産型の三つのイメージ例を示しております。
 私たちが取り組んでおりますやまなしモデルは、これまで説明してまいりましたとおり、地域再エネ生産型を担い得るものと考えております。輸入水素の活用を前提とする他のイメージ例と並行いたしまして、地域再エネ生産型の供給拠点を全国各地にバランスよく整備していくことによりまして、国全体として着実な水素利用が図られていくものと考えております。
 また、各地で地域単位の水素サプライチェーンの構築を進めることによりまして、水素社会の実現に向けて、大規模な水素利用の素地となる水素レディ社会の輪が広がっていくものと確信しているところでございます。
 最後、二十二ページ目でございますが、山梨県及びYHCでは、水素社会推進法案の審議状況など、国における施策の動向を注視しながら、速やかに価格差支援制度などの活用にエントリーできるよう、現在、水素のオフテーカーとなるパートナーの募集を行っております。
 こうした取組を通じまして、やまなしモデルP2Gシステムの国内外への普及拡大に取り組みまして、カーボンニュートラル社会の実現に積極的に貢献してまいりたいと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 村松稔

speaker_id: 22153

日付: 2024-04-17

院: 参議院

会議名: 資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会